映画『ウンタマギルー』の概要:沖縄民話の「運玉義留」を下敷きにして、本土復帰前の沖縄を舞台にしたファンタジー映画。サトウキビ精製所で働くギルーは、親方が囲う女マレーと関係を持ち、運玉森へ逃げる。そこでキジムナーから空を飛ぶ霊力を授かり、義賊となる。
映画『ウンタマギルー』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:ファンタジー
監督:高嶺剛
キャスト:小林薫、青山知可子、平良進、戸川純 etc
映画『ウンタマギルー』の登場人物(キャスト)
- ギルー / ウンタマギルー / サンラー(小林薫)
- サトウキビ精製所で働く男。キムジナーにいつも黒糖のカケラを分け与えている。西原親方の囲うマレーを誘い、親方の怒りを買ってしまう。運玉森に逃げ込み、ギジムナーに聖なる石を額に埋め込まれ、超能力を得る。
- チルー(戸川純)
- ギルーの妹。青山羊亭の娼婦。動物占いにのめり込み、客を取らなくなってしまう。警察に連行され高等弁務官に差し出されるが、高等弁務官を運命の人だと直感する。
- マレー(青山知可子)
- 西原親方に囲われている豊満な肉体を持つ女。いつもサトウキビ精製所の片隅で水タバコを吹かしている。ギルーに毛遊びに誘われ、関係を持つ。実は豚の化身。
- アンダクェー(エディ)
- 西原親方の所で、豚の種付けや管理をしている男。西原親方の怒りを買ったギルーと一緒に運玉森へ逃げ込む。キジムナーに超能力を授けられたギルーと共に義賊となり盗みを働く。
- 西原親方(平良進)
- サトウキビ精製所の親方。目が見えないが、ウトゥーバーサンの指示する場所に正確に槍を投げ込むことができる。
- ウトゥーバーサン(間好子)
- 西原親方の元で働く巫女。ちょっとした能力を持っている。千里眼や、人の夢を覗いてみることができる。
- キジムナー(宮里栄弘)
- 沖縄に古くからいるといわれている妖怪。赤毛の少年の姿が一般的だが、本作ではジャケットを羽織ったおじさん。ギルーからいつも黒糖を分けてもらっており、そのお返しとして魚などを持って来たりする。
映画『ウンタマギルー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ウンタマギルー』のあらすじ【起】
炎天下のサトウキビ精製所で働くギルーは、お昼休みに木陰にいるギジムナーに声をかけ、黒糖のかけらを一つお裾分けするのを日常としていた。精製所の片隅にはマレーがいて、気怠そうに水タバコを吹かしている。ギルーは、そんなマレーの豊満な胸を揉む淫靡な夢を見る。人の夢が解るウトゥーバーサンは、「そんな夢を見るんじゃない」とギルーを叩き起こすのだった。
精製所は、目の見えない西原親方のもので、マレーもまた彼のものだった。西原親方は、ウトゥーバーサンと共に、マレーの身体を洗う。マレーは淫豚草をよく吸い、身体が熟れているのだった。
ギルーは妹のチルーと一緒に住んでいる。チルーは青山羊亭の娼婦だった。しかし、動物占いに凝るようになって客を取らなくなっていた。チルーは、兄ギルーは豚に取り憑かれていると直感的に思っているのだった。
昼休み、いつものようにギルーはキジムナーに黒糖を渡す。お礼にと、キジムナーは魚を持ってくるが、腐りかけている。マンゴーと魚は腐りかけが一番うまいと言うキジムナーだが、ギルーは断り、代わりにサトウキビ運びを手伝わせる。その間、ギルーは昼寝をするのだった。
ギルーは、豚の鳴き声で目を覚ます。そして、豚の世話をしているアンダクェーと毛遊びにマレーを誘うかどうかを話す。そして満月の夜、マレーが屋敷からいなくなる。ギルーが毛遊びに誘ったのだった。
映画『ウンタマギルー』のあらすじ【承】
ギルーは、マレーを運玉森に誘い、その身体を抱く。横たわっているマレーの草履が宙に浮き、それを追いかけるギルー。その先で、ギルーは溺れているキジムナーの子供を見つけ、助ける。戻ってみるとマレーの姿はなかった。
