映画『恋のしずく』の概要:ワインソムリエを目指していた大学生で理系女子のヒロイン。農大の実習にてなぜかワイナリーではなく、日本の酒蔵へ行くことに。ヒロインは日本酒が苦手だったが、酒造りに携わることで次第に日本酒の魅力へと引き込まれていく。
映画『恋のしずく』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:瀬木直貴
キャスト:川栄李奈、小野塚勇人、宮地真緒、中村優一 etc
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映画『恋のしずく』の登場人物(キャスト)
- 橘詩織(川栄李奈)
- 東京の農業大学にて醸造を学び、ワインソムリエになるため、フランス留学を目指している。理系女子で真面目な性格。日本酒でしこたま酔っぱらい、居酒屋から出禁を言い渡された過去がある。実は酒豪。
- 乃神莞爾(小野塚勇人)
- 乃神酒造の息子。蔵元を継がず、陶芸に嵌っている。蔵元の父輝義が母を蔑ろにしたとして、反発してばかりいるが、実は乃神酒造を裏からバックアップしようと奮闘していた。高身長でバイクを乗り回し、口が悪い。
- 高宮美咲(宮地真緒)
- 乃神酒造へ酒米を卸している米農家の娘で、乃神酒造の杜氏でもある。莞爾を弟のように思い心配している。別れた男の子供を妊娠しており、一人で思い悩んでいた。何かと詩織の面倒を見てくれる。
- 有重一紀(中村優一)
- 有重酒造の蔵元で酒造界の期待の星。若いながらも日本酒に対して深い知識を持ち、日本酒の可能性を広める活動を率先して行っている。実は美咲へと好意を寄せており、詩織を利用して美咲に近づこうとしている。清潔感のある好青年。
- 坪島泰淳(小市慢太郎)
- 乃神酒造の杜氏頭。長年、乃神酒造にて杜氏として働く人物で、酒造りに関しては厳しいが、普段は温厚でにこやか。酒造りへと真摯に向き合い、蔵元の輝義と新しい酒造りに奮闘したこともある。
- 乃神輝義(大杉漣)
- 乃神酒造の蔵元。日本酒が大好きだが、心臓が悪く自宅療養中。非常に穏やかな人物で、詩織に対しても真摯に謝罪する。息子の莞爾と対立しているが、見守っているようでもある。
映画『恋のしずく』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『恋のしずく』のあらすじ【起】
東京の農業大学3年醸造学科、橘詩織の専門はワイン。ワインソムリエを目指すだけに味や香り、知識も豊富に蓄えていた。ところが、実習先に決められた場所は、日本酒の日本三代銘醸地の広島県東広島市の酒蔵、西条。日本酒には良い思い出がなく、身体に合わないとして教授に抗議したものの、教授は単位を落としても良いなら好きにすれば良いと言う。詩織は頭を抱えながらも、広島へと向かうことにした。
東広島市、西条。赴きある街並みを歩き、実習先の乃神酒造へ辿り着いたが、今年は実習生を断ったはずだと言われる。それぞれに確認したところ、乃神莞爾という人物が受け入れ許可を出したらしい。酒造の事務員は名前を聞いて納得した様子だった。
その場に居合わせた酒米を作っている農家で、杜氏の高宮美咲の家にホームステイさせてもらうことになった。
実習初日、朝に乃神酒造へ向かうと乃神莞爾本人と遭遇。しかし、彼は許可したにも関わらず、実習を受けたことにして期間中は遊び倒せばいいと勝手なことを言う。蔵元の社長は体調が悪いため、今は会えないと言うものの事務所へ蔵元の当人、乃神輝義が登場してしまい莞爾はそそくさとその場を去って行くのだった。
輝義から手違いについて真摯に謝罪される。事情を話すと蔵元は自社の日本酒を味見させてくれるが、詩織は日本酒の香りも苦手である。その様子を目にした輝義は、今回は縁がなかったのだろうと苦笑いするのだった。
