クリント・イーストウッド主演、ドン・シーゲル監督の名コンビによるサスペンス映画。脱獄不可能と呼ばれた孤島の牢獄「アルカトラズ刑務所」に入れられた男が、仲間と共に脱獄を試みる様を描く。
映画『アルカトラズからの脱出』 作品情報
- 製作年:1979年
- 上映時間:112分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:ドン・シーゲル
- キャスト:ロバーツ・ブロッサム、クリント・イーストウッド、パトリック・マッグーハン、フレッド・ウォード etc…
映画『アルカトラズからの脱出』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『アルカトラズからの脱出』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『アルカトラズからの脱出』のあらすじを紹介します。
脱獄不可能と言われるアルカトラズ刑務所にフランク(クリント・イーストウッド)が護送されてきた。彼は他の刑務所でも脱獄を試みては捕まり、ついにここに収容されることになったのだ。アルカトラズ刑務所は厳重な警備の他、周囲を流れの早い海流に囲まれており泳いで対岸に渡ることは不可能に近い。問題囚のフランクは早々に冷酷な所長(パトリック・マクグーハン)に目をつけられるが、逆に所長室から爪切りを盗むという芸当をみせる。
脱獄のため情報と仲間を集めたいフランクは、徐々に人脈を広げて脱獄チームを結成する。隣の房に入れられているチャーリーと、以前別の刑務所で知り合ったアングリン兄弟との4人体勢だ。他にも協力者を得ると、4人は脱獄の計画をスタートする。盗んだ爪切りやスプーンを使って独房から抜け穴を掘り外へ脱出すると、防水コートで作ったボートで海を渡るという算段だ。途中計画が発覚しそうになったり、所長の残酷な仕打ちに怒りを覚えながらもついに決行の日を迎える4人。チャーリーだけは逃げ遅れてしまうが、3人は首尾よく脱獄に成功する。翌朝脱獄に気づいた所長は大規模な探索をするが、見つかったのはフランクから所長へのメッセージだけであった。
映画『アルカトラズからの脱出』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アルカトラズからの脱出』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
脱獄映画の金字塔
本作の特徴は物語を極めてスリムにしている点にある。主人公のフランクは脱獄の常習犯だが、恋人が待っているだとか無実の罪で入れられているなどといったドラマチックな動機付けは存在しない。その分純粋な脱獄映画としてのアイデアが豊富だ。夜な夜なダミーの排気口を作ったり、脱出時の際に置いていく人形に散髪係からもらった髪を貼付けたりと、脱獄映画の面白さが詰まっている。特に見張り役の男が合図の口笛を上手く吹けず、間一髪で脱獄計画が看守にバレてしまうシーンはドン・シーゲルならではのスリリングな演出だ。焦る男と、それに気づかず作業を続けるフランクとのクロスカッティングは見事。
魅力的な刑務所仲間たち
作品の脇は個性的なキャラクターたちが固めている。鼠をペットとして飼っている中年男リトマスに、暴力的な大男ウルフ。絵を描くのが趣味な老人ドクは、冷酷な所長に絵を禁じられ、自分の指を切り落とした末に自殺してしまう。そして中でも図書係の黒人イングリッシュとフランクの交流は、シンプルなストーリーの中で際立つ。決行前日の夜、本を配るイングリッシュと鉄格子越しに初めての握手を交わすフランク。短いやりとりで男同士の友情を表現する格好よさは、イーストウッドとシーゲルのコンビの真骨頂だ。
脱獄囚の巧みな脱獄に思わず魅入ってしまった。その工程がとても面白いのだ。サンフランシスコに行った時に私もアルカトラズ島を遠くから見たことがあったが、あの海に囲まれた島からどうやって抜け出すのか?それをやってのけた実際のお話しも凄いが、クリント・イーストウッドが繰り出す細かい脱獄術を是非観てほしい。
ドン・シーゲル監督自身は西部劇を多く制作してきて、イーストウッドとも過去に何度か組んでいたが、アンチヒーロー的な役が多かった彼を脱獄囚という真逆の役を演じさせたのがとても貴重で私のお気に入りの一つの作品だ。(女性 20代)
とにかくクリント・イーストウッドが渋くてかっこよくて「脱獄」を楽しむかのように計画を実行していく姿がとても魅力的でした。『プリズン・ブレイク』のように何か理由があって緻密な計画を練って脱獄するストーリーは割と多くありますが、今作は脱獄の理由が深く描かれていません。
脱獄不可能とされる最強の刑務所からの脱獄劇をハラハラドキドキ見事に描いていました。かっこいいと思うのが正しいのかは分かりませんが、自然とフランクたちを応援してしまう自分がいました。(女性 30代)
映画『アルカトラズからの脱出』 まとめ
シンプルな筋立てに最小限の効果音や音楽、それにイーストウッドの無骨な出で立ちも合わさって、極めて男臭い映画に仕上がっている。人間ドラマを最小限に抑える代わりに脱獄の過程をスリリング且つ丁寧に描いており、冷酷な看守や温和な老人などのキャラクターの構成も含めて脱獄映画のお手本のような作品だ。『大脱走』のような格好よさも、『ショーシャンクの空に』のような感動もないが、脱獄にストイックな姿は自然と観客の共感を誘う。ちなみに本作は実話をベースにしており、映画内では脱獄が成功したかのように描かれているが、現実には死亡した可能性が高いと見られている。この事件後刑務所は閉鎖され、現在は観光地として有名になった。
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