映画『タイガー・スクワッド』の概要:イラクの荒涼とした砂漠を舞台に、組織に雇われた傭兵2人と、身代金目的に人質として誘拐された女性の会話劇を描いている。誰が真実を話し、嘘を話しているのか。緊迫した状況の中、3人はどんどん追い詰められていく。
映画『タイガー・スクワッド』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:サイモン・ディクソン
キャスト:ブライアン・グリーソン、デイミアン・モロニー、ソフィア・ブテラ、ロリー・フレック・バーン etc
映画『タイガー・スクワッド』の登場人物(キャスト)
- ジョー(ブライアン・グリーソン)
- 組織に雇われている傭兵。慎重派で赤毛の男性。18歳になる息子と16歳になる娘がいる。物慣れており、温厚そうに見えて実は非常に猟奇的。ボスを信奉している。
- パディ(デイミアン・モロニー)
- 組織に雇われている傭兵。ジョーの臨時の相棒。自身を驕っている面があり、年齢的にもジョーより若い。黒髪の男性。シャダを心から愛している。
- シャダ(ソフィア・ブテラ)
- イラクの富豪の娘。父親によってパディとは無理矢理に別れさせられている。パディに恐怖で支配され、薬と快楽で従わされていたと話す。美しい女性。
- ルビー(ロリー・フレック・バーン)
- ジョーの正規の相棒だったが、現在は行方不明。ジョーと同じように猟奇的な面があったらしいが、真実は不明。
映画『タイガー・スクワッド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『タイガー・スクワッド』のあらすじ【起】
ある組織に雇われている傭兵ジョーとパディは、組織の任務でイラクの荒野を抜け、目的地を目指していた。夜のうちに検問を突破し、平坦で乾いた土地をトラックでひた走る。
その間、2人は様々な会話を交わした。
ジョーの本来の相棒はルビーという傭兵だったが、現在は行方不明であるため、臨時でパディが相棒として選ばれたらしい。パディは別の任務と訓練で他の地域に行っていたが、組織のボスから厄介な任務だからとこちらへ呼ばれたと言う。
パディは今回の任務が終わったらそろそろ、自分の部隊が欲しいと思っているが、年齢的にも若いし経験的にも足りない部分がある。ジョーから見てもまだ早いと思われた。
やがて、夜が明けると辺りの風景も見渡しやすくなる。
2人は一旦、停車し休憩するため、水辺の木陰へ腰かける。パディは通信にて本部と連絡を取り、ジョーを消せという任務を別命で受けているらしく、遠くから奴へと銃の照準を合わせた。しかし、今はまだやるべき時ではないと思い直し、本部へは任務を終えたら消すと報告した。
そうして、再びトラックを走らせジョーの家族の話を聞いた後、目的地へ到着。ルビーはボスが嫌がる拷問方法を行ったとして、どこかへ連れ去られたと言う。生存中なのかも分からないが、もしかしてもう消されている可能性も高かった。
映画『タイガー・スクワッド』のあらすじ【承】
2人は木々に囲まれた高い塀のある豪邸へと侵入。おかしなことに、豪邸の警備は薄く人の気配があまりない。パディは警備員を銃殺したらそれっきりだが、ジョーはわざわざ死体を切り刻むのだった。
豪邸には他に誰もいなかった。ジョーは競馬で金を稼ごうとして、坊主頭の男に騙されたことを話す。彼は腹いせにその男の歯を抜いてやったが、実は坊主頭の男はボスのいとこだった。そのせいで、汚したカーペットの弁償と任務を5つもタダ働きさせられる羽目に。今回の任務が5つ目で最後の仕事だった。
そこへ、町から1台の車が戻って来る。2人は建物の中に身を潜め、戻って来た女性を捕縛。ジョーは拘束した女性を平気で殴りつけ写メを撮る。その容赦ないやり方にパディは意を唱えた。見たところ彼女はまだ若く美しい。パディは姿を見られないよう女性の後ろに座っていたが、女性の声を聞いて耳を疑う。
任務は豪邸の主の娘を誘拐し、多額の身代金を得ることだった。恐らく、女性は目的の人物だ。ジョーがトイレへ向かったため、その間に彼女へ水を飲ませたパディ。そこで初めて女性の顔を見た彼は、彼女がかつて愛し無理矢理に別れさせられた恋人、シャダであることを知るのだった。
パディは今もシャダのことを愛しており、浮気もせずに思い続けていた。シャダは今すぐに逃がして欲しいと言い募るが、先に仕事を終わらせなければならない。必ず助けるから、今は落ち着いてくれと彼女を説得した。
映画『タイガー・スクワッド』のあらすじ【転】
戻って来たジョーは禁酒していると言ったにも関わらず、酒を一口。奴は急に弁舌となり、ルビーを銃殺して解体後、スーツケースに詰めて川に捨てたと話す。しかも、ジョーは銃を手に不穏な様子で、人質のシャダを失神させて凌辱すると言う。パディは人質をこれ以上、傷つけると身代金が入らないと奴の愚行を止めようと宥める。だが、ジョーには落ち着く様子はなく、更にシャダの部屋で見つけたというパディとの2ショット写メを持ち出した。