その日の夜、美咲と共に夕食を摂ったが、せっかくだから農家の手伝いをして欲しいと頼まれる。
翌朝、稲刈りの手伝いを行ったが、乃神酒造杜氏頭の坪島泰敦は手作業での稲刈りに拘っているらしく、広大な田んぼの稲をあれこれと叱られつつ稲を刈る。詩織はへこたれることなく、一生懸命稲刈りを行った。すると、坪島は彼女の根性を見直し輝義とも話をつけて、酒蔵へ来ても良いと許可をくれるのだった。
翌朝、指示通りに酒蔵へ出勤。まずは徹底して掃除をしろと言われる。酒造りに使う道具を綺麗にしたが、坪島は少しの汚れも見逃さない。道具の洗浄は良い酒を造るためには大事な工程の一つであり、酒の神様を迎えるためにも必要なことである。その意味も分からない詩織は口答えしてしまい、坪島に叱られてその日は帰ることになった。
映画『恋のしずく』のあらすじ【承】
叱られてばかりの詩織を励ますため、美咲が飲みに誘ってくれる。美咲の紹介で有重酒造蔵元の有重一紀を紹介された。彼はワインソムリエのように、あらゆる日本酒のタイプを詩織に教えてくれる。彼女は様々な日本酒の味わい方があることを知り、日本酒のことを良く知りもせず、苦手だという理由で一切を拒絶していたことに気付く。彼女は酒蔵へと戻り、坪島に指示されていた道具の洗い直しを、初めから全部やり直すのであった。
翌朝、坪島に謝罪し日本酒の作り方を教えて欲しいと頭を下げる。すると、杜氏頭は彼女の頑張りを認め、にやりと笑みを見せるのである。
酒蔵と同じ敷地内には、蔵元宅もある。そこで詩織は莞爾を見つけ、彼から母親が若くして亡くなっていることを教えてもらった。
日本酒のことを一から勉強することにした詩織。酒蔵の洗浄が終わると、いよいよ酒造りが始まる。酒の神様へ真摯に祈りを捧げた後、杜氏頭の坪島から一言。曰く、酒造りは命を作ることと一緒らしい。
大吟醸の品評会へ出席した詩織。有重酒造の大吟醸が今年も金賞を受賞し、一紀にお祝いを言う。すると、その場になぜか知り合いのワインリポーターがいる。彼とはワインを通じて知り合い、何度か共に飲んだこともあった詩織。酒蔵を継がない莞爾が、業務提携しようと勝手なことをしようとしていたため、坪島が激怒。そのせいで輝義とも大喧嘩となり、蔵元の体調が悪化してしまうのだった。
映画『恋のしずく』のあらすじ【転】
莞爾は莞爾で、酒蔵を守ろうとしての行動だったようだ。乃神酒造は小さな酒蔵だが、酒の売上も低下しており、このままでは潰れてしまう。家を継がないけれど長年、蔵人として働いてくれている坪島たちのためにも、蔵を潰すわけにはいかないと考えてのことらしい。
ところが、ワインポーターは酒造りに酒蔵は必要ないと考えている様子。そのことを知った莞爾は、彼との業務提携を断ることにするのだった。
それから少し後、輝義が息を引き取る。実習中の詩織も葬儀へと参列したが、親戚連中は輝義が亡くなったことで乃神酒造が潰れてしまうのではないかと大きな不安を抱え、莞爾に対して吐露する。莞爾は父親が亡くなったことで、自らの行動を反省。反発して喧嘩ばかりしていたが、本心では父親と酒を酌み交わしたかったと詩織の前で涙を流すのだった。
そんな2人の様子を影から目にしてしまった一紀は、酒造組合の会合に顔を見せた莞爾へと飲み比べを挑んだ。しかし、戦いは互角で勝負がつかない。しかも、一紀が思いを寄せる詩織は莞爾と共に帰ってしまい、酔い潰れた一紀には美咲がつくことになった。ところが、詩織に好意を持っているはずの一紀の本命が、実は美咲だったことが判明。だが、美咲は酔っぱらいの戯言として本気にはしなかった。
日本酒を利用したレストランへ美咲と訪れた詩織。その帰り、町を歩く莞爾を発見する。彼は見晴らしの良い神社へと向かい、決めたと大声で叫んだ。
