映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』の概要:TVアニメ「機動戦士ガンダム」の劇場版3部作の最後となる作品。ニュータイプとして覚醒したアムロとララァの出会いを描く。出演は、古谷徹、池田秀一、潘恵子。総監督は富野由悠季。1982年制作。
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』 作品情報
- 製作年:1982年
- 上映時間:141分
- ジャンル:SF、アクション、ヒューマンドラマ
- 監督:富野由悠季、安彦良和
- キャスト:古谷徹、鈴置洋孝、古川登志夫、鈴木清信 etc
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』のあらすじを紹介します。
宇宙世紀0079年、ホワイトベースの乗員、アムロ・レイ(古谷徹)たちはジオン公国のシャア・アズナブル(池田秀一)のおとりとなるべく、ジャブローから再び宇宙へ。ホワイトベースは、シャアの乗るザンジバルから執拗な攻撃を受けます。セイラ(井上瑶)はその船に兄・シャアが乗っていると直感していた。
ホワイトベースには新たに加入したスレッガーも戦闘に加わります。ジオン軍の攻撃をかわし、アムロ達は中立国サイド6へ。ミライ・ヤシマ(白石冬美)はそこでかつての婚約者カムランと再会。ホワイトベースを降りるよう言われるが、仲間と共に残ることを決めます。
一方、久しぶりにサイド6の街を歩くアムロは、父ティム・レイと再会。酸素欠乏症になった父から渡された電子回路を見て、ひとめで使えないものだと判断し捨ててしまう。相変わらずのダメおやじっぷりに失望するが。アムロはそんな父を気にかけ、再び会いに行く途中で、ララア・スン(潘恵子)と運命的な出会いをします。この出会いをきっかけにアムロの中でニュータイプへの覚醒が目覚めます。
その後、車をぬかるみに取られ立往生していたアムロは偶然、シャアとララアの乗る車に助けてもらう。初対面のハズなのに、お互いを知っているかのような不思議な感覚。それは、戦場で戦う者同士が初めて共感・共鳴しうる超感覚だったのだ。
ジオン軍は、地球連邦軍にソロモンを攻略され、宇宙要塞ア・バオア・クーの戦いへ。ギレンを失い、ジオン軍は崩壊寸前。アムロは、ララアとシャアにア・バオア・クーの空域で再びあいまみえることに。アムロVSララアの戦いに、シャアとセイラも参戦。2人の意識が激しく共鳴しあう中、シャアが分け入ってきます。アムロがガンダムのビーム・サーベルでシャアのゲルググに迫った瞬間、悲劇が起きた!
シャアの盾となって、ララアは命を散らしてしまう。”ああ、アムロ、刻(とき)が見える・・”と言葉を残して。ララアを失ったシャアは、ジオングでアムロと対峙するが、力の差は歴然としていた。そして、シャアがザビ家のキシリアを討って、地球連邦軍との間に終結条約が結ばれると長い1年戦争はようやく終わったのだった。
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ガンダムファンに言おう!永遠の名作であると・・
9月27日は、中秋の名月。翌日も地球に月が最も接近するため、スーパームーンが見られるとあって天文ファンはウキウキしてしまう。人類は太古から月を眺め、その神秘性に心惹かれてきた。この原稿を書きながら満月を眺めていると、本作「機動戦士ガンダムめぐりあい宇宙(そら)」で、アムロとララアが共鳴しあう瞬間を思い出した。
2人の額からは強烈な稲妻が放たれ、一瞬にして思考や言語がリンクする世界。宇宙的コミュニケーションとも呼べそうな超感覚。これを本作では、ニュータイプという。ニュータイプは戦闘能力も優秀で、1人で何隻もの船やMS(モビルスーツ)を沈めてしまう。ホワイトベースの乗員たちが、民間人や孤児を乗せているのに勝てる理由は、アムロ・レイがニュータイプであるからなのだ。
シャアの妹セイラもまたニュータイプの可能性が非常に高い。もし、シャアとセイラが分かりあえていたら、ジオン軍との戦いを回避できていたのではないだろうか。それでは、アムロとララアの出会いに話を戻そう。2人の出会いも共鳴も実は”恋愛”に近い感覚なのではないだろうか。少し前に”ビビッときて結婚した!”という表現があり、言い得ていると感じた。
ガンダムの一貫したテーマは、”人と分かりあえるか”。ニュータイプの能力がなくても分かりあえる世界であってほしい。疑問点を1つ挙げると、シャアは自分がニュータイプである自覚はあるのだろうか?
還れる場所を求めて~ホワイトベースの仲間たち
シャアとの死闘やララアの死を乗り越えて、アムロに還れる場所と待っている人がいることは希望です。今も地球上では内戦が続き、還れる場所を失くした人が大勢いるのです。”ガンダム世界”で描くのは、戦場の悲惨さだけでなく、共に戦う人々の姿です。ホワイトベースの乗員には、アムロ以外にも個性的な人物がいっぱい。”ホワイトベースのおふくろさん”ことミライ・ヤシマ。
婚約者カムランとスレッガーとの恋で揺れます。そんな彼女に密かに想いを寄せるブライト・ノア。ミライの恋がどうなるかは「逆襲のシャア」をご覧下さい。次に”ホワイトベースのヒロイン”ことセイラ・マス。本名はアルテイシア。強気な彼女だが、兄シャア(本名:キャスバル)の事で悩む。ブラコンでツンとしたところはあるが、頼りになる女の子なんです。ガンダムの最大の魅力は、戦時下における人間ドラマが生き生きと描かれている点です。
映画公開から、33年ほど経っているので、映像を見ると古さや宇宙空間での描写が科学的じゃないと思うところは多いでしょう。しかし、戦死したスレッガーの言葉にあるように「悲しいけれど、これ戦争なのよね」の一言が胸にグサリと刺さって離れません。
ガンダムってこういうお話だったんだ…と衝撃を受けた今作。ガンダムについて特別詳しいわけではないし、キャラクターたちもなんとなく知っているだけなので楽しめるか不安でしたが、かなり分かりやすいストーリーで知らないながらにも「ガンダムらしい」と感じる作品でした。
国同士の戦争に巻き込まれていくうちに、その相手個人が憎いと錯覚してしまうのは現実にもあったことだと思います。冷静に考えてみれば、戦争は何も生まないと分かることなのに…と虚しさを感じました。
アニメーション作品でここまで考えさせられるとは思っていなかったので、非常に衝撃を受けました。(女性 30代)
ガンダムの3部作の最終章という事もあり、盛り上がりが最高潮に達します。これまで色々と面倒くさい性格を発揮してきたアムロが見事な成長を遂げましたね。他のキャラクターも非常に良い立ち回りをしています。個人的に、家族を逃がし、命を優先するよう兵士に命じ、自身は時間を稼ぐため連邦軍に特攻を仕掛けるドズル・ザビに痺れました。対するスレッガーも良いですよね。名言も残しますし…戦争の辛さ、命の尊さなど、大事なテーマが詰まった作品です。いくらでも語れます。(男性 20代)
映画『機動戦士ガンダム3 めぐりあい宇宙編』 まとめ
ガンダムファンにとって名作と言われる本作は、アムロとララアの運命的な出会いからシャアとの死闘、ニュータイプへの覚醒とガンダム世界の全てが詰まっています。本作を観れば、ガンダムの世界観によりグッと引き寄せられると思います。ただの戦争アニメと思うなかれ。戦争下における人間ドラマが生き生きと描かれています。主役のアムロ・レイや宿敵シャア・アズナブルも面白いが、ホワイトベースで戦う乗員ブライト・ノアやミライ・ヤシマ、セイラにフラウなどの姿に戦争の真実があると思います。
ジオン軍と地球連邦軍の戦いの構図は、右派と左派との戦いともいえるでしょう。アムロのニュータイプへの覚醒は地球に幸せをもたらすのか?それとも崩壊への序章なのか。映画公開から33年を経ても人気は衰えていません。ガンダムのTVシリーズ最新作「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」が2015年10月4日から放送されます。
エンディングテーマを歌うのは、MISIA。ご期待下さい。
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