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映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』あらすじとネタバレ感想

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の概要:「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(原題:Buena Vista Social Club)は、1999年のドイツ、アメリカ、フランス、キューバ合作映画。監督は「パリ、テキサス」、「ベルリン・天使の詩」などのヴィム・ヴェンダース。ミュージシャンのライ・クーダーとキューバの老ミュージシャン達(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)との演奏を中心に、彼らの来歴、キューバの日常を描いたキューバ音楽ドキュメンタリー映画。2000年のアカデミー賞にノミネートされた。

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 作品情報

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

  • 製作年:1999年
  • 上映時間:105分
  • ジャンル:ドキュメンタリー
  • 監督:ヴィム・ヴェンダース
  • キャスト:イブライム・フェレール、ルベーン・ゴンザレス、オマーラ・ポルトゥオンド、エリアデス・オチョア etc

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

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映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のあらすじを紹介します。

本作はミュージシャンのライ・クーダーがプロデュースした同名のアルバム、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が制作の元となった。このアルバムは大ヒットすると同時に、キューバ国外にほとんど知られていなかった埋もれた老ミュージシャンに再びスポットライトを浴びさせた。ライ・クーダーの友人であり、「パリ、テキサス」、「ベルリン・天使の詩」で知られるヴィム・ヴェンダースが監督している。それまで知られていなかったキューバの老ミュージシャン一人一人の来歴、演奏、収録シーン、キューバの光景を織り交ぜたドキュメンタリー映画であり、ストーリー性はないが美しいハバナの風景と、それぞれのミュージシャンの風貌が得も言われぬ映像美を醸し出す。アムステルダム公演をヴェンダースの常連ロビー・ミューラー。ニューヨーク部分をリサ・リンズラーが担当。出演はライ・クーダーと息子ヨアキム父子、そしてコンパイ・セクンド、イブライム・フェレール、オマーラ・ポルトゥオンド、ルベーン・ゴンザレス、エリアデス・オチョアほか。

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映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

カッコいい爺さん婆さんたちの共演

画面に次々と登場しては自らの陰影深い人生譚を訥々と語る老ミュージシャンたちの、何とも粋な歌い姿に惹かれ、楽しげな演奏姿に魅せられる。時間の止まったようなハバナの町並みや、生活する人々の表情も陽気に輝いている。数十年も使っているであろうクラシックカーが現役で走っている姿がノスタルジーを感じさせ、作り物でないリアルさを巧みに捉えたヴィム・ベンダース監督のカメラワークには感動を覚える。その純粋無垢な文化の中で熟成されてきたキューバ音楽を奏でる名士たちの表情がまた素晴らしく、老いたとは言いながらも皆が若々しくダンディーであり、日々の生活の中での自らの生い立ちや信仰、祖国について語るシーンも感慨深い。

ミュージシャンの存在感を見事に捉えた映像

アメリカのロックバンドである”ザ・バンド”の解散コンサートを綴った、マーティン・スコセッシ監督の「ラスト・ワルツ」を想い起こすような作品であるが、本作は余りにも美しいハバナの町並みが出色であり、それを背景に奏でられる統一されたエキゾッチクな音楽に南米の原風景が窺える。ライ・クーダーは、本作と同じヴィム・ベンダース作品である「パリ、テキサス」においても素晴らしい音楽を自ら演奏し演出しているが、こちらはその音楽を主題に捉えた作品でライ・クーダー自身も出演しており、古いバイクのサイドカーに乗って街を散策する彼の映像なども味のある演出である。俳優は一人も出演していないドキュメンタリー映像であるが、ミュージシャンという存在はどうしてこうも画になるのかというところを、まざまざと感じさせてくれる映像でもある。

映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 まとめ

ジャズにしてもロックにしても、名盤や名作というものはデビューあたりに集中し、スタイルを変化させて行くものであるが、ここのミュージシャンたちはかつて輝きを放ちながらも、ずっと同じような演奏を繰り返し、同じ場所で生きてきた人たちばかりである。ワールドミュージックと言うと新しい音楽のように受け取られがちだが、ここに登場する音楽家はやはり民族音楽という響きが似合っている感じがするのである。キューバという隔絶された社会主義の中で生きながらも、その風土に根付き、しっかりと音楽を自分たちのものとして熟成させてきた香りを備えているのだ。そこに着目したライ・クーダーというミュージシャンもロックやカントリーに始まり、メキシコやラテンという風にアメリカ大陸の様々な音楽を吸収しながら世界へ発信してきたのであるが、本作で彼がプロデュースした音楽家たちはキューバの中でも生きる伝説のような存在であり、その認知を広めることで再び若い音楽家によって未来へと受け継がれて行くだろうと考えれば、余りにも大きな文化的貢献ではなかっただろうかと感じるのだ。

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