映画『ターゲット(2010)』の概要:殺し屋のヴィクターは、詐欺師のローズの始末を依頼される。いつものようにローズを尾行し殺す機会を伺うが、ローズは自由奔放な女性でタイミングが上手く掴めなかった。そんな時、ローズを狙う他の人物が現れ、ヴィクターは思わずローズを助けてしまう。
映画『ターゲット』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:ジョナサン・リン
キャスト:ビル・ナイ、エミリー・ブラント、ルパート・グリント、ルパート・エヴェレット etc
映画『ターゲット』の登場人物(キャスト)
- ヴィクター・メイナード(ビル・ナイ)
- 54歳。殺し屋。殺し屋の家系に生まれる。生真面目で融通が利かない性格。常にスーツを着用している。ローズやトニーには殺し屋であることを隠すため、私立探偵だと嘘を吐いた。
- ローズ(エミリー・ブラント)
- 詐欺師であり、窃盗犯でもある。贋作を販売したことで、ファーガソンに命を狙われる。自由奔放な性格。
- トニー(ルパート・グリント)
- ローズが襲われている現場に偶然居合わせてしまい、一緒に逃走することになる。好青年。ヴィクターから私立探偵の技(殺し屋の技)を伝授される。
- ヘクター・ディクソン(マーティン・フリーマン)
- 依頼主のファーガソンに頼まれ、ローズを狙う殺し屋。ヴィクターの次に支払う代金が高い。目撃者は必ず始末する。部下を常に従えている。プライドが高い。
映画『ターゲット』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ターゲット』のあらすじ【起】
殺し屋のヴィクター・メイナードは、ターゲットに自分の名前を名乗り手際良く仕事をこなした。しかし、犯行現場にいたオウムが、ヴィクターの名前を覚えてしまう。ヴィクターはオウムに銃を突きつけるが、そのオウムが「愛している」と言ったため殺せなくなってしまう。ヴィクターは仕方なくオウムを連れて帰った。
老人ホームにいる母は、息子のヴィクターが独身でいることを心配していた。結婚しない理由を聞かれるが、ヴィクターには答えることができなかった。居づらくなったヴィクターが席を立つと、母は仕事の依頼が来たことを話した。メイナード家は代々殺し屋を生業としており、母はもちろん息子が殺し屋であることを知っていた。
ローズは美術館の修復課で働くジェリーを誘惑し、レンブラントの自画像の贋作を作ってもらった。本物とすり替え、偽物を販売しようとしているのだ。ローズは見事すり替えを成功させ、大金を手に入れる。絵を購入したファーガソンは、ローズが帰った後絵のすり替えに気づき、怒りを募らせた。
仕事の依頼を受けたヴィクターは、ローズの尾行を行った。ローズは歩きながら、スリや盗みを平然と行う女性だった。服装をコロコロ変え、色んな店に出入りするローズの尾行は骨が折れた。ヴィクターは部屋に入ったローズを狙撃することにした。だが、ローズの元に男性がやって来てしまう。ヴィクターは1人でチェスをやりながら時間を潰した。しかし、ローズを殺せないまま、夜が明けてしまう。ヴィクターは仕事を失敗してしまったのだが、ローズのことを見ているのが何だか楽しく感じた。
映画『ターゲット』のあらすじ【承】
母はヴィクターが仕事を失敗したことを知り、激しく怒った。ヴィクターがどうすればいいか相談すると、母は依頼人に謝罪し、ターゲットを殺して金を返すよう進言した。ヴィクターがローズを殺しに行くと、男性(ファーガソンの護衛)がローズのことを殺そうとしていた。ヴィクターは思わず男性を殺してローズを助けてしまう。ローズに言われるまま車に乗って逃げようとしていると、その車には男性の仲間(マイク)が潜りこんでいた。ヴィクター達は車から出て壁に行くよう脅される。すると、そこに見知らぬ男性が現れ、マイクのことを撃った。偶々洗車に来て、騒動に巻き込まれた男性だった。ヴィクターは男性を宥め、逃がした。
ローズはヴィクターに抱きつき、お金を払うから守ってくれと頼んだ。ヴィクターは断るが、ローズは折れなかった。とりあえず一緒に車に乗りその場を逃げることにしたのだが、追って来たマイクが銃を撃ってきた。しかも、先程逃がした男性が、また騒動に居合わせてしまう。ヴィクター達は男性を車に乗せ、一緒に逃げた。
ヴィクター達は一緒に逃げてきた男性、トニーと共にホテルに泊まった。ヴィクターは高級ホテルならバレないと思ったのだが、同じ階にローズを殺すよう依頼したファーガソンが泊まっていた。ヴィクター達はそれに気づかず、部屋の中で口論していた。ヴィクターは生意気な態度のローズに苛立ち、ローズは口煩いヴィクターに辟易していた。トニーは耳を塞ぎ、口論が終わるのを待った。
マイクはファーガソンに、ローズの始末を失敗したことを報告した。ファーガソンは新たな殺し屋(ヘクター・ディクソン)を雇い、ローズ達に対抗することにした。ヘクターはマイクからローズを守っている殺し屋の特徴を聞き、すぐにヴィクターだと気づく。ヴィクターは顧客にも姿を見せなかったが、風の噂で容姿のことが囁かれるほど、有名な人物だった。
映画『ターゲット』のあらすじ【転】
