映画『破裏拳ポリマー』の概要:過激犯罪に対抗するため、重火器の無効化・攻撃力・機動力を兼ね備えた特殊装甲スーツ「ポリマーシステム」の開発が秘密裏に行われていた。私立探偵で拳法「破裏拳」の使い手である鎧武士は、ポリマースーツに纏わる事件に巻き込まれる。
映画『破裏拳ポリマー』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:アクション
監督:坂本浩一
キャスト:溝端淳平、山田裕貴、原幹恵、柳ゆり菜 etc
映画『破裏拳ポリマー』の登場人物(キャスト)
- 鎧武士(溝端淳平)
- 本名は堀赤彦。拳法「破裏拳」の使い手。私立探偵を営んでいる。普段は軽薄な態度を取っているが、熱い正義を胸に秘めている人物。頭が切れる。
- 来間譲一(山田裕貴)
- 刑事。銃を撃つことができない。正義感が強い。同僚の南波テルのことが好き。鎧と相棒を組むことになる。
- 稗田玲(原幹恵)
- 来間譲一の同僚。科警研から来間がいる部署に手伝いに来ている。実は鬼頭剛造の娘で、父の洗脳を受けている。
- 南波テル(柳ゆり菜)
- 鎧武士の事務所があるビルのオーナー。探偵オタクで、家賃を待つ代わりに鎧の助手を務めている。考えるときに唇に触るのが癖。
- 八城章人(神保悟志)
- 警視庁警視総監。リンゴ好き。鬼頭剛造が顔を整形し、本物の八城と成り代わっている。鬼頭は極端に力を信奉し、過激な思想を持っている男。自分の考えを貫き通すために娘を利用することも厭わない、冷酷な人物。
- 土岐田恒(長谷川初範)
- 刑事部長。来間譲一の上司。「ポリマーシステム」の開発者の一員である、堀馬三郎の元部下。鎧武士が幼い頃に会ったことがある。
映画『破裏拳ポリマー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『破裏拳ポリマー』のあらすじ【起】
南米某国・スラム街。鎧武士はファイターを倒した。ファイトマネーを受け取って去ろうとしたとき、男達が立ち塞がった。鎧は拳法「破裏拳」を使いながら男達と戦った。数年後・東京。コミュニケーションツールの発達は、犯罪の組織化・過激化を助長させた。過激犯罪に対抗するため、重火器の無効化・攻撃力・機動力を兼ね備えた特殊装甲スーツ「ポリマーシステム」の開発が秘密裏に行われていた。
宝飾店から大量の貴金属と現金が奪われた。来間譲一を始めとした刑事達は、銃を撃ちながら逃走を続ける犯人達を追った。すると、「ポリマーシステム」を着た男(ジン)が現れ、警官達はやられてしまう。その間に、犯人達は逃走した。来間はジンに銃を向けるが、引き金を引くことができなかった。加藤刑事は来間を庇ってジンの攻撃を受け、亡くなった。
来間は上司である土岐田恒の指示で、探偵業を営む鎧を捕まえてくることになった。事務所を訪ねると、ビルのオーナー兼助手の南波テルと鎧がいた。鎧は同行を拒み、話を聞いてくれなかった。すると、そこに土岐田が現れる。
鎧は警視庁を訪れ、来間の話を聞いた。来間はジンが暴れている映像を見せた。「ポリマーシステム」は警視庁と防衛相が提携して開発したスーツなのだが、何者かに盗まれてしまっていた。その内の一体が犯罪に使われてしまったのだ。土岐田は「ポリマーシステム」を着て、盗まれたスーツの悪用を食い止めて欲しいと鎧に頼んだ。「ポリマーシステム」を起動できるのは、なぜか鎧の声しか無理だったのだ。しかし、断られてしまう。
映画『破裏拳ポリマー』のあらすじ【承】
来間が鎧を車で送る途中、銀行で強盗事件が起きたと無線連絡が入った。来間達は現場に急行した。鎧は南波が人質として捕まっているのを目撃し、来間の制止を無視して突入した。強盗達を倒し、南波と共に他の人質を逃がした。しかし、鎧はジンの攻撃を受け、倒れてしまう。ジンと強盗犯達は南波を人質に取り、逃げていった。来間の同僚の稗田玲は、鎧に「ポリマーシステム」を渡した。
