映画『銀河鉄道999(1979)』の概要:富裕層は機械の体を手に入れ、貧困層は生身の体のままで迫害を受けていた。生身の体を持つ少年・星野鉄郎は、母を殺した機械伯爵に復讐するため機械の体を手に入れようとしていた。そんなある日、謎の美女・メーテルに出会い、一緒に旅をすることになる。
映画『銀河鉄道999』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:SF、ファンタジー、アニメ
監督:りんたろう
キャスト:野沢雅子、池田昌子、田島令子、肝付兼太 etc
映画『銀河鉄道999』の登場人物(キャスト)
- 星野鉄郎(野沢雅子)
- 10歳。機械伯爵に母を殺されている。機械伯爵に復讐するため、機械の体を手に入れようとしている。
- メーテル(池田昌子)
- 謎の美女。鉄郎の母とよく似ている。鉄郎を助け、一緒に機械の体を無料でくれるというアンドロメダに向かう。
- エメラルダス(田島令子)
- 女海賊。メーテルの知り合い。好戦的な人物で、危険な女性。最愛の人であるトチローの行方を捜している。
- キャプテン・ハーロック(井上真樹夫)
- 宇宙海賊。アルカディア号と呼ばれる宇宙船に乗っている。少年達が憧れる人物。エメラルダス思い人であるトチローは親友。
映画『銀河鉄道999』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『銀河鉄道999』のあらすじ【起】
富裕層は機械の体を手に入れ、貧困層は生身の体のままで迫害を受けていた。生身の体を持つ少年・星野鉄郎は、機械化した人(機械人)から銀河鉄道999に乗るための切符を盗み警官に追いかけられる。そんな中、母によく似た女性、メーテルと出会う。メーテルは鉄郎を助け、匿った。
鉄郎の母は機械人が道楽で行う人間狩りによって死亡した。母を殺したのは、機械伯爵と呼ばれる機械人だった。しかも、機械伯爵は鉄郎の母をはく製にして城に飾った。鉄郎は機械伯爵に復讐するため、機械の体を手に入れようとしていた。そのためには、銀河鉄道999に乗り、機械の体を無料でくれるというアンドロメダに行く必要があった。
鉄郎が盗んだ切符は、警官から逃げるときに落としていた。事情を知ったメーテルは、銀河鉄道999に乗るための切符を鉄郎に渡した。そして、切符を渡す条件として、一緒に連れて行って欲しいと頼んだ。鉄郎は承諾した。
一度銀河鉄道999に乗れば、地球に引き返すことはできなかった。アンドロメダまで行くか、途中で降りて永遠に未開の惑星を彷徨うしかなかった。鉄郎の心は既に決まっており、メーテルと一緒に銀河鉄道999に乗って旅立った。
映画『銀河鉄道999』のあらすじ【承】
銀河鉄道999の次の停車駅は、土星の衛星の1つであるタイタンだった。タイタンでは地球時間で16日も停車する予定だった。鉄郎はあまりにも長い停車時間に驚きの声を上げる。銀河鉄道999の各駅での停車時間は、その星での1日と決められていた。自転の速度が各星で違い、1日が10時間の星や50時間の星もあるためそのようなことが起きるのだった。停車時間の間は自由に星を観光することが可能だったが、もし乗り遅れれば置いて行かれる危険があった。
鉄郎達はタイタンに降り立つが、メーテルが山賊に攫われてしまう。タイタンでは人殺しも誘拐も、個人がしたいように自由に行動することが許された。鉄郎はタイタンに暮らす女性に助けられ、帽子や銃などを貰う。それらを持って、メーテルを助けるために山賊がいる地に向かった。
鉄郎は成り行きで山賊の頭であるアンタレスを機械人から助ける。鉄郎が女性から貰った銃は、機械人を倒せる唯一の銃だった。鉄郎はメーテルを返してもらおうとするが、山賊に問答無用でアジトまで連れて行かれる。そこで、鉄郎とメーテルは機械人ではないかチェックを受ける。機械人ではないと分かると、アンタレスは好意的な態度になった。
アンタレスは機械伯爵に親を殺された子供を引き取って育てていた。機械伯爵がいる時間城は、どの星にあるか誰も知らなかった。唯一知っているのは、女海賊・エメラルダスだけだった。鉄郎はメーテルと女性の元へと戻り、銃や帽子を返そうとした。だが、女性から返さなくて良いと、プレゼントされる。その銃は何処にいるか分からない、女性の息子(トチロー)の物だった。
映画『銀河鉄道999』のあらすじ【転】
銀河鉄道999は次の停車駅、冥王星に向かった。鉄郎が寒さで震えていると、メーテルに抱き締められる。鉄郎は吹雪の中、暖めてくれた母を思い出す。冥王星に到着した後、やることがあるからとメーテルは鉄郎と別れて去っていった。
鉄郎はメーテルの様子をこっそり伺い、氷で出来た墓を見つける。そこは、病気で死んだ人や機械の体に替えて元の体を置いていった人達の抜け殻が眠る場所だった。鉄郎は墓の管理人であるシャドーに襲われる。鉄郎の危機を救ったのは、メーテルだった。シャドーは機械人として永遠の命を生きることに寂しさを抱えていたが、元の体に戻る勇気も持てず鉄郎を無理矢理傍に置こうとしたのだった。鉄郎とメーテルは泣き崩れるシャドーを残し、その場を立ち去った。
