映画『傷物語 II 熱血篇』の概要:作家、西尾維新の人気シリーズ『化物語』の前日譚。三部作の2作目。吸血鬼になってしまった暦が人間に戻るため、キスショットの両手両足を取り戻す戦いへと挑む。クラスメイト羽川の支援の元、血みどろの戦いを経て人としての矜持を捨てるまでを描いている。
映画『傷物語 II 熱血篇』の作品情報
上映時間:69分
ジャンル:ホラー、青春、アニメ
監督:尾石達也
キャスト:神谷浩史、坂本真綾、堀江由衣、櫻井孝宏 etc
映画『傷物語 II 熱血篇』の登場人物(キャスト)
- 阿良々木暦(神谷浩史)
- 友達が1人もいない普通の男子高校生であったが、キスショットを助けたことで吸血鬼になってしまう。底なしの優しさを持ち、羽川を危険から遠ざけようとする。驚異的な再生能力とスキルを持っている。
- キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(坂本真綾)
- 怪異を殺すことができる希少な吸血鬼。齢500を超え、完全体では金髪の妖艶な美しい女性。吸血鬼退治の専門家に両手両足を奪われるも、暦に救われ現在は幼女の姿をしている。暦を吸血鬼の眷属にし、奪われた力を取り戻そうとしている。
- 羽川翼(堀江由衣)
- 暦のクラスの委員長で、かなりの秀才女子。春の突風のせいで下着を見られたことをきっかけに、暦と友達になる。メガネをかけた巨乳で、暦に気がある様子を見せる。
- 忍野メメ(櫻井孝宏)
- あちらとこちらの仲介を生業としており、得体の知れない人物。アロハシャツにハーフパンツを着用し、下駄を履いている。常にタバコを咥えているのが特徴。キスショットと暦に手を貸し、仲介する。
- エピソード(入野自由)
- キスショットの左足を所持。巨大な十字架を武器に持つ、吸血鬼退治の専門家。金髪の青年で吸血鬼とのハーフ。自らを霧に変えることができる。
- ドラマツルギー(江原正士)
- 吸血鬼でありながら、同族退治の専門家。キスショットの右足を保持している。体格が良く剛力で両手を剣に変えることができる。仕事には忠実だが、命までは落としたくない。
- ギロチンカッター(大塚芳忠)
- キスショットの両手を所持する吸血鬼退治の専門家。聖職者であり、常に聖書を手に持っている。体格が良く高身長。威圧的な雰囲気を持っている。
映画『傷物語 II 熱血篇』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『傷物語 II 熱血篇』のあらすじ【起】
高校3年へ進級する前の春休み。普通の男子高校生だった阿良々木暦は、春休み初日の深夜に地下鉄の駅で、吸血鬼のキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと遭遇。彼は命をかけて瀕死だったキスショットを助けたものの、そのせいで吸血鬼になってしまう。人間に戻ることを切望した暦だったが、人間に戻るには吸血鬼退治の専門家3人に奪われたキスショットの両手両足を取り返さなければならない。そこで、仲介を生業とする怪しい男、忍野メメを通じ個別で対決することになるのだった。
忍野の仲介により、1人目の対決者はドラマツルギーに決定。ドラマツルギーは吸血鬼だが、キスショットの話によると同族殺しをする者は少なくないと言う。奴は両手を剣に変化させることができるため、恐らくは肉弾戦が予想される。そこで、暦は事前に合気道や野球の参考書に目を通した。
対決前夜、武力とはおおよそ関わりのなかった暦は、参考書を前に頭を抱えていていた。そこへクラスの委員長を務める羽川翼がやって来る。キスショットと遭遇する日の夕方、春の突風のお陰で羽川の素敵な下着を見てしまった暦。以来、彼女から半ば強引に友人認定されている。だが、ドラマツルギーと戦うことになってしまったため、暦は羽川を危険に晒さないよう彼女をわざと遠ざけるような言動を取るのだった。
そうして、暴風雨で視界もままならない夜、ドラマツルギーと対峙した暦。場所は無人となった学校の校庭であったが、初っ端から蹴りを食らって左腕が吹っ飛ぶ。激しい痛みと恐怖に苛まれながらも逃走したが、校舎内へ投げ飛ばされてしまう。ひとまずは、脅威から身を隠すことができた暦。ふと見ると左腕が再生し始めている。彼は強制的に腕を成体へ再生し、反撃の機会を窺った。しかし、両腕を剣に変化させたドラマツルギーに両腕を断ち切られ、雨の中を再び逃走。驚異的な腕力と再生能力を使い、参考書で得た野球の投球にて鉄球を投げ、奴を弱めることに成功した。すると、ドラマツルギーはすぐさま降参。右足の奪還に成功するのだった。
映画『傷物語 II 熱血篇』のあらすじ【承】
朝日が昇った校庭で勝利に息を吐いた時、建物の影に羽川がいることに気付く。どうやら彼女は一連の戦いを目撃してしまった様子。羽川を守りたい暦は友達関係を続けたい羽川と口論になってしまい、売り言葉に買い言葉でつい下着を見せろと言ってしまう。すると、羽川はためらいつつも自らの下着を見せてくれる。観念した暦は、改めて羽川と友達になるのだった。