来間は南波を助けるために追いかけるが、犯人達にやられてしまう。そこに、鎧が駆けつける。鎧はジンと戦うが、圧倒的に力が足りなかった。パワーを起動させるコードが必要なのだ。鎧は来間に教えてもらった言葉を叫び、パワーを起動させた。犯人達はジンを置いて逃げた。鎧はジンを倒すが、「ポリマーシステム」のメットが何者かに盗まれてしまう。回収できたのは、「ポリマーシステム」のブーツだけだった。
実は、盗まれた「ポリマーシステム」は再開発されたコピーのため、誰でも使うことができた。来間は鎧の相棒として動くことになった。南波は強盗の犯人が落としたキャバクラのマッチを拾っていた。その手掛かりを元に、南波、来間、鎧の3人は店を訪れた。すると、強盗の犯人達がいた。来間は応援を呼ぼうとするが、それを待たずに鎧は強盗の犯人達の前に出てしまう。南波、来間、鎧は3人で強盗の犯人達と戦った。
鎧は「ポリマーシステム」を着ると、逃げた犯人を追った。そして、「ポリマーシステム」の入手経路を聞き出そうとした。だが、そこに「ポリマーシステム」を着た人物(アームカスタム)が現れ、犯人達は殺されてしまう。鎧はアームカスタムの被っているメットが、ジンが被っていた物と同じ物であることに気づく。鎧はアームカスタムを倒そうとするが、阻止されてしまう。アームカスタムは突然苦しみだし、鎧に止めを刺さずに去っていった。
映画『破裏拳ポリマー』のあらすじ【転】
稗田はアームカスタムの正体を突き止めた。その人物バレット・ウォンは、鎧と同じように賭けバトルを荒らし回っていた者だった。鎧はウォンと戦ったことがあり、拳法「破裏拳」を教えるほど仲が良かった。鎧はアームカスタムと戦い、その正体がウォンだと気づいていた。
鎧と来間はアームカスタムに襲われる。鎧は「ポリマーシステム」を着て戦った。ウォンは破裏拳流をマスターしており、鎧は苦戦を強いられる。すると、ウォンが突然苦しみだした。鎧が見守る中、ウォンは亡くなった。その後の調査で、ウォンは薬物によって多量にドーパミンが放出され、心臓発作を起こして亡くなったことが分かった。
鎧はウォンとの戦いで奇妙に思ったことを来間に話した。鎧は相手を殴るスタイルをバージョンアップさせていたのだが、それを教えていないはずのウォンがマスターしていたのだ。鎧は技を盗むため、何者かがあえてポリマーと戦わせたのではないかと考えた。技を盗むためには、メットに細工が施されている必要があった。しかし、稗田の調べでは、アームカスタムのメットには何の細工も施されていなかった。
土岐田はウォンの件を聞き、ポリマースーツ開発に携わったメンバーリストを確認した。計画のキーパーソンだった堀馬三郎と鬼頭剛造は既に亡くなっていた。土岐田は2人のことを改めて調べ直してみることにした。そして、来間に当時の記事や資料、血縁関係も洗い直すよう指示を出した。
来間はある事実を突き止め、鎧に会いに行った。鎧は亡くなった姉夫婦の娘、池内瑞樹のお見舞いをするために病院を訪れていた。彼女は生まれつき心臓が悪かった。その治療費を稼ぐために、鎧は賭けバトルを行っていたのだ。姉夫婦がトラックに追突されて亡くなったとき、運転していたのは父親で元警視総監でもある堀馬三郎だった。鎧は堀の息子で、土岐田は堀の部下だった。幼い頃に、鎧は土岐田に会ったことがあった。