マイクは近くの部屋の外に置かれているブーツを見て、ローズ達が泊まっていることに気づく。そのブーツは、ローズがマイクの相棒から盗んだ物だった。マイクはその部屋に侵入すると、風呂に入っていたトニーを襲った。しかし、反撃され、銃を奪われてしまう。トニーは動揺しており、思わず引き金を引いてしまう。弾はマイクの耳を撃ち落とした。マイクが落ちた耳を探している間に、トニーは逃げ出した。
ヴィクター達は車に乗り、逃走した。マイクはファーガソンにローズがいたことを報告し、一緒に車で追跡した。しかし、途中で事故を起こしてしまう。ヴィクター達はその間に街を出ることにした。
ヴィクターは父から譲り受けた家に、ローズとトニーを招いた。そこで、安全を期すためにルールを課した。その1、敷地の外に出ないこと。その2、外部と連絡は断つため、携帯の電源を切ること。相手はプロの殺し屋であるため、この生活がいつ終わるかは誰にも分からなかった。
ローズはヴィクターにお礼をするため庭に花を植えようとするが、勝手に穴を掘るなと怒られてしまう。それをきっかけに、ローズは今までの鬱憤を爆発させた。ヴィクター宅の家具には埃が被らないようにシートが被せられており、息苦しさを感じていたのだ。
ヘクターはローズを調べ、ヴィクター達の居場所を突き止めることにした。一方、ローズは昼間怒鳴った件をヴィクターに謝罪していた。一緒にいると楽しいことを伝えると、ヴィクターも同じ気持ちであることを話した。ヴィクターは眠れないローズの足をマッサージし、一緒に穏やかな時間を過ごした。
ローズが目を覚ますと、車椅子に乗った女性が刃物を振りかざしていた。何とか部屋から抜け出し、ヴィクターに助けを求めた。その女性は、ヴィクターの母親だった。ヴィクターが母を宥め、ローズはトニーの部屋で眠ることになった。その時、ローズはヴィクターに恋をしていることを、トニーに打ち明けた。
映画『ターゲット』の結末・ラスト(ネタバレ)
ローズとトニーはヴィクターの誕生日パーティーを開いた。ヴィクターも珍しく騒いで楽しんだ。ヴィクターはローズをベッドに運び、キスをした。次の日、ヴィクターは生まれ変わったかのように生き生きとしだし、家具に被せられているシートを外した。一方、ローズは秘密の棚を発見し、中に入っていた殺人のスクラップ記事と「最初の仕事は私の銃で撃て 誕生日おめでとう 父より」という手紙がついた銃を発見する。さらに、罰印がついた写真の中に、自分の顔写真があることに気づく。ローズはヴィクターが殺し屋で、自分を狙っていることに気づく。ローズはヴィクターを非難し、棚の中にあった銃を持って逃走した。
トニーはヴィクターが殺し屋だったことを知り衝撃を受ける。だが、ヴィクターはトニーを殺すつもりはなかった。それよりも、家を出れば殺されると忠告した。ヴィクターは自分の次にヘクターが雇われただろうと、予測していた。トニーは話を聞き、ヘクターを捕まえようとヴィクターに持ち掛けた。ヴィクターはそれを了承し、トニーを鍛えることにした。一方、シェリーの元に向かったローズは、待ち構えていたヘクターに捕まっていた。
ヴィクターがトニーと銃の練習をしていると、ヘクターが現れる。ヴィクター達はローズを人質に取られていたため、命令されるまま銃を床に置いた。ヘクターはローズを殺せばトニーを助けると言って、ヴィクターに銃を渡した。ローズはヴィクターに愛の告白をし、殺してくれと頼んだ。ヴィクターが迷っていると、ヴィクターの母親が助けに現れる。しかし、ヴィクター達が母親に気を取られている隙に、ヘクターの手下がヴィクターを殺そうとナイフを投げた。トニーはナイフを掴み取るが、そのせいで隙ができてしまいヘクターに銃を突きつけられてしまう。だが、ヴィクター達は余裕の態度だった。ヘクターが持っていたのは、ローズから奪ったヴィクターの父の銃だった。ヘクターが銃を撃つと、銃が壊れヘクターの頭に部品が突き刺さった。父の銃は長年手入れされておらず、壊れていたのだ。その後、ヴィクター達は協力して遺体を埋葬した。
3年後。ヴィクターとローズの間に子供が誕生していた。傍にはトニーの姿もあった。
映画『ターゲット』の感想・評価・レビュー
殺し屋とターゲットがいつの間にか、ボディーガードのようになり、恋愛に発展するというストーリー。こういった殺し屋を日常生活に溶け込ませている設定は、ナイト&デイやMr&Mrsスミスなどでも見られるが、例外無くユニークである。普通の生活観の中に殺しという非日常が入り込んでいる空気感をさも当然のごとく演じている映画は、笑ってはいけないと思いつつ、ついつい口元が緩んでしまう。本作品も凄腕のヴィクターがいつの間にかローズに振り回され、皮肉にも冒頭で母親がヴィクターに対して、いつまで独身でいるのかという問いを、しっかりとエンディングで覆しているのも分かりやすくてよい。(男性 30代)
ニヤッとしてしまうくらい豪華なキャストで、ビル・ナイのダンディな雰囲気がたまらない作品でした。殺し屋がターゲットといい感じになってしまうという展開は他の作品でも見たことがありますが、今作は主人公がちょっとおじさんということもあり、程よいテンポで物語が進むのでホッコリしてしまいました。
巻き込まれてしまうルパート・グリントのキャラクターも素朴ですごく良かったです。期待せずに見たら当たりだった掘り出し物の作品でした。(女性 30代)
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