映画『EXIT』の概要:ある夜、街に謎の有毒ガスが蔓延。元ロッククライマーの男女はガスから逃れつつ、ビルからビルを移動し救助可能な場所を求めて夜の街を駆け抜ける。毒ガスの脅威に晒されつつ、命綱もなしでビルを渡り歩くサバイバル・パニック映画。
映画『EXIT』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:イ・サングン
キャスト:チョ・ジョンソク、ユナ、コ・ドゥシム、パク・イナン etc
映画『EXIT』の登場人物(キャスト)
- ヨンナム(チョ・ジョンソク)
- 元山岳部サークルの部員で現在は就職活動中の無職。近所の子供達の間では進撃の鉄棒男、略して進棒男と呼ばれている。ロッククライマーとしての才能はあるが、覇気が足りない。子供っぽい面が目立つものの、頭の回転が速く機転が利き体力がある。
- ウィジュ(ユナ)
- ヨンナムの大学の後輩。ロッククライマーでもあり、非常に賢く機転が利く。宴会サービス会社の副店長として有能。店長に結婚を迫られている。過去にヨンナムから告白されているが、断ったことがある。
- ヒョノク(ユ・ドゥシム)
- ヨンナムの母親。健康オタクで気が強い。息子を心配しているが、煙たがられている。
- ジャンス(パク・イナン)
- ヨンナムの父親。ドラマオタクで気難しい性格だが、褒められるとすぐに喜ぶ。息子を心配している。
- ジョンヒョン(キム・ジヨン)
- ヨンナムの姉。弟を心配するあまり口うるさい上に持ち物にもケチをつける。母親と気性が似ており気が強い。
映画『EXIT』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『EXIT』のあらすじ【起】
現在、就職活動中のヨンナムは父ジャンス、母ヒョノクが住む実家にて世話になっている。彼は大学の元山岳部サークルのロッククライマーで体力には自信があり、常日頃から体を鍛えてもいたが、就職にはあまり生かされず面接には落ちてばかり。そんなヨンナムを心配する姉ジョンヒョンは、頻繁に実家を訪れては弟のことに何かと口を出しながらも小遣いをくれるのであった。
そんなある日、ヒョノクの古希祝いが開かれる。会場は家から車を走らせて2時間ほどの場所にあったが、なんとその会場の副店長として大学の後輩で同じサークルに所属していたウィジュと遭遇。彼女に恋心を寄せていたヨンナムはまだ学生だった約5年前に告白らしきものをして、フラれたことがあった。それでも未だにウィジュのことを忘れられずにいたが、彼女は密かに店長と付き合っており結婚を迫られていたのだった。
大盛り上がりとなり時間もかなりオーバーしてようやく古希祝いに終わりが見えた頃、街に謎の有毒ガスが散布される。そのガスを吸った人々は呼吸困難に陥り数分で死に至る危険なもので、街はたちまち大混乱となる。会場にガスボンベが吹っ飛んで来たことで、ヨンナム一家も騒然となりすぐさま脱出しようと走り出した。
ところが、外へ出た一家は、そこでまたも愕然とする。街の様子とガスの有毒性を目の当たりにした一家と駆け付けたウィジュは再び会場内へ戻ったが、逸早く車に乗り込んだジョンヒョンが逃げ遅れてしまう。ヨンナムは慌てて姉を救出し、救急へ連絡。家族が対処法を試す間、会場の外から街の様子を目にしたヨンナムとウィジュ。ガスは薄まることなく街に蔓延し、まるで霧のように地上を覆い尽くしているのだった。
映画『EXIT』のあらすじ【承】
呼吸困難で苦しむジョンヒョン。街は有毒ガスに溢れ地上からの脱出はできない。ジャンスは家長として全員で生き残ろうと言ったが、恐怖に怯える家族は即断できず泣き喚く。そこへ、スマホの緊急速報が鳴る。ビルの屋上へ避難し、救助を待てというものだった。
ヨンナム一家と宴会場の店長、ウィジュは非常階段から屋上へ向かったが、屋上へ出るドアの鍵が閉まっている。鍵は店長が持っているはずだったが、こんな時に限って失くしてしまったと言う。予備の鍵は1階の警備室にしかない。だが、すでにガスが充満しており階下には行けない。そこで、ドアの鍵を破壊するべく道具を探しに来たヨンナム。テレビのニュースでガスの危険性と対応策を知ったが、ガスマスクなどという装備は普段、あまり活用されない。防毒マスクが3つ備えてあったはずだと思い出したウィジュ。
一方で屋上での救助が開始されたものの、救助ヘリには限りがあり助かるには順番を待たなければならないことが判明。そこで、ヨンナムはビルの外から屋上へ登り鍵を開けようと考える。彼はビルの窓を破壊し、たまたま通りかかったウィジュにロープなどを用意させ、家族の制止も聞かず外へ。一旦、隣のビルへ移りそこから登る算段をつける。命綱のロープを使って再び会場のビルへ飛び移ったヨンナム。僅かな溝を使って上階へ向かった。しかし、ロープにも限りがあり、やがてその長さが煩わしくなってくる。ヨンナムは命綱も手放し、更に上を目指した。そうして、ようやく屋上へ到達。
危険な賭けに出た息子を叱りつけるジャンスとヒョノク。無事に屋上へ出た一行の前に救助ヘリが来る。しかし、ヘリは彼らに気付かず飛び去ってしまった。そこで、ウィジュはスマホのライトを使って救助信号を送ることに。
映画『EXIT』のあらすじ【転】
