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映画『カンバセーション…盗聴…』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『カンバセーション…盗聴…』の概要:フランシス・フォード・コッポラ監督が、大ヒット作となった『ゴッドファーザー』(72)、『ゴッドファーザー パート2』(74)と、ほぼ同時期に製作したサスペンス映画。やや小規模な作品ながら、監督・脚本・製作をコッポラ自身が務めた傑作で、編集と音響を担当したウォルター・マーチの高い技術力も素晴らしい。

映画『カンバセーション…盗聴…』の作品情報

カンバセーション…盗聴…

製作年:1973年
上映時間:114分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
キャスト:ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、アレン・ガーフィールド、ハリソン・フォード etc

映画『カンバセーション…盗聴…』の登場人物(キャスト)

ハリー・コール(ジーン・ハックマン)
盗聴のプロで、この業界では完璧な仕事をする天才として知られている。人の秘密を盗聴している反動で、自分のことに関しては病的とも言える秘密主義を貫いている。常に孤独で、唯一の慰めは自室でレコードに合わせてサックスを吹くこと。
スタン(ジョン・カザール)
ハリーの助手の技師。ハリーほどのプロ意識はなく、依頼者のことなども知りたがる。
ウィリアム・P・モラン(アレン・ガーフィールド)
ハリーと同業者で、盗聴器の商品開発や販売もしている。秘密主義のハリーを嫌っている。
メレディス(エリザベス・マックレイ)
モランの仕事を手伝っている女性。ハリーに気がある素振りを見せる。
エミー・フレデリックス(テリー・ガー)
ハリーの愛人。ハリーに生活の面倒を見てもらっているが、彼の住所も電話番号も仕事も教えてもらえない。ひたすら待ち続けることに疲れている。
マーティン・ステット(ハリソン・フォード)
ハリーに盗聴を依頼してきた大企業の専務の秘書。まだ若いが、油断できない人物。

映画『カンバセーション…盗聴…』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『カンバセーション…盗聴…』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじ【起】

サンフランシスコにあるユニオン・スクエア広場は、多くの人々で賑わっていた。パントマイムをする道化師や路上ミュージシャンも集まり、広場は常に騒がしい。そんな中、盗聴のプロであるハリー・コールは、助手のスタンや仲間と共に、ある男女の会話を盗聴していた。業界内でも盗聴の天才と言われているハリーは、音の多い場所でも男女の会話がはっきり聞き取れるよう、独自の工夫をしていた。さらに、依頼者からの要請で、男女の写真も隠し撮りしておく。ハリーの仕事は、いつも完璧だった。

仕事を終えて自宅アパートに戻ったハリーは、ドアの内側に誕生日の贈り物があるのを見て、不快になる。盗聴を生業にしているハリーは、自分のプライベートが人に知られることを異常に嫌っており、玄関ドアにも複数の鍵と警報機までつけていた。ハリーはすぐ管理人に電話して、自分の部屋の合鍵を持たないよう注意する。秘密主義を貫く孤独なハリーにとって、唯一の息抜きは、ジャズのレコードに合わせてサックスを吹くことだった。ハリーは気分転換をするため、今日もレコードに合わせてサックスを吹く。

翌日、ハリーは昨日録音した男女の会話を、仕事場にしている倉庫で聞いてみる。3箇所に仕掛けた3本のテープを同時に再生することで、男女の会話は鮮明に聞くことができた。2人の会話から、この男女が許されぬ関係であることは推測できたが、ハリーは盗聴したテープの内容には深入りしない。ただ、今回はなぜか、女がホームレスの老人を見て「あんな老人を見るたびにいつも思うのよ、あの人も誰かの子供だったって」と言った言葉や彼女の歌声が耳に残ってしまう。

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映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじ【承】

ハリーはわざわざバスで移動して、公衆電話から依頼者に電話をかける。この仕事を依頼したのは大企業の専務で、指定された連絡先は彼のオフィスだった。専務は不在だったので、秘書のマーティンに資料が揃ったことを伝えると、明日の2時半にオフィスへ来るよう指示される。報酬の1万5千ドルは、その時に全額支払ってくれるということだった。

