映画『狂獣 欲望の海域』の概要:捜査中に逃走した犯人がビルから転落し、殺害容疑をかけられた刑事が主人公。彼が関わると必ず死人が出ると噂されていたが、捜査過程にて大量の金塊が発見されそれを巡り、金に目が眩んだ男達との奪い合いに巻き込まれていく。
映画『狂獣 欲望の海域』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:アクション
監督:ジョナサン・リ
キャスト:マックス・チャン、ショーン・ユー、ジャニス・マン、ウー・ユエ etc
映画『狂獣 欲望の海域』の登場人物(キャスト)
- 西狗(マックス・チャン)
- サイガウ。武闘派の刑事。捜査中に容疑者と警官を殺害したとして逮捕されるも、証拠不十分として無罪になる。釈放後は金髪にして、上司の陳に咎められている。フットワークが非常に軽く粗野な面があるが、正義感に厚い。
- 貴成(ショーン・ユー)
- グァイセン。漁師の義父に冷遇され厳しく育てられる。幼い頃、海に転落し死と直面したことで、海の神に守られていると思い込む。義父から鬼の闇商売を引き継ぐも、恨みの念から義父親子を殺害。常に無表情で冷静沈着。元は海の民。
- 阿徳(ウー・ユエ)
- アダ。西狗の相棒で刑事。ヨーロッパ旅行へ行きたいという理由で刑事を辞職したが、貴成に人質として捕らえられた後、金塊の虜となり寝返ってしまう。
- 鬼(倉田保昭)
- グァイ。カジノ船の経営者で、儲けた金を金塊にして沈没船の中に隠し持っている。金塊の密輸も行っており、その手先として貴成の義父を使っていた。壮年の男性で日本語も話す。
- 陳(ラム・カートン)
- チャン。西狗の上司だが、現場には出動しない刑事。大概がデスクワークばかりしており、現場慣れしておらず署内では密かに役立たずと呼ばれている。西狗と反発していたが、後に協力することになる。
映画『狂獣 欲望の海域』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『狂獣 欲望の海域』のあらすじ【起】
捜査中に容疑者が逃走し、高層ビルから転落。地上のパトカーに乗車していた警官を巻き込んで死亡した。捜査を行っていた張晧東(チョン・ホウトン)は、容疑者及び警官を殺害したとして逮捕され、留置所へ収監。しかし、公判では証拠不十分として無罪となり釈放されることになる。彼は釈放後、西狗(サイガウ)と名前を改め刑事へと復帰するのだった。
6か月後、馬湾村にて裏取引があるという情報を得た西狗は、刑事を辞職すると言う相棒の阿徳(アダ)を引っ張って現場へ。
夜半過ぎ山中を移動していた2人は、木に吊るされた無数の遺体を発見。近くの廃墟へ向かい、男が拘束され今にも殺されそうになっている場面へ遭遇する。西狗と阿徳は咄嗟に突っ込んで手下らしい大勢の男達と激しい攻防を展開。
騒動の際、発泡スチロールの箱に収められた刻印のない大量の金塊を発見した2人。恐らく奴らが裏取引を行う予定だった組織の一派なのだろうと推測。魚と一緒に収められていたことから、漁師が手を貸しているのだろう。今は休漁期なので、漁師が海に出るはずがない。2人の刑事は、近隣の聞き込みをすることにした。
漁師の義父に育てられた貴成(グァイセン)は、幼い頃から冷遇されて育った。義父の実の息子は甘やかされて育ったため、成金独特の高慢さが垣間見え犯罪組織を牛耳る鬼(グァイ)との闇商売には向かず、まるでチンピラのようだった。その息子が仕事のできる貴成の存在を厭い昨夜、殺そうとしてきたため、機会を得たと思った貴成。ところが、昨夜は西狗達の乱入があったため、始末できなかった。そこで、彼は逃げ帰る息子を追って義父諸共、始末することにしたのだった。
映画『狂獣 欲望の海域』のあらすじ【承】
