映画『私の、息子』の概要:過保護な母コルネリアと、それを疎ましく思いながらも自立できない息子バルブ。ある日バルブが起こした交通事故をきっかけに、その関係にも変化が訪れる。第63回ベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞を受賞した作品。
映画『私の、息子』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:カリン・ペーター・ネッツァー
キャスト:ルミニツァ・ゲオルギウ、ボグダン・ドゥミトラケ、イリンカ・ゴヤ、ナターシャ・ラーブ etc
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映画『私の、息子』の登場人物(キャスト)
- コルネリア(ルミニツァ・ゲオルギウ)
- 舞台美術家として活躍する裕福な女性。一人息子のバルブに対し世話を焼きたがるが、本人には疎ましがられている。バルブが事故を起こした際には陳述内容に口を出したり、金で解決しようとしたりと、バルブの罪が軽くなるよう奔走した。
- バルブ(ボグダン・ドゥミトラケ)
- コルネリアの息子。30歳を過ぎていて、恋人のカルメンと暮らしているが、両親からは自立できていない。過保護な母親に反発している。
- カルメン(イリンカ・ゴヤ)
- バルブの恋人。シングルマザーで、娘が1人いる。バルブが子供を欲しがらないため、別れを決意する。
映画『私の、息子』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『私の、息子』のあらすじ【起】
コルネリアはブカレストに暮らす舞台美術家で、豪華な家に住み、医者、歌手など華麗な交友関係を持つ。しかし、恋人にかまけて自分との時間を過ごしてくれない息子のバルブには不満を抱いていた。バルブは30歳を過ぎていて、過保護な母親を疎ましく思いながらも、自立はしていなかった。
ある日の観劇中、コルネリアは妹のグツァからバルブが交通事故を起こしたと知らされる。道路に飛び出してきた少年を轢き殺してしまったのだという。コルネリアはグツァと共に警察署へと急いだ。到着すると、すでに少年の叔父や村の人々が来ていた。叔父はバルブへの怒りを露わにし、コルネリアたちを非難する。奥の部屋では、警察官によってバルブの取り調べが行われていた。自身の持つ法律の知識やコネを使ってどうにかバルブの罪を軽くしようと、コルネリアは陳述内容にも口を挟んだ。
取り調べが終わり、コルネリアとバルブは帰宅した。事故の直後、バルブは被害者の少年が住む村の人々から暴行を受けていた。背中には痣ができていて、コルネリアは薬を塗るなどして献身的に看病した。
映画『私の、息子』のあらすじ【承】
翌朝、コルネリアは今後のことについて夫のアウレリアンと相談した。警察に任せるか、あるいは自分たちで解決するか、と言うアウレリアンに対し、コルネリアは自分たちでどうにかしようと提案した。バルブはまるで他人事といった様子で、高慢な態度でコルネリアに買い物を頼む。コルネリアとアウレリアンは、裕福ではない被害者家族のために葬式の費用を出し、起訴を取り下げてもらおうと考えていた。
バルブとカルメンが留守の間、コルネリアは2人が暮らしている家を訪れた。バルブの着替えなどを持って帰宅すると、アウレリアン、バルブ、カルメンの3人がテーブルについていた。コルネリアとアウレリアンは被害者の葬式に参列して哀悼の意を伝えるべきだとバルブに伝えるが、バルブは頑なに断る。コルネリアの過干渉をバルブは非常に嫌がっていた。両親に対し暴言を吐くと、バルブはカルメンと共に家へ戻っていった。コルネリアはその後もバルブに会おうと家を尋ねたものの、中には通さないようにとバルブからカルメンに伝えられており、対面は叶わなかった。
映画『私の、息子』のあらすじ【転】
コルネリアは事件の目撃者である証人と接触した。彼が乗る車をバルブが追い越そうとし、制限速度を大幅に超えて運転していたことが事故の原因の一つであった。金を払う代わりに有利な陳述をしてもらえるようコルネリアは説得するも、証人が法外な金額を要求してきたため交渉は決裂する。
バルブの留守中に再度家を訪れると、カルメンが中へ入れてくれた。亡くなった少年の親に会うようバルブに伝えてほしい、とコルネリアはカルメンに頼んだ。自分が言ったとわかると反発されるため、カルメンからの提案ということにしてほしいともお願いした。一方、カルメンはバルブと別れるつもりであること打ち明ける。頑なに子供を欲しがらないことが最大の理由であった。息子のことをすべて理解しているつもりでいたコルネリアは、自分の知らないバルブの一面に戸惑った。
被害者宅を訪れる日、コルネリアはバルブとカルメンを迎えに行った。少しの間バルブと2人で話をして、バルブの方から連絡をするまでは干渉せずに待っていてほしいと告げられる。今のままでは険悪な関係が変わらないというバルブに対し、コルネリアは残り長くない人生を息子の側で過ごしたいのだと伝えた。けれどバルブの意思は固く、コルネリアは同意せざるを得なかった。
映画『私の、息子』の結末・ラスト(ネタバレ)
コルネリア、バルブ、カルメンの3人は車へ乗り込み、被害者の少年の自宅へ向かった。少年の両親に会う勇気が出ないバルブを残し、コルネリアはカルメンと2人で車を降りる。2人は沈痛な面持ちをした少年の母親に迎え入れられた。
被害者家族は皆が喪に服しており、悲嘆に暮れていた。少年の父親は息子を失った悲しみと事故直後にバルブがとった態度への不満を訴え、償ってほしいと述べる。コルネリアはバルブを庇い、涙ながらに許してほしいと懇願した。それから葬式への参列を申し出たが、断られる。封筒に入れた金を差し出し、少年の弟の学費などに役立ててもらいたいと伝えると、コルネリアはその場を去った。
車に戻ると、少年の父親が見送りに出てきた。すると、その姿を見たバルブが降ろしてほしいと言った。バルブは少年の父親のもとへ向かい、話し始めた。車の中にいるコルネリアには何を言っているのかはわからない。しかし、握手を交わす2人の姿が見えた。バルブが車に戻ってくる。コルネリアは涙を流し続けていた。
映画『私の、息子』の感想・評価・レビュー
被害者を思いやることなく、息子の罪を軽くするためにひたすら奔走するコルネリアの姿は、被害者や第三者の視点から見ると身勝手なものである。しかし、自分の家族が事故を起こしたらと考えると、被害者のことまで考えが及ばす必死になってしまう気持ちもわかるような気がした。それまで他人事のようだったバルブが自ら車を降りて被害者の父のもとへ向かうシーンからは、これからコルネリアとの関係も改善していけるのではないかと希望を持てる。カメラが固定ではなく手持ちのため、ドキュメンタリーを見ているようなリアルさがあった。(MIHOシネマ編集部)
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