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映画『ア・ホーマンス』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『ア・ホーマンス』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ア・ホーマンス』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ア・ホーマンス』の結末までのストーリー
  • 『ア・ホーマンス』を見た感想・レビュー
  • 『ア・ホーマンス』を見た人におすすめの映画5選

映画『ア・ホーマンス』の作品情報

ア・ホーマンス

製作年:1986年
上映時間:99分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:松田優作、工藤栄一
キャスト:松田優作、石橋凌、手塚理美、ポール牧 etc

映画『ア・ホーマンス』の登場人物(キャスト)

風(松田優作)
記憶喪失で、自分が何者なのか全く分からない。ヤクザにも動じず、平然としている。喧嘩にもめっぽう強い。自分の居場所を作ってくれた山崎に恩を感じるようになる。
山崎道夫(石橋凌)
25歳。大島組の組員。頭が切れる人物。何事にも動じず、自由な風に興味を持ち、憧れるようになる。
藤井達巳(ポール牧)
大島組の代貸し。組のことよりも、自分の利益になることを優先する。あくどい人物。

映画『ア・ホーマンス』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『ア・ホーマンス』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ア・ホーマンス』のあらすじ【起】

大島組は麻薬の売買を行っていたのが、敵対する旭会が自分達のシマで販売するなと因縁をつけてきた。大島組の組員である山崎道夫は脅しに屈しず、旭会の組員を追い返した。

浮浪者達は座り込んでいるサングラス姿の男(風)を発見する。自分達のテリトリーなので素性を明かすよう求めるが、風は何も覚えていないのだと呟いた。風は記憶喪失で、医師からもそう診断されていた。山崎は街にやって来た記憶喪失の男が、刑事かどこかの組の者ではないかと言う疑いを持つ。風が風呂に入っている隙に、部下の井沢勘次に持ち物を調べさせた。その後、井沢は夜道で風に殴り掛かるが、風は何も反応を示さずに去って行った。その様子を見た山崎は、風が刑事でもヤクザの関係者でもないと結論づける。

山崎は風に自己紹介を行い、部下の非礼を詫びた。ヤクザだと名乗ったにも関わらず、風は平然としていた。山崎はそんな風に興味を持ち、今度酒を飲み交わす約束をした。そのまま立ち去ろうとするが、風に呼び止められ仕事の世話をして欲しいと頼まれる。山崎は男に危険な匂いを感じるが、放っておくこともできず、仕事を紹介することを約束した。

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映画『ア・ホーマンス』のあらすじ【承】

山崎は組の息がかかったデート喫茶で風を働かせることにした。ある夜、男性客がホステス(ルージュ)に無理矢理関係を迫って揉め事を起こした。従業員がその客を殴り追い返そうとしているところに、風が偶然居合わせる。客は風が持っていたお盆を叩き落とそうとするが、風は平然としており、何事もなかったかのように無言で立ち去った。客はそんな風にあっけにとられる。

風は先程のルージュと道でばったり会う。バイクの後ろに乗せ、街の中を一緒に走った。その後、ルージュに自宅に誘われ、部屋の中で一緒に体を寄せ合って温まった。すると、ルージュに会いに山崎が訪ねて来る。風は寝ていたルージュを布団に寝かせると、山崎と相対した。山崎は風に記憶を取り戻そうとしない理由を尋ねた。すると、風は「都合が良いから」と言葉少なに答えた。山崎は他の人とは違う風に、ますます興味を持った。

大島組の組長である大島栄一が、組員達を引き連れ歩いていた。すると、突然現れた男達に撃たれてしまう。組員は襲撃した男の行方を捜した。組長は病院に運ばれるが、助かるかどうかは分からなかった。襲撃を指示したのは旭会の会長だった。だが、大島組の代貸しである藤井は、報復をすることなく手打ちで済まそうとしていた。旭会の会長が藤井と組みたがっているのが最大の理由だった。山崎は藤井の考えに否を唱えることはできなかったが、腹立たしさが腹の中を渦巻いていた。

映画『ア・ホーマンス』のあらすじ【転】

福岡徹刑事は大島栄一が撃たれた現場付近に風がいたことから、旭会が雇った刺客ではないかと考え疑惑の目を向けるようになる。そこで、密かに指紋を採取して調査してみたのだが、まるで手袋を嵌めているかのように指紋が出てこなかった。

山崎は藤井に指示され、横浜の黒井組に麻薬を売りにいくことになった。1人で行こうと思っていたのだが、風も車に乗ってきて一緒に行くと譲らなかった。山崎は風の説得を諦め、仕方なく車を発進させた。すると、刑事達が乗った車に追跡される。山崎は車を止めて福岡刑事達と会話をするが、刑事達は尾行を止める気はないようだった。しばらくして、刑事達の乗った車のレバーが壊れてしまい、追跡ができなくなってしまう。福岡刑事は応援を呼んだ。

