この記事では、映画『屋根の上のバイオリン弾き』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『屋根の上のバイオリン弾き』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『屋根の上のバイオリン弾き』 作品情報
- 製作年:1971年
- 上映時間:179分
- ジャンル:ミュージカル、ヒューマンドラマ
- 監督:ノーマン・ジュイソン
- キャスト:トポル、ノーマ・クレーン、レナード・フレイ、モリー・ピコン etc…
映画『屋根の上のバイオリン弾き』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『屋根の上のバイオリン弾き』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『屋根の上のバイオリン弾き』のあらすじを紹介します。
アナテフカの牛乳屋テヴィエ(トポル)は貧しいながらも信仰深く、少々口うるさい妻のゴールデ(ノーマ・クレイン)、愛らしい5人の娘、ツァイテル、ホーデル、ハーバ、シュプリンシェ、ビルケの家族と暖かい家庭を築いていた。アナテフカはウクライナの貧しい村で、様々な小売店が雑然と並び、屋根の上にはバイオリ弾きが、危なげなバランスを保ちながら楽しい曲を弾いている。そのバイオリン弾きが象徴するように、村もテヴィエも激しい現実から伝統を守って必死に生きていた。安息日の準備に忙しいある日、イェンテ婆さんが肉屋のラザールと長女ツァイテルの結婚話を持ってきた。ゴールデは喜んだが、ツァイテルには仕立屋のモーテルという恋人がおり、彼女はイェンテ婆さんの話をうやむやにした。テヴィエは仕事の帰り道、もし相手が金持だったらとも考えた。その途中で、彼はキエフから来た革命を夢見る貧しい学生のパーチックと意気投合する。そしてテヴィエは彼を家に招き、家族に紹介し安息日の祈りを捧げる。
次の日、テヴィエは仕方なく肉屋のラザールと長女ツァイテルとの結婚を許した。村人たちは祝福し、ユダヤ人もロシア人も一緒に乾杯した。しかし翌日、思いあまったツァイテルは、父にモーテルとの恋を打ち明け、結局テヴィエはモーテルとの結婚を許してしまう。反対していた妻のゴールデも、ようやくモーテルとの結婚を認めた。やがて結婚式が行われ、出席者は明日に希望を託す歌を合唱していたが、突然乱入してきた警官隊が台無しにしてしまう。
三女のハーバはロシアの若者フヨードカと恋に落ち、パーチックは次女ホーデルに結婚を申し込んだ。怒るゴールデにテヴィエは次女の気持を説明し窘めた。
そして間もなく学生革命家パーチックは逮捕され、ホールデはパーチックを追いシベリアに旅発つ。三女のハーバもフヨードカの元へ去った。
ウクライナの情勢は悪化するばかりで、ついにユダヤ人の強制退去命令が下り、村人たちは次々と村を離れてゆく。家財道具を積み込み、静かに村を離れようとするテヴィエの背後に、バイオリン弾きが奏でるもの悲しい曲が流れていた。
映画『屋根の上のバイオリン弾き』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『屋根の上のバイオリン弾き』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
日本でも愛されているロングランミュージカルの原作
先祖代々ロシア領内で暮らし、ユダヤの伝統を守りながら牛乳屋を続けてきた主人公のテヴィエが、娘は親の意向に反した結婚相手を見つけて家を離れ、テヴィエ自身や村の住民たちもロシアによる迫害により、生まれた土地を離れなければならなくなる、民族と家族の離散をテーマにしたミュージカルである。ユダヤの話にはこういった悲劇的なストーリーが多いが、過去に起こった大きな宗教戦争の類とは違い、小さな村でもそのようなユダヤ人排斥の現実があるという舞台設定がリアルである。日本でも森繁久彌、上條恒彦、西田敏行、市村正親と受け継がれ、長きにわたり舞台で上演したことでも知られる有名な作品。
劇中歌の「愛する我が家を離れて」や「アナテフカ」などメロディの美しい曲が、映画のロケシーンには一際映え、舞台とはひと味違う牧歌的なシーンが印象深い。特に娘を送り出す寂しさと、これから幸せに暮らして欲しいと願う親の気持ちを歌った「サンライズ・サンセット」は心に残る名曲である 。ブロードウェイミュージカルとしては、1972年から7年と9か月の間で3242回のロングラン公演が行われている。