その頃、この騒動を発生させた原因が報道によって判明。科学企業エンソ化学の共同創業者だった人物が解雇された後、多額の特許を巡り裁判で争ったが、敗訴したために起こした事件だった。その人物は研究開発者でもあったため、有毒ガスの開発など容易かった。しかも、現時点で毒ガスを除去する方法も見つかっておらず、被害は増える一方である。
ウィジュがビルの看板を点滅させてくれたお陰もあり、救助ヘリが気付いてくれる。しかし、救助ケージには重量制限があり、あと1人がどうしても乗り込めない。そこで、ウィジュが1人だけ残ると言い張ったため、彼女のためにヨンナムも残ることにした。
ところが、すぐに次の便が来ると思っていた2人の意に反し、救助ヘリは別のビルへと救出に向かってしまい、ヨンナムとウィジュは取り残されてしまう。幸い、ジョンヒョンは病院へ搬送され命は助かったが、その知らせすらもヨンナムは知らない。ガスは徐々に上階へと迫り、屋上も安全とは言えなくなっていた。そこで2人は防毒マスクとゴミ袋などを活用して簡易的なスーツを作成し地上へ。そこから別のビルへ移動したが、そのビルの屋上もすでにガスが到達していた。しかも、そこへ来る間にヨンナムのマスクが限界に。彼はウィジュを屋上に1人残し、自分は予備のマスクを装着してどこかへ行ってしまう。
ビルからビルを走り抜け、ヨンナムが新しい防毒マスクを見つけ出していた頃、屋上に残されたウィジュは命の危機に立たされていた。ガスはすでに彼女の体半分にまで到達していたため、更に上へ登る。そこへ、ようやくヨンナムが戻って来て彼女のマスクを新たな物へ変えてくれた。その後、2人は更に移動しスポーツジムへ。彼らはそこでスーツを脱ぎ、隣のビルへ綱を渡して移動することに。
その頃、有毒ガスの除去に散水が有効であることが判明したが、ガスの拡散の方が早く汚染地域は広がる一方。ヨンナムとウィジュは更に高いビルへ移動し、救助要請の連絡を入れ必死に信号を送っていた。すると、隣のビルの8階に予備校生が大勢取り残されていることが分かる。屋上のドアに鍵がかかっており、逃げることができなかったらしい。距離があり過ぎて渡ることができないため、2人は屋上へ逃れるよう指示することにしたが、子供達には難しいようだ。そこへ救助ヘリが到着。2人は悩んだ末、予備校生を先に助けるよう促した。
映画『EXIT』の結末・ラスト(ネタバレ)
しかし、ヘリが予備校生の救助を開始しようとした矢先、ガソリンスタンドが爆発。そのせいで風向きが大きく変わってしまう。ガスの大波が発生し、2人がいる場所が飲み込まれる危険があったため、彼らは一番高いビルを目指して移動することにした。すると、移動中にドローンカメラと遭遇。どうやら報道機関が飛ばしているらしく、ウィジュとヨンナムは助けを求めつつ屋上を伝って走り続けた。
ドローンは2人に密着して移動を続ける。至るところに侵入してくるガスを避けて逃げ続けるヨンナムとウィジュの姿はテレビにて放送され、大変な反響を呼んだ。ところが、一番高いビルの近くまで来て、次の場所へ移動できなくなってしまう。ガスは上昇し続け彼らがいるビルもやがて飲み込まれるだろう。ドローンもバッテリーが切れて落ちてしまう。万事休すとなった2人は、その場にへたり込んで泣き喚いた。
しかしその時、彼らの姿を追って方々から多くのドローンが駆け付ける。テレビで見た彼らを助けるため、一般の人々がドローンを飛ばしてくれたのである。そこで、ヨンナムはドローンの助けを得て、遠く離れたビルへと綱を渡してもらう。屋上に設置されたクレーンがこの街で一番高い場所だった。2人は抱き合って綱を渡ろうとしたが、途中で止まってしまう。そこで、ウィジュは綱を断ち切ることにしたが、その反動で2人は落下。綱を支えていたドローンも壊れてしまうのだった。
2人の姿を見守っていた一同は絶望感に包まれる。ウィジュとヨンナムの救助へとやって来たヘリは、綱の先に2人がいないことに肩を落としたが、クレーンの先に到達している2人をようやく発見。なんと彼らは奇跡的にも助かっていたのである。この報せに意識を取り戻したジョンヒョンも喜びの涙を流した。
朝がきてようやく助かったヨンナムとウィジュ。ヒョノクもジャンスも大泣きで喜び、無事に戻った息子を抱き締めた。ウィジュはと言うと、真っ先に駆け付けて来た店長を叩きのめし関係を破棄。そうして、ヨンナムとの関係を見直すことにするのだった。
映画『EXIT』の感想・評価・レビュー
毒ガスが蔓延し、ビルからビルを移動して逃げ回る韓国のサバイバル・パニック映画。命綱なしでビルを登るスリルや綱一本で渡るなど危険が一杯でスピード感満点。
以前、フランスかどこかの映画で毒霧が町を蔓延するという映画があったが、あの作品とどこか似ていると感じた。あの作品と違うのは、主人公とヒロインがロッククライマーで体力お化け。ビルを登って渡るという非常に危険な状況を必死で駆け抜けるサバイバル感があることだ。一般人がドローンを飛ばし、逃げ続ける2人を助けようとする姿にとても感動する。スリル満点で狭間に笑いもあり、上手くまとまっているが、他作品の良いとこ取りをした感じが否めない。(MIHOシネマ編集部)
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