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映画『オーガストウォーズ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『オーガストウォーズ』の概要:実際にあった南オセチア紛争を舞台に母親が単身、戦場へ向かい幼い息子を救い出すアクション映画。少年のファンタジックな空想と戦争の悲惨な現実を折り交ぜ、子への愛ゆえに強くもなる母親の姿を描いている。

映画『オーガストウォーズ』の作品情報

オーガストウォーズ

製作年:2012年
上映時間:132分
ジャンル:アクション
監督:ジャニック・フェイジエフ
キャスト:スヴェトラーナ・イワノーワ、マクシム・マトヴェーエフ、ユゴール・ベロエフ、アルチョム・ファディエフ etc

映画『オーガストウォーズ』の登場人物(キャスト)

クセーニア(スヴェトラーナ・イワノーワ)
バツイチの美人で金髪の女性。チョーマの母親でザウールとは元夫婦。妄想逞しい息子に呆れているも、深い愛情でもって育てている。
リョーハ(マクシム・マトヴェーノフ)
平和維持軍の斥候部隊、部隊長。冷静沈着で厳しく優秀な人物であるが、病気の母親を労わる優しい面もある。密かにクセーニアへ惹かれており、厳しく接しつつも助けてくれる。
ザウール(ユゴール・ベロエフ)
平和維持軍の兵士でクセーニアの元夫。兵士であることから、クセーニアに離婚を言い渡され、やむなく別れることに同意する。南オセチアに赴任しており、両親も同じ地方に住んでいる。愛情深い人物。
チョーマ(アルチョム・ファディエフ)
ロボットと二人三脚で悪の帝王を倒す「コスモボーイ」に憧れ、いつも妄想している少年。推定6歳。母親の恋人を受け入れられずに反発している。

映画『オーガストウォーズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『オーガストウォーズ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『オーガストウォーズ』のあらすじ【起】

ロシアのモスクワに住むクセーニアはシングルマザー。離婚後は母親の元へ身を寄せ、1人息子チョーマを育てている。チョーマは悪の帝王を倒すヒーロー「コスモボーイ」に夢中で、いつも妄想ばかりしており、クセーニアの言うことをあまり聞いてくれない。彼女は付き合っている恋人を息子にも紹介するが、チョーマは受け入れられずに反発しているのだった。

そんな折、元夫ザウールから連絡が入る。彼は平和維持軍の兵士で、現在は故郷でもある南オセチアに赴任していた。ザウールは年老いた両親に孫を会わせてやりたいので、チョーマを一時預かりたいと言う。クセーニアは渋々同意し、自分も恋人との休暇を楽しむことにした。

しかし、息子を送り出した直後、南オセチアとグルジア領の関係が悪化。戦争勃発の一触即発の状況となる。クセーニアはその報道を知り、慌ててザウールへ連絡を入れるが、元夫も休暇中であったため、最新の情報を知らなかった。彼は決して危険ではないと息子の返還を頑なに拒否。クセーニアは恋人に助けを求めるも、恋人は取り合ってくれない上に彼女を貶めるような暴言を吐くのである。

クセーニアは恋人を見限り、単身で南オセチアへと向かうことにした。
空港は戦争勃発の危険により騒然としている。どうにか南へ向かうバスを見つけて乗り込んだクセーニア。だが、道も半ばまで来てグルジア軍からの砲撃が開始。砲弾に被弾したバスが大事故を起こしてしまう。

夜、平和維持軍の救助により、どうにか助かったクセーニア。北に向かう新たなバスへ乗るよう促されるも、チョーマを置いては帰れない。彼女は兵士に頼み込んで町まで連れて行ってもらうよう話すも、頼みを聞いてはもらえず。仕方がないので徒歩で向かおうとする。部隊長らしき兵士は、仕方なく彼女を町まで送ることにした。

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映画『オーガストウォーズ』のあらすじ【承】

夜半、ツヒンヴァリの市街へ到着。兵士達と別れた直後、市街地への砲撃が開始される。砲弾の雨が降る中、市民の助けもあり命からがら避難所へ。途中、ザウールとも連絡が取れ、避難所で落ち合うことにした。

