映画『ギャングスタ(2018)』の概要:ベルギーのギャングに憧れる若者4人が、麻薬を横流して大金を儲ける。しかし、バカンス先にてモロッコのギャングとトラブルを起こし、更に麻薬市場の価格低下にて抗争が勃発。4人は抗争に巻き込まれ、命の危機に陥ってしまう。
映画『ギャングスタ』の作品情報
上映時間:125分
ジャンル:アクション
監督:アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー
キャスト:マッテオ・シモーニ、ノラ・ガリプ、サイード・ボーマズーヘ、ユネス・ラサール etc
映画『ギャングスタ』の登場人物(キャスト)
- アダモ(マッテオ・シモーニ)
- ギャングに憧れる青年。中東系とイタリア系のハーフ。頭の回転が速く、度胸もあるリーダー的存在。10歳の頃に両親を強盗に殺され、バディアの父親に引き取られる。
- バディア(ノラ・ガリブ)
- アダモの幼馴染で紅一点。キックボクサー。アダモと兄妹同然に育ち、まるで恋人同士の距離感を持つものの、恋愛対象にはならないと断言している。マリーと恋人同士になる。
- ヴォルト(サイード・ボーマズーヘ)
- ギャングに憧れを抱くアダモの幼馴染。常に興奮気味でハイテンション。自動車工の兄がおり、いつも叱られている。少々、学が足りないものの良き仲間。
- ジュネス(ジュネス・ラサール)
- ブレイクダンサーでアダモの幼馴染。止まっていることができず、踊り続けている。
- マリー(ヴェルナー・コルフ)
- アムステルダムのギャング。黒人系で体格も良く、常に周囲を威圧している。ディアスに惚れて恋人関係になる。普段は優しいが、怒ると非常に怖い。モロッコのギャング、ハッサンとコカインの支配権を巡って争っている。
- ハッサン(アリ・B)
- モロッコのカルテルで、神風のハッサンという異名を持つ。コロンビアの麻薬組織と結託し、マリーの組織とアダモたちを追い詰める。バディアにしつこく言い寄っていた。傲慢で短気。
映画『ギャングスタ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ギャングスタ』のあらすじ【起】
幼馴染のアダモ、紅一点のバディア、ヴォルト、ジュネスの4人はいつも一緒で、ギャングに憧れを抱いていた。特にアダモはバディアと仲良しで父親同士も親友だった。2人はまるで兄妹のように育ち、バディアの父親にしてもアダモは息子のような存在だった。
レベル1、怠惰
成長した2人は、バディアの父親がオーナーのピザ屋で配達のバイトをしながら、裏稼業に勤しむ。アダモはバディアの父親を手伝い、ギャングとの交渉の場へ出向くことに。バディアはそんなアダモを羨ましがり、一緒に仕事をしたいと考えているのだった。
レベル2、嫉妬
バディアの父親から大物ギャング、マリーのお迎えを頼まれたアダモ。その日はスーツで決めバディアの父親と共にマリーと対面。相手はモロッコからアントワープのルートを使って、コカインを安く輸入したいと考えており、バディアの父親と協定を結びたいと言う。だが、バディアの父親は危険すぎると儲け話を断ってしまうのだった。
アダモはバディアの父親を説得し、マリーの話に乗ることにする。アントワープ港は監視が緩いため、コカインの輸送にはうってつけなのである。早速、仲間と共に港へ向かい、コカインを運び出す。ところが、警備員がやって来てしまい慌てたヴォルト。時間稼ぎをした後、バタバタと仲間を回収した。
映画『ギャングスタ』のあらすじ【承】
仕事をやり遂げたことでマリーはアダモとその仲間達を歓待。アムステルダムにて楽しい一夜を過ごしたものの、アダモは両親のことを尋ねられ、悲しい過去を思い出してしまう。10歳の時、ドラッグストアに強盗が押し入り、目の前で両親を殺されたのだ。孤児になってしまったアダモは、バディアの父親に引き取られ今に至る。
仕事は順調に進み、マリーとの友好関係は続いた。ところが、会う度にバディアがマリーと距離を縮めていく。アダモはなんとなく釈然としなかった。