右足を無事に持ち帰った暦。キスショットは自分の足を捕食し力を取り戻した。彼女の容貌は幼女から12、3歳の少女へと変貌を遂げる。
4月1日の夜、暦は羽川をキスショットに会わせ、事情を全て明かした。驚きつつも事実を受け入れた羽川から生活用品の支援と励ましを得ることができる。
吸血鬼になったことで、肉体にも変化が現れ以前よりも引き締まったようだと羽川から指摘された暦。吸血鬼の血は驚異的な再生能力にて、最も健康的な肉体を保持するのだとキスショットは言う。更に、羽川は自分にできることを探し、献身的に働いてくれるのだった。
次なる対決者はエピソード。彼は吸血鬼とのハーフでバンパイヤハンターを生業にしているらしい。ハーフであるために吸血鬼の世界から弾き出され、人の世界にも馴染めず吸血鬼に強い憎しみを抱いているようだ。故に、吸血鬼退治は仕事と言うよりも私情で動いていると言う。
映画『傷物語 II 熱血篇』のあらすじ【転】
日が暮れる頃、人気のない大階段がある広場でエピソードと対峙した暦。エピソードは化け物だというだけで、吸血鬼になった暦を悪者扱い。更に奴は霧へと姿を変え、瞬間移動をする。武器である巨大な十字架は吸血鬼の弱点でもあるため、十字架で負った傷は治りが悪く、暦をじりじりと追い詰めた。
その上、霧になってしまうため、暦の攻撃が当たらない。息を切らし途方に暮れかけた時、駆け付けた羽川によってヒントを得ることができた。だが、その代わりに羽川は腹部に酷い怪我を負ってしまう。激しく損傷し、内臓が飛び散る。激怒した暦は身体能力を高め、驚くべきジャンプ力で近くの競技場へ。着地にて噴煙を巻き上げた。霧とはすなわち水である。そこへ、細かい砂を混ぜ込むと霧ではなくなってしまう。エピソードに飛び掛かり、衝動に任せて殺害しそうになった暦。忍野に止められ、どうにか人殺しにならずに済んだ。
忍野のヒントで羽川を助けることができた暦は、無事にキスショットの左足を奪還。これにより、キスショットは力を取り戻し17、8歳程度の容貌へ。
映画『傷物語 II 熱血篇』の結末・ラスト(ネタバレ)
4月5日、両足が戻ったことでキスショットは不死力を取り戻したが、吸血鬼としてのスキルまでは戻せず、戦いへ赴くことができない。最後に残ったギロチンカッターは、恐らくこれまで戦った2人よりも強者である。ギロチンカッターは純粋な人間であったが、奴の武器は聖職者であることだ。彼は他の2人とは違って、使命を持って吸血鬼退治を行っている。仕事や私情とは明らかに信念が違うのである。
暦の血にて傷の修復をした羽川に異常は見られず、元気な姿を見せてくれた。夕方の川原にて彼女と会った暦は一安心したが、以前とは違った意味で羽川を守りたい。彼女を傷つけたくないのもあったが、傷つけられたことで衝動的に自分を見失うことに恐怖を覚えた暦。彼は戦いが終わるまで、彼女と会わないことに決めた。暦の説得に納得した羽川は、その場で下着を脱いで次に会うための約束にする。そして、暦を励まして帰って行くのだった。
ところがその日の夜、慌てた様子の忍野がやって来て、交渉に失敗し羽川がギロチンカッターに攫われてしまったことを告げる。忍野は暦に人間であることを諦め、奴と対峙するようアドバイスした。
そうして、ギロチンカッターと対峙した暦。奴は羽川を人質に降参しろと言うが、暦は羽川を助けるため、人間であることをやめる決断を下す。光の速度で駆け抜け、体を変容させ羽川を救出。たちまちのうちにギロチンカッターを下した。
その戦い方は異様なものであり戦い終えた後、暦は矜持を捨てた自分はもう人ではなく、化け物なのだと自覚するのだった。
映画『傷物語 II 熱血篇』の感想・評価・レビュー
三部作の2作目である今作にて、吸血鬼となった暦がキスショットの両手両足を取り戻す戦いへ。前作と違って羽川翼との交流が3分の1を占め、惜しげもなく彼女の下着を見ることができる。それに恥じらう意外に純粋な暦との掛け合いは、人気シリーズ『化物語』でもお馴染みである。
今作での戦いによって暦が人であることを諦めるわけだが、エピソードとの戦いの折、羽川が腹部を損傷させられるシーンはなかなかにショッキング。それ以降の暦の尋常ではない戦闘もスピード感があり、見応えがある。ギロチンカッターでの戦いでは、異様さを極め最終作への熱を高める演出がされている。(MIHOシネマ編集部)
前作よりもかなり萌え要素の強かった今作。前作を見た時には耐性が無く、見続けるのが辛いと思っていましたが、キスショットを助けて吸血鬼になった暦と暦に好意を寄せる羽川の絡みが面白くて前作よりも見やすく感じました。
戦いのシーンはもちろんありますが、暦と羽川のほっこりシーンも多かったです。羽川が突然下着姿を見せるなど「えっ?」となってしまうシーンもありましたが、それは私の経験不足でしょう。こういうシーンがあるからこそ盛り上がるのだと感じます。(女性 30代)
関連作品
次作 傷物語 III 冷血篇
前作 傷物語 I 鉄血篇
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