何となく人恋しくなっていたハリーは、愛人のエミーのアパートへ行く。エミーは、合鍵で入ってきたハリーを歓迎してくれる。ハリーが誕生日だったことを告げると、エミーは彼の話をもっと聞きたがる。ハリーはエミーの生活の面倒を見ているが、自分の住所や電話番号は教えていない。もちろん、自分の仕事も明かしていなかった。エミーがハリーの連絡先や仕事を知りたがるのは当然なのだが、それがハリーには迷惑だった。気分を害したハリーは、金だけ置いて、エミーのアパートを出てしまう。

翌日、専務のオフィスを訪れたハリーは、マーティンから報酬を渡され、テープを置いていくよう言われる。しかし、ハリーは専務に直接渡す約束をしていたため、その申し出を断る。それでもマーティンがテープを奪おうとしたため、ハリーはテープを持って急いでオフィスを立ち去る。マーティンは背後から「深入りするな、これは危険なテープだ」と、ハリーに忠告していた。その帰り、ハリーは専務のオフィスビルの中で、あのカップルを目撃する。男はこの会社の社員で、女も会社の関係者らしかった。

仕事場に戻ったハリーは、2人の会話を何度も聞き直してみる。隣にいたスタンも好奇心をそそられ、ハリーにいろいろと質問してくる。ハリーは苛立ち、スタンを叱責する。スタンはヘソを曲げ、ハリーの助手を辞めてしまう。

1人になったハリーは、不鮮明だった部分を丁寧に聞き出していく。そこでわかったのは、日曜日にジャック・ター・ホテルの773号室で2人が密会すること。そして、このカップルが何者かに殺されるのではないかと怯えていることだった。

その日、ハリーは教会で懺悔する。ハリーは、自分が盗聴したことで、若い男女が危険に晒されるのではないかと危惧していた。実は以前にも、同じことがあったのだ。

映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじ【転】

ハリーの同業者が大勢集まる大会の日。盗聴や盗撮用品の品評会の会場で、ハリーは同業者のモランを紹介される。モランは有名人のハリーと知り合えたことを喜び、サービスのボールペンをスーツの胸ポケットに入れてくれる。ハリーの助手を辞めたスタンは、モランの世話になっていた。ハリーはスタンに謝罪し、自分の所へ戻ってくるよう説得する。ハリーから見て、モランは信用できない男だった。

エミーのことが気になっていたハリーは、彼女の家に電話してみる。しかし、エミーは電話を解約しており、連絡がつかなくなっていた。その会場で、ハリーはマーティンに声をかけられる。マーティンは、日曜の1時に専務が直接テープを受け取るとハリーに伝言する。ハリーは、自分がマーティンに尾行されているのではないかという恐怖を感じる。

大会の後、ハリーは仲間たちと仕事場の倉庫で打ち上げをする。モランと彼の秘書をしているメレディスという女性も一緒だった。モランはハリーに対抗心を持っており、しつこくハリーに絡んでくる。ハリーがニューヨークにいた頃、ハリーの盗聴したテープが原因で、3人の人が殺される事件があった。モランはそんなハリーの触れられたくない過去まで、ペラペラと喋りまくる。その上、ボールペン型の盗聴器で録音したハリーとメレディスの会話を、みんなの前で聞かせる。これにハリーは激怒し、みんなを追い出してしまう。ただ、メレディスだけはハリーのことを気にして、その場に残っていた。

いろいろなことで疲れ切っていたハリーは、メレディスの誘惑に負け、彼女と肉体関係を持つ。ハリーはそのまま仕事場のベッドで寝てしまい、嫌な夢を見る。目を覚ました時には、隣で寝ていたはずのメレディスが、男女の会話を録音したテープと共に消えていた。

映画『カンバセーション…盗聴…』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌朝、自宅に戻ったハリーは、テープの件を伝えるため、マーティンに電話する。マーティンはハリーの自宅の電話番号を知らないはずなのに、「かけ直す」と言って、電話を切ってしまう。そして、すぐにハリーの自宅の電話が鳴る。マーティンは困惑するハリーに「テープはいただいた、もう消される心配はないが深入りするな」と忠告し、専務のオフィスへ写真を持ってくるよう伝える。

