映画『ウォリアー』の概要:北欧神話の英雄を基に、フランク人の侵攻を阻んだフリースラント王レッドボットの生涯を描いた歴史劇。北欧8世紀、フランク国がキリスト教の布教を盾に侵攻を開始。フリースラントは王を討たれ敗北してしまう。国を取り戻すため、王の息子が奮起する。
映画『ウォリアー』の作品情報
上映時間:160分
ジャンル:アクション、アドベンチャー
監督:ロエル・レイネ
キャスト:ハイス・ナバー、ルス・ハーフェコート、ジョナサン・バンクス、ソーレン・マリン etc
映画『ウォリアー』の登場人物(キャスト)
- レッドボット(ハイス・ナバー)
- アルドギスル王の息子で次期王。古い慣習を廃止し、新たな国づくりをしようと考えている。自分の勝手な行動で父を亡くし、後悔の念に苛まれている。勇敢でカリスマ性があり、愛情深い。
- フレア(ルス・ハーフェコート)
- ユトランド沿岸ヴォータンを領地とするデーン人領主の娘。腕の立つ女戦士でもある。白金発の美しい女性で、レッドボットと運命的な出会いを果たし結婚する。息子を出産。
- エイバート(デレク・デ・リント)
- 王兄でレッドボットの伯父。息子ユレをフリースラント王に即位させ、権力を得る。国を守っているつもりで、貶めている。
- アルドギスル王(フープ・スターペル)
- ライン川の流域に住むフリース人の王であり族長。レッドボットの父親。古い慣習や掟、しきたりを遵守し、民のために一生を費やす。フランク国の奇襲により命を落とす。厳格でありながら、善政を敷く王。
- ユレ(トゥーン・カイルブーア)
- フリースラントの若き新王。レッドボットの従弟でエイバートの息子。若く勇猛でレッドボットの盟友でもある。従兄を慕い、国のために奮起する。
映画『ウォリアー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ウォリアー』のあらすじ【起】
北欧8世紀。フランク人がキリスト教という新たな武器を用いて、ライン川の下流域に住むフリース人、アルドギスル王の領土に狙いを定め征服を画策。
フリースの首都ドレスタッド。アルドギルス王の集落にて代表者会議が行われる。会議の内容は不作対策で、不作になるのは神が怒っているからだと言う。そこで、一同は王の息子レッドボットの反論を押しのけ、神への生贄を捧げる儀式を行った。だが、神託によってレッドボットの恋人が生贄に選ばれてしまう。生贄は火炙りにされ神へと捧げられるしきたりだ。レッドボットは儀式を止めようと必死になったが、制止する父王と口論になり対立してしまうのだった。
だがその時、フランク人が集落へ奇襲攻撃を仕掛けて来る。儀式の場は騒然となり、王を始め戦士たちが広場にて敵と対峙。だが、恋人が敵軍に囲まれているのを見たレッドボットは、王の命令を聞かず恋人の救助へ。そのせいでアルドギルス王が命を落としてしまうのだった。
王族は隣の集落ウェイナルドゥムへ逃亡。ドレスタッドにはフランク王国の宰相が入り、集落にはキリスト教の教会が新築される。宰相は自治を許す代わりに税を徴収することにし、更にキリスト教教皇の使者という大司教が訪れ、恐怖という名の布教活動を開始するのだった。
一方、ウェイナルドゥム。王兄エイバート率いる王族会議では、レッドボットが命令を無視したせいで王が死んだと糾弾が始まる。レッドボットは責任を感じ、神による審判を受け生贄になることに。彼は着の身着のまま筏に括り付けられ海へと流された。流される間際、巫女が王のバッジを密かにベルトの隙間に挟んでよこす。巫女はどうか己を見失わずにと言葉をかけた。
