映画『ANNA/アナ』の概要:モスクワの市場で売り子をしていたアナは、モデルとしてスカウトされとんとん拍子に売れっ子になった。しかし、恋人となった事務所経営者が武器商人であると分かった途端、彼女は恋人を撃ち殺す。アナの正体はKGBのスパイであった。仕事をこなす彼女はある時CIAに捕まってしまい、二重スパイになる選択を迫られる。
映画『ANNA/アナ』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:アクション
監督:リュック・ベッソン
キャスト:サッシャ・ルス、ルーク・エヴァンス、キリアン・マーフィ、ヘレン・ミレン etc
映画『ANNA/アナ』の登場人物(キャスト)
- アナ・ポリアトワ(サッシャ・ルス)
- KGBのスパイ。かつては士官学校に在籍していたが、17歳の時に両親が事故死し退学。ホームレスだったところをゴロツキのペーチャに拾われ苦しい生活をしていたが、改めて海軍へ志願書を提出したところ、経歴に目を付けたアレクセイによってKGBへ誘われる。頭脳明晰で強靭な精神力を持ち、CIAに二重スパイとして囲われた際も機転を利かす。アレクセイと恋仲だがレナードとも惹かれ合い、モデル仲間のモードとも恋人として振る舞っている。
- アレクセイ・チェンコフ(ルーク・エヴァンス)
- KGBエージェント。アナの経歴に目を付け、スパイとして育てる。やがて彼女と思いを通わせるも、KGB長官ワシリエフ暗殺以降音信不通になる。
- オルガ(ヘレン・ミレン)
- KGBエージェント。アレクセイの上司。アナの採用に否定的だったが、彼女の知識量に感心し手元に置くようになる。彼女がCIAと接触したことを知るが…
- レナード・ミラー(キリアン・マーフィ)
- CIAエージェント。アナと出会う5年前、ワシリエフの命令でモスクワにいた9人の部下を失った。監視カメラに映ったアナを、バックの持ち方で一連の暗殺の実行犯と見抜き、ワシリエフへの報復のため二重スパイに起用する。やがてアナと恋に落ちる。
映画『ANNA/アナ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ANNA/アナ』のあらすじ【起】
1985年、モスクワ。市内に潜伏するCIAの諜報員らは、KGB長官ワシリエフの命で一斉に捕らえられた。後日、ニューヨークにいるCIAのレナードの元へ、捕らえられた部下達の生首が届けられた。
5年後、1990年11月。モデル事務所を経営している男は、ロシアにあるマーケットを訪れた。彼は土産物のマトリョーシカを売っていた売り子の女性に目を付け、声をかけた。彼女は生物学科の学生で、名前をアナと言った。男はビザも寮も手配すると約束し、彼女をパリへ連れ帰った。
デビュー前にも関わらず、アナの評判は非常に高かった。ダイヤの原石として担ぎ上げられた彼女は多くの新人モデルが暮らす寮を案内され、翌日から撮影を開始した。目まぐるしい初日を終え帰宅したアナは、同居人であるレズビアンのモデル・モードと体を重ねた。
数後日、事務所を経営している男は、アナに共同経営者のオレグ・フィレンコフを紹介した。ロシア出身のアナとオレグはすぐに距離を縮め交際を始めた。しかし、アナは2ヶ月経っても体の関係を拒み、オレグのことをもっと知りたいと迫った。根負けしたオレグはモデル事務所経営の裏で武器商人をしているという真実を告げ、それを聞いたアナは容赦なく彼を撃ち殺した。
3年前。ホームレスだったアナはペーチャというごろつきに拾われ、彼の暴力に耐えながら暮らしていた。ペーチャは海軍を志望するアナを馬鹿にし、彼女をATM強盗に連れ回した。強盗に失敗し帰宅した二人の前に、KGBのエージェントであるアレクセイが姿を現した。彼はアナの経歴に目を付け、エージェントとして彼女を誘った。ペーチャを撃ち殺したアレクセイに怯える様子のないアナは、5年間の訓練と任務に耐えたら自由にするという彼の言葉を信じKGBに入った。
映画『ANNA/アナ』のあらすじ【承】
3年後。アナはオレグ殺害の容疑者としてレナードの前に連れて来られていたが、彼女のアリバイは完璧ですぐに開放された。
6ヶ月前。アレクセイは、上司のオルガの前に訓練を終えたアナを連れていった。オルガはハニー・トラップ以外使えないと言いアナの採用を見送ろうとしたが、彼女の記憶力と知識量に驚き試験採用した。
オルガとアレクセイは市内での実地試験として、5分以内にレストランにいるターゲットから携帯を奪って来るよう命じた。ターゲットに銃を向けたアナだったが、持たされた銃には弾が入っていなかった。アナは肉弾戦でターゲットの周りを囲む手下達を殲滅し、なんとか携帯を奪って店の外へ脱出した。5時間後、アナはオルガの元へ携帯を持って戻った。