ハリーがオフィスへ行くと、専務のプライベートルームから盗聴テープの音声が聞こえてくる。中へ入ると、激怒している専務とマーティンがいた。壁にはあの女の写真が飾ってあり、ハリーは彼女が専務の妻であることを知る。写真を渡し、報酬を受け取ったハリーは、専務からさっさと帰るよう促される。帰り際、ハリーはマーティンに「2人をどうする?」と聞いてみる。しかし、マーティンは「今にわかる」としか答えてくれなかった。

2人のことが心配だったハリーは、ジャック・ター・ホテルへ行き、773号室の隣の部屋を借りる。ハリーは、その部屋の洗面所から盗聴を試みる。専務の怒鳴り声や女性の悲鳴が聞こえた気がして、ハリーはベランダへ出てみる。隣のベランダの窓ガラスには、べったりと血がついていた。ハリーは現実と幻覚の区別がつかなくなり、テレビをつけてベッドに潜り込んでしまう。

目を覚ました時には夜になっていた。ハリーは部屋を出て、隣の部屋のドアをノックしてみる。何の応答もなかったので、ハリーは器用に鍵をこじ開け、部屋の中に入る。部屋に人影はなく、室内は綺麗に掃除されていた。やはりあれは自分の幻覚だったのかと思いながら、ハリーは念の為、トイレの水を流してみる。すると、血に染まった真っ赤な水が、排水口から逆流してくる。

ホテルを出たハリーは、専務のオフィスへ行ってみるが、マーティンや警備員に追い返される。外へ出たハリーは、オフィスの前に停まった高級車の中にあの女がいるのを見る。驚いたことに、専務は自動車事故で死亡しており、多くのマスコミがオフィスに詰めかけていた。マスコミに対応する社員の中にはあの男とマーティンがいて、ハリーは専務の方が彼らに殺されたのだと悟る。

自宅へ戻り、ハリーがレコードをかけてサックスを吹いていると、家の電話が鳴る。電話の相手は「気づいたようだな、深入りはよせ、盗聴しているぞ」と言って、先ほどまでのハリーの部屋の音声を再生する。

ハリーは部屋中のあらゆる物を分解し、破壊し、盗聴器を探す。ずっと大事にしてきた聖母像まで破壊したが、盗聴器は見つからない。ハリーは壁紙や床板まで剥がし、盗聴器を探し続ける。しかし、盗聴器を見つけることはできなかった。ハリーは破壊し尽くされた部屋に座り、最後まで残しておいたサックスを吹き始める。盗聴の天才と言われたハリーの人生には、今やこのサックスしか残っていなかった。

映画『カンバセーション…盗聴…』の感想・評価・レビュー

本作は、盗聴のプロの男が対象者から生死に関わる重要な情報を入手し、危険と判断した男が依頼主にテープを渡さずに対象者を救おうとする姿を描いたヒューマンドラマサスペンス作品。
ストーリーの主軸となるテープが劇中何度も繰り返し再生されるが、これが現実と妄想の境界を曖昧にさせ、混乱するが非常に引き込まれる。
盗聴のプロの男が殺人計画に巻き込まれそうになってから、自身も孤独と狂気に苛まれていく精神的恐怖の描写が面白かった。(女性 20代)


序盤はなかなか世界観に入り込めず、難しい作品かなと思って鑑賞していましたが、「現実」と「妄想」がこの作品のキーだと分かると急に面白くなり、ハラハラドキドキしながら見てしまいました。
盗聴のプロでありながら「孤独」な男ハリー。孤独と言うよりも「孤高」と言った方が正しいのかも知れません。何故なら彼には天才と称される程の盗聴の技術があるから。しかし、その腕の良さのせいで事件に巻き込まれてしまいます。
「深入りするな」と言われた時には「もう遅い」という事のようです。自分がそう言われているような気持ちになりました。ラストの描写は「お見事」としか言いようがありません。(女性 30代)

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