この記事では、映画『アルファ 帰還りし者たち』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アルファ 帰還りし者たち』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『アルファ 帰還りし者たち』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、アドベンチャー
監督:アルバート・ヒューズ
キャスト:コディ・スミット=マクフィー、ヨハンネス・ハウクル・ヨハネッソン、マルチン・コヴァルチク、イェンス・フルテン etc
映画『アルファ 帰還りし者たち』の登場人物(キャスト)
- ケダ(コディ・スミット=マクフィー)
- 首長タウの息子。次期首長となるべく邁進中であったが、初狩りの場にて崖から転落してしまう。心優しく生き物の命を奪うことに恐れを抱いている。狼のアルファには厳しく上下関係を躾ける。タウから生き抜く術を教え込まれている。
- タウ(ヨハンネス・ハウクル・ヨハネッソン)
- 部族の首長で、ケダの父親。星空から方角を読み取る方法や、大自然の中で生き抜く術をよく知っている。一族を率いる優秀な首長。厳しくも愛情深く、次期首長として期待しケダに様々なことを教えて育てる。
- ロー(ナターシャ・マルテ)
- タウの妻。首長の妻でもあるが、ケダの母親として息子をとても案じている。優しい気性のケダには狩りは向いていないとも思っている。夫婦仲はとても良く、いつでも夫タウと共にいる。
映画『アルファ 帰還りし者たち』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『アルファ 帰還りし者たち』のあらすじ【起】
ヨーロッパ、2万年前。高い崖の上へと獲物を追って狩りの一軍が迫っていた。一族の首長タウが率いる狩りの一軍には今回、初めて参加した若者が2人いる。その内の1人はタウの息子ケダ。首長は息子だからと言って特別扱いはせず、他と同じ扱いをした上で次期首長としての素質があるとケダが証明してくれることを期待していた。ところが、高い崖の上に獲物を追い詰めた矢先、寸前で臆したケダが獲物に反撃されて崖の上から転落してしまう。
そもそも、今回の遠征は一族にとって冬を越すための貴重な食糧を得る大事なものであり、タウにとっても首長として実力を証明するものでもあった。若者も自らの武器をまともに作れるようになってからではないと参加も許されず、その選出もかなり厳しい。タウの妻ローは優しい気性であるケダが狩りに出るには早すぎると心配していた。遠征中は火の熾し方や生きる術を習う。他部族との遭遇もあるし、夜には獣に襲われるなど常に危険と隣り合わせだった。
崖から転落した大事な息子を助けようとタウは自らを犠牲にしてまで崖下へ向かおうとしたが、一族の者達は優れた首長を失うわけにいかないと必死に引き止める。大量に獲物を狩ることはできたが、タウは大事な愛息子を失う結果となってしまう。
映画『アルファ 帰還りし者たち』のあらすじ【承】
獲物を運ぶ際、親交のある他部族が手助けに駆け付けてくれる。その部族の首長の息子も狩りにて命を落としていたため、首長はタウに死んだ息子がきっとケダを助けてくれると慰めてくれるのであった。
息子を思うタウの悲しみは深く、崖の上で弔いをした時も立ち上がれないほどであった。それでも彼らは泣く泣くその場を離れる。
それから数刻後、ハゲタカに突っつかれて意識を取り戻したケダ。父を呼んだが、応答があるはずもなく。体中はどこもかしこも痛む。夜には雷雨という悪天候の中、崖から脱出。
翌朝、ケダは右足の手当を自ら行い、崖上へ向かった。すると、そこには弔いの跡が残っている。父と一族はすでにこの地を去ったのだ。ケダはたった1人で歩を進め、枯れた木の上で休むことにした。
狼の群れに襲われ一匹に怪我を負わせる。翌日、武器を作り群れから見捨てられたその狼に止めを刺そうとしたが、どうしても命を奪うことができなかった。狼にはまだ息がある。ケダは狼の口を革紐で結わえ、怪我の手当を行うことにした。
夜になると獣に襲われる危険があるし、ケダの右脚も骨折により酷く腫れている。彼はほどよい洞窟を見つけ、ひとまずはそこを根城にすることにした。
映画『アルファ 帰還りし者たち』のあらすじ【転】
薬草を探して足の手当を行う。狼の傷も少しは癒えたようで、警戒しながらも与えた水を飲んだ。不思議なことに狼は警戒を解かないながらもケダの言うことを理解している様子で、手当も素直にさせてくれる。それからは小動物を狩って狼に上下関係を教えた。
数日後、足の腫れが引き火も熾すことができた。ケダは身支度を整え冬が来る前に一族の村へ帰る決意を固めた。ところが、狼はケダに慣れてしまい追い払っても逃げようとしない。仕方ないので狼を洞窟に置いて出発したが、一定の距離を置いて後を追って来る始末。