しかし、鬼との取引をするための通信機を探し当てることができずその上、西狗が現れたことで義父の始末を完全にすることもできず貴成は早々に逃走する羽目になる。
辛うじて生き残った義父を助けた西狗は、何としても情報を得ようとしたが、男は頑なに口を割らない。上司である陳(チャン)に強く引き止められたため、それ以上を尋問することもできなかった。
ところがその日の夜、男から密かに連絡が入る。早朝、警察病院のトイレへ向かった西狗は、貴成が出没する時間と場所の情報を聞き出すのだった。西狗は刑事を辞職した阿徳へ連絡を入れ、自分は一足先に市場へ。そんな西狗の行動を監視していた陳もまた行動を開始。その日は土砂降りの雨で、連絡を入れた阿徳も律義に来てくれたが、そこで貴成の姿を発見。咄嗟に追いかけた西狗だったが、阿徳を人質に取られてしまう。
貴成の手下によって尾行を攪乱された陳も、阿徳を人質に取られた知らせを聞いていた。そこで西狗は、反発していた陳と仕方なく協力することに。貴成は一筋縄ではいかない男だ。1人で対処できる相手ではない。
一方、貴成は義父を通じて鬼と直接取引を取り付けるため、先の予想をしていた。恐らく鬼は警察病院にいる義父を助けようとするはずである。そこを狙って義父の殺害をし、鬼と交渉するつもりだった。
阿徳救出も兼ね、準備を行った陳と西狗。貴成の指示に従い、彼の義父を連れて指定の車へと乗り込む。指示された通りの場所へ向かった西狗。陳の車は奴の手配によって尾行を阻まれてしまう。かなり徹底したやり口である。
とある駐車場へやって来た西狗は、現れた貴成を拘束し暴行を加え阿徳の居場所を聞き出した。阿徳はシルバーの車に乗せていると言うが、シルバーの車はどこにでもある。必死で探す西狗だったが、そこへ突如、ナイフを持った男が現れ交渉材料となる男を連れて行こうとする。そこで、西狗は逃げようとする男を確保しつつ、手下と戦う羽目に。だが、その最中にも貴成は拘束から逃れ、車で走り去ろうとする。西狗は男を連れたまま貴成の運転する車に轢かれ、そのせいで交渉材料となるはずだった男も死んでしまうのだった。
映画『狂獣 欲望の海域』のあらすじ【転】
義父の死によって、恐らく鬼は激怒し犯人の貴成を殺そうとするだろう。だが、貴成はそれを逆手に取って、鬼から金塊を奪おうと計画を変更。
鬼が所有するカジノ船へ乗り込んだ貴成は、鬼を誘き寄せ交渉を行ったが、失敗に終わる。予想していたことだったため、早々に手下が待つ船へ避難。奴らが自分を探している間、海底に隠されている金塊を根こそぎ奪う算段だった。だが当然、金塊が無防備に置かれているはずもなく、見張りのダイバーと攻防を展開。
その頃、陳と共にカジノ船へ向かっていた西狗は、ダイバーの遺体が海上に浮いているのを発見する。そこで、2人はダイバーの装備一式をいただき、貴成を追うことにした。海中にて貴成を発見した西狗は奴と再び対峙したが、反撃されてしまう。助けに入った陳が殺されそうになったため、西狗は必死になって貴成を弱らせ捕縛した。
カジノ船へ乗り込み貴成を痛めつけた西狗は、阿徳の居場所を聞き出そうとしたが、忠実な手下の出現により貴成を逃がしてしまうのだった。
カジノ船の主である鬼が隠し持っていた金塊について、起訴することができたのは重畳であったが、そのせいで陳はしばらく入院することになり、事の発端である貴成も野放しになったままだ。加えて阿徳の居場所も聞き出すことができていない。
事件はまだ終わってはいないのだった。
映画『狂獣 欲望の海域』の結末・ラスト(ネタバレ)
鬼の公判と拘留延長がされる中、浜辺に身元不明の遺体が2体発見されたが、貴成とその手下だと断定できずにいる。西狗はまだ奴が死んだとは思っておらず、きっと生き延びて金塊を狙うはずだと考えていた。故に、彼は漁船を1隻入手し、金塊が発見されて以降、ずっと海上生活を送り見張りを続けている。全ての元凶は金塊である。あれがある限り、殺し合いは終わらないだろうというのが、彼の考えだった。