一方、ザウールは両親と息子を避難させるために一旦、自宅へ。早朝、家族と共に車へ乗り込んだところで、進軍して来た敵軍の戦車と遭遇してしまう。ザウールはチョーマを逃がし、時間稼ぎのために車から降りて自分が平和維持軍の兵士であることを主張。戦車は容赦なくザウールへ砲撃し、両親を乗せた車ごと爆破してしまうのだった。
その光景を目の当たりにしたチョーマ。彼にはコスモボーイの相棒であるロボットが、悪の帝王に破壊されたように見えたのであった。

その頃、避難所で待っていたクセーニアは、ザウール達が来ないことを心配しチョーマの携帯に連絡を入れる。僅かな時間、電話に出た息子から悪の帝王が皆を殺したと聞き、幼い息子がたった1人残されてしまったことを察する。彼女はザウールの友人である部隊長に連絡を入れ、報道陣のパスを盗み前線であるザウールの家の近くまで向かうことにした。

しかし、装甲車と戦車にて前線である町に入ったところで、敵軍の待ち伏せに遭う。クセーニアは他の記者と部隊長に付いて逃げ回るも、砲撃の衝撃で気絶。このせいで、部隊長も死亡してしまうのだった。
目が覚めると民間人が隠れる地下室にいた。幸いにも脳震盪のみで外傷もない。全身に痛みはあるも、少し休めば動ける範囲だった。

翌朝、たった1人で家に隠れていたチョーマは、天井に開いた穴から落ちてくる埃を、どんな怪我でも治す「魔法の粉」だと思い魔法の言葉を唱えながら、勇気を奮って破壊された車の元へ向かった。しかし、ちょうど展開されていた銃撃戦の流れ弾が掠り、頭部を負傷してしまう。

映画『オーガストウォーズ』のあらすじ【転】

同じ頃、一晩休んで鋭意を養ったクセーニアは、息子が夢中になっている「コスモボーイ」の魔法の言葉を合言葉にボイスメールを送った。だが、チョーマからの返信動画を見て愕然となる。クセーニアは息子が頭部から流血し助けを求めていることを知り、いても立ってもいられずに避難所から飛び出してしまうのだった。

前線でもある町には至る所に狙撃兵が潜んでおり、非常に危険な場所であった。彼女は狙撃の対象として狙われてしまうも、バス事故の際に助けてくれた平和維持軍の部隊に再び助けられる。部隊長は町まで送ってくれたリョーハという人物だった。彼が率いる部隊は斥候部隊で、露営地区から避難している民間人を救助する任務を負っていた。

リョーハはどうしても引かないクセーニアに、任務を無事に終えたら望む場所へ連れて行くことを約束し、彼女を同行させることにする。
激しい戦闘を掻い潜り、どうにか目的の場所へ辿り着いた部隊だったが、事前に聞いていた人数よりも民間人の数が多いことが判明。激しい攻撃の中、夜まで待っていては避難しているビルが崩壊してしまう。戦車の砲弾ももうない。

リョーハはクセーニアに待っているよう話すも、それではあまりに時間がかかり過ぎる。チョーマは頭部を負傷しており、たった1人で今も怯えているはずなのだ。ザウールの家があるシダモンタの村まで、わずか5キロの距離。だが、そのシダモンタはすでに、グルジア軍によって占領されてしまっていた。たった5キロだが、敵陣を通り抜ける一番危険な道のりだった。

映画『オーガストウォーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)

リョーハは彼女に必要な物を持たせ、単独で息子の元へ行かせることにした。戦車を盾にして民間人の救助を開始。それに紛れさせる。クセーニアは彼と別れて、シダモンタへ向かった。
道なりに進み、橋を渡れば敵陣である。クセーニアは橋を渡りながら息子へ励ましのメールを送るも、チョーマはあまりの恐怖に現実逃避しており、メールに返信すらしない。

敵兵から上手く身を隠しつつ、ようやく元夫の家に到着。チョーマは庭先に作られていた隠れ家にいた。意識は朦朧としており、母親の判別もできない。クセーニアは傷の手当をし、敵兵から車を盗んで息子を乗せ逃走。運転中も懸命にチョーマを励ました。

