映画『トゥ・ヘル』の概要:妻子を亡くして深い悲しみに陥っていた主人公。ひょんなことから霊界と交信することができる女性と出会い、協力することで彼女の娘の魂を呼び戻す。ところが、呼び戻した魂は娘のものではなく、亡き妻の魂だった。
映画『トゥ・ヘル』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:サスペンス
監督:マリア・プレラ
キャスト:ニコラス・ケイジ、フランカ・ポテンテ、ペネロープ・ミッチェル、ギャレット・クレイトン etc
映画『トゥ・ヘル』の登場人物(キャスト)
- ジョー(ニコラス・ケイジ)
- トラック運転手。妻メアリーと幼い娘を火事で亡くし深い悲しみに陥っていたが、ジュリーと出会い心の平安を得る。ビリーの中にいる魂がメアリーだと知ると、2人で人生をやり直そうと考える。女性には絶対に手を上げない。少年時代、父を殺害した経験を持つ。
- ジュリー(フランカ・ポテンテ)
- 霊界と交信する能力を持つ女性。ドイツ人だが、アメリカの海兵隊員と結婚しアメリカへ移住。夫が行方不明となり、その後は娘のビリーと二人暮らし。ジョーの優しさに心を打たれ、恋人関係になる。元トラック運転手。
- ビリー(ペネロープ・ミッチェル)
- ジュリーの娘。バイク好きでマイクたち仲間とよくツーリングへ行っていた。率先して家事をするなど、素直でとても良い子だったが、バイク事故の際、意識不明に陥りメアリーによって身体を奪われてしまう。
- マイク(ギャレット・クレイトン)
- ビリーのバイク仲間。整備の授業でビリーと出会い意気投合。バイク事故の際も共に走っており、事故直後から病院へも来てくれていた。ビリーに好意を抱いている。
- メアリー(リディア・ハースト)
- ジョーの妻。金髪の美しい女性。ジョーとの間に娘を儲けていたが、夫が仕事で家を空けることが多いことから、寂しさのあまり心を病んでしまう。火事によって娘と共に死亡したが、ビリーの身体を乗っ取りジョーとやり直そうとする。
映画『トゥ・ヘル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『トゥ・ヘル』のあらすじ【起】
妻メアリーと子を亡くし傷心の日々を送っていたジョー。ある夜、ストアのトイレにて首を絞められている女性を発見して助けた。ところが、女性ジュリーは襲われていたわけではないと言う。彼女は娘がバイク事故で意識不明に陥ったため、魂を戻そうとしたらしい。ジョーが助けた直後、病院から意識が戻ったと連絡が入ったため、ジョーはジュリーを病院へと送って行くことになった。
幼い頃、臨死体験をしたジュリーはそれ以来、あちらの世界と繋がりやすくなったと言う。故に、手っ取り早く首を絞めあちらの世界と繋がり、娘ビリーの魂を呼び戻したのだった。
病院にて娘と対面したジュリーだったが、ビリーが再び意識を失ってしまう。ジュリーはジョーに首を絞めてもらい、娘を呼び戻した。
夜が明け、病院からジュリーを自宅へと送ったジョーは、彼女と良い仲になり勢いで身体を重ねてしまう。ジュリーの夫は海兵隊員だったが、現在は行方不明らしい。
映画『トゥ・ヘル』のあらすじ【承】
3日後、ビリーが退院。ジュリーと恋人関係になったジョーは、母子を自宅へ送り届けてから仕事へ。彼の仕事はトラック運転手だったが、ジュリーを助けたために仕事を棒に振ってしまい、肝心のトラックを没収されてしまう。
その頃、ビリーのバイク仲間が彼女を訪ねて来る。病院にも来ていたが、ジュリーが追い払っていたため、今回ばかりは娘と会わせた。ところが、ビリーは事故前の記憶が全く無いと言う。あるのは事故後の記憶だけで、仲間のことも覚えていないと言うのだった。