そんなある夜、ブツの運び出しを済ませたアダモ達はパトカーに追われる羽目になり、咄嗟に川へとブツを投げ捨て、慌てて派手な事故を起こしてしまう。
アダモはマリーへと報告し、酷く痛めつけられた。幸い、バディアが間に入ってくれたため、それ以上は殴られなかった。お陰で命拾いしたアダモだったが、バディアの父親にはきつく戒められるのだった。
レベル3、強欲
運河に投げ捨てたコカインのバックを回収したアダモ達。マリーはアダモを許すと言う。そうなると、宙に浮いたコカインはまるまる自分達のものとなる。アダモはこのことをバディアに話していなかったが、すぐに気付かれてしまったため、仲間に引き入れた。
スポーツバック3つ分のコカインを入手したアダモ達は、雑多な人種が集うザウド地区でコカインの売人を始める。この地区では市長ですらコカインを常用しているため、薬は飛ぶように売れた。
映画『ギャングスタ』のあらすじ【転】
レベル4、肉欲
アダモ達がコカインを安く売っていることで、マリーのコカインを買う者が激減する。そのせいで、彼が訝しみバディアの父親へと忠告にやって来る。大儲けして浮かれている場合ではなかった。アダモたちを注視しているのはマリーばかりではなく、悪徳警官もいるのだ。慎重にやらなければどちらかに捕まってしまう。アダモは仲間達をきつく叱りつけたが、他の3人にはまるで危機感がないのであった。
レベル5、暴食
モロッコ、夏のタンジールはギャングの行楽地だ。この町では金が物を言う。4人は揃ってバケーションを楽しんだ。昼は海で遊び、夜はクラブにてハイになる。だが、昼にもちょっかいをかけてきた男がクラブでバディアに粉をかけてくる。彼女は失礼な口をきく男をこてんぱんにしてやり、クラブのホールでは乱闘が勃発。ブチ切れた男が銃をぶっ放して来たため、急いで逃げた。
そうして、4人は地元のアントワープへ帰って来たのだが、タクシーを降りた途端、待ち伏せしていた警察に逮捕されてしまう。なぜなら、彼らが旅行へ出かけてから市場が落ち着きを見せたからだった。逮捕された4人のためにバディアの父親が弁護士を雇ってくれる。ひとまずは解放されることになったが、アダモは警官にバレた可能性が高いと思い、バディアは父親から厳しく咎められ家出してしまうのだった。
レベル6、憤怒
危険を察知したアダモとジュネス、ヴォルトは隠れ家へ戻り、残りのコカインを全て売却しようと考える。ところが、隠し場所にあったはずの麻薬が全てなくなっていた。アダモは人種差別主義の悪徳警官2人がやったのだと確信し、バディアにも知らせたが、彼女はそれどころではない。そんな彼女の前にマリーが姿を現した。
彼の車に乗ったバディアはマリーからスマホを見せろと言われ、厳しく咎められる。
その頃、コカインを奪ったのが悪徳警官だと思ったアダモは、警官の1人を襲撃したが、反撃されてしまう。バディアの父親に助けを求めたアダモは、対等になりたければバディアを見つけ出して来いと言われるのだった。
映画『ギャングスタ』の結末・ラスト(ネタバレ)
同じ頃、マリーに有無を言わせず連れて行かれたバディア。奴の元にモロッコのカルテル、ハッサンが現れる。アダモたちがコカインを安売りしたせいで、麻薬市場の価格が低下し大打撃を受けていると言う。しかも、ハッサンはモロッコでバディアにしつこく言い寄ってきた男だった。アムステルダムのクラブで銃撃戦が展開され、双方どうにか逃げ延びたものの、バディアはマリーに酷く脅され問い詰められる。そこで、彼女は悪徳警官がコカインを売ったと白状。
コカインを包んでいる袋には特殊な模様が入っており、調べればすぐに分かるようになっていた。確かにコカインの一部は警官が押収して懐に入れていたため、ギャングは即座にコカインを回収し、警官2人を始末してしまった。
このギャングとカルテルの抗争は、ニュースにて報道され、事態は更に大規模なものとなっていく。