当然、すぐさま追手がかかる。2台の装甲車に追いかけられる羽目になったクセーニア。森を突き抜けることにより、どうにか逃げ延びた。そして、そんな母親の姿にチョーマは「コスモボーイ」の相棒ロボットを重ね合わせる。その時、リョーハからの無線連絡でロシア軍が侵攻を決断したとの報告が入る。
クセーニアは車をグルジア軍の駐屯地へ向けて基地内を縦断。正面から侵攻を開始したロシア軍からの攻撃があるはずだった。

聞いていた通りにロシア軍の空爆があり、どうにか無事に逃げ延びたクセーニアとチョーマ。近くの町で休憩しようとした矢先、グルジア兵に発見されてしまう。銃を突きつけられるも、兵士の説得に成功。兵士は敵軍の車では危険だと言い、母子を乗せて行けるところまで送ってくれるのだった。

良心的な兵士と別れた母子はその後、ロシア軍に保護される。
傷の治療を受けたチョーマに添い寝しているクセーニアは、息子のためにずっと「コスモボーイ」の話を語って聞かせていた。すると、意識の戻った息子はようやく恐怖から解放され、「コスモボーイ」の話より、兵士だった父親ザウールの話をせがむのである。

回復後、移送ヘリの搭乗を待つ母子の前にリョーハがやって来る。戦争はロシア軍の勝利に終わり、リョーハも無事に帰還していた。彼はクセーニアの勇気を称えた後、何か言いたそうにしていたが、別れの挨拶をするに留め母子は無事にモスクワへ。
後日、クセーニアの自宅の留守電にリョーハからのメッセージが入るのだった。

映画『オーガストウォーズ』の感想・評価・レビュー

実際に起きた紛争から着想を得て制作されていることもあり、戦いのシーンは特に恐怖を感じた。主人公のクセーニアの行動は無謀だとも思えるが、息子を助けたい一心で行動する姿に母親としての深い愛情を感じた。自分だったら、爆撃の音に足がすくんで身動きがとれなくなると思う。彼女の行動力と心の強さに、尊敬の念を抱いた。チョーマが母親と無事に再会できたことに安堵した。チョーマが空想好きなのは、自分の心を守るためなのかなと少し思った。(女性 30代)


実際に起きた南オセチア紛争を題材に、少年のファンタジーな空想や、強い母の人間ドラマを織りまぜた大人も子供も見られる戦争映画でした。
戦争を題材にした作品は、今の若い人にはどうしても敬遠されがちで私も戦争映画が苦手な1人です。なぜ見ないのかと聞かれると「暗い過去」を見るのは辛く悲しいからとしか答えられませんが、それは知らなければいけない歴史から目を背けているという事です。
今作はただの戦争映画では無く、子供も興味を持ちやすいストーリー展開なのでこういう作品が戦争映画を見るきっかけになるのではないかなと感じました。(女性 30代)


オープニング、ロボットの登場に胸が躍りました。SFストーリー展開を予想しましたが、意外にも本気の戦争映画でした。2008年に起きた南オセチア紛争を、ロシア側から描いた物語です。巨大ロボット等、CGに独自のこだわりがあり作り込まれていると感じます。どこか古臭さを感じさせるヒーローに、すっかり愛着が湧きました。軍の戦闘機や装備については、かなり本格的です。銃撃戦は臨場感、重厚感たっぷりでその激戦ぶりに冷や汗が止まりませんでした。(女性 30代)


2008年に実際に起きた南オセアチア紛争を舞台にロシア軍の全面協力を得て制作された作品。紛争地帯に取り残された幼い息子を救うべく単身紛争地帯へ乗り込む母親の奮闘を描いている。
正直に言って非常に無謀な行動だとは思うが、自分に置き換えて考えるとそこまで行動的にはなれないかもしれないとも思う。作中の幼子視点の空想にはとてもユーモアがあってCGが上手く融合されている。今作のような子供視点の空想を織り交ぜた戦争映画を見たことがあるが、その作品とは違って空想と現実がはっきりと別れており、とても分かりやすい。終盤のロシア軍からの空爆があるシーンは壮大だが、ちょっとやり過ぎ感があったように思う。でも森での逃走シーンはとても危機感が迫った演出がされていて良かった。(女性 40代)

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