後日、坪島の元へスーツを着た莞爾が現れる。彼は父親の荷物を整理していて、母親が書き残した書を発見していた。その書は、今は幻と言われる酒の銘でその昔、輝義と坪島が新たに造り出そうと奮闘したものだったが、母親が亡くなったために完成させることができなかった銘柄だった。莞爾は乃神酒造を継ぐことに決め、蔵元として酒の復活を坪島へ頼む。すると、杜氏頭は莞爾の決意を認めてくれるのだった。
酒造りは次の工程へ。そこからは莞爾も参加する。酒は生きている。詩織は発酵を眺め、思い悩んでいた。実習前に申請していたフランス留学への選考が通ったのである。今になって思えば、留学して良いものかどうか分からなかった。
映画『恋のしずく』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんな時、美咲の妊娠が発覚。どうやら別れた男との子供らしい。そこで、莞爾は母親が持っていた本を美咲へと見せる。その本は広島を舞台に描かれた内容だったが、7つの橋を渡って願掛けを行うことが書かれてあった。そこで、美咲と詩織もそれぞれに橋づくしの願掛けを行うことにした。東広島市内にある橋を何も言わず、声をかけられても振り向かずに黙々と歩き続けるのである。しかし、その願掛けの途中で美咲の体調が悪化。道半ばで彼女を見つけた詩織だったが、心配しつつも願掛けを成功させるため、互いに言葉も交わさず視線を合わせるだけで通り過ぎた。
体調が回復した美咲も再び歩き続ける。しかし、その途中で一紀が現れ美咲へと決意を告げる。そこには莞爾もおり、詩織も辿り着いた。一紀は美咲へとプロポーズ。彼女の願掛けはそこで途絶えてしまったが、美咲は一紀のプロポーズを受けることにした。
2人の姿を見届けた後、莞爾に促され願掛けの続きを行う詩織。そこからは莞爾と一緒に歩いた。一日中、歩き通しでくたくただったが、最後に神社へとお参りをして願掛けは無事に終了。莞爾と他愛無い言葉を交わして帰路に就いた。
発酵が無事に完了し、とうとう酒が完成。最初の一口を坪島から渡された莞爾は、味わってはっとする。幻の銘柄『命なりけり』は、造り手の心が宿った素晴らしい酒に仕上がっていた。それぞれに味見をして感動し、笑みがこぼれる。詩織にとっても忘れられない味になった。
これにて実習が終了。世話になった人々へ別れを告げ、莞爾に駅まで送ってもらう。駅で餞別だととっくりとぐい飲みを貰った。次に来た時はこれで一緒に『命なりけり』を飲もうと約束する。そして、電車の扉が閉まる間際、詩織は莞爾へと好きだと告白するのだった。
映画『恋のしずく』の感想・評価・レビュー
ワインと同じように日本酒にも深い魅力がある。ヒロインと造り手である杜氏を通して、日本酒の魅力を存分に描き、加えてヒロインと蔵元の息子、2人の成長も描かれている。
杜氏は職人でもあり、酒造りは非常に繊細な工程を踏んでいると思う。酒蔵では酒の神様に祈りを捧げることを当然とし、古くからの慣習が引き継がれている。若い世代ではそれを受け継ぎ存続させつつ、新たな世界を開こうと奮闘している。脈々と受け継がれる酒蔵を大切に思う人々の奮闘と、そんな人々と接して日本酒の魅力に気付いたヒロインの姿が違和感なく描かれ、とても気持ちの良い作品となっている。(MIHOシネマ編集部)
お酒や工場見学が好きな人にはたまらない作品だと思います。お酒は一滴も飲めませんが、工場見学が大好きでいつまででも見ていられるタイプの私は、この作品で描かれている日本酒の酒蔵の裏側を見られたのが物凄く楽しかったです。
そこで生きる人たちの人間ドラマがメインではありますが、酒造りに対する情熱や奮闘する様子をとても丁寧に描いているので、ここまで真心を込めて作られた「命なりけり」を飲んでみたいなと感じました。(女性 30代)
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