シャダのことを片時も忘れたことはなく、一筋だと言っていたパディ。ジョーは自分を裏切った相棒が人質と結託したのではないかと、疑っているのだ。そこで、2人は殴り合いを展開し、パディが勝利。一旦、ジョーを外へ連れ出して事情を話した。
ジョーは人質に素性を知られたから殺せと言うが、パディは彼女を殺すことなどできない。そこで、2人は口論となり、パディはジョーにスタンガンを仕掛けられ意識を失ってしまうのだった。その後、ジョーはシャダとパディを連れて、豪邸から移動。廃屋へと身を潜める。
シャダに言わせるとパディは酷く暴力的な恋人だったらしい。彼女は彼に恐怖で支配され、快楽と薬で虐げられてきたと言う。ジョーは女が嘘を言っているのではないかと疑い、パディをシャダの前で殺そうとするが、シャダは彼を殺せと叫ぶのだった。
だが、それを知ってもパディは彼女を愛していると言う。ジョー曰く、この任務はパディに対してのテストらしい。それは、愛する者をも殺させ組織に忠誠を誓わせることだ。ジョーもかつて愛した者を殺せと命令され殺害していた。
映画『タイガー・スクワッド』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョーは自らの体に爆弾を巻き付け、シャダを殺さなければ自爆するとまで言う。その時、パディに通信が入る。シャダの父親を含めた全員が死んだため、作戦は失敗したと言う。故に、ジョーとパディの任務も中止である。その上、2人の元へボス自らがやって来るらしい。
パディはシャダを殺させないため、この場から早く逃げなければと言うが、ジョーは組織のために彼女を殺せとパディに迫る。だが、パディは決して殺さないと言い張る。それなら自分がやると言い出したジョー。パディは奴の意識を一時的に奪い、そこに抜けた歯を置いた。
つまり、歯を抜かれたボスのいとこがジョーに報復するため、パディに別命を与えていたということだ。愕然としたジョーは忠誠を誓うボスに裏切られたことを知り、とうとう真実を白状する。彼がただ1人愛した者は、実は元相棒のルビーだった。ボスの命令で仕方なくルビーを殺すしかなかったのだ。だが、見限られたなら今ここで死んでもいいと言う。
パディはそれを聞いてジョーの苦痛を理解。それならボスを殺そうと決心する。2人はようやく和解し新たな希望を胸に抱いた。ところが、ボス殺しの準備を始めようと動き出したパディをシャダが銃殺してしまう。
息絶えたパディを横目に、彼女は踵を返し廃墟から去って行く。ジョーは唖然として、相棒の死体を見つめる。そして、シャダが去った出入口をじっと見つめ、パディとルビーの思いを胸に爆弾の起爆スイッチを押すのだった。
映画『タイガー・スクワッド』の感想・評価・レビュー
2人の傭兵と人質の女性。3人の会話劇を描いた作品であるが、どれが真実で嘘なのか見事に惑わされるストーリー展開となっている。人質の元恋人の傭兵は彼女をひたすら愛していると言って、殺そうとはしない。一方、女性の方は元恋人の傭兵に奴隷のように扱われていたと言う。ラストシーンから推察するに、もしかすると女性が話していたことが嘘だったのかもしれない。もう1人の傭兵は明らかに嘘と本当を交互に話している。
荒涼とした砂漠を延々走り続ける壮大な映像と狭い室内との対比が、世界は広いのに人の心の問題は狭い部屋だけで事足りる、とでも言っているかのようである。名前は散々出るのに、一度も登場しない人物もいる。鬼気迫った状況に陥ると、人は真実しか話さないのだと皮肉がこもった作品。(MIHOシネマ編集部)
ジョーも相棒のパディも腹に一物を抱えており、真実を言っているかどうか分からない。さらに、シャダという女性が現れたことで、余計に誰が真実を言っているのか分からなくなる。最初から最後まで、誰がいつ死んでもおかしくないような緊迫感がある物語だった。
はっきり誰が真実を言っていたか分からないため、想像は膨らむが少しモヤモヤした気持ちが残ってしまった。ハッピーエンドとも言い難い結末で、悲しい気持ちだけが残った。(女性 30代)
中東の荒涼とした砂漠にて、権力者の娘を誘拐に向かう二人の傭兵バディの物語。二人は基本的に自分主義なので、バディは形だけ。相手の裏切りを常に念頭に置いて行動するため、終始緊迫感のある映像が続きます。なので、今作品はアクションではなく、トークと心理戦がメインになっています。微妙に噛み合わない会話、ぼかされる真実にモヤモヤし、途中から女性が加わってもそれが続き、クライマックスで明かされる真実は投げやりな感じです…(男性 20代)
めんどくさいことや、よく考えないと分からないことが苦手な私にとってこの作品の張り詰めた空気感はとてもイライラしました。私が同じ状況に立たされたら、何が本当で何が嘘なのか考えることやめ、逃げ出したくなってしまうでしょう。
しかし、観客としてこの作品を見ている分にはとても面白いです。互いを疑いながら、互いの心を読むと言うのはかなりストレスだろうなと思いつつも、この人の言っていることは嘘だろうなと推理しながら見るのが快感でした。(女性 30代)
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