堀は正義のためにポリマーの開発を行っていた。しかし、攻撃力を優先した設計に変更を命じた男がいた。それが鬼頭だった。鬼頭は極端に力を信奉し、過激な思想を持っていた。堀は急遽開発の中止を命じ、鬼頭を拘束した。そして、完成したポリマーにダイアローグコードを設定し、封印したのだ。鎧はその話を土岐田から聞いていた。来間は鎧の声ではないと動かないようにしたのは、堀が息子なら正義のために使ってくれると信じていたからだと考えた。そんな堀の思いを無碍にしたのは、八城総監の現体制だった。八城総監は無理矢理スーツのコピーを作り、盗まれるという失態を犯したのだ。
映画『破裏拳ポリマー』の結末・ラスト(ネタバレ)
何かの情報を掴んだ土岐田が、何者かに殺されてしまう。鎧は土岐田の家を確認し、「警視庁・陸上自衛隊空手道親善試合」のビデオテープを発見する。それは20年ほど前のもので、鬼頭と堀の戦いが映っていた。鎧は来間や南波とビデオを確認するが、土岐田が何に気づいたのか分からなかった。
来間は鎧から助けを求める連絡を受け取り、現場に向かった。だが、そこに鎧はおらず、不審な男達に襲われてしまう。さらに、稗田が現れ、来間は捕まった。稗田は来間を使い、鎧を誘き出そうとしていた。稗田はポリマーのメットに学習機能を付けており、AIに記録されるようにしていた。そして、より正確なデータを得るため、ポリマースーツを分割させて戦わせていた。ジンのときは足技が記録できるように、ウォンのときは手技が記録できるようにしたのだ。後はフルセットのポリマー同士を戦わせ、接近戦と関節技のデータを取り鎧を葬るつもりだった。そうすれば、ダイアローグコードの縛りがないポリマースーツが完成するのだ。八城も稗田の仲間だった。
鎧と南波は呼び出しを受けた場所に向かい、襲ってきた男達と戦った。そんな彼らの前に稗田が現れる。稗田は鬼頭の娘で、土岐田を殺した犯人だった。鎧は空手のビデオテープを見直し、首についている痣からそのことに気づいたのだった。
稗田は幼い頃から父に洗脳されていた。鎧がそのことを指摘すると、稗田は否定しポリマーに転身して戦いを仕掛けた。鎧はビル内に設置されている監視カメラから、稗田達がテロリストに売り込むためにポリマーの性能を見せようとしていることに気づいていた。だからこそ、ポリマーに転身せずに戦った。しかし、殺されそうになってしまう。鎧はポリマーに転身して稗田と戦った。
来間は戦いを止めるよう稗田を説得するが拒絶されてしまう。稗田はデータが取れた後、鎧を道連れに自爆しようとした。来間はバイクを走らせ、稗田と一緒に死のうとした。稗田は来間を投げ飛ばすと、自爆して1人で亡くなった。来間は涙を流して悲しんだ。
鎧は全てを終わらせるため、八城の元に向かった。鬼頭は死んだと偽り、顔を変えて本物の八城と入れ替わっていた。全ては最強のポリマーを作り、自分の考えが正しいと証明するためだった。鎧と八城はポリマーに転身して戦った。その最中、八城は事故に見せかけて堀を殺害したことを明かした。鎧は怒りを力に変え、八城を倒した。来間は銃を使って八城に止めを刺そうとするが、引き金を引くことはできなかった。鎧はそんな来間を慰めた。八城が自爆したため、鎧は来間と南波を抱えて空を飛び脱出した。
鎧は海外に行くつもりだった。来間は去っていく鎧を見送った。
映画『破裏拳ポリマー』の感想・評価・レビュー
元々は「タツノコプロ企画室」と吉田竜夫原作のアニメで、1970年代に放送されていたものである。アニメの方は見たことがないが、本作はアクションシーンも激しく血の描写も多いことから大人向けの正義のヒーローといった印象を受けた。主人公を演じた溝端淳平は役柄に合っており、戦い方も様になっていてカッコ良かったと思う。鬼頭剛造の救いようのない悪者キャラは良かったのだが、稗田玲が父の言いなりになっている理由が弱くて残念だった。洗脳を受けている説明がもっときちんとあった方が良かったと思う。(MIHOシネマ編集部)
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