映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』の概要:日本でもアニメ化を果たすなど、今でも根強いファンを持つ同タイトルのコミックが何と韓国で実写映画化。4人の美しい男たちが営む「アンティーク」というケーキ屋で巻き起こる騒動から目が離せない。
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ミン・ギュドン
キャスト:チュ・ジフン、キム・ジェウク、ユ・アイン、チェ・ジホ etc
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』の登場人物(キャスト)
- ジニョク(チュ・ジフン)
- 御曹司。ある日突然会社を辞めケーキ屋「アンティーク」をオープンさせた。
- ソヌ(キム・ジェウク)
- 魔性のゲイとの異名を持つ天才パティシエ。
- ギボム(ユ・アイン)
- 元ボクシングチャンピオンの見習いパティシエ。
- スヨン(チェ・ジホ)
- 幼い頃からジニョクと共にいるボディガード。
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』のあらすじ【起】
某有名財閥の息子であるジニョクは、ある時第一線で働くバリバリのエリートサラリーマンであったにも関わらず、突如仕事を辞めケーキ屋をオープンすることにしました。そんな彼の元にパティシエとしてやってきたのは、ソヌという天才でした。しかし、ジニョクはソヌを見て顔を青くさせます。
実は、高校時代、ジニョクはゲイであるソヌに告白され、こっ酷く振っていた過去があったのです。すっかり人間としても、ゲイとしても成長していたソヌは、今や「魔性のゲイ」としてある界隈では有名な人物になっていました。そしてソヌは女性恐怖症でもあります。その為、店に雇う人間は男性でなければソヌが使い物になりません。可愛らしい女性が好きなジニョクは落胆しますが、ソヌの腕なしでは店は成り立たないので涙を飲んで男性限定の人材募集を始めました。
しかし、新しく入る男性スタッフとソヌが次々と性関係を持ってしまい、中々スタッフが定着しません。頭を抱えるジニョクの元に、一人の若い男がスタッフ募集の紙を見て訪れたのでした。
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』のあらすじ【承】
その青年の名前はギボム、かつてボクシングのチャンピオンとして名を馳せた男でした。網膜剥離のためにボクシングの道を諦めざるを得なかったギボムは、かつてより好きだったスイーツの道に飛び込む決意をしたのです。ボクサーとは思えないほど可愛らしい顔立ちをしたギボム、しかしソヌの好みは可愛い系よりも綺麗系なので、ソヌと問題が起きなさそうなギボムは無事に採用されます。
そして、店に駆け込んできたのはギボムだけではありませんでした。全身を黒スーツで固めた長身の、スヨンという男です。来店したスヨンは、ジニョクを見て「ぼっちゃん…!」と涙を流します。そんなスヨンを見て、ジニョクは頭を抱えました。実はスヨンは、幼少の頃からジニョクのボディガードとしてジニョクの側にいたのです。
ジニョクが御曹司と知らなかったソヌとギボムは驚きます。もうジニョクの側から離れないと固く言うスヨンも入れ、4人となった面々は、本格的にケーキ屋、「アンティーク」を始動させるのでした。
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』のあらすじ【転】
そして店が軌道に乗ってきた頃、ジニョクの母親と祖母が店にやってきました。普段の彼とはまるで違う、真面目で優等生なお坊ちゃんぶりを披露するジニョクの姿に、ギボムとソヌは目をむきます。しかし、彼のそんな態度にも理由がありました。実はジニョクは、幼少期、身代金目当てに誘拐されたという過去があったのです。
これ以上家族を心配させまい、とジニョクは二人の前で常に優等生を演じているのでした。ジニョクは事件の時の記憶をショックのあまりほぼ失っていますが、犯人がケーキ好きで、よく自分にケーキを買い与えていたことは覚えていました。そもそも甘いものが好きではないジニョクがケーキ屋を営む理由、それは自分を誘拐しまだ逮捕されていない犯人を見つけるためでした。
ジニョクの壮絶な過去を聞き、唯一事情を知っているスヨンを除き、ソヌとギボムは言葉を失います。一方その頃、アンティークには不穏な影が迫っていました。ジャン・バティスト・エヴァンというパティシエが来日していたのです。
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』の結末・ラスト(ネタバレ)
