映画『悪霊島』の概要:横溝正史が発表してきた、大人気ミステリー小説『金田一耕助』シリーズの一つを実写化。金田一が、とある島で起きている恐ろしい事件に挑む。シリーズのお馴染みキャラクター、磯川の過去についても語られている。
映画『悪霊島』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:サスペンス
監督:篠田正浩
キャスト:鹿賀丈史、室田日出男、古尾谷雅人、岸本加世子 etc
映画『悪霊島』の登場人物(キャスト)
- 金田一耕助(鹿賀丈史)
- 一見どこにでもいるような普通の男性だが、実は天才的頭脳を持つ私立探偵。とある事件解明のために、刑部島という場所を訪れていた。
- 磯川警部(室田日出男)
- 金田一とは旧知の仲である警部。はるという産婆が殺された事件を調査していた。
- 三津木五郎(古尾谷雅人)
- 刑部島で金田一と出会った観光客。今作のキーマンとも呼べる人物。
- 越智竜平(伊丹十三)
- かつて巴と恋人関係にあった男性。大膳によって無理矢理仲を裂かれた。
- 刑部巴(岩下志麻)
- 大膳の娘。守衛と政略結婚を強いられ、二人の娘に恵まれていた。
- 刑部守衛(中尾彬)
- 巴の夫で神主。ある日遺体で発見される。
- 刑部大膳(佐分利信)
- 巴の父で、島の権力者。自らの権力のため、娘を守衛と結婚させる。
映画『悪霊島』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『悪霊島』のあらすじ【起】
三木津五郎は、ラジオ局で働く男性だった。その頃、世間は大スター、ジョン・レノンが暗殺されたニュースで持ちきりだった。そんなニュースを見ながらぼんやりと、三木津は10年前、突如として起こったある事件について思い出していた。
10年前の1967年のことである。当時の三木津は、まだ大学を卒業したばかりの若い青年であった。そんな三木津は、その時、瀬戸内海にポツリと浮かぶ刑部島という場所に観光に訪れていた。その刑部島で、三木津は不思議な人物との出逢いを果たしたのだ。その男の名前は、金田一耕助という人物だった。
金田一は一見どこにでもいそうな、外見は少しみすぼらしい30代半ばと思われる普通の男である。しかし、実は金田一は超人的な推理能力を持つ私立探偵だったのだ。私立探偵である金田一がこんな辺鄙な島を訪れた理由は一つ。彼の元にとある依頼が舞い込んできたのである。金田一に依頼を持ち込んだ人物は、越智竜平という人物だった。
映画『悪霊島』のあらすじ【承】
現在は実業家として名を馳せる億万長者の越智竜平であるが、彼は元々はこの刑部島出身であった。実は、現在刑部島には再開発計画が持ち上がっていた。しかし、その計画が持ち込まれてからというもの、突如不自然な失踪を遂げた人物がいたのだ。そして、越智の依頼とはその人物を探し出すことだった。
一方、その島がある岡山県で、とある男が瀕死の状態で発見された。そして、その男は最後の力を振り絞って、「あの島には悪霊が取り憑いている、鵺の鳴く夜は気をつけろ」と言い残しこの世を去ったのだった。
そして、その男こそが金田一が探していた人物だったのだ。金田一にその情報を教えてくれたのは、磯川常次郎という、金田一と知り合いの刑事だった。磯川は、はるという産婆が殺害された殺人事件の調査のため、こちらに来ていたのだった。
そして、はるは死ぬ前に一通の手紙を磯川に残していたのだった。その手紙には、自分は何者かに命を狙われているということが記載されていた。そのきっかけは、20年前にとある赤ん坊を取り上げたことだった。
映画『悪霊島』のあらすじ【転】
そして、金田一は刑部大膳という権力者が経営する宿に泊まることとなる。そして、その男にはとある後ろめたい過去があった。彼には巴という最愛の娘がいた。巴は竜平という男と恋に落ちるが、刑部はそれを許さなかった。彼は、自分の権力のためにも守衛という男と巴を結婚させたかったのだ。そして、刑部によって巴と竜平の仲は引き裂かれてしまったのだった。そして、巴は真帆と片帆という二人の双子の娘を産むのだった。また、巴にはふぶきという姉がいたが、彼女は精神疾患にかかり、現在は一人離れた場所で暮らしているという。
そして、ある時、島で二つの遺体が発見される。一つ目は、巴の夫である守衛のものだった。彼は、開発計画のために島へ寄贈された、黄金で作られた矢に胸を刺されて絶命していた。そして、2つ目の遺体は片帆のものだった。片帆は、何者かに首を絞められた状態で発見された。そして、全ての事件の真相を明らかにするべく金田一が調査に乗り出した。
映画『悪霊島』の結末・ラスト(ネタバレ)
金田一は、はるに関する新たな真実をつきとめる。実は、20年前にはるが取り上げた子供は、竜平と巴の間に授かった子供だったのだ。しかし、なんとはるはそのことをネタに、巴を脅迫し続けていたのだった。そして、金田一はもう一つ衝撃の事実を明らかにする。なんと、ふぶきはとうの昔に死んでいたのである。では、今までふぶきと言われていた人物は一体誰だったのか。
それは巴だった。実は、巴はかつて竜平と無理矢理別れさせられてからというもの、ショックのあまり二重人格になってしまっていたのだった。巴のもう一つの性格は、次々と男と関係を持つ魔性の女だった。それを隠すべく、刑部はそれをふぶきと偽っていたのだ。
そして、例の瀕死の状態で見つかった男を殺したのも巴だった。巴は、自分と関係を持った男を今まで何人も殺してきたのである。守衛を殺し、その現場を見ていた片帆を殺したのも巴である。最終的に、巴は穴に転落し命を落とした。刑部もそんな娘の後を追うように自ら命を絶ったのであった。そして、今まで巴に殺されてきた男たちの遺体が、次々と島から発見されたのだった。
映画『悪霊島』の感想・評価・レビュー
1981年に公開された名探偵金田一耕助シリーズにある作品を映像化した作品である。刑部島という場所で起こる不可解な事件にチューリップハットが印象的な金田一耕助が立ち向かっていくというストーリー。推理小説らしい、謎の残し方や結末はまさに横溝正史らしさが表れている。ラストは、少し物悲しく救われない展開となっている。本作品が完成した直後に横溝正史が亡くなり、くしくも多くの人の目に触れる事となった作品である。(男性 30代)
色々な俳優が演じてきた「金田一耕助」シリーズ。大人気ミステリー小説が原作ですが、『金田一少年の事件簿』がど真ん中の世代だった私は、どうしても「じっちゃん」のイメージが強いです。
今作で金田一耕助を演じたのは鹿賀丈史。賛否両論あるようですが、とても雰囲気があって、作品の重厚さを増しているように感じました。
そして岩下志麻の美しさに衝撃を受けました。日本人形のような、ある意味狂気的な美しさは、誰もが虜になるでしょう。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー