映画『リトル・オデッサ』の概要:ロシア系移民の殺し屋が地元に戻り、家族と接点を持ったことで巻き起こる悲劇を描いた犯罪ドラマ。ティム・ロスとエドワード・ファーロングが兄弟役で共演し、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞と助演女優賞に輝いた。
映画『リトル・オデッサ』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
監督:ジェームズ・グレイ
キャスト:ティム・ロス、エドワード・ファーロング、モイラ・ケリー、ヴァネッサ・レッドグレーヴ etc
映画『リトル・オデッサ』の登場人物(キャスト)
- ジョシュア(ティム・ロス)
- ロシア系移民の殺し屋。地元を仕切るマフィアのボスの息子を殺したために命を狙われている。殺しの指令を受けて地元に再び舞い戻ってくる。
- ルーベン(エドワード・ファーロング)
- ジョシュアの弟。学校をサボっていつも街を徘徊している。ガンの母親を看病しながら生活しており、ジョシュアを慕っている。
- アラ(モイラ・ケリー)
- ジョシュアの恋人。街に戻って来たジョシュアと会い、デートを重ねて付き合うようになる。父親を亡くしたばかりで、孤独を抱えている。
映画『リトル・オデッサ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『リトル・オデッサ』のあらすじ【起】
ジョシュアはベンチに座っていた男を射殺する。公衆電話から殺しが終わった報告をすると、リトル・オデッサで宝石商のイラン人を殺すように指示される。映画を観て帰宅したルーベンは郵便の中から封筒を一つ抜き出し、タンスの中に隠す。ジョシュアはルーベンが暮らすアパートの部屋を外から眺めるが、その様子をチンピラ仲間に見付かってしまう。
売店の店番をしていたルーベンはチンピラ仲間からジョシュアが戻って来たことを明かされる。夜中、ルーベンの母親が苦しそうにのたうち回り、父親が懸命に介護する。ルーベンはジョシュアがいるホテルまで会いに行く。そして母親が脳腫瘍で死にそうなことを話す。ジョシュアはチンピラ仲間に会い、チンピラ仲間はマフィアのボスがジョシュアを探し回っていることを警告する。
ルーベンはジョシュアと待ち合わせする。ジョシュアは母親に会いたがり、ルーベンと共にアパートに向かう。しかし、アパートには父親がおり、喧嘩になってジョシュアは追い出されてしまう。
映画『リトル・オデッサ』のあらすじ【承】
ジョシュアはアラのことを監視し、通りで話し掛ける。そして父親を失ったアラにお悔やみを告げる。ジョシュアは街中で自分の存在に気付いたマフィアの手下をその場で撃ち殺す。アラはルーベンにジョシュアと話がしたいと頼み、ルーベンは待ち合わせ場所を指示する。ジョシュアはチンピラ仲間にイラン人を殺すのを手伝うように命じる。
自転車で出掛けたルーベンは父親が愛人と一緒にいるところに遭遇する。ジョシュアがルーベンを迎えに現れる。2人は途中でアラを拾い、3人で映画を観る。ルーベンと別れた後に、アラはジョシュアにマフィアのボスの息子を殺したのかと尋ねる。ジョシュアは自分が街にいることを誰にも話すなと口封じをし、また一緒に出掛けようと誘う。
ルーベンの父親は愛人相手に息子が成長するにつれ父親を見下すようになる悲しみを吐露する。ジョシュアが父親の前に現れ、母親に会うために争うのをやめようと申し入れる。そしてジョシュアは自宅にやって来て母親と対面する。母親はルーベンの面倒を見るようにジョシュアに頼む。
映画『リトル・オデッサ』のあらすじ【転】
ルーベンとジョシュアは動物園に侵入する。そこでルーベンはずっと学校をサボっていることを打ち明ける。ジョシュアはチンピラ仲間と殺しの手筈を相談する。その後、アラとデートをし、2人は愛し合う。ルーベンの祖母の80歳の誕生日を祝うパーティーが開かれ、父親が祝辞を述べる。父親はその会場で資金援助をしてくれたマフィアのボスにお礼を言う。代わりにマフィアのボスはジョシュアの件の方を付けるように求める。
ジョシュアはチンピラ仲間とイラン人を自宅に侵入し、ベッドで寝ていたイラン人を拉致する。ジョシュアがイラン人を車のトランクに詰め込んでいるところに、ルーベンが偶然通り掛かる。ルーベンはジョシュアのことをこっそり追跡し、ジョシュアがイラン人を射殺し、遺体を焼却するまでの一部始終を目撃する。そしてジョシュアが去った後に捨てられた銃を拾う。
父親は洗濯物を片付けていて、ルーベンが隠していた学校からの手紙を見付けてしまう。父親はルーベンをベルトで殴って叱りつける。そしてジョシュアと会うことを禁じる。
映画『リトル・オデッサ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョシュアが夜中にお別れを言いにルーベンに会いに来る。そしてルーベンの顔のアザを見て怒る。ジョシュアは父親の元に行き、銃を突き付けて父親を空き地まで連れ出す。ジョシュアはそこで父親に服を脱がせて、殺そうとする。父親はルーベンにはもう構わないように頼み、ジョシュアは引き金を引かずにそのまま立ち去る。
ルーベンが母親の看病をしていたところで、母親が倒れて亡くなってしまう。葬儀が行われ、ジョシュアはチンピラ仲間から母親の死を知らされる。ルーベンは自転車に乗っていたところで、マフィアの殺し屋にこづかれてジョシュアの居場所を教えるように脅される。
ルーベンは慌ててチンピラ仲間に会いに行き、ジョシュアがアラの家にいることを聞き出す。ルーベンは危険を知らせるためにジョシュアの元に向かうが、殺し屋に尾行されてしまう。殺し屋は庭先にいたアラを撃ち殺し、ルーベンは庭先に隠れていた殺し屋を撃ち殺す。チンピラ仲間もそこに駆け付け、誤ってルーベンを撃ち殺してしまう。ジョシュアはルーベンの遺体を見て悲嘆に暮れ、遺体を焼却処分する。
映画『リトル・オデッサ』の感想・評価・レビュー
『アド・アストラ』などで知られるジェームズ・グレイ監督の長編デビュー作で、人気絶頂期のティム・ロスとエドワード・ファーロングが共演している。非常に重厚なドラマで、子供が成長すると親を見下し始めるという父親の言葉が物語の核心を突いている。ただ、兄弟愛や親子愛、マフィアの抗争など様々な要素を盛り込み過ぎで、焦点が絞り切れていない印象が残る。言外に込められたジョシュアとアラの関係もしっかりと描いてほしかった。(MIHOシネマ編集部)
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