映画『ブリザード 凍える秘密』の概要:カトリーナが17歳の時、彼女の母親が突然失踪した。思春期の彼女は母の失踪を意識しないよう生活し、心の傷を癒そうとする。大学生になり春休みに実家へ戻ったカトリーナは、母親の失踪について思わぬ事実と直面する。
映画『ブリザード 凍える秘密』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:サスペンス
監督:グレッグ・アラキ
キャスト:シェイリーン・ウッドリー、エヴァ・グリーン、クリストファー・メローニ、シャイロー・フェルナンデス etc
映画『ブリザード 凍える秘密』の登場人物(キャスト)
- カトリーナ・コナーズ / キャット(シェイリーン・ウッドリー)
- 17歳の時に母、イヴが失踪。その日以来おかしな夢を見るようになる。イヴからはキャットと呼ばれ愛されて育ったが、思春期を迎え身体が成熟し始めた時期から母親の態度が急変。カトリーナとイヴの関係はギクシャクしていた。
- イヴ・コナーズ(エヴァ・グリーン)
- カトリーナの母。娘をペットの如く可愛がり、自分のような美しい女性になるよう望んでいた。夫とは仮面夫婦で、些細なことで機嫌を悪くしていた。
- ブロック・コナーズ(クリストファー・メローニ)
- カトリーナの父。妻、イヴを愛していたが、思いは届いていなかった。妻の失踪で放心状態となったが、カトリーナと二人三脚の生活を送る。
- フィル(シャイロー・フェルナンデス)
- コナーズ家の隣に越して来た青年。カトリーナの恋人。盲目の母親のために、高校卒業後は就職して家計を支えている。
映画『ブリザード 凍える秘密』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブリザード 凍える秘密』のあらすじ【起】
カトリーナの母、イヴが失踪した前の週、母はドレスアップして娘のベッドに横たわっていた。カトリーナが話し掛けても彼女は上の空で、そそくさと家事をしに行ってしまった。
1週間後、1988年秋冬。カトリーナが学校から帰宅すると、父はリビングで放心状態になっていた。イヴが書き置きも残さず消えたと言うのだ。このことを恋人のフィルに相談しに行ったカトリーナだったが、フィルは不在。彼の母に連絡をくれるよう伝言を残す。ところが、彼の方から連絡はなく、カトリーナの方から彼に電話を掛けた。フィルは、トーマスという友人の所にいて連絡できなかったという。その夜からカトリーナは、吹雪の中でイヴが倒れている夢を見るようになる。
イヴにとってカトリーナは、ペットのようなものだった。彼女はカトリーナをキャットと呼び、自分のように細くて優雅な女性にしようとした。しかし、カトリーナが思春期を迎え身体も女性らしく成熟していくと、比例するようにイヴの機嫌は悪くなっていった。カトリーナは、イヴの理不尽でヒステリックな態度に度々反発するようになっていった。
一晩経ってもイヴが家に戻って来ないので、父とカトリーナは警察へ向かった。捜査にあたるテオ・シーズシエズ刑事に父やフィルとは違う男らしさを感じたカトリーナは、初々しい身体を持て余す。
落ち込んだ父は、カトリーナを精神科医によるカウンセリングに通わせた。そこでカトリーナは母との思い出を回想する。
映画『ブリザード 凍える秘密』のあらすじ【承】
イヴからペットのように可愛がられて育ったカトリーナだったが、彼女が父に軽蔑の目を向けていたことには気付いていた。父と結婚し専業主婦になったイヴは、社会と断絶された。家事とだけ向き合う日々の中で、父が会社での話をする度イヴは不機嫌な態度をとり、父はただ耐えていた。当然2人はセックスレスだった。イヴはオーガズムを感じられず、父は地下室でオナニーをする。カトリーナは、父親がアダルト雑誌を隠している棚に掛ける鍵の暗証番号まで見抜いていた。
イヴが失踪してから雪景色の中に彼女がいる夢を見ることも打ち明けたカトリーナは、精神科医と話す内、イヴに浮気願望があったのではないかと疑いはじめる。よくよく思い返せば、失踪の直前のイヴはセクシーでタイトな服を着ることが多く、下着が透けるようなネグリジェでカトリーナの部屋を訪れたこともあった。
決定的だったのは、カトリーナとフィルが地下室で宿題をしていた時のことだ。泥酔したイヴが露出度の高い服を着て降りてきて、そのふしだらな恰好を見た父と目の前で夫婦喧嘩を始める。夫から食事を作れと言われたイヴが冷凍庫を開けると、プラグ抜けが原因で中の食品が全て腐っていた。イヴはヒスを起こすと錯乱し「誰も私の話を聞かない!」と叫んで自分の部屋に帰っていってしまった。
このことをテオに情報提供するという口実で彼の部屋に上がり込んだカトリーナは、そのまま身体を重ねた。
映画『ブリザード 凍える秘密』のあらすじ【転】
イヴの失踪から2年が経ち、カトリーナは地元を離れバークレーの大学に通っていた。カトリーナはルームメイトに、春休みを利用して1週間だけ帰省することを伝える。
カトリーナが地元の空港に到着すると、父が嬉しそうに出迎えてくれた。実家までの道中、父に恋人ができたこと告白されたカトリーナは素直に喜んだ。最早、イヴがいないという状況を受け入れてしまったのだ。カトリーナは、地元の友人らと遊んだりテオと再び身体を重ねたり、父の恋人と食事をしたりして充実した休暇を過ごす。
テオの部屋でカトリーナは、イヴの失踪事件の進捗を聞く。綿密な捜査の結果、イヴは殺害されている可能性が非常に高いというのだ。フィルが隣に越して来るすっと前、20年前に隣に住んでいたカールセン夫婦は、父、ブロックを嫉妬深くキレやすい男だと証言したらしい。娘から見れば気弱な男だが、周囲からの証言は180度見方が異なっていた。かつてカールセン夫婦の夫とイヴの浮気を疑った父は、ゴミ箱に放火して庭に投げ込んだという。警察が出した結論は、イヴの浮気現場を見た父が彼女を殺したのではないか、というものだった。
カトリーナは、旧友を自宅の地下室に招き酒を飲んだ。テオの結論を彼らに打ち明けると、友人らは顔を見合わせ「前にそれ言ったじゃん」「当時の君は耳を貸そうとしなかったよ」と、カトリーナの記憶にない証言をする。カトリーナは困惑したが、ぬるくなったシャンパンを冷やすため冷凍庫を開けに行く。ところが、冷凍庫の上には大量の古紙が重ねられており、さらにダイアル式の錠前まで掛けられていた。友人達と冷凍庫をこじ開けようとしたところに父が帰ってきて、その夜は解散となった。
友人達を見送ったカトリーナが家に戻ろうとすると、彼らと入れ替わりでフィルが帰宅した。フィルと話をしようとしても、彼はカトリーナを避けるようによそよそしい態度を取る。
映画『ブリザード 凍える秘密』の結末・ラスト(ネタバレ)
イヴが失踪する前、自分がいない所で彼女とフィルが2人で料理していたことを思い出したカトリーンはフィルを問い詰める。イヴが失踪した当日をさし「あの日どこにいたの?」と聞かれたフィルは「だから、トーマスの所だよ」とはぐらかす。カトリーンが尚もイヴと関係を持ったのかと食い下がると、フィルは苦しそうに「本当に何も知らないんだ、ゴメン」と顔を伏せた。何も得られないまま家に帰ろうとするカトリーンだったが、フィルは去り際に「でも、お父さんはお母さんをずっと近くに置いてた。お父さんに聞きな」と言い残す。
その夜、いつものように吹雪の中でイヴが自分を呼ぶ夢を見たカトリーンは、地下の冷凍庫へ向かう。錠前の暗証番号は、子供の頃こっそり開けた父の棚にかかっていたものと同じだった。恐る恐る冷凍庫を開けると、中には大量の冷凍食品だけが入っていた。そこへ父がやって来たので、カトリーンは涙ながらに「ママはどのなの?」と聞く。父は、辛そうな表情で「パパは知らない」と答え、カトリーンの春休みは終わった。
それが、カトリーンが父の姿を見た最後だった。彼女が実家から大学へ戻った数週間後、酒に酔った父はバーでイヴを殺害したことを告白、そのまま逮捕され、獄中で自殺したのだった。カトリーンと友人達が冷凍庫を開けようとした時には、その中にイヴの死体が入っており、カトリーンが寝ている間に父が山へと埋めに行ったのだという。
実はイヴが失踪した日の夕方、彼女が買い物から帰宅すると、ベッドの中に夫とフィルの姿があった。フィルは裸のまま逃げ出し、イヴとブロックは見つめ合う。ブロックは、呆れ果てて笑いが止まらなくなったイヴの首を絞め殺害。これが、イヴ失踪の真実だった。
カトリーンは、今更執り行われた母の葬儀を終えると、再び大学に戻った。飛行機の中で彼女は、偶然どこかで母に会えそうな気がして窓の外を見つめた。
映画『ブリザード 凍える秘密』の感想・評価・レビュー
非常にスリリングで繊細な物語だった。カトリーンが冷凍庫を開けようとするシーンはホラー映画さながらの緊張感が張り詰め、手に汗握る。彼女がイヴに向ける10代特有の反発心には、誰しも心当たりがあるだろう。細やかな心理描写が美しくもあり、恐怖を煽っている。
フィルと寝ている場面を見られたことでイヴを手にかけた父だったが、彼は両性愛者だったのか、またはイヴがフィルに色目を使っていることに対する当てつけだったのか、動機は最後までハッキリしない。(MIHOシネマ編集部)
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