映画『傷物語 I 鉄血篇』の概要:作家、西尾維新による人気シリーズ『化物語』の前日譚、『こよみヴァンプ』を三部作に渡って描いたもので、今作は第1作目。友達がいない男子高校生、阿良々木暦が怪異殺しのできる唯一の吸血鬼キスショットと出会い、吸血鬼になってしまうまでを描いている。
映画『傷物語 I 鉄血篇』の作品情報
上映時間:84分
ジャンル:ホラー、青春、アニメ
監督:尾石達也
キャスト:神谷浩史、坂本真綾、堀江由衣、櫻井孝宏 etc
映画『傷物語 I 鉄血篇』の登場人物(キャスト)
- 阿良々木暦(神谷浩史)
- 友達がいない実は寂しい男子高校生。友達は人間強度が下がるので作らないと豪語しているが、本当は欲しいと思っている。決断力があり、底なしの優しさを持っている。キスショットと出会い命を捧げるも、不死の吸血鬼として復活する。
- キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(坂本真綾)
- 500年を生きる吸血鬼。金髪で豊満な肉体を持ち、美しい容貌を持っている。怪異を殺し、エナジーを吸収することができる唯一の存在。3人の吸血鬼対峙の専門家から同時に襲われ、両手足を奪われてしまい、暦のお陰でどうにか命を繋ぐ。
- 羽川翼(堀江由衣)
- 暦のクラスメイトで学級委員長。暦からは委員長と呼ばれる時もある。秀才で雑学王。メガネっ子でロングヘア。明るく優しい女子だが、時に強引な面も見せる。
- 忍野メメ(櫻井孝宏)
- あちらとこちらのネゴシエーター。いわゆる仲介屋を生業としており、非常に顔が広い。金髪にあごひげを生やし、アロハシャツとハーフパンツを常に着用。ヘビースモーカーでいつも煙草を咥えており、下駄を愛用している。底知れない人物。
- エピソード(入野自由)
- 吸血鬼対峙の専門家。半吸血鬼にしてヴァンパイアハンター。巨大な十字架を持った金髪の年若い青年。左足を所持している。
- ドラマツルギー(江原正士)
- 吸血鬼対峙の専門家。吸血鬼で両手を剣に変化させることができる。体格が良く黒髪の長髪。右足を所持している。
- ギロチンカッター(大塚芳忠)
- 吸血鬼対峙の専門家。常に聖書を手に持っており、黒髪の短髪で右目を瞑っている。3人の中では恐らく最強と思われる。両手を所持している。
映画『傷物語 I 鉄血篇』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『傷物語 I 鉄血篇』のあらすじ【起】
これはごく平凡な男子高校生だった阿良々木暦が、3年生へ進級する前の春休みの出来事である。彼は春休みが始まる前夜、深夜の地下鉄で怪異と呼ばれる異形の女と出会う。その女は吸血鬼にして500年を生き、名をキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと言った。
その日の夕方、ある交差点で突風が吹いた。暦の前方には、同じクラスに所属し学級院長を務める羽川翼がいる。彼女と話すきっかけは、風によりスカートが舞い上がり、その素敵な下着を目にしたことだった。
それまでの暦には友人と呼べる者はおらず、むしろ率先して一人でいることが多かった。曰く、友達がいると人間強度が下がるらしい。それは、友人を心配して気を揉むことが増え弱くなるからだと言うが、そんなのは建前で実は友達が欲しかったのだと自白。
羽川も彼に対しては孤高というイメージを持っていたが、話してみると意外に話しやすく会話は続く。彼女は話題の1つとして、深夜に金髪で美しく、豊満な女吸血鬼に出会うことがあるという話をする。そうして、羽川は半ば強引に携帯番号の交換を行い、自ら暦の友達になったと宣言するのだった。
映画『傷物語 I 鉄血篇』のあらすじ【承】
初めての友達、しかも可愛らしい女友達ができたことで密かに舞い上がる暦。夜の9時前、脳裏に羽川の下着が過る。青少年は家を飛び出し、書店で欲を満たすための雑誌を購入した。その帰り、地下鉄に下りる階段前で異様な光景を目にする。そこには夥しい血だまりが点々とできており、地下へと続いているのだった。
血の量を見るに、とても尋常ではない状態のはずである。彼は浅い呼吸を繰り返しながら、喉を鳴らして血痕を辿った。時刻はすでに深夜12時近く。血痕は駅のホームへと続いている。そうして、エスカレーターを下りた先、異様な状態の女をとうとう発見。
女は両手両足を切断されても尚、まだ生きている。彼女は居丈高に暦へと自分を助けさせてやるから、血をよこせと言う。夕方に羽川から聞いた吸血鬼の話を思い出した。恐らく女は吸血鬼だ。彼女は自ら名を名乗ると、血を失い過ぎて再生できないので助けて欲しいと頼む。だが、暦は恐れ戦き命と引き換えに彼女を助けるなど即決できなかった。
