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映画『フロントランナー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『フロントランナー』の概要:1988年、コロラド州選出の上院議員ゲイリー・ハートは大統領選の有力候補になっていた。キャンペーンが始まって少し経った頃、マイアミ・ヘラルド紙に一本の電話が掛かってくる。その電話はハートの行く末を大きく変えることとなった。

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映画『フロントランナー』の作品情報

フロントランナー

製作年:2018年
上映時間:113分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ
監督:ジェイソン・ライトマン
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ヴェラ・ファーミガ、J・K・シモンズ、モリー・イフラム etc

映画『フロントランナー』の登場人物(キャスト)

ゲイリー・ハート(ヒュー・ジャックマン)
1988年の大統領選に立候補したコロラド州選出の上院議員。未来に対して確固たる信念とビジョンを持ち、甘いマスクで有権者たちの心を掴んでいたが、マスコミの不倫記事の影響で辞退に追い込まれる。
リー・ハート(ヴェラ・ファーミガ)
ゲイリーの妻。献身的にゲイリーを支えるが、別居したこともある。今回の不倫騒動では大きく傷ついた。
ディクソン(J・K・シモンズ)
ハート陣営の選挙参謀。ハートとは30年の付き合い。不倫騒動に対応するべきだとハートに助言を与え、自身も火消しに飛び回る。ハートが考える政策やビジョンに強い共感を示し、彼がいなければ米国は崩壊すると考えている。
パーカー(マムドゥ・アチー)
ワシントン・ポスト紙の記者。ハートに同行して信頼を深めていく。
フィドラー(スティーブ・ジシス)
マイアミ・ヘラルド紙の記者。ハートの不倫疑惑の電話を受け、事実確認のためにドナを尾行する。
ドナ(サラ・パクストン)
クルーズ船でハートと出会った女性。

映画『フロントランナー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『フロントランナー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『フロントランナー』のあらすじ【起】

1984年、コロラド州から選出された上院議員のゲイリー・ハートは大統領選に挑んだが、前副大統領モンデールの前に大敗してしまう。陣営の仲間たちは肩を落としたがハートは、我々に力があることを見せつけることができたと諦めてはいなかった。それは事実で、1988年の大統領選ではハートは他の追随を蹴散らし、圧倒的大差で大統領への道をひた走っていたのである。

陣営の皆はハートを勝利に導くため、さまざまなイメージ戦略を考えていた。ハートは政治のことを誰にでも分かりやすく伝えることに長けていたが、マスコミが欲しいのはそれよりもゴシップだった。ハートは真面目な男ではあったが、女性関係だけは少し問題があった。そこをマスコミに狙われてはたまらない。皆は妻のリーと仲睦まじい写真をマスコミに流してはどうかと話したりもした。

コロラドのだだっ広い荒地で出馬表明をするという型破りなスタートから始まり、彼は一週間のうちに各地を回って懸命にキャンペーンに勤しんだ。週の終わり、ルイジアナ出身のロビイスト、ビリー・Bと共にクルーズ船に息抜きにやってきたハートは、そこでドナという女性と知り合う。

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映画『フロントランナー』のあらすじ【承】

キャンペーンは続き、ハートは順調に有権者の支持を集めていった。そんな時、マイアミ・ヘラルド紙の政治担当の記者フィドラーのところへ一本の電話が掛かってくる。相手の女が言うには、自分の友達がハートと浮気しており、週末にワシントンで密会するというのだ。しかし、ハートは週末にはケンタッキーにいる予定だったため、フィドラーはガセネタだと思い、相手にせず電話を切った。しかし、急遽ハートがケンタッキー行きを止めたことで情報に信憑性が生まれた。フィドラーは同僚のマーフィーと共にこのネタを追ってみることにする。

ハートにはワシントン・ポスト紙の若き記者パーカーが同行していた。ハートは彼と積極的に話し、二人には信頼関係が生まれつつあった。だが、パーカーが以前に妻と別居したことを問いかけるとハートはあからさまに不機嫌になった。それでも返答を求めるパーカーに対して、もし私に女性問題を疑うならば尾行でも何でもすればいい、退屈するだけだ、とハートは声を荒げた。

マイアミ国際空港で張り込みをしていたフィドラーとマーフィーは、目の覚めるような美人がワシントン行きの飛行機に乗るのを見て彼女がハートの相手だと確信する。二人はそのまま彼女を尾けて行き、ハートの自宅に辿り着いた。しばらくして彼女とハートが出てくるのを確認した二人は、特ダネの匂いを感じ、ハートの自宅を監視することに決める。

フィドラーはハートがパーカーに言った“尾行しろ”という記事を見つけてきた。この言葉のおかげで堂々と尾行することができるからだ。その後、カメラマンも合流し、数日に渡って車からの監視を続けた。ある日、ハートは彼らの監視に気がついた。何も知らない彼は、選挙戦のライバルであるジョージ・ブッシュ陣営の監視ではないかと警戒を強めただけだった。

ある晩、ハートは記者を待ち伏せし、なぜ監視するのか直接質問した。記者は緊張しながらも、今、自宅にいる女性は何者なのかと尋ねた。ハートは家には誰もいないと言い切ったが、マイアミからやってきた女性が家に入ったきり出てきていないとマーフィーは反論した。更に“出馬表明で候補者は清廉潔白でモラルを重んじるべき”と言ったとフィドラーが続けた。だが、ハートは動揺しながらも強い口調で、説明する必要はない、家には誰もいないと繰り返し続けた。