銀河鉄道999の傍をエメラルダスの船が通った。鉄郎は銃を撃ち、エメラルダスの気を引いた。エメラルダスは銀河鉄道999に降り立った。そして、鉄郎が持っている、トチローの銃や帽子に注目する。エメラルダスはトチローのことを知っている様子だった。しかも、エメラルダスとメーテルは知り合いだった。
鉄郎達はエメラルダスから時間城が降り立つ場所を教えてもらう。それは次の停車駅でもあるトレーダー分岐点だった。エメラルダスは命を大切にするよう鉄郎を諭し、自分の船に乗って去っていった。メーテルは、トチローがエメラルダスの最愛の人であることを鉄郎に教えた。しかし、話の途中で鉄郎は眠ってしまう。
トレーダー分岐点に到着した後、鉄郎は時間城について聞き込みを行った。そして、バーのマスターから機械伯爵のことに詳しい男の存在を教えられる。鉄郎は男に会いに行った。その男はトチローだった。トチローは鉄郎と同じように機械伯爵を討とうとしていたのだが、病気を患っており先があまり長くなかった。トチローは機械伯爵が来る場所と機械人の弱点が頭であることを鉄郎に教えた。そして、鉄郎の助けを借り、自分の意思を親友のキャプテン・ハーロックが乗っているアルカディア号のコンピューターに移した。
鉄郎は機械伯爵の仲間である無法者に襲われ、銃を奪われてしまう。鉄郎は銃を取り返すため、バーにいる無法者に立ち向かった。そこに、キャプテン・ハーロックが現れ、助けられる。
銃を取り戻した鉄郎は、1人で時間城に侵入した。そこに、アンタレス一味が助けに現れる。鉄郎は機械伯爵を倒すが、アンタレスが亡くなってしまう。死の間際、アンタレスはメーテルに気を許さないよう鉄郎に忠告した。
映画『銀河鉄道999』の結末・ラスト(ネタバレ)
鉄郎は今までの旅を通して、簡単に機械化するべきではないと気がついた。そして、機械人をこれ以上増やさないようにするため、アンドロメダがある星を破壊することにした。鉄郎はキャプテン・ハーロックと別れ、メーテルと銀河鉄道999に乗り込んだ。
銀河鉄道999は終着駅である機械化母星メーテルに到着する。鉄郎はなぜメーテルと星の名前が同じなのか戸惑う。実は、母星メーテルはあらゆる物が人間で作られた部品で組み立てられていた。鉄郎は母星メーテルを構成する部品の1つになるため、メーテルに連れて来られたのだった。鉄郎はメーテルに失望し、怒りをぶつけた。
メーテルは機械化母星メーテルを支配する女王・プロメシュームの娘だった。しかし、メーテルはプロメシュームの考えに染まっておらず、父と共に母星メーテルを破壊しようとしていた。母星メーテルが破壊されれば鉄郎も死ぬことになるが、鉄郎は機械帝国が壊されるならと受け入れた。
鉄郎を助けるため、キャプテン・ハーロックやエメラルダスの乗った船が母星メーテルに現れる。キャプテン・ハーロック達は母星メーテルを攻撃した。その一方で、鉄郎はメーテルの父の魂が宿ったネックレスを使い、母星メーテルを破壊した。そして、メーテルと共に逃げ出した。
鉄郎達は銀河鉄道999に乗り込み、壊れゆく母星メーテルを後にした。しかし、鉄郎達の前にプロメシュームが現れる。プロメシュームは自分を裏切ったメーテルを苦しめるため、鉄郎を道連れにして死のうとした。機械人で銀河鉄道999のウエイトレスであるクレアは鉄郎を助け、プロメシュームと共に死んだ。実は、クレアは鉄郎に思いを寄せていた。
メーテルは自分の本当の体に戻ることにした。鉄郎に別れを告げ、冥王星に行くために銀河鉄道999に乗り込んだ。鉄郎は走り出した銀河鉄道999に並走し、メーテルの名を叫び続けた。
映画『銀河鉄道999』の感想・評価・レビュー
鉄郎の苦しみと心の成長が上手く描かれていたと思う。1979年に公開された映画だが、古臭い部分は一切ない作品だった。機械人や宇宙を旅する列車など、今見ても発想が素晴らしいなと思う。鉄郎がまだ10歳の少年だと知って、衝撃を受けた。10歳の少年にしては、行動力があり過ぎなのではないだろうか。さりげなく登場するキャプテン・ハーロックがカッコ良かった。鉄郎と共闘する部分など、もっと見てみたかったなと思った。(MIHOシネマ編集部)
言わずと知れたテレビアニメの劇場版。テレビシリーズは100話を超える長大なものだったが駆け足な総集編になることなく再構築されている。そもそも主人公の顔が違うことに当時は驚いた。テレビシリーズはスタートレックのように現実社会の問題を寓話的に描くエピソードも多かったが、劇場版は少年が青年になる話に纏められておりこの作品だけでも完結する内容となっているのは見事。そしてゴダイゴによるストーリーを咀嚼した歌詞を持つ主題歌が素晴らしい。エンドロールに流れる曲を聴く為だけでも本編を観る価値があると思う。(男性 40代)
作品自体は知っていましたが、どんなストーリーなのか全く知らなかった今作。機械人と生身の人間の世界で、生身の人間のほうが身分が低く、迫害を受けているという設定はとても斬新で1979年の作品とはとても思えませんでした。
『銀河鉄道999』というタイトルなだけあり、銀河を旅する鉄道が描かれていますが、その色彩が本当に美しくて感動しました。
結末を知っても、更に何度も見たくなる不思議な作品です。(女性 30代)
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