震えながら後退すると、キスショットは突如として死にたくないと泣き喚く。そうして謝りながら、暦へと迫るのである。彼は恐慌状態へと陥り、思わずその場から逃げ去ってしまうのだった。
映画『傷物語 I 鉄血篇』のあらすじ【転】
とは言え、駅の階段に腰かけ思案に耽る暦。相手は化け物だ。助けるためには自分の命を犠牲にしなければならない。苦悩した末、見捨てられないと判断。彼は再び駅のホームへと戻った。そして、泣き続けるキスショットへ諦めるなと声をかけた暦は、彼女へと命の全てを投げ出すのである。
ところが、キスショットに血を吸われ意識を失った暦だったが、ふと目を見開き自分がまだ生きていることに気付く。吸血鬼と会ったことは夢だったのだろうか。そう思った矢先、すぐそばで幼女が寝ていることに驚愕。
髪の色と肌色を見るに、どうやらキスショットのようである。日付を確認すると、あれから2日は経過していた。そして、何も知らない彼は外へ出て、太陽の光に晒され炎に焼かれてしまうのだ。幸い、キスショットに助けられ事なきを得たが、暦は彼女の眷属として不死の吸血鬼へと転生されてしまったらしい。
現在の潜伏場所は、数年前まで塾として使われていた建物で廃墟となった所だ。身を潜めるには格好の場所である。キスショット曰く、暦1人だけの血液では全てを戻すことなどできず、傷を塞ぎ幼女の姿になることで、どうにか命を保っているらしい。故に、能力のほとんどは使えない状態で、かなり制限されていると言う。彼女は暦を人間に戻すことを条件に、吸血鬼対峙を専門としている3人の敵を倒し、両手足を取り戻して欲しいと頼むのだった。
奪われた両手足を取り戻すには、今のキスショットでは危うい。幼女となった彼女には、再生能力がほとんどないからだ。そのため、完全体である暦には、奴らと戦ってもらわなければならない。暦を人間に戻すためにも、キスショットが完全体へ戻る必要があった。
映画『傷物語 I 鉄血篇』の結末・ラスト(ネタバレ)
3人同時に戦うなら分は悪いが、1人ずつなら余裕だと言うキスショット。だが、いざ戦いへと向かった暦は、最悪なことに3人と同時に遭遇してしまう。吸血鬼で両手を剣に変化させるドラマツルギー、半吸血鬼で巨大な十字架を背負うエピソード、そして聖書を手に持つギロチンカッターである。
初戦で窮地へと陥った暦は、奴らが何を話しているかすら理解できず、恐怖に怯え逃げることもできない。咄嗟に自分は人間だと主張するも、いや吸血鬼だったと思い直す。3人はそれこそ同時に襲い掛かって来たが次の瞬間、暦の前にある男が現れ助けてくれるのだった。
金髪でいかにも怪しい中年の男、忍野メメはキスショットも助けたらしい。彼は主にこちらとあちらのバランスを取ることが仕事だと言う。言うなればネゴシエーターである。故に、彼はいつでも中立で、敵になることもあれば仲間になることもあるのだ。
キスショットは業界でもかなり有名な存在で、怪異を殺すことができる唯一の吸血鬼らしい。そこで、忍野は希少な存在である彼女に手を貸すことにした。だが、提示された報酬はかなり法外な金額である。キスショットは相場が分からないので、決断は暦に任せる。暦はどうにか人間に戻るため、忍野の提案へ乗ることにするのだった。
傷物語Ⅱ<熱血篇>へ続く。
映画『傷物語 I 鉄血篇』の感想・評価・レビュー
作家、西尾維新の『化物語』の前日譚を劇場化した作品。詳細を語られていなかった春休みの出来事、主人公の暦が吸血鬼となった経緯を描いている。言うなれば、化物語の第零話である。今作は三部作の第1作目だ。
序盤から暦が太陽光に晒され、炎に焼かれるという鮮烈なシーンから始まる。物語シリーズの中でも、かなり痛烈な内容となっており萌えは幼女となったキスショットの頭を撫でるシーンと、羽川のレースの下着くらいである。戦闘シーンはほとんどないが、キスショットとの遭遇シーンはかなりショッキング。暦の戦慄も頷ける。二作目へと続くストーリー展開も良く、期待を持たせる終わり方をしている。(MIHOシネマ編集部)
いきなり登場する「キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード」という厨二病全開のようなネーミングの吸血鬼に呆気に取られていたら、物語がどんどん進んでしまった今作。
こういったアニメ作品に耐性がない私は見続けるのがかなりキツかったです。吸血鬼という設定はもちろん、出てくる人間も「オタク」や「萌え」を意識しているような気がしてしまいました。しかし、ファンが多いのも事実です。好きな人には堪らない魅力のある作品なのでしょう。苦手意識を持たずに続編も鑑賞してみます。(女性 30代)
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