実はマリーとハッサンは市場でのコカイン支配権を巡って何年も争っており、一触即発の状態だった。2つの勢力はチャンスを得たとばかりに、抗争を展開。アムステルダムでは連日、銃殺死体が見つかった。
一方、アントワープは静かなものだったが、アダモたちには妙なことが起こり始める。アダモは脅しだと仲間を落ち着かせたが、事態は更に悪い方向へ。
4人に関係する人々が次々と殺害され、バディアの父親のピザ店まで爆破されてしまうのである。ハッサンがコロンビアのマフィアにマリーが裏切り者だと告げたからだった。
いよいよ、アダモは追い詰められ警察へと泣きつくことにする。
レベル7、高慢
兄弟同然の警官を頼り、事情を話したアダモ。すると、警官は実に見事な作戦を立てた。捜査判事の力を借りて、コロンビアの麻薬組織から輸入されたコカインを大量に押収したと報道したのである。すると、コロンビアは敗北を認め抗争は無事に終結した。となれば、良かったのだが、事はそう簡単ではない。
アダモ以外の幼馴染はハッサン一味に捕まって、拷問を受ける。その動画がアダモに届いた。彼は逃げる時が来たのだと感じ、急いで荷物をまとめたものの捕まってしまう。そうして、同じように拷問されたが、そこへ警察が突入。実は、アダモは動画が届いた直後、兄弟同然の警官に一報を入れていたのである。たちまち、銃撃戦が開始されバディアを助けたアダモ。しかし、ハッサンは死に際にアダモの兄弟同然である警官を銃撃するのだった。
警官はすぐさま病院へ搬送されたものの、命を落としてしまう。4人は深い悲しみを抱きつつ、警官を偲んだのだった。殉職した彼は警察内で英雄と称されることになり、アダモ達は優秀な弁護士のお陰で罪を逃れた。
その後、ヴォルトはソーシャルワーカーとなり、ジュネスはオーディション番組で優勝し、人気ダンサーとなった。バディアはキックボクシングに打ち込み、ベルギー王者に。そして、アダモは現在、就職活動中。平凡な結婚か、あるいは最高のギャングか。まさに今、決断の時を迎えているのだった。
映画『ギャングスタ』の感想・評価・レビュー
ギャングに憧れる若者4人がギャングの麻薬を横流ししたことで、国際問題にまで発展してしまい、命の危険に晒されるという話だが、若気の至りとしか思えない。ストーリー展開は非常にテンポが良く、七つの大罪をテーマに進んでいく。序盤から中盤はまるでゲームのような演出になっており、若者がゲーム感覚で麻薬の横流しをする様を描いている。
後半は怒涛のクライム状態。ギャングの抗争が勃発し、ゲームどころではなくなっていく。当然、4人も逃げられるはずがない。主人公は頭の回転が速い青年であるが、やはり世間知らず。警察に泣きついたことで九死に一生を得るが、失ったものは非常に大きかったのではないだろうか。(MIHOシネマ編集部)
「7つの大罪」をテーマにしてストーリーが進む今作。同じテーマを描いた作品としてブラッド・ピット主演の『セブン』がありますが、「7つの大罪」という同じテーマでも世界観が違うだけでこんなにも表現の仕方が変わるのだと感じました。
ギャングに憧れる若者たちが麻薬を扱う裏社会に軽い気持ちで足を踏み入れてしまったことが原因で国際問題にまで発展してしまうストーリー。
命を狙われる恐怖を感じつつも、仲間が少しおバカだったり紅一点のバディアが妙に色っぽかったりと明るい雰囲気があったので全体的に重苦しくはありませんでした。とてもテンポの良い作品です。(女性 30代)
舞台はベルギー郊外、アントワープ。かなり治安の悪い都市で育った、4人組の物語。様々な人種、宗教が混在する世界が面白いです。そして、移民の苦悩を知ることができます。語りを適度に入れているため、話の筋が分かりやすいです。とにかく皆、横着者ですぐ図に乗りますから困ったものです。しかし、キリスト教における七つの大罪に沿って物語が進みますから、こんな生き方をしてはいけないなと良い戒めになりました。古めの音楽にポップなネオンが煌めいて、ベルギースタイルを楽しめました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー