映画『悪魔は誰だ』の概要:15年前の誘拐殺人事件が時効を迎えた。しかし、その後にすぐ同じ手口で誘拐事件が発生。当時の担当だった刑事は時効を迎えた日に警官を辞職していたが、事件をよく知る協力者として捜査へと参加することになる。明らかになった事件の真相に考えさせられる。
映画『悪魔は誰だ』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:サスペンス
監督:チョン・グンソプ
キャスト:オム・ジョンファ、キム・サンギョン、ソン・ヨンチャン、チョ・ヒボン etc
映画『悪魔は誰だ』の登場人物(キャスト)
- ハギョン(オム・ジョンファ)
- 15年前の誘拐殺人事件の被害者となった娘の母親。犯人逮捕のために復讐心を滾らせ、15年もの間、独自に情報を集めている。
- チョンホ(キム・サンギョン)
- 15年前の誘拐殺人事件の担当刑事。何度も犯人を追い詰めるも、結局は逮捕できずに警官を辞職してしまう。鋭い観察眼と地道な捜査を厭いもしない。正義感の厚い人物。
- ハン・チョル(ソン・ヨンチャン)
- 15年前の誘拐殺人事件の真犯人。心臓病である娘の治療費を得るためにハギョンの娘を誘拐する。娘の抵抗に遭い、反動で殺害してしまう。時効を迎えた後、ハギョンによって罠にかけられ逮捕される。
- カン・チャンシク(チョ・ヒボン)
- 刑事。チョンホの知り合いで、誘拐事件の捜査をするため、チョンホを協力者として捜査に参加させる。
映画『悪魔は誰だ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『悪魔は誰だ』のあらすじ【起】
15年前、誘拐殺人事件の被害者となり娘を失ったハギョン。彼女はそれ以来、犯人への憎悪を滾らせ地道に調査を続けていたが、一向に犯人は見つからず、翌週には公訴時効を迎えようとしていた。
そんな折、彼女の元へ当時の担当刑事でもあったチョンホが訪れる。チョンホにとっても、当時の事件はあと一歩というところで犯人逮捕には至らず、悔いの残る事件でもあった。
7月14日、チョンホは単独で当時の事故現場へ向かったが、その場所に献花が供えられている。ハギョンへそのことを確認するも、彼女は訪れていないと言う。では、誰が供えたのか。チョンホは周囲を見渡し、監視カメラを発見。時効まであと5日に迫っていた時だった。
監視カメラの映像を確認し、フードを被った男が深夜に献花している姿を発見。チョンホと相棒は深夜にも関わらず、現場へ向かい山道で車の新しいタイヤ痕を見つける。そこは15年前にも、犯人が車を乗り捨てた場所だった。
翌日からチョンホ達は徹底した捜査を開始。車種はカーニバルという乗用車。そして、車には特徴的なステッカーが貼ってあった。
7月18日、時効まであと9時間。その日は雨が降っていた。チョンホは通りがかりに停車しているカーニバルにステッカーが貼ってあるのを見る。しかも、タイヤ痕も一致。犯人の車だ。周囲に怪しい人物を発見し、追いかけたチョンホ。食堂で男を追い詰めるも、寸前で逃がしてしまう。
ナンバーを調べるもすでに廃車となったナンバーだった。時効まであと2時間。今からではもう間に合わない。チョンホはハギョンに諦めるよう諭した。
映画『悪魔は誰だ』のあらすじ【承】
翌日の7月19日。15年前と同様に犯人を逮捕できなかったチョンホは、自分に失望し警官を辞職する。
だが、更に翌日。7月20日のことだった。祖父が少しの間、目を離した隙に幼い少女が誘拐される。犯人は計画的、且つ用意周到で警察の動きをまるで読んでいるかのようだ。その後、祖父も行方をくらましてしまい、捜査は難航する。
一方、ハギョンは犯人が暴れた食堂で、犯人が所持していたと思われる銀行の袋を発見。その袋は銀行で記念に作ったものでお得意様にしか配っていないことが分かる。彼女は銀行員から密かにお得意様の名簿を入手する。
警察では少女誘拐事件が、15年前にもあった事件と手口が同じであることを突き止める。だが、すでに時効を迎えた事件であるため、捜査記録は残っていなかった。警官のカン・チャンシクは、当時の捜査担当であるチョンホと知り合いだった。故に、彼は自宅を訪ね事件のあらましと手口を聞く。犯人は時効を迎えた15年前の事件を自ら模倣しようとしている。それが完全犯罪であったからだ。
チャンシクとチョンホは指定の電車へ前もって乗り込み、犯人らしき人物を確認。前回を模倣しているのなら、今回も同じ行動をとるはずである。チョンホは前もって行動することができる。故に、現金を持って逃走する犯人を発見し追跡を開始した。だが、捕縛した犯人は行方をくらましていた祖父だった。
映画『悪魔は誰だ』のあらすじ【転】
誘拐された少女の祖父ハン・チョルは犯人の姿を見ておらず、自分は犯人と思われる男に脅され指示通りに行動したと言う。しかし、彼のDNAが犯人のものと一致。その他、数々の証拠から明らかにハンが犯人であることを示していた。あとは自白を待つだけだが、ハンは何度問い詰められても、犯人であることを認めない。
その頃、銀行の名簿から怪しい人物を特定したハギョンは、チョンホの留守電へメッセージを残したが、その後何の連絡もなかったため、1人で名簿の人物を訪ね歩いていた。
捜査会議に協力者として参加したチョンホ。彼は警察が調べた証拠や状況を冷静に分析し、ハンは本当の犯人ではないと判断。チャンシクへそれを話した。犯人は相当な切れ者であり、15年前の模倣をする上で、今回はより安全な方法を実行している。しかし、チャンシクはチョンホの話を信じようとしないのであった。
銀行名簿に従って田舎へやって来たハギョン。彼女はある人物の自宅を訪ねるも、家主は不在。そこで、こっそりと中へ入りアルバムを見た。そこに写っている人物とモンタージュを見比べ、家主こそが犯人であることを察してしまう。その時、家主である犯人が帰宅。彼女は包丁を持って、復讐しようと振りかぶった。
チャンシクに自分の推察を信じてもらえなかったチョンホは、ハンが監禁されていたと思われる倉庫へ向かい、カセットテープを発見。その音声から犯人の音声を特定する。
映画『悪魔は誰だ』の結末・ラスト(ネタバレ)
その頃、警察はハンを犯人として連行。チョンホはハンが犯人ではないとチーム長に進言するも、警官でもないチョンホの話を頑として聞き入れようとはしなかった。更に警察側は犯人の声紋とハンの声紋が一致したという証拠を持っていた。
チョンホはその声紋を密かにコピーし、過去の犯人のものと比較することにする。専門家を説得し分析開始。すると、驚くべきことに今回の犯人の声はテープに録音された音声によるものだと判明。それも何度も再生され、テープが伸びていたため、音声が変化したように聞こえたと言うのだ。チョンホには今回の犯行がハギョンによるものだと分かってしまった。
恐らくハギョンは、15年前の犯人がハンだと突き止めていた。だが、彼女はハンにも家族がいて、幼い孫がいることを知り彼を殺すことができなかった。今回の犯行に至ったきっかけは、チョンホに時効だから諦めろと諭された時だ。自分は15年もの間、苦しみ続けているのに、真犯人であるハンは罪の意識もなくのうのうと暮らしている。ハギョンはそれが、許せなかった。
ハギョンの魂の叫びを聞いたチョンホ。彼はハンと面会し、15年前の真相を話した。心臓病を患っていた娘の治療費を得るため、ハンは身代金目当てでハギョンの娘を誘拐した。だが、ハギョンの娘は激しく抵抗。ハンは少女を突き放し、彼女は山の急峻を滑り落ちて崖から道路へと転落。命を落としたのである。ハンは少女を殺すつもりなどなかったのだろうが、結果的に殺害してしまい、以降は身を潜め時効を指折り数えていたのだ。
ハギョンから得た身代金で、ハンの娘は手術を受けることができた。そして、孫が誕生する。時効を迎えれば全ての罪が許されると思っていたハン。彼は1人の少女を殺害し、母親を15年も苦しめたのに、娘を助けたのだから良かったと言うのだ。
チョンホはハンの言葉に激怒し、彼と取引することにした。ハンの孫はハギョンと共に穏やかに過ごしている。チョンホはハンに犯人として孫の居場所を自白させ、罪を償うよう話しハギョンを苦しみから救ったのであった。
映画『悪魔は誰だ』の感想・評価・レビュー
15年前に娘を誘拐され失った母親が時効を機に復讐を遂げようとするストーリー。主演の母親役オム・ジョンファは今作にて韓国版アカデミー賞と言われる大鐘賞で主演女優賞を受賞している。
物語は幼い娘を誘拐され殺された痛ましい事件が時効を迎えるところから始まる。復讐心から執念で犯人を見つけ出した母親が、犯人の事情を知り復讐に懊悩する様子を演じたオム・ヨンファの演技力が凄まじく、受賞するのも頷ける。事件の担当であった刑事もまた、母親と共に苦悩を重ねており不甲斐なさを抱えているが、今一歩というところで犯人を捕まえられない。時効という期限が過ぎたことである意味、解放されたことから更にストーリーが進展するという展開も面白く、それぞれの事情や不運、思惑が重なり考えさせられる。誰も悪くないが、全員が悪い。けれども、それはやむを得ない事情があったからで、どうしようもなかったことでもある。非常に曖昧だが、でもとても重要な部分を見事に作品として作り上げた壮絶な映画。(女性 40代)
すごいの一言です。こんなに面白い作品久しぶりに見ました。そして何度も何度も騙されました。15年前の誘拐事件で幼い娘を失った男は犯人逮捕を願いながら、長年にわたって情報を集めていました。しかし、結局犯人を捕まえられないまま時効を迎えてしまいます。そんな時起きた別の事件。犯行の手口は15年前の事件と全く同じものでした。
本当に素晴らしい作品です。犯人を予想しながら見ていましたが、絶対に分かりません。大どんでん返しを楽しんで欲しい作品です。(女性 30代)
本作は、15年前に起きた幼女誘拐事件の時効が迫ったある日、再び同じ手口の事件が発生し、当時事件を担当した元刑事が犯人を追うために奮闘する韓国サスペンス作品。
娘を殺害され嘆き悲しむ母親の演技がとても良かった。
そして、二転三転する展開と全く予想できない結末に驚き、鑑賞後は何とも言えない気持ちになった。
2時間があっという間に感じるほど最後まで見入ってしまう秀逸な脚本で、サスペンスとしてしっかり楽しめる作品。(女性 20代)
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