その日の夕方、荷物を持ったジョーがジュリー宅へ。ビリーは仲睦まじい2人の様子をじっと見つめ続けた。彼女は意識を取り戻してから様子がおかしく、以前のビリーとは違っているらしい。
翌日から3人での生活が始まったが、ビリーは密かにジョーへとモーションをかける。ジョーは会社に多額の借金をしており、私物もトラックも没収されていた。実はジュリーも元はトラック運転手をしていたことがあり、家にはトラックがある。ジョーはそのトラックとビリーのバイクの整備をして過ごした。
映画『トゥ・ヘル』のあらすじ【転】
そんなある日、ジュリーが出かけ家にはビリーとジョーしかいなかった。ビリーは下着姿でジョーに迫り、自分がメアリーであることを明かす。どうやら、病院にてビリーの身体へ戻った魂はメアリーだった様子。最初は信じなかったジョーだったが、メアリーしか知り得ないジョーの生い立ちを明かされすっかり信じてしまう。妻を深く愛していたジョーは彼女との再会を喜び、身体を重ねようとしてしまう。
ところが、そこへジュリーが帰宅。彼女はジョーの私物を取り戻してくれる。以降、ビリーとジョーの仲が怪しいと気付いたジュリー。ビリーの中にいるメアリーとジョーを取り合うことになる。そこで、ジュリーは霊界に詳しい看護師へと相談。ビリーの代わりに身体へ戻った魂がジョーの妻メアリーであることを知るのだった。
そうして、自宅へ戻ったジュリーだったが、ビリーとジョーが抱き合っている場面へ遭遇。彼女は激怒しジョーへとメアリーを追い出すよう言い募った。
ところが、メアリーとジョーは結託してジュリーを殴り倒してしまう。
映画『トゥ・ヘル』の結末・ラスト(ネタバレ)
2人は荷物をまとめて逃走。ビリーのバイク仲間であるマイクを頼ったものの、誤って友人を殺してしまう。ジョーとメアリーは更に逃走し元の家へ。
その後、ジュリーの元へ血塗れのマイクがやって来る。彼女は彼へと信じ難い真実を明かすことにした。
ジョーが仕事で家を空けている間、メアリーの寝煙草が原因で家が火事になった。そのせいで、当時5歳だった娘と妻が焼死してしまう。酷く寂しがっていた妻子を置いて、無理矢理に仕事へ行ったためにジョーは酷く自分を責めた。故に、彼は戻ったメアリーと共に失われた時間を取り戻そうと考える。
事情を知ったマイクはジュリーと共にジョーの家へ向かい、2人と対峙。すると、そこでメアリーが真実を明かす。なんと火事の前に娘を自ら殺害したと言うのだ。メアリーは死んだ後、娘と共にいたと言うが、娘といるよりもジョーといることを望んだのだった。
ショックを受けたジョーは娘の名前を呼びつつ、家の中を歩き回る。そして、その間にメアリーと揉み合いになったジュリーは、銃の誤射により命を落としてしまう。彼女はメアリーの魂を連れて霊界へ。ジョーは頭からガソリンを被って自らに火を放った。
メアリーが抜けたことで、ビリーの身体には本来の持ち主の魂が戻る。ビリーは息絶えた母親の姿にショックを受けたものの、マイクによって外へと逃れるのであった。
映画『トゥ・ヘル』の感想・評価・レビュー
もっと霊的な作品かと想像していたが、霊的なのは魂が入れ替わったくらいで、むしろ人間の愛憎を描いた作品だった。主人公は幼い頃から父親の暴力に晒され育った経緯を持っており、愛に溢れた家族を夢見ていたのだろう。選んだ妻は確かに愛情深い女性であったが、寂しさのあまりに心を病んでしまう。
霊界と交信することができる女性は、幼い頃の臨死体験により瀕死状態に陥ると霊界へと入り魂を呼び戻すことができるらしいが、それ以外の能力はあまり描かれていない。突っ込みどころは多々あるも、愛憎劇として見るなら悪くないB級映画。(MIHOシネマ編集部)
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