風は刑事達に尾行されても一切同時なかった。風はこの世に未練が何もない様子だった。山崎自身も命が惜しくないと思おうとするが、脳裏には恋人の姿がチラついた。山崎は涙をサングラスで隠した。その後、山崎は麻薬売買の取引を済ませ、金を受け取った。そこに、暴走族達が現れ絡まれてしまう。風はナイフを素手で掴み、暴走族達を追い返した。

映画『ア・ホーマンス』の結末・ラスト(ネタバレ)

山崎と風は麻薬売買の件で捕まり、別々の部屋に連れて行かれ取り調べを受ける。福岡刑事が風を尋問するが、風は何も話さなかった。山崎を担当している刑事は風が話したと嘘を吐き、揺さぶりをかけることにした。だが、山崎も何も話そうとはしなかった。刑事達は取り調べを諦め、釈放することにした。山崎は風も釈放されたことを知り、微笑んだ。

山崎は迷惑をかけたことを謝罪し、風を組から解放することにした。山崎はたった1人で組長の敵を討とうとしていた。それを知った藤井は静かに怒りを滾らせ、山崎を止めることなく行かせた運転手の男を剃刀で切りつけた。すると、そこに旭会の組員が現れ、藤井は殺されそうになる。大島組の組員が刺客を取り押さえると、藤井が自ら銃を撃ち刺客を射殺した。

藤井はシマを自分の物にすることを宣言し、組員達に山崎を殺すよう指示を出した。そして、山崎の恋人を襲い、屈辱を与えた。藤井の元に組員から連絡が入るが、見つかったのは山崎ではなく風だった。藤井は風に拳銃を渡し、山崎を殺すよう命じた。だが、風は拳銃をバラバラに解体すると、山崎を狙えば体を粉々にしてやると藤井に脅しをかけた。

旭会の会長が撃たれたとニュースで報道された。すぐに病院に搬送されたが、意識不明の重体だった。犯人は目撃者の証言から、山崎の可能性が高いと判断された。その後、山崎は車に乗り、恋人が花屋で働く姿をじっと眺めていた。見るのを止めた後、少し進んだ先で風と再会を果たす。だが、そこに刺客が現れ、山崎は撃たれてしまう。山崎は3人の男から銃弾を浴びせられる。

風は襲撃犯を追いかけ始末した。その戦いの最中に体を撃たれてしまうが、なんと皮膚の裏にあったのは金属だった。風はサイボーグだったのだ。風が山崎の元に戻ると、警察、山崎の恋人、救急隊員が集まっていた。恋人は山崎が死んだと思って悲しんでいたが、山崎は辛うじて生きており、救急隊員が救急車に運ぼうとしていた。風は山崎の恋人を見て頷き、救急車に乗り込む姿を見送った。

映画『ア・ホーマンス』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

松田優作に石橋凌。顔面の圧がすごすぎるキャスト。しかも石橋凌が演じる役は25歳の設定。私が知っている石橋凌は、渋くて、怖くて強くて、かっこいい、25歳なんて想像もできませんでした。そんな彼はこの作品をきっかけに、歌手活動を辞め俳優に転身したとか。松田優作の遺作であり、初監督作品。天才を随所に感じることが出来ました。
『ターミネーター』的な雰囲気を感じさせながらも、映像はとても工夫されていて、暗闇の中で少しの光で表現する撮影方法は素晴らしかったです。(女性 30代)


松田優作の狂気と哀愁が全編に漂う異色作でした。ストーリー自体は一見暴力的で破綻しているように見えますが、その裏には現代社会への痛烈な風刺が込められているように感じました。特にラストの銃撃シーンは、何かを訴えるというよりすべてを突き放すような虚無感が残り、言葉を失いました。まさに松田優作の遺作にふさわしい一作です。(20代 男性)


現実と幻想の境界が曖昧で、混乱しながらも一気に観てしまいました。松田優作の演技がすべての軸になっていて、その存在感が画面を支配しています。警察組織や国家権力への挑発が散りばめられた脚本も独特で、難解ながら惹きつけられました。終盤の展開には賛否あると思いますが、私はこの突き放した感覚が逆にリアルだと感じました。(30代 女性)


正直ストーリーはよく分からなかったが、松田優作のカリスマ性だけで最後まで観ることができた。哲学的なセリフが多く、暴力と詩のような映像が同居していて、他にはない映画体験だった。特に最後、主人公が何の救いもなく消えていく感じに戦慄を覚えた。普通の映画を求める人にはすすめにくいが、強烈な印象は残る。(40代 男性)


この映画は「わからない」を楽しむ作品だと思う。何度も繰り返される哲学的な問答や、破壊と再生を思わせる構成は、まるで夢を見ているよう。松田優作が抱える「生きづらさ」がスクリーンから溢れていて、彼自身の人生とも重なって見えてしまう。ある意味で、映画という表現形式の限界と可能性を突き詰めた作品だと感じました。(20代 女性)


80年代の時代背景と社会批判を色濃く反映した映画で、松田優作の最期にふさわしい挑戦的な作品。物語の筋よりも、雰囲気や感情の波を感じ取るタイプの映画。あえて説明を省く演出や、不条理ともいえる展開に、観る側も「自分は何を見ているのか」を問われる。好き嫌いが分かれるが、深い余韻が残る。(50代 男性)


映像、音、セリフの一つひとつが詩的で、まるで舞台を観ているような感覚に陥った。松田優作の眼差しがすべてを語っていて、台詞がなくとも彼の内面が伝わってくる。劇中の社会に対する反抗や無力感は、今の時代にも通じるものがあり、色あせないメッセージ性を感じました。(30代 女性)


鑑賞後、何をどう言葉にしていいのかわからないほど強烈な体験だった。松田優作が演じる主人公が「世界に対して何も求めていない」ようでいて、実は深く飢えているように見える。終盤、彼の暴力が静かに描かれるほど、その内面の破壊力が増していくようで怖かった。唯一無二の作品です。(40代 男性)


若干シュールで抽象的な作風に最初は戸惑ったが、次第にその“混沌”に魅了された。物語というよりも、松田優作という一人の表現者の「魂」を焼きつけた作品であり、彼の死を前にした切実さが映像全体からにじみ出ていた。最後の銃声が響いた瞬間、涙が止まらなかった。(20代 女性)


明確な物語や説明を一切排した作品だが、そこに逆にリアリティを感じた。松田優作が放つ一言一言が、今の時代にも突き刺さる。彼がスクリーンで生きている最後の姿は、観る者に生き方そのものを問いかけてくるようだった。映画を“物語”としてでなく、“衝動”として捉えたい人におすすめ。(30代 男性)

映画『ア・ホーマンス』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ア・ホーマンス』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

野獣死すべし

この映画を一言で表すと?

虚無と暴力が支配する、孤独な男の生き様を描いた伝説のハードボイルド。

どんな話?

元軍人で孤独な殺し屋・伊達邦彦が、冷酷なまでに殺人を重ねていくうちに、自らの過去や存在に向き合わざるを得なくなる。暴力と静寂が交錯する中で描かれる、人間の本質に迫るサスペンスドラマ。

ここがおすすめ!

松田優作の代表作の一つであり、『ア・ホーマンス』の前哨とも言える傑作。暴力の中に垣間見える人間性と、緻密に構築された孤独な心理描写が魅力。モノローグの多用も詩的で、余韻深い1本です。

殺しの烙印

この映画を一言で表すと?

暴力と無意識の美学を極限まで突き詰めた、鈴木清順の異色ノワール。

どんな話?

殺し屋・潮田は組織から裏切り者として追われることに。逃げ場のない状況の中、次第に自分の存在すら曖昧になっていく。常識を覆す編集と映像で魅せる、実験的サスペンス。

ここがおすすめ!

視覚的な刺激と抽象的な物語が魅力のこの作品は、『ア・ホーマンス』に惹かれた人にぴったり。説明を排した構成や強烈な個性がぶつかり合う映像は、観る人の感性を刺激するに違いありません。

東京流れ者

この映画を一言で表すと?

やくざ映画×ミュージカル?不条理と様式美が融合した破天荒な快作。

どんな話?

渡世から足を洗いたい流れ者の男が、再び抗争の渦中に巻き込まれていく。従来のやくざ映画とは一線を画す、スタイリッシュな映像と音楽で構成された、鈴木清順の代表作の一つ。

ここがおすすめ!

『ア・ホーマンス』のように型にはまらない表現を求めるならこれ。物語のロジックを超えた感覚の映画体験ができます。美学と暴力の間を漂うような不思議な快感が味わえます。

ヘルドライバー

この映画を一言で表すと?

ゾンビ×ロードムービー×社会風刺=三池崇史流カオスアクション!

どんな話?

謎の霧に包まれた日本北部はゾンビに支配されていた。国家分断状態となった世界で、義心臓の少女がゾンビの真相を暴きに向かう。残酷描写満載、ハチャメチャな展開が続くアナーキック映画。

ここがおすすめ!

社会風刺と暴力、そしてとんでもない映像演出を詰め込んだ三池崇史節が全開。『ア・ホーマンス』に通じる混沌や不条理がクセになる人にはおすすめ。強烈な世界観が病みつきになります。

狂い咲きサンダーロード

この映画を一言で表すと?

怒りと孤独を爆発させる、伝説のパンク魂が刻まれた青春バイオレンス。

どんな話?

暴走族「魔墓呂死」のリーダー仁が、体制や仲間との軋轢の中で自暴自棄になりながらも、自分の“道”を貫いていく。やがて彼は抗争の渦に巻き込まれ、壮絶な結末へと突き進む。

ここがおすすめ!

自主映画からカルト的人気を得た石井聰亙(現・岳龍)の出世作。『ア・ホーマンス』と同様、怒りと絶望、そして虚無が交錯する世界観に惹かれる人におすすめ。魂が揺さぶられる作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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