この特ダネを今すぐに記事にしなければ。そう思った二人は、大急ぎでホテルに戻って記事を書き始めた。だが、上はなかなか許可を出さない。相手の女性の名前も分からず、裏も取れていないからだ。しかし、このネタはワシントン・ポスト紙すらまだ掴んでいないものだと説得した結果、翌日の朝刊に記事を載せると決定する。

ハートは陣営の指揮を執るディクソン参謀に連絡を入れて事態の収拾を図った。ビリー・Bにも情報が入り、彼は相手の女性であるドナに直接、事実確認を行った。ハート陣営は迅速な火消しに奮闘したが、記事を取り下げることはできなかった。ハートはリーに電話して状況を説明。すまないと謝ったハートだったが、リーは静かに怒りを露にした。

映画『フロントランナー』のあらすじ【転】

ビリー・Bの所を訪ねたディクソンはドナと対面した。彼女はビリーを通じてハートの選挙活動に参加したく、彼を紹介してもらっただけだと弁解した。相手が男では心を開かないと感じたディクソンは、仲間のアイリーンにドナの対応を任せた。

コロラドにあるリーと娘のアンドレアの家にはマスコミが押しかけ、陣営は二人を安心させるために人を向かわせた。アイリーンはドナの話を聞き、二人でお酒を飲んだことで彼女はすっかり警戒心を解いたようだった。

ハートは雲隠れし、ニューヨークでの演説会のスピーチ原稿のチェックをしていたが、ディクソンは早めに対処しなければ大変なことになると忠告した。しかし、ハートは、馬鹿げたゴシップなどに神聖な選挙をダメにされたくないと言ってきかない。結局、何の対応もしないまま、彼は演説会に向かうこととなった。

演説会には多くのマスコミが集まったがほとんどがゴシップ狙いの者たちだった。ハートは経済問題についての発言をする予定だったが、その前に今回の騒動の記事について敢えて触れた。会場にはマイアミ・ヘラルド紙の編集長マーティンデールも来ていた。ハートはヘラルドの記事を真実ではないと切り捨てたが、それを聞いたマーティンデールは反論。しかし、ハートは、自宅には裏口もあって、そこからドナが出て行った可能性もあるのに、お宅の記者は裏口があることも知らなかった、そう言ってマーティンデールをやり込めた。

アイリーンはドナを空港で見送った。ドナはすぐさまマスコミに取り囲まれ質問攻めにあった。不安になったドナはアイリーンを振り返ったが、そこにはもう誰もおらず、彼女は急ぎ足で搭乗口へと向かって行った。

演説会の効果で、テレビやマスコミは転じてヘラルドの記事の信憑性について疑いだした。そんな時、ワシントン・ポスト紙に匿名で写真が届く。それは6か月も前のものだったが、ハートがあるロビイストの女性と浮気している現場の写真だった。パーカーは匿名の写真など記事にできないと言ったが、編集長は、他所の新聞社にも送られているはずだ、うちだけ書かなかったらそれこそ問題になると掲載を決めてしまう。なぜ、ハートを敵視するのかとパーカーは女性の同僚記者に尋ねた。すると、ただの女好きの男なら気にしないが、彼は権力を持ち、大統領になる責任を持った男だ、だから問題なのだと返事を返された。

ハートはニューハンプシャーで記者会見を開くことにした。打ち合わせをしていると、リーが姿を現す。彼女はハートに冷たく、厳しい言葉を浴びせた。自分と別れるのかとハートが問うと、いずれそうなるかもしれないとリーは言い、それまでは私が感じた痛みをあなたが背負って生きなさいと続けた。

映画『フロントランナー』の結末・ラスト(ネタバレ)

記者会見が開かれ、集まった多くのマスコミからは今回の不祥事について鋭い質問が飛び交った。ハートはそれらに冷静に的確な返事を返していった。ポスト紙のパーカーの番になった。彼は、ドナとは性的関係は無かったのかと問いかけた。ハートは無かったと答えた。不倫は不道徳かと思うかと問われたハートは、そう思うと答えた。最後にパーカーは、過去に不倫をしたことはあるかと質問した。ハートは動揺し、なかなか言葉が出てこなかったが、ここでそれを聞くのはフェアじゃないと答えを濁してしまった。

会見後、陣営たちやリーと食事をしたがハートは上の空だった。アンドレアに電話したリーは、彼女が今回のことで酷い目にあったと知らされて悲しみの声を上げた。それがハートの気持ちを決める決定打となった。彼は今回の選挙戦を辞退することを決め、デンバーの自宅の戻ることにした。

辞退表明の時、ハートはこう言った。自分の大切な家族や友人に危害が加えられることがあってはならない。この国の指導者を選ぶ仕組みに疑問を持つべき。マスコミはハンターと化し、優秀な人材を潰してしまう。このままでは選挙はスポーツ競技のようになる。その結果、米国民が愚かな指導者を持つ日がくるかもしれない。私は折れておらず、憤っている。私は過ちを犯したが、それは人間だからだ。理想を持つ若者たちはその松明を消さずに歩いて行ってほしい。私の心は、未来に向かう君たちと共にある、と。

ハートとリーは現在も離婚せず、結婚生活を続けている。

映画『フロントランナー』の感想・評価・レビュー

実話がベースだから多くの点で不透明に仕上がっている。その不透明さは意図したものであり、その部分を考えるのがこの映画の醍醐味だと思う。マスコミで報道されたことを人々が鵜呑みにしてしまうように、映画で作られたものもすぐに人に影響を与えてしまうからだ。自分たちが何を信じるか。真実はどこにあるのか。真実はどのような形で表現されるのか。情報の受け取り側もそうだが、むしろ情報の発信側にとって考えさせられる作りになっていたと思う。(MIHOシネマ編集部)

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