ギルーは、西原親方の家まで行き、豚小屋の横にあるトイレに入る。潜んでいると、西原親方のマレーを叱る声が聞こえてくる。そして、西原親方は、「しばらく豚のままでいなさい」と話すのだった。目の見えない西原親方だが、ギルーがトイレにいることを察知する。マレーの秘密を知ったギルーは、西原親方は怒りを買う。日中、働いているギルーの目の前に、西原親方が投げた槍が飛んでくるのだった。
チルーは、親方に殺されてしまうとギルーに告げる。そして、ギルーに自分の毛を渡し、危なくなったら運玉森に逃げ込めと告げる。ただ、運玉森の土だけは食べるな、食べると神隠しに会うと警告するのだった。
精製所が火事になる。ギルーは、放火の疑いをかけられ、運玉森に身を隠す。しかし、火をつけたのは西原親方本人だった。母親とアンダクェーと一緒に森に逃げ込んだギルーは、自給自足の生活を始める。それを見守るキジムナーの姿があった。
映画『ウンタマギルー』のあらすじ【転】
キジムナーは、ギルーに力を伝授する。キムジナーが、額に聖なる石を埋め込むとギルーは超人的な力を得るのだった。それは、宙に浮いたり、動物たちを呼び寄せたりする力だった。そして、その力を使い、盗みを働く。しかし、思っていた以上に動物たちがギルーについて来てしまったので、余った家畜を貧しい生活をしている村人に分け与えるのだった。
義賊となったギルーは運玉ギルーと名乗るようになる。ギルーは、アンダクェーと共に様々な盗み繰り返す。西原親方の家から、上物の泡盛古酒を液体だけ宙に浮かし盗み出そうとするが、西原親方に槍によって阻止される。米軍基地から武器弾薬も盗んできて独立党のメンバーにも渡す。ギルーを追いかけて来た警察と独立党は、撃ち合いになる。しかし、ギルーとアンダクェーは煙幕をはって、その場から消えさるのだった。そしていつしか、マレーも西原親方の家を出て、運玉森にやって来てギルーたちと一緒に生活するのだった。
映画『ウンタマギルー』の結末・ラスト(ネタバレ)
チルーは、警察に連れていかれ、高等弁務官に差し出される。チルーは、高等弁務官の家で下女として働くようになる。チルーを助けにいくギルーだったが、チルーは高等弁務官のカマジサーを運命の人だと言い、戻ろうとしないのだった。数ヶ月後、チルーのお腹は大きくなるが、村の人々は、想像妊娠だと思っているのだった。
村の人々のヒーローになった運玉ギルーは、お芝居になり上演されるようになる。そのお芝居に、ギルーとアンダクェーは本人役で出演することになる。その上演を、ウトゥーバーサンと一緒に見にきていた西原親方は、芝居の最中に槍を投げる。そして、その槍はギルーの額の聖なる石が入っている場所に突き刺さるのだった。ギルーは、額に槍が刺さったまま、歩き出し、何処かへ消えてしまうのだった。
時は流れ、どこかのさとうきび精製所で働く男がいる。その男は、ギルーと良く似ているがサンラーという。そして、精製所の片隅にはマレーがおり、水タバコをふかしている。昼休み、サンラーもマレーとのイヤらしい夢を見る。そして、ギルーと同じようにウトゥーバーサンに怒られる。しかし、この精製所の親方は西原親方ではなかった。親方は、みんなに日本復帰になったことを伝えると、マレーの所に行き、身体に巻きつけていたダイナマイトに火をつけ、マレー共々爆死するのだった。
映画『ウンタマギルー』の感想・評価・レビュー
沖縄の民話「運玉義留」をもとにしたものすごくファンタジーなお話でした。『ウンタマギルー』という聞きなれない言葉は沖縄の民話の事でした。沖縄の言葉はとても独特で聞いても意味が理解できなきものが多いですが、今作はほとんどがその沖縄の言葉で構成されているので世界観にどっぷり浸ることができます。
このシーンは今の時代で言うとこういうことかなと考えながら見るととても面白かったです。理解するのではなく、心で感じる作品でした。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー