映画『アンソニーのハッピー・モーテル』の概要:ウェス・アンダーソン監督デビュー作となるクライムコメディ。精神病院から退院したばかりのアンソニー。まともじゃない悪友ディグナンが立てた強盗計画に付き合わされ、自宅で泥棒の練習をすることになった。
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:コメディ
監督:ウェス・アンダーソン
キャスト:ルーク・ウィルソン、オーウェン・ウィルソン、ネッド・ダウド、シェア・フォウラー etc
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』の登場人物(キャスト)
- アンソニー(ルーク・ウィルソン)
- 精神病院から退院した直後に、ディグナンから強盗計画に誘われて、ずるずると彼のペースに付き合わされる。宿泊先のモーテルで客室係をしているイネスに一目惚れをする。
- ディグナン(オーウェン・ウィルソン)
- アンソニーの友人。計画を立てるのが好きだが、不完全なものばかり。75か年強盗計画を打ち立て、アンソニーを巻き込む。掴みどころのない性格だが、ほっとけないタイプでもある。
- ボブ(ロバート・マスグレーヴ)
- アンソニーの友人で実家は金持ち。アンソニーの計画に加わりたいが、お金と車しか当てにされず不満に感じている。兄のジョンに強いコンプレックスを抱いている。
- ジョン(アンドリュー・ウィルソン)
- ボブの兄。麻薬の密売で金儲けをしている。子供の頃から弟を馬鹿にして恨まれている。
- イネス(ルミ・カバソス)
- アンソニーが宿泊するモーテルの客室係。アンソニーから猛アタックされて恋人になる。パラグアイ出身なので英語はうまく喋れない。
- ヘンリー氏(ジェームズ・カーン)
- ディグナンの強盗計画に登場する大泥棒。本当は造園会社の社長。過去に解雇したディグナンを気にかけており、強盗計画の手助けをする。
- クマール(クマール・パラーナ)
- 自称元金庫破りのプロ。ディグナンの強盗計画に参加するが、今はすっかり腕が衰えた老人である。
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』のあらすじ【起】
神経衰弱で入院していたアンソニーが精神病院を退院する日。悪友のディグナンは彼のために、脱走計画を立てていた。通常の退院なので脱走する必要はないのだが、アンソニーはディクソンの計画に乗ってあげようとして、病院の窓から脱走する。
ディクソンは75年先まで描いた強盗計画のノートをアンソニーに見せた。それは正気とは思えないほど実現性の乏しいプランであったが、ディクソンはやる気満々。アンソニーは無理やり付き合わされることになる。
2人が強盗の練習に押し入ったのはアンソニーの実家。母の宝石箱から片方のイヤリングを盗み出したアンソニーは、妹の学校へ行き、母の宝石箱に戻しておいてくれとイヤリングを渡すのだった。
金持ちのボブはディグナンの泥棒計画に参加したいと思っているが、ディグナンはボブに対して無関心だった。車と金だけを当てにされたボブは、お金を出したのに銃も触らせてくれないことに文句を言う。今はチームワークが大事だと確認した3人は、改めて強盗計画を練り直すのだった。
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』のあらすじ【承】
本屋強盗計画。彼らは閉店直後の本屋を訪れた。ディグナンとアンソニーは何故か鼻にテープをして、忘れ物をしたと言いながら店内に侵入。従業員に銃を向けて、事務所の引き出しから売上金を手に入れた。
ディグナンの強盗計画によると、この後は大泥棒のヘンリー氏に会う予定であった。しかしディグナンは、ヘンリー氏というのは自分をクビにした造園会社の社長であると白状する。
3人はモーテルに宿泊。アンソニーは美しい客室係のイネスに一目惚れをした。パラグアイ出身の彼女は英語が苦手だったが、アンソニーは身振り手振りで積極的にアプローチする。ボブは兄が密売で逮捕されるかもしれないから家に戻りたいと言い始める。ボブは長年兄にコンプレックスを抱いていたが、逮捕となると心配で堪らなかった。翌朝2人を置き去りにして、車で帰ってしまう。
アンソニーはイネスのことで頭がいっぱいだった。仕事中の彼女を訪ね、2人は結ばれて恋人になる。夜は地元の酒場へ。スペイン語が飛び交う店内で、ディグナンはいつの間にか客と喧嘩をしていた。
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』のあらすじ【転】
アンソニーは通訳を介しながら、イネスに一緒に付いて来て欲しいと愛の告白をした。しかし彼女は行き当たりばったりの生き方が大嫌い。あなたは紙のように軽薄だと言い、アンソニーを突き放してしまった。
翌日、アンソニーはイネス宛にラブレターを残した後、ディグナンとモーテルを去ることにした。盗難車で旅立つ2人だったが、車が故障してしまう。アンソニーが本屋で盗んだお金を全てイネスに渡したと話すと、ディグナンは激怒。彼らは喧嘩別れとなり、それぞれ別の方向に歩き始めるのだった。
地元に戻ったアンソニーはボブの家に居候しながら、3つの仕事を掛け持ちしてまともに働き始める。休みの日には少年サッカーチームのコーチも務めることも。ボブは相変わらず兄に頭が上がらず、給料の大半を巻き上げられていた。
そんなある日、ディグナンは新しい相棒アップルジャックの運転で、アンソニーに会いに来る。当時のことを素直に謝るディグナン。2人はヘンリー氏の所へ行く。ディグナンは新たな強盗計画を打ち明けるが、アンソニーはきっぱり断るのだった。
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』の結末・ラスト(ネタバレ)
アンソニーはディグナンのしぶとい説得についに折れる。お揃いの黄色いジャンプスーツを用意することを条件に、強盗計画に参加することを決めた。
ヘンリー氏を囲んでの食事会。ボブは仲間の前で兄から馬鹿にされるが、ヘンリーは空手技でボブの代わりに兄に仕返しをした。強盗計画前日、アンソニーはイネスに電話。彼女から少し上達した英語で「愛している」と言われて大喜びした。
強盗当日の昼間。ディグナンは金庫破りの名人クマールらと冷蔵施設に侵入。アンソニーとボブは見張りを担当した。しかし、クマールは金庫を開けられない上、ランチが終わった従業員が一斉に戻って来る。アップルジャックは心臓発作で倒れて、火災報知器も鳴り出して強盗計画はグダグダに。ディグナンはその場に残り、アンソニーたちは施設から逃走した。この間ヘンリー氏は、ボブの家の家財道具を盗んでいた。
アンソニーとボブは刑務所にいるディグナンに面会した。ボブは兄と和解したことを、アンソニーはイネスと交際を続けていることを報告。ディグナンは彼らを見送りながら、これから脱走するぞと冗談を言い、刑務所に戻って行くのだった。
映画『アンソニーのハッピー・モーテル』の感想・評価・レビュー
独特の世界観で人気のウェス・アンダーソン監督の長編デビュー作。冒頭の脱走を手助けするという風変わりなシーンから始まり、この捉えどころのない雰囲気のまま最後まで続く。好きか苦手かの真っ二つに分かれる監督だ。
オーウェン、ルーク、アンドリューのウィルソン兄弟が共演した、彼らのデビュー作でもある。彼らがその後、商業映画で大活躍するのはご存じの通りだ。オーウェン・ウィルソンは2021年5月にドラマシリーズ「ロキ」でMCUの仲間入りを果たすので、こちらも楽しみ。(MIHOシネマ編集部)
ウェス・アンダーソン監督の長編デビュー作ということだが、現在のカラフルな作風とは異なり全体的にゆるさが充満しているコメディだった。監督らしさといえば、本作は所々のカットや画角にこだわってあるところだろう。
憎めないキャラクターたちもストーリーを彩り、そこにクライムコメディとしての面白さも加わってくる印象的な作品だ。ウェス監督と友人であるオーウェン・ウィルソンは監督の最新作にも出演しているので楽しみである。(女性 20代)
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