晴れて新居を宛がわれたアナは、アレクセイからディナーの誘いを受けるも、次の任務に備え資料を読むと言って断った。それからすぐに、アナはマーケットでマトリョーシカ売りに扮しモデルにスカウトされた。
現在、アナはオリガへCAIから事情聴取を受けたと報告。オリガは「嘘は必ずばれる」と忠告した。仕事を終え帰宅したアナの元を訪れたアレクセイは、激しく彼女と交わった。
その週の日曜日、アレクセイとオリガは、ワシリエフの前へアナを連れて行った。5年経つので組織を抜けたいと言い出したアナは、ワシリエフから「死ぬまで国家に奉仕しろ」と言い切られ絶望した。
アナと同じくモデル業で大金を稼いだモードは、彼女と暮らす新居に浮かれていた。しかし、そんな興奮をよそに散歩へ出たアナは、アレクセイへ電話をすると、5年我慢しろと嘯いた彼へ自由になる方法を見つけた時は味方してくれるよう願った。
映画『ANNA/アナ』のあらすじ【転】
モデルの撮影を放棄し仕事のためオリガの元へ向かったアナは、次なるターゲットであるドイツ人外交官、ヴュルテンベルクのいるホテルを目指した。娼婦になりすまして彼の滞在するホテルへ向かったアナは、奪ったアタッシュケースをオリガへ渡した。しかし、キーとなる彼の人差し指を忘れた上に腕時計も置いてきてしまったアナは、ミスは挽回したが「わたし疲れちゃって」と涙を流した。オリガはアナへ1週間の休暇をやった。
モードとのバケーションから帰ったアナは仕事に復帰し、再びワシリエフに呼び出された。アレクセイ同席の中ワシリエフとチェスをしていたアナは、おもむろに銃を取り出すとワシリエフを撃ち殺した。
6ヶ月前。ホテルでヴュルテンベルクへ銃を向けたアナだったが、銃は空砲だった。彼女はすぐさま室内に隠れていたレナードに捕まり、彼はアナに二重スパイを依頼した。選択肢のないアナは、1年間の任期で自由になることとハワイへの移住を条件に引き受けた。アナは、バハマでの休暇中もレナードとコンタクトを取っており、二人は密かに惹かれ合った。
しばらくして、レナードは3年かけて計画したというワシリエフ暗殺計画にアナを抜擢した。この仕事を終えたら自由にしていいと言われたアナは引き受けた。
現在、ワシリエフを始末したアナは驚愕するアレクセイを眠らせ、救出に来たレナードの車を目指した。意識を取り戻したアレクセイによるエマージェンシーコールで、KGB内部は厳戒態勢に入る。同志を撃ちながら脱出を図るアナだったが、レナードは彼女と合流できず現場を去った。
映画『ANNA/アナ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ニューヨークに戻った大手柄のレナードは、同僚達からアナは死んだだろうと言われていた。しかし、そんな彼の元にアナからメールが届き、レナードは指定されたカフェへと急いだ。
大勢の味方の監視を付け約束の場所に到着したレナードだったが、彼が座ったカフェテラスにはアレクセイの姿もあった。KGBとCIA双方が緊迫した状況へ、遂にアナが姿を現した。彼女はそれぞれから奪った機密データを返還し、「あなたたちは私に生きる意味をくれた」と感謝し二人へ別れを告げた。
公園を去ろうとしたアナに激昂したオルガは、監視していたバンを飛び出して彼女を撃った。彼女を助けようと立ち上がったアレクセイとレナードだったが、二人は仲間に連れられ抗争に発展せず済んだ。
3ヶ月前。休暇明けのアナは、オルガにCIAと接触したことを見抜かれていた。オルガは、CIAからの情報を全て開示する条件で「あなたのことは我が子のようにわかるの。今はこの件をここだけの秘密にする」と言い、彼女を“自由”にするための策を練った。ワシリエフ殺害時も、アナは全てを把握していたオルガの車で逃走していた。
公園のベンチ脇で倒れるアナは、隙を見て逃げ出し防弾チョッキを処分して人混みに紛れた。
次期長官になったオルガは、予期せぬアナからのビデオメッセージを発見した。アナは万一の保険として二人での会話を録音しており、用意周到な彼女に感心したオリガは約束通りアナの記録を全て抹消した。
映画『ANNA/アナ』の感想・評価・レビュー
個人的には好みど真ん中の映画だった。
アレクセイとレナードと体の関係を持って信頼関係を強める場面に対しては、“女の武器”なんて所詮そんなものかと落胆したが、強くてかっこよくて知的な女スパイというキャラクターはとても好感を持った。
リュック・ベッソンのアクション映画はいつも気持ちが良い。それ故に「いつも通り」の既視感は否めないが、軽い気持ちで観ることのできるシンプルな映画である。かっこいい女性の躍動的で圧倒的なアクションあり、恋と殺しの駆け引きありで満足だった。(MIHOシネマ編集部)
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