筏は大海を漂い、ユトランド沿岸へと漂着。レッドボットはデーン人の領主の娘フレアに救われ集落へ。言葉も違うヴォータンの部族に囲まれるが、領主の采配によって助けられる。
3か月後、レッドボットは領主の下男として寡黙に過ごしていた。領主はレッドボットに何かがあると確信している様子で、特に重用している。
映画『ウォリアー』のあらすじ【承】
ユトランド沿岸ヴォータンに住むデーン人は、海の向こうに住むスヴェア人と争いを繰り返していた。スヴェア人は船を巧みに操り、攻め入って来る。レッドボットも戦いに参戦し、続々と岸へ上がって来る敵を倒した。途中からフレアも加わり、やがてスヴェア人が撤退して行く。この功績により、領主からヴォータンの民として認められ、フレアと結婚することになった。土地と家、妻をも一度に手に入れたレッドボット。その際、フレアが密かに隠し持っていた父王のバッジを返してくれるのだった。
その頃、ドレスタッドではフランク人に虐げられるフリース人が教会に火をかけるという事件が発生。フリース人の新王となったユレは、フランク国の宰相に呼び出され説明を求められる。ユレはエイバートの息子でレッドボットの従弟であった。曰く、フリース人には税の徴収という制度はないため、不当に金を奪われているという認識らしい。そこで、宰相はフリース人の支配を徹底するため、見せしめとして宰相子息の妻にレッドボットの妹をよこせと要求。さもなくば攻め入ると脅迫した。ユレは従兄を思い一度は拒絶しようとしたものの、父の進言もあり従妹を差し出すことに。
同じ頃、フレアとの間に子供も生まれ、穏やかな生活を送っていたレッドボット。そこへ、妹がフランク国の宰相子息へ妻として差し出されるという知らせを聞く。レッドボットは妹を救うため、フレアと息子を連れて一路ドレスタッドへ。
数年ぶりに戻って来た故郷は、フランク人から不当な扱いを受け、民は驚くほど簡単に命を奪われていた。
レッドボットは単身でランスのフランク国居城へ侵入。妹が水攻めにされているのを目撃するが、見つかってしまい逃走する羽目に。結局、妹の救出は失敗し、フレアと共にウェイナルドゥムへと向かった。
映画『ウォリアー』のあらすじ【転】
ウェイナルドゥムにやって来たレッドボット夫妻。新王ユレやかつての恋人と再会を喜ぶ。エイバートは甥に王座を奪われるのではないかと警戒していたが、レッドボットにそのつもりはなく、臣下の礼を尽くした。すると、ユレは彼を歓迎し、レッドボットは従弟に王のバッジを譲り渡すのだった。
宰相子息は庶子で長い間、父親に虐げられていた。彼はドレスタッド侵攻を悔やむ父親と対立し、宰相に毒を含ませ、本妻の子を殺してしまう。そして、彼はドレスタッドから更にヴォータンへと侵攻を開始するのだった。
レッドボットの言葉に触発されたユレが挙兵。湿地帯にて宰相子息の侵攻を阻み対峙する。先んじてドレスタッドが敵の隊長を倒したことにより、フリース軍の士気が上がる。ユレが本隊の指揮を執っている間、ドレスタッドは小隊を率いて、満潮の海を駆け抜けた。追跡していたフランク軍の小隊は波に飲まれる。即座に本体へ向けて踵を返したレッドボットが加勢に入り、戦いの士気は最高潮へ。宰相子息はレッドボットの迫力に押され、軍を退却させるのだった。
これにより、危機感を募らせたエイバートは、密かに宰相子息と取引を行い、レッドボットを陥れようと画策。
ところが、ここへきてレッドボットは周囲からの期待に恐れを抱いていた。王はユレであるのに、自分が真の指導者になれるはずもない。その上、フレアはキリスト教を密かに信仰しており、キリスト教を受け入れずむしろ憎んでさえいるフリース人に、容認されるとは思えなかった。
映画『ウォリアー』の結末・ラスト(ネタバレ)
