映画『胡同(フートン)の理髪師』の概要:2006年製作の中国映画。北京の伝統的町並み「胡同」で80年以上現役理髪師として活躍しているチン爺さんの日常を芸術的に描いたドキュメンタリータッチの作品である。
映画『胡同(フートン)の理髪師』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:105分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ハスチョロー
- キャスト:チン・クイ、チャン・ヤオシン、ワン・ホンタオ、ワン・シャン etc
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映画『胡同(フートン)の理髪師』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『胡同(フートン)の理髪師』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『胡同(フートン)の理髪師』のあらすじを紹介します。
93歳のチン爺さん。
80年以上もの間、北京の胡同で理髪師として生計を立てているチン爺さんは、毎日6時に起きて同じ朝を迎える。
息子は年金暮らし、持病があり薬も買えないほど金に困っている。
孫もいるが無職でやはり金が無い。
チン爺さんの顔のカミソリ裁きはお手の物。
もう歩くことも出来ない馴染みの客の家まで三輪自転車で出張にも出向く。
チン爺さんも年なら、常連客もまた年であった。
そんな時胡同にも開発計画が上がる。
仲間は次々と胡同を去っていく。
その一人がチャオさんだ。
彼の息子は仕事が成功し、かなり裕福な生活をしている。
開発計画でその場所を売ると大金になると聞いた息子は、チャオさんを引き取ることにする。
しかしチン爺さんに髪を整えてもらいたい彼は、息子の家にチン爺さんを呼んでもらう。
車で迎えに来てもらったチン爺さんは、久しぶりにチャオさんと再会しお互い喜んだ。
しかし息子夫婦には汚いものでも見るような扱いをうけてしまう。
次第に麻雀仲間も一人、また一人と逝く。
さすがに死を意識しだしたチン爺さんは葬儀屋に電話をし、どのようにしたら良いか尋ねる。
そして自分の生い立ちをテープに吹き込むことにしたのだった。
映画『胡同(フートン)の理髪師』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『胡同(フートン)の理髪師』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
胡同の町並みのノスタルジックさ
胡同とは昔からある北京市内の路地である。
近代化が進む北京でも奥に入り込むと、昔ながらの伝統的な風景がそこに広がる。
小さな家が並び、人々は外の道で麻雀をしたり井戸端会議をしたりする。
そんな当たり前が崩されるのが区画整理だ。
特に北京オリンピックの時にこの運動が激しくなった。
今は観光地化してしまったほど少なくなっている胡同の景色を楽しむことができる映画である。
物語の重厚感
この物語はセミドキュメンタリー映画である。
実在する胡同の理髪師であるチン爺さんにスポットをあて、その長生きの秘訣や苦労話、仲間の人生観や死生観などを通して人の価値観を問う作品である。
ただの映画ではなく、観終わったと何か重いものが心に残る作りになっている。
チン爺さんには息子と孫がいる。
理髪師として細々と暮らしている爺さんでも貯金をし、金には困っていない。
それなのに年金暮らしの息子や、無職の孫は金が足りずに爺さんが何も言わず金を渡してやるシーンがある。
それに比べてチャオさんの息子は金持ちだ。
しかし人の心を金で踏みにじるような行為が簡単にできてしまう人物である。
2人の家族関係は対照的である。
しかし大事なものは何かということを切実に問いかけてくるストーリーだ。
チン爺さんは代金でさえきちんと決めておらず、その人の気持ちとしてもらっている。
金に執着があまりないのだろう。
長く生きて価値観を淘汰している、そんな様子が伺えるチン爺さんの姿に胸を打たれずにはいられなかった。
この映画の伝えたいことは1つではないだろう。
見ている人間によって感想が変わってしまう、そんな映画なのだ。
自分がどのような意見を持つのか気を付けたいと思った作品であった。
映画『胡同(フートン)の理髪師』 まとめ
良い映画の定義とは何だろう。
そんなことを考えさせられた作品であった。
良い俳優、高額な予算、大掛かりなロケ、そんなことは良い映画の定義には何の関係もない。
もちろんそれらをクリアして素晴らしいと感動させられる映画はそれでよい。
しかし本作のような低予算であるが、人間の生きていく力や歳のとり方などを真剣に向き合って撮影した映画は美しい。
こんなにも感動するものなのかと驚かされた。
非常に質素で地味。
しかし現実的で厳しく、時に人間の優しい部分を描いてみたりと、人は一体なんなのだろうと哲学的に振り返る時間を持てる作品である。
若者にとって今はつまらないと思うかもしれないが、このような映画を見ることができるような価値観を持った大人になって欲しいものである。
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