このジャンという男、かつてのソヌの師匠であり、恋仲にもあった男性でした。そしてどうしてもソヌを忘れられないジャンはアンティークを訪れ、ソヌをヘッドハンティングするのでした。ジャンを師匠として真に尊敬している事、そして今の給料の倍を約束されたソヌは、その場ではっきりとジャンの申し出を断ることができませんでした。
ソヌの味に惚れ込んでいるギボムはソヌに行って欲しくないとハッキリ伝えますが、ジニョクは「これはソヌが決める事だ」と何も口出しはしませんでした。しかし実際のところ、アンティークはソヌがいないと成立しないため行って欲しくないところが本音です。ソヌは迷った末、アンティークに残る決意をします。
そしてケーキ屋が一年で最も忙しい時期、クリスマスがやってきました。ジニョクは常連の店にケーキを届けますがそこで何と、かつての自分の様に監禁されている少年を見つけるのです。少年を助け出したジニョクは、自らの過去からも救われました。そして日常に戻ったジニョクは、アンティークで一人の人物を接客しました。そしてその人物は、かつて自分を誘拐した犯人だったのです。
映画『アンティーク 西洋骨董洋菓子店』の感想・評価・レビュー
ケーキ屋「アンティーク」で働く四人のほのぼのとした関係を描いているのかと思いきや、ジニョクの過去が明らかになったことでシリアスな展開を見せる。なかなかこの仕掛けには驚いた。でも、あまり暗く描かれておらず、終始ポップな雰囲気だったのが良かった。出てくるケーキが、本当にどれも美味しそうで食べたくなった。ケーキを片手に見ることをお勧めしたい。ケーキが作られるシーンはなんだか感動的で、見ていて飽きなかった。(女性 30代)
よしながふみの原作漫画ファンとしてはかなり残念な作品でした。日本でドラマ化された時も、とても流行りましたよね。その時はきっと漫画の雰囲気を壊さずにドラマ版として視聴者が納得できるキャストとストーリーだったから。今回の韓国版の映画は、キャラクターの解釈が原作とは違い、惜しいなあと感じる部分が多々ありました。
「ボーイズラブ」と言うとわかりやすいかも知れませんが、その他にも笑いあり少しのサスペンス要素もありと言った感じ。俳優陣を楽しみたい人はいいかもしれません。(女性 30代)
よしながふみの原作を読んでいたのでワクワクしながら観ました。
ポップで楽しい映像と軽快な展開は韓国ドラマに近く、程よい軽さで楽しめます。とにかくケーキが美味しそう…!原作と同じく、4人それぞれのバックボーンの描写もしっかりされているので入り込めます。
個人的にはキム・ジェウク演じる幼なじみ・ソヌの端正さと色気に圧倒され、この作品で彼のファンになってしまいました。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
観てハッピー!食べてハッピーになれるケーキの世界。もしあなたの住んでいる町に「アンティーク」のようなおしゃれなケーキ屋さんがあったらうれしいですよね。そんな夢みる映画が本作です。よしながふみの原作漫画をそのまま映画化したような楽しくてほろ苦い人生の物語。
画面を彩るオペラやミルフィーユにレモン・クリーム・タルトなどよだれが出そうなケーキばかり。お腹がすいている時に観ると大変です。ケーキ嫌いだが、ケーキの事を知ろうと奮闘するジニョク(チュ・ジフン)は、ケーキと女の子達に囲まれて踊ります!
観ていて、本当に楽しい映画です。また日本版と違って、魔性のゲイで天才パティシエのソヌ(キム・ジェウク)の演技が真に迫っていて怖いほどです。ゲイ色の強さにかなり引いてしまいました。特筆すべきなのは、韓国映画では、回想シーンと妄想シーンで内容のほとんどが占められているといっても過言ではありません。
シリアスな場面でも、妄想力で明るくポップに表現されています。本作のテーマは、”幸せになる生き方”ではないでしょうか?「アンティーク」を観れば、元気がでてきます。くれぐれもケーキの食べ過ぎには注意しましょう。
「アンティーク~西洋骨董洋菓子店」は、よしながふみ原作の漫画を映画化。日本でもドラマ化されましたが、韓国版はミュージカル仕立てでポップなファンタジーになっています。原作漫画の映画化なら、韓国の脚色力に優るものはありません。
本作の魅力は、妄想シーンにあります。おいしそうなケーキを前に歌い踊るさまは楽しくて、観ているほうも幸せになります。反対に”ケーキを売っているのに不幸にならないといけないのか?”とジニョクが問う時や、ケーキを食べたあとトイレに駆け込んで吐くシーンが交互に表現されて、胸が痛いです。
作品の持つ明るさと主人公の深い心の傷が、ただの甘い物語ではない、彼自身の人生を表しているのです。