その日の夜は台風が襲来する予報だった。台風の予報が出た場合、海上警察も港へ帰還する。貴成がそれを狙っていると当たりをつけた西狗は、準備を済ませ荒れ狂う海を進んだ。案の定、金塊が沈んでいる辺りに1隻の漁船が停泊中だった。奴はもともと海の民だ。荒れ狂う海でも難なく移動できるに違いない。海に不慣れな西狗は大波で転覆し、荒れ狂う海へ投げ出されたが、どうにか奴の船へ辿り着いた。密かに内情を見張っていた彼は、貴成の手下に阿徳の姿を目にし、寝返ったという話が本当なのだと知る。
そこで、西狗は阿徳と金塊の奪い合いとなり、貴成に見つかってしまう。かつての相棒と貴成との三つ巴が展開。荒れ狂う波と激しい風雨に晒され、足場は常に不安定。西狗は金塊を再び海に沈めようと奮闘。金塊は見事に海へ落下したが、貴成が追って海中へ飛び込んだため、阿徳と西狗の一騎打ちとなった。激しい攻防を繰り広げた2人だったが、金に目が眩んだ阿徳は大波の煽りを食らい飛んで来た金塊で頭部を強打。金塊を握り締めたまま息を引き取ってしまうのだった。
その直後、金塊が入った網を手に貴成が船へ戻って来る。そこで、西狗は網を手放すよう抵抗するが、奴は頑なに手放そうとしない。仕方ないので、西狗は海へ飛び込み網を断ち切ることにした。すると、貴成は海へ飛び込んでまで金塊を手に入れようとする。西狗は彼を諦めさせようと海中で争い合ったが、奴の執着は人並み以上。やがて、貴成は窒息で息絶え金塊と共に海底へと沈んでしまうのだった。
映画『狂獣 欲望の海域』の感想・評価・レビュー
海底の沈没船に隠された大量の金塊を巡り、男達が激しい奪い合いを展開する。主人公は確かに狂った獣のような活躍をするが、その意志は常に正義を貫こうとしている。対して、元は相棒だったはずの男は金に目が眩んで敵方へ寝返ってしまう。刑事を辞職しているため、しがらみから逃れた反動でもあるのだろうと思う。
主人公は危険な捜査をする傍ら、実は死亡した容疑者の娘の面倒も見ている。娘は18歳であったが、誰の子か分からない子供を妊娠。主人公は娘に真意を問い、正しい道を歩ませようとする。そのためのサポートもしていた。狂獣とタイトルがつけられているが、これは主人公のことではなく、金塊に強い執着を持った首謀者の男のことかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
「狂獣」「欲望」という過激なタイトルが付いていたのでCGに頼ったB級作品かなと思い鑑賞しましたが、実際は「沈没船」に隠された金塊を求める男たちが欲望のあまり、狂ってしまうストーリーでした。
「狂獣」は主人公のサイガウのことかと思っていましたが、彼は一番まともな人間だったように感じます。自分はかなり困難な状況に立たされながらも、常に「信念」を持って行動していました。逆に、彼以外の金塊を狙う男たちは皆「狂獣」だったと思います。
欲望が抑えきれず、金塊を握ったまま死んでいく様子はとても印象的でした。(女性 30代)
船の上、海中でのバトルが迫力満点であり、新鮮です。しかし、折角のマリンアクションはどのシーンも照明が暗く、カメラがグラついています。そのため若干見にくく、その点のみ惜しい気がしました。上段蹴りや手捌き等、カンフーのような素早い動きには、手に汗握りました。また、ペットボトルの爆弾や懐中電灯を武器にしたりと、とっさの判断でスマートに戦うシーンに胸が躍りました。追走時はパルクールのような要素も見受けられ、演者の動き一つ一つが魅力的な作品です。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー