14歳の少女・陽は怪我をして病院に入院することになった。そこで出会った看護師の弥生に恋をする。しかし、弥生は突然看護師を辞めてしまい、行方が分からなくなってしまう。1年後、陽は街で弥生と再会する。
映画『真っ赤な星』の作品情報
- タイトル
- 真っ赤な星
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年12月1日(土)
- 上映時間
- 101分
- ジャンル
- ラブストーリー
ヒューマンドラマ - 監督
- 井樫彩
- 脚本
- 井樫彩
- 製作
- 菅原澪
島野道春 - 製作総指揮
- 松坂喜浩
- キャスト
- 小松未来
桜井ユキ
毎熊克哉
大原由暉
小林竜樹
菊沢将憲
西山真来
湯舟すぴか - 製作国
- 日本
- 配給
- 「真っ赤な星」製作委員会
映画『真っ赤な星』の作品概要
井樫彩が監督・脚本を担当した作品。井樫は学校の卒業制作『溶ける』で「第70回カンヌ国際映画祭正式出品」を果たしており、今後の活躍が期待される若手監督である。オーディションが行われ、新人女優の小松未来と若手女優の桜井ユキが主演に抜擢されている。14歳の孤独を抱えた少女と、27歳の悲しい過去を抱える女性のラブストーリー映画。ガールズロックバンドのHump Backが歌う『クジラ』が主題歌に使われている。
映画『真っ赤な星』の予告動画
映画『真っ赤な星』の登場人物(キャスト)
- 陽(小松未来)
- 14歳。学校にも家にも自分の居場所がなく、孤独を抱えている。弥生に恋をする。
- 弥生(桜井ユキ)
- 27歳。看護師として働いていた。辞めた後は、体を売って生活をしている。悲しい過去を抱えている。
- 賢吾(毎熊克哉)
- 妻子がいながらも弥生と付き合っている。
映画『真っ赤な星』のあらすじ(ネタバレなし)
14歳の少女・陽は怪我をして病院に入院することになった。そこで優しくしてくれた看護師の弥生に興味を持つ。陽は弥生に心惹かれていった。だが、弥生が突然仕事を辞めてしまい、行方が分からなくなってしまう。
1年後。陽は街で偶然弥生と再会する。弥生には看護師として働いていた頃の面影はなかった。弥生は男達に体を売って生計を立てており、暗い雰囲気を漂わせていた。それでも、陽は弥生に対しての思いを変えることはなかった。母の恋人に暴力を振る舞われ、家にも学校にも居場所がなかった陽は、弥生の傍で過ごすようになる。
陽と弥生はお互いの心の隙間を埋めるように、一緒の時間を過ごした。そして、2人は弥生のアパートで一緒に暮らし始めることになる。その時、陽は弥生に、とても悲しい過去があることを知る。
映画『真っ赤な星』の感想・評価
女性同士のラブストーリー
本作は14歳の少女と27歳の女性のラブストーリー映画になっている。これだけを聞くと抵抗感を持つ人も多いかも知れない。だが、孤独を抱えながらもお互いを支えにして必死に生きている主人公達の姿は、排他的な雰囲気と繊細な美しさが感じられる。男女のラブストーリー映画にはない雰囲気が楽しめる作品になっている。
どこにも居場所がない少女が、自分に優しくしてくれた女性に恋に落ちる。その女性は誰にも言えない過去があった。その過去が何なのかは明らかにはされていないが、人には言えないところから見ても、弥生にとって辛い過去であることは明らかである。心に傷を抱えた女性だからこそ、孤独な少女は傍にいることを望んだのだと思う。年齢や性別など関係なく、少女にとって女性はかけがえのない存在になっており、それがしっかりと伝わってくる作品になっている。
22歳の新人監督
本作品の監督・脚本を担当したのは、井樫彩である。井樫は1996年生まれの、まだ22歳の新人監督である。本作が初めて撮った長編作品で、劇場デビュー作となった。イギリスで2018 年9 月に開催された「第26回レインダンス映画祭・長編コンペティション部門」で、本作品はワールドプレミア上映が実施された。映画を見た人の中には、登場人物に感情移入して泣く人もいた。井樫はこれからの活躍が、大いに期待される人物である。
主題歌を担当したのは、ガールズロックバンドの「Hump Back」である。主題歌の『クジラ』は、繊細なメロディーと共にボーカルの林萌々子の力強い声が印象的な楽曲になっている。登場人物達の心の叫びを聞いているような気分になり、映画の雰囲気にピッタリと合っている楽曲である。作品と合わせてぜひチェックしてみて欲しい。
これからの活躍が期待される若手俳優達
これからの活躍が期待される若手俳優&女優達が多数出演しているため、ぜひ本作品でチェックしておいて欲しい。
14歳の少女を演じたのは、小松未来である。小松は「ソレイユ・ショートフィルムオーディション」に合格し、2014年に芸能界デビューを果たしたばかりの新人女優である。舞台『明日、魔法使いになる方法』(16)や映画『みつこと宇宙こぶ』(17)などに出演している。まだ出演作は多くないながらも、本作の主演に大抜擢された。
少女が恋する相手を演じたのは、桜井ユキである。桜井が出演している短編映画『王様の選択』は、「グアム国際映画祭・Achievement in Acting Award」を受賞している。10代から20代まで幅広い役柄をこなすことから、演技派女優として業界内からも期待されている人物である。
その他にも『ケンとカズ』(16)で「第71回毎日映画コンクールスポニチグランプリ・新人賞」を受賞した毎熊克哉やNHK教育テレビ『大!天才てれびくん』に出演していた大原由暉など、若手俳優達が多数出演している。
映画『真っ赤な星』の公開前に見ておきたい映画
みつこと宇宙こぶ
小松未来の主演作で、「第11回田辺・弁慶映画祭女優賞」を受賞した作品。竹内里紗が監督・脚本を務めた青春映画。竹内は現在27歳の若手映画監督で、立教大学現代心理学部映像身体学科の卒業制作として手掛けた『みちていく』(14)で監督デビューを果たした人物である。
女子中学生の町田光子は、最近「こぶ」のことが気になっていた。「こぶ」のことを考えれば、嫌なことが忘れられるほどだった。「こぶ」の中には宇宙が広がっていて、自分達は「こぶ」の中に暮らしているのではないかと想像した。町田がそこまで「こぶ」のことを考えるのは、「こぶ」の中身が分かれば、疑問に思っているその他の物事についても分かるようになる気がしたからだった。
詳細 みつこと宇宙こぶ
FASHION STORY -Model-
桜井ユキの映画初出演作。本田翼が主演を務めており、モデル業界にスポットが当てられた作品になっている。加賀美セイラや河北麻友子など、実際にモデルとして活躍している女優達が多数出演している。主題歌はMay J.が担当しており、May J.自身が作詞を手掛けた『私がカバーガール』が使われている。
モデル業界はほんの一握りの人しか活躍できない、厳しい世界だった。雛子はその世界に足を踏み入れた。雛子は厳しい世界であることを実感しながらも、ファッション誌「LA STRADA(ラ・ストラーダ)」の新人専属モデルとして活躍していた。そんなある日、雑誌の表紙を飾る人気モデル、ミホと仕事を行うことになる。雛子はミホに憧れていたため喜んだ。だが、仕事を一緒にする内に、ミホが悩みを抱えていることに気づく。
詳細 FASHION STORY -Model-
ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気
女性同士の恋愛について描かれた作品。病に倒れた女性がパートナーに遺族年金を渡すため、法的に権利を認めてもらおうと奮闘する姿が描かれている。主人公の2人は実在する人物で、実話を元に映画は制作されている。ジュリアン・ムーアとエレン・ペイジが主演を務めた。
仕事一筋の刑事だったローレルは、ステイシーという名の女性と出会い恋に落ちる。2人は同じ家に暮らし、犬を飼って幸せな日々を送った。しかし、ローレルが癌を患ってしまう。ローレルはステイシーに、一緒に暮らしていた家を残してあげたかった。だが、同性のパートナーでは法的に権利が認められなかった。周囲の理解も得られず苦しむことになるが、ローレルはステイシーのために立ち上がった。彼女達の動きは、やがて社会を大きく変えていくことになる。
詳細 ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気
映画『真っ赤な星』の評判・口コミ・レビュー
『#真っ赤な星』
27歳と14歳。憧れと恋の境目、同性同士の隔たり。名前をつけるには惜しい曖昧。
ハッキリさせると逃げてしまうから、空の彼方に消えてしまいそうだから”おいで”の言葉を待ってる。
守るために手段は選ばない。その眩しい想いに大人・子供とか、過ごした時間の長さなんて関係なかった。 pic.twitter.com/Yl6jNbRX9V— キッコリーヌ (@brewchamber) 2018年12月16日
映画『真っ赤な星』感想。弱冠22歳の女性監督、井樫彩監督の初長編映画。14歳の少女と27歳の女性、孤独な二人の社会からの逃避行を描いた物語で、重いテーマをのせて映画をハンドリングする腕力は堅実だと思う。主演の二人も良かったし、少年少女の母親を演じる湯舟すぴかさんと西山真来さんも良い。
— cdb (@C4Dbeginner) 2018年12月17日
「真っ赤な星」少女と看護師の女がお互いの魂の空白を真正面から埋め合うまでにそれぞれに障壁と言うか「呪い」の様に絡みついて来るのが「性愛」でやたらと荒涼と描かれてるのが印象的。印象的と言えば地方都市にあの忽然と建っている天文台も素晴らしい。素晴らしいと言えば桜井ユキさんて女優が🙆♂️!
— さとう (@synw1120) 2018年12月18日
#真っ赤な星
説明もわかりやすさも形もない、ただ起こっていることが嘘なく映っていた。これから先の確証も、約束も絶対もない。そういう2人が、ずっと確かな何かが欲しくて、スクリーンの中で溺れていた。 pic.twitter.com/e1N6TlpRrG— 枝優花 (@edmm32) 2018年12月18日
映画って観たいと思った時に観に行かないと見逃すものですよね✨
今テアトル新宿ほかで上映中の『#真っ赤な星』登場人物の心の温かさ冷たさが肌から伝ってくるような、そして心の叫びがガシガシ胸にぶつかってくる
人って弱いのかな
それとも強いのかな観ておいたほうがいい作品です😌#映画 pic.twitter.com/j7m4TLD4gM
— さいちん (@taimaidayo) 2018年12月17日
映画『真っ赤な星』のまとめ
小松未来は女優としての経験はまだ少なく、演技も少しぎこちないところが見られる。しかし、それが14歳の不器用な少女の姿に合っている。対して、弥生を演じている桜井ユキは、排他的な雰囲気を漂わせている「弥生」を見事に演じ切っている。2人の組み合わせが絶妙な作品だと言える。孤独な気持ちや悲しい気持ちを抱えている2人だからこそ、楽しそうに一緒にいる場面は特に印象に残っている。幸せな結末が待っていればいいと願いたくなるような作品である。
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