ユダヤ人の不屈の魂の象徴。
多数派民族と少数民族との対立は現在の中東情勢を見ても分かるように、日本人としても理解しなくてはならない社会問題になっている。過去の遺物みたいな対立が、何故、今現在に至るまで深く根付いているのかという問題はアラブ諸国ばかりではなく、アジアの近隣国にも存在しているのだ。宗教的な部分での反戦映画は多く撮られてきたが、この物語は民族問題に直面した個人的な話として反映されており、実直に生きる人々が背負う業が深く描かれ、人々の心に感銘をもたらすことが多いという点で評価が高いのだろう。大きな枠組みで語るより、リアルで身近な話として置き換える方が理解しやすく、多くの世代にも訴えることが可能なのである。そして生活の中で生き続ける、故郷や家族、親子や男女の愛などの普遍的な価値の重要性が、切々と伝わってくるドラマが内包されている。
「屋根の上のバイオリン弾き」という題名の意味は、ローマ皇帝の暴君ネロによるユダヤ人の大虐殺の際に、逃げ惑う群衆の中、ひとり屋根の上でバイオリンを弾く男がいたという故事を描いたシャガールの絵にヒントを得たものであり、ユダヤ人の不屈の魂の象徴とされているという。
伝統と変化の狭間で揺れる父親の葛藤を、ユーモアと哀愁を交えて描いた名作でした。テヴィエの悩みは、自分の親世代との感覚のズレにも重なって、とても共感できました。ラスト、家族がバラバラになっていく様子は切なかったけれど、希望も感じました。(20代 男性)
人生の機微を歌とダンスに乗せて描いた、心に響く作品でした。特に「サンライズ・サンセット」のシーンでは、親として子供の成長を見守る切なさが痛いほど伝わってきました。笑いあり、涙ありの素晴らしいミュージカル映画です。(30代 女性)
『屋根の上のバイオリン弾き』は、ただのミュージカル映画ではありませんでした。ユダヤ人コミュニティの絆や、時代の波に翻弄される人々の姿を、リアルに、そして温かく描いていました。テヴィエの哲学的な独白もすごく印象的でした。(40代 男性)
女の子の母親として、テヴィエの気持ちがとてもよく分かりました。自分の信じるものを守りたい気持ちと、子供たちの幸せを願う気持ちの間で揺れる姿が痛々しくも愛おしい。ラスト、アナテフカを離れるシーンでは涙が止まりませんでした。(50代 女性)
最初は古臭い映画かと思ったけど、すごくパワフルで新鮮でした。音楽もキャッチーだし、テヴィエのキャラクターが最高!時代や文化は違っても、親子の衝突や愛情は今も変わらないんだなって思いました。ミュージカルが苦手な人にもおすすめです。(10代 男性)
テヴィエのキャラクターに魅了されました。頑固だけど、どこかチャーミングで、常に神様と対話しながら葛藤している姿に人間味を感じました。伝統を重んじながらも、愛する家族のために心を開いていく過程がとても美しく描かれていました。(30代 男性)
音楽の力でここまで深いテーマを描ききったことに驚きました。社会の変化に翻弄される小さな村の人々、それでも失わない誇りと絆。特に「If I Were a Rich Man」は何度聴いても胸に響きます。時代を超えて愛される理由が分かりました。(40代 女性)
ミュージカル映画にあまり馴染みがなかったけれど、『屋根の上のバイオリン弾き』はすごく感動しました。特に娘たちが自分の意志で未来を選ぶ姿に勇気をもらいました。親の期待と子供の自由、その両方を大切に描いていてとても良かったです。(20代 女性)
終盤の、アナテフカからの退去シーンがあまりにも切なくて、胸が痛みました。テヴィエたちが新しい地へ旅立つ姿に、苦しみの中にも希望を感じたのが印象的です。家族愛、文化、そして人間のたくましさを描いた、普遍的な傑作でした。(50代 男性)
『屋根の上のバイオリン弾き』は、親子、社会、信仰、すべてのテーマが自然に絡み合っていて素晴らしかったです。特にテヴィエの「それでも愛している」という姿勢が心に刺さりました。今の時代にこそ、多くの人に観てほしい映画です。(30代 女性)
映画『屋根の上のバイオリン弾き』を見た人におすすめの映画5選
レ・ミゼラブル
この映画を一言で表すと?
魂を揺さぶる壮大な愛と赦しのミュージカル。
どんな話?
フランス革命前後の激動の時代を背景に、罪を償いながら新しい人生を歩もうとするジャン・バルジャンと、彼を追う警官ジャベール、そして数多くの登場人物たちの運命が交錯する壮大な物語です。生きる苦しみと希望を描いたミュージカル映画の金字塔です。
ここがおすすめ!
『屋根の上のバイオリン弾き』同様、社会の理不尽さの中で人間の尊厳を守ろうとする姿に心打たれます。圧巻の楽曲とパフォーマンス、涙を誘うストーリーは必見。家族、愛、信念というテーマが響く方にぴったりです。
サウンド・オブ・ミュージック
この映画を一言で表すと?
美しい音楽と共に描かれる家族の愛と勇気の物語。
どんな話?
修道女見習いのマリアが、厳格なトラップ一家の家庭教師として招かれ、音楽と愛で家族の絆を取り戻していく物語です。やがてナチスの影が忍び寄る中、家族は大きな決断を迫られます。実話を基にした心温まるミュージカルです。
ここがおすすめ!
『屋根の上のバイオリン弾き』が好きな人には、家族愛や時代背景を乗り越える力強いメッセージがきっと響くはず。明るく美しい音楽に癒やされながらも、深いテーマを感じ取れる名作です。
リトル・ダンサー
この映画を一言で表すと?
逆境の中で夢を信じ続ける少年の感動のドラマ。
どんな話?
炭鉱町に生まれた少年ビリーが、周囲の反対を押し切ってバレエダンサーになる夢を追いかける物語。家族との衝突や、社会の偏見と闘いながら、自分自身を見つめていく姿を描きます。感動の青春映画です。
ここがおすすめ!
伝統と変化の間で揺れる心情を描く『屋根の上のバイオリン弾き』に共鳴するテーマが満載。ビリーの純粋な情熱と、それを支える人々の姿に、きっと勇気と涙をもらえるはずです。
戦場のピアニスト
この映画を一言で表すと?
絶望の中で音楽に生きる魂を描いた実話ドラマ。
どんな話?
第二次世界大戦下、ナチス占領下のポーランドで、ユダヤ人ピアニストのシュピルマンが生き延びるために逃亡生活を続けながらも、音楽への情熱を失わずに戦う姿を描いた実話を基にした作品です。
ここがおすすめ!
ユダヤ人としての誇り、音楽の力、そして生きる希望という『屋根の上のバイオリン弾き』と共通するテーマが胸を打ちます。静かで力強いドラマを求めている方にぜひおすすめです。
グリーン・ブック
この映画を一言で表すと?
偏見を超えて結ばれる、本物の友情の旅。
どんな話?
1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ピアニストとイタリア系運転手という異なる背景を持つ二人が、差別と偏見に満ちた世界を旅しながら本物の友情を築いていく物語です。実話を基にした感動作です。
ここがおすすめ!
文化や価値観の違いを乗り越える『屋根の上のバイオリン弾き』に共感した方なら、この映画にも強く心を動かされるはず。温かい笑いと深い感動が同居する素晴らしいヒューマンドラマです。
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