度々、追い払おうとしたが、狼は決してケダから離れようとしない。小動物を狩ることはできても大物を狩ることが未だにできないケダだったが、狼は次第に距離を縮め彼の手助けをしてくれるようになった。しかし、相手は野生の獣。ケダは狼を信用してはいたが、近くには寄せ付けなかった。ところがある朝、気付いたら狼がケダに寄り添って寝ていた。
信頼関係が完全に出来上がった証拠である。そこで、ケダは狼にアルファと名付け旅の友とすることした。やがて、辺り一面に雪が降る。
ある夜、アルファの元へ数頭の狼がやって来たため、ケダは群れへ帰るよう送り出した。
それから数日、ケダは一人で旅を続けたが、猛吹雪の日に群れと共にいるアルファを発見。ケダは寂しさから狼を呼んだが、足元が氷であったために走った際、割れて落ちてしまう。呼び声に気付いたアルファもケダを助けようと駆け付け、どうにか助かったが、ほとんどの荷物を失ってしまう。
映画『アルファ 帰還りし者たち』の結末・ラスト(ネタバレ)
極寒の中を薄着で歩を進め、テントを発見。助かったかと思ったが、持ち主は凍死していた。ケダも肺病を患い咳と共に吐血。テントの持ち主から武器を得て旅を続けた。
しかし、その途中でアルファの仲間と遭遇し追われてしまう。近くに洞窟を発見し逃げ込んだものの、群れのボスが追って来る。アルファは怪我を負いながらもボスを倒し、ケダを守った。
連日の吹雪により食料となる獲物が見つからない。ケダとアルファはそれでも歩を進め、一族の墓標を発見。それを見つけさえすれば、村への方角も定まる。ところが、食糧もなく極寒の猛吹雪を進む力がすでにケダとアルファには残されていない。彼らは残された力を使い切り、行き倒れてしまう。
先にアルファが歩けなくなり、次にケダが。それでも彼は両親の夢を見て息を吹き返し、アルファを抱いて村を目指した。
そうして、とうとう一族の村へと到達する。タウとローは驚愕しつつ、息子と狼をすぐさま助けた。
アルファにはまだ息がある。テントで手当てが施された後、なんとアルファが子供を5匹も出産。アルファはメスだったのである。ケダも驚いたが、これまで長い間、旅を共にしてきた絆は深く、アルファとその子供は村で養われることになった。
そうして、翌年。一族はまた冬を越すための食糧を得るため、狩りの遠征へと向かうのであった。
映画『アルファ 帰還りし者たち』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
2万年前のヨーロッパを舞台に、狼と人間の信頼関係が出来上がっていく様子を描いた作品。広大な景色と自然で生き抜く厳しさ、野生の生き物を旅の友とする過程の難しさが丁寧に描かれている。アルファ役を本物の狼が演じているが、これがまた表情豊かで非常に愛嬌がある。
生活状況などをかなり削ぎ落した印象があり情報が少ない。紀元前の話であるため、想像で補えということなのだろうが、リアリティを出すためにはもう少し詳細に描いても良かったのではないかと思う。一族の生活はそこそこ豊かに見えるが、恵まれた環境にあるとは思えないし、突っ込みどころは多い。主人公の成長と狼との信頼関係を築く様子に注目すれば、ほどよく感動を誘う作品だと思う。(MIHOシネマ編集部)
子供の頃おじいちゃんに読んでもらったシートン動物記の「狼王ロボ」のお話。狼って強くて賢くて人間と共生することも出来るすごい動物だということを学びました。
この作品で描かれるのは人間と狼の関係性。舞台は氷河期の地球。親と離れ離れになってしまった少年が、故郷を目指して相棒の狼と旅をします。
自然の怖さ、脅威をリアルに描く展開に、可哀想になりますが「相棒」がいてくれることの心強さを感じることが出来ました。(女性 30代)
大自然の中でのサバイバルと友情を描いた本作は、映像美と感情表現の両方が素晴らしい作品でした。特に主人公ケダと狼のアルファが徐々に心を通わせていく過程が丁寧に描かれていて、セリフが少ない分、視線やしぐさで語られる演出に引き込まれました。最後の「アルファ」が飼いならされたことで、犬の起源に繋がるラストには感動しました。(20代 男性)
自然の厳しさと温もりの両方が伝わる映画でした。息子を失ったと思っていた両親が再会したときの喜びも良かったけど、それ以上に狼との絆に胸を打たれました。氷河期を舞台にしながら、言語に頼らず伝わる感情の豊かさは、まさに映画ならでは。無音や風の音を効果的に使った演出も素晴らしかったです。(40代 女性)
途中で何度も絶望しそうになるほど過酷な旅路だったけど、ケダが諦めずに前に進む姿に勇気をもらいました。アルファが初めて人間と信頼を結んだ狼として描かれる終盤には、感情が爆発しました。動物好きにはたまらない一本。映像は本当にきれいで、自然の美しさと恐ろしさを同時に感じられます。(30代 男性)
動物と人間の関係がどのように始まったかを、物語として体感できる貴重な映画。女性目線からすると、ケダの母の強さや、帰還を信じる姿勢も胸に響きました。過去を描いた作品だけど、今を生きる私たちにも通じる「信頼」の大切さを教えてくれます。親子で観るのもおすすめしたい作品です。(50代 女性)
ストーリーはシンプルだけど、それが逆に良かった。視覚的に物語る力が圧倒的で、字幕が少ない分、逆にケダとアルファの関係に集中できました。現代のペット文化のルーツともいえる物語でありながら、純粋に冒険映画としても楽しめます。個人的にはエンドロールの静かさも余韻を深めてくれて好きです。(20代 女性)
息子と一緒に観ましたが、会話は少ないのにちゃんと感情が伝わる映画だったと言っていました。氷の世界の映像がとにかく美しく、そして怖い。人間と狼、まったく異なる存在が互いを認め合う様子には大人も子供も心を打たれると思います。家族で観るにもぴったりな心温まる作品です。(60代 男性)
映画として非常に完成度が高いです。CGも少なめで、実際の自然の中で撮影されたことがわかる映像に息を呑みました。狼の表情がどれもリアルで、ケダとのやりとりの中で「言葉より強い絆」が確かに生まれているのが分かります。最後にアルファが子供を産むという展開も希望があって良かったです。(30代 女性)
「どうやって犬は人間の友になったのか?」というテーマに、こんな形で答える映画があるとは思わなかった。動物と心を通わせる瞬間の感動は何物にも代えがたい。狩る対象から仲間へと変化していく過程が、本当に丁寧に描かれていて素晴らしい。エモーショナルでスケールの大きな作品でした。(40代 男性)
映画『アルファ 帰還りし者たち』を見た人におすすめの映画5選
ザ・レヴェナント:蘇えりし者
この映画を一言で表すと?
生き延びるために人間が見せる極限の執念と自然との死闘。
どんな話?
19世紀、アメリカ西部の未開地で狩猟中に熊に襲われ瀕死となった男ヒュー・グラスが、仲間に裏切られながらも復讐と生存を誓い、極寒の大地を彷徨い続けるサバイバル大作。壮絶な自然との戦いと心の葛藤が描かれます。
ここがおすすめ!
主演ディカプリオの鬼気迫る演技と、実際の自然光で撮影された壮大な映像美は圧巻。『アルファ』と同様、言葉少なでも伝わる感情表現と自然の過酷さが見どころで、生命力や人間の本質に迫る重厚なドラマを味わいたい方に最適です。
ベアリー・リーサル
この映画を一言で表すと?
殺し屋の少女が普通の青春を求めて戦う、異色のサバイバル。
どんな話?
殺人スキルを身につけた10代の少女が、任務から逃れ普通の高校生活を夢見て身を隠すが、過去の因縁と再び向き合うことになる。アクションとティーンドラマが融合した、テンポのいいエンタメ作です。
ここがおすすめ!
『アルファ』とは一見ジャンルが違いますが、「自分らしさ」を見つける過程や孤独との戦いという点で共通しています。現代的な感覚でスリリングかつ爽快に描かれた成長物語が、意外と心に刺さる1本です。
スピリット:スタリオン・オブ・ザ・シマロン(Spirit: Stallion of the Cimarron)
この映画を一言で表すと?
自由と絆を求めて駆け抜ける、言葉を超えた冒険。
どんな話?
アメリカ西部開拓時代、自由を愛する野生馬スピリットが、人間に捕らえられながらも反発し、やがてある少年との信頼を築いていく物語。言葉を使わず表現される感情が胸を打つ、アニメーションの傑作です。
ここがおすすめ!
『アルファ』と同じく、人間と動物の関係性を繊細に描いており、非言語コミュニケーションの豊かさに感動します。壮大な音楽と自然描写も美しく、子どもから大人まで心に響くテーマを持つ作品です。
コール・オブ・ザ・ワイルド(野性の呼び声)
この映画を一言で表すと?
文明を捨て、野性とともに生きる旅。
どんな話?
アラスカの荒野で荷物を運ぶ犬“バック”が、さまざまな出会いと別れを通して、自らの野性を目覚めさせていく物語。飼い犬から冒険者へと変化していく姿は、まさに生命の原点への回帰です。
ここがおすすめ!
犬と人間の絆を軸にしたストーリーで、『アルファ』が好きな人なら確実に心を動かされます。自然の過酷さと美しさ、そして自由の意味を映し出すビジュアルが秀逸で、大人にもおすすめできる感動作です。
氷壁(1958)
この映画を一言で表すと?
極限状況が人間の真実をあぶり出す名作ドラマ。
どんな話?
日本アルプスを舞台に、遭難と救出をめぐる登山家たちの心理と人間模様を描いたサスペンスドラマ。自然の脅威と人間のエゴ、友情、裏切りなどが濃密に絡み合う展開が魅力です。
ここがおすすめ!
過酷な自然の描写と、生きることへの強い意志というテーマは『アルファ』とも共鳴します。古典作品ながらも色あせない緊張感と人間ドラマがあり、自然と対峙する物語が好きな方に強くおすすめしたい1本です。
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