レッドボットが思い悩んでいる間、フレアは人里離れた教会を訪れ司祭を通じて宰相子息の説得を頼んだ。しかし、故郷を見て回り心を決めたレッドボットは、ユレにドレスタッドの奪還を進言。ヴォータンの仲間にありったけの舟を出すよう手配した。
フリース人が信仰している神木を邪教だという理由から大司教が切り倒そうとする。急いで向かったレッドボットだったが、大司教に詰め寄った巫女が殺されてしまう。彼女は幼い頃よりレッドボットを支え、道を示してくれた人物であった。
深い悲しみに襲われたレッドボットだったが、チャンスとばかりにエイバートが宰相子息と共に現れ全てフレアの仕業だと声高に叫ぶ。その話にフリース人は動揺。宰相子息はレッドボット一派を捕縛し、神木を切り倒してしまうのだった。
ユトレヒトへ連行されたレッドボットは、息子を人質に取られ牢に入れられた挙句、洗礼を強要される。彼は寸前で考え直し、脈々と継がれてきたフリース人としての矜持と信仰を叫ぶ。すると、ユレ率いるフリース人が奮起。たちまち戦闘が開始される。しかし、戦闘の最中、ユレが敵の剣に倒れてしまいレッドボットへ王のバッジを返還。従弟は志半ば、泣きながら息を引き取った。
騒乱の中、宰相子息はレッドボットの妹と息子を連れてドレスタッドへ逃走。罠だと承知しつつ、レッドボット一派も故郷へ向かった。満月が夜空に上がっている。敵と対峙したレッドボッドは、月が太陽の影に隠れる時を待った。皆既月食である。亡くなった巫女はその自然現象を予言しており、レッドボッドはこれを利用して作戦を立てていたのである。
誰もが怯む中、フリース軍が突撃を開始。ランス川にはヴォータンの舟が到着し、援軍に駆け付ける。戦闘が不利と見た宰相子息が集落に火を放った。フレアは息子を無事に取り戻したが、元恋人は夫を亡くしてしまう。レッドボッドは宰相子息に一騎打ちを仕掛けるも、妻を人質に取られ奴の逃走を許してしまう。その上、息子を抱いたフレアに槍が投下。それを元恋人が庇い命を落としてしまうのだった。
しばらく後、フランク人はフリースラントをキリスト教に改宗させ大司教は聖人となり、レッドボッドは歴史から消された。だが、彼は伝説として語り継がれ、今も民の中で生き続けている。
映画『ウォリアー』の感想・評価・レビュー
オランダ発のスペクタクル歴史アクション。B級映画かと思いきや、かなりクオリティが高く、迫力のある作品となっている。フランク人とはゲルマン人部族のことを言うらしく、フランク国は多くの領土を手中に治め、かなり強大な国であったようだ。彼らからすれば、フリースランスの民は蛮族であり、ヴァイキングのような存在であったと思われる。
今作はフリースランス国がフランク国に支配される以前の話であり、実際に語り継がれる英雄譚に脚色を加えたものらしい。蛮族側の視点で描かれているため、自然信仰であった彼らにとって、キリスト教こそが邪教であったに違いない。長尺な映画ではあるが、丁寧に描かれているため、引き込まれる大作に仕上がっている。(MIHOシネマ編集部)
あまり馴染みのないオランダ映画に160分というかなりの超大作。「戦いの歴史は、彼をキングと呼んだ!」と、ものすごく安易なキャッチコピーに不安を感じながら鑑賞です。
史実に基づいた作品だそうで、かなり説明や予備知識の部分が長く感じました。
戦いのシーンはなんだかイマイチ。「キング」と呼ばれた彼の強さもそこまで感じることは出来ませんでした。
史実に忠実に描いたのだと思うのですが、何かしら盛り上がりがないとつまらない作品になってしまうなと感じました。(女性 30代)
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