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映画『アンテベラム』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『アンテベラム』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アンテベラム』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『アンテベラム』の結末までのストーリー
  • 『アンテベラム』を見た感想・レビュー
  • 『アンテベラム』を見た人におすすめの映画5選

映画『アンテベラム』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2020年
上映時間 106分
ジャンル ホラー
監督 ジェラルド・ブッシュ
クリストファー・レンツ
キャスト ジャネール・モネイ
エリック・ラング
ジェナ・マローン
ジャック・ヒューストン
製作国 アメリカ

映画『アンテベラム』の登場人物(キャスト)

エデン / ヴェロニカ(ジャネール・モネイ)
奴隷制度が敷かれた農場で働く若い女性。 / 人種差別に反対する若き女性学者。
ジュリア(カーシー・クレモンズ)
エデンが働く農園で知り合った女性。
イーライ(トンガイ・キリサ)
農園でエデンの協力者となる男。
将軍(エリック・ラング)
農園を仕切る実力者で、南軍の将軍。
エリザベス(ジェナ・マローン)
将軍の娘。

映画『アンテベラム』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『アンテベラム』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アンテベラム』のあらすじ【起】

アメリカのルイジアナ州、まだ当たり前のように奴隷制度が敷かれていた、南北戦争前の時代。1人の黒人女性が小屋の中で、南軍の軍服を来た男に殴られていた。男は女性に「名前を言え」と強要するが、女性は言葉を発しない。そこで男は暖炉の火で熱した焼きゴテを、女性の背中に押しつける。女性は観念したように、自分の名前を「エデン」と名乗る。

エデンのいる農園では綿を栽培するプランテーション農業が行われ、白人が絶対的権力を持ち、黒人は奴隷として働かされ自由に会話をすることすら許されていなかった。そして農園に新しい奴隷が連れて来られ、エデンの住む小屋をジュリアという若い黒人女性が訪ねてくる。

エデンは奴隷の身分に不安げなジュリアを、「今までの生活は忘れて、チャンスを待って」説得する。そんなエデンを見てジュリアは、「あなたを見たことがある。あなたが唯一の希望よ」と言葉を返す。そしてジュリアは、自分が妊娠していることをエデンに打ち明ける。

映画『アンテベラム』のあらすじ【承】

農園で働き始めたジュリアは、ダニエルという若い伍長に部屋に来るよう言われ、ダニエルが優しい人物だと思い話しかけるが、ダニエルはジュリアを張り飛ばし、腹を蹴り上げる。次の日ジュリアは農園で股間から出血し、エデンはジュリアを畑の外へと連れ出す。

場面は現代のアメリカへと変わり、ヴェロニカという若い黒人女性が、人種差別問題を訴える講演のためルイジアナ州へ出かける。憲法史学の博士号を持つヴェロニカは、黒人の立場から人種差別に警鐘を鳴らすオピニオン・リーダーとして有名だった。

講演を終えたヴェロニカは、友人たちと共にレストランに出かけ、食事を終えた後タクシーに乗り込む。しかしタクシーは見知らぬ場所に停車し、そこでヴァロニカは車の後部に身を潜めていた男に口を塞がれ、気を失う。

そして目覚めたヴェロニカは、エデンの住む小屋の中にいた。小屋の外では黒人たちが「彼」と呼んで恐れている将軍が、スマホで外部と通話していた。

映画『アンテベラム』のあらすじ【転】

エデンとは誘拐されたヴェロニカの「この地での名前」で、農園での出来事は過去の話ではなく、白人至上主義者たちが南北戦争前の時代を模してルイジアナ州に作り上げた、恐るべき現代の奴隷農場だった。

エデン=ヴェロニカは農園で作業中、ジュリアが小屋から出て来ないことに気付く。不安に思ってジュリアの住む小屋に行くと、ジュリアは中で首を吊って死んでいた。農場に戻ったヴェロニカは、協力者の黒人・イーライに、「今夜、ここを出ていく」と告げる。

ヴェロニカは小屋の中で毎晩のように将軍に抱かれていたが、その夜もベッドの横で将軍が寝入ったあと、密かにベッドを抜けだし小屋の外へと出る。そして待ち合わせていたイーライと落ち合うと、将軍の乗っていた馬に付いたバッグからスマホを盗み出す。

そこで酒に酔ったダニエルが近づいて来るのを察し、イーライはダニエルを殴り倒す。ヴェロニカは奪ったスマホで警察に通報しようとするが、通話は途中で途切れてしまう。そして将軍の顔で顔認証しないと農園の位置情報が送れないと気付き、息を潜めて小屋の中に戻るが、目を覚ました将軍に襲われる。

映画『アンテベラム』の結末・ラスト(ネタバレ)

イーライは将軍に斧で打ち倒されるが、ヴェロニカは将軍の持っていた剣で将軍を一突きし、倒れた将軍にスマホをかざして認証を取る。ヴェロニカは夫のニックに電話して助けを求めるものの、通話はまたも途切れてしまう。

ヴァロニカは将軍を南軍の旗でくるむと、焼却炉へ運ぶ。そこは白人に逆らった黒人を焼却する場所で、ヴェロニカは将軍を入れた焼却炉に火を放つ。ヴェロニカは将軍の馬で農園を脱走しようとするが、将軍の娘・エリザベスが後を追って来る。

エリザベスは誘拐する黒人としてヴェロニカを選んだ張本人で、ヴェロニカはエリザベスを押し倒して首に縄をくくりつけ、馬に縛り付けて引きずっていく。エリザベスは銅像の土台に頭をぶつけ、息絶える。

その銅像は南軍の偉人を奉ったもので、農園は南北戦争を模したテーマパークの奥に作られていた。農園を脱走したヴェロニカは現実の世界に戻ることに成功し、そして実態を暴かれたテーマパーク「アンテベラム(=南北戦争前、という意味)」は閉鎖されるのだった。

映画『アンテベラム』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

前半は「時代劇か?」と思わせる奴隷制の描写から始まり、後半で現代の物語とつながる構成に衝撃を受けた。まさか“今の世界”であれだけの非人道的な行為が行われていたとは…。フェイク時代劇テーマパークという設定があまりにも恐ろしく、人種差別の根深さを改めて突きつけられた。(30代 女性)


最初は何が起きているのか全く分からず混乱したけど、後半のどんでん返しで一気に繋がった時、震えが止まらなかった。奴隷制をただの歴史の話として終わらせず、“現代に生き続けている”というメッセージが強烈。ホラーやスリラーというジャンルを越えて、現実を見せつけてくる作品だった。(20代 男性)


中盤までの違和感を持続させる演出が巧みで、種明かしされたときの衝撃が倍増した。黒人女性が現代でも奴隷として扱われていたという事実には、フィクションとはいえ怒りを覚えた。ジェナが反撃に出る後半の展開は爽快で、最後に馬に乗って逃げる姿は自由と解放の象徴として心に残った。(40代 女性)


映像が美しくて、特に冒頭のワンカットの長回しに引き込まれた。ただし、その美しさの裏にある暴力と支配の構造には強烈な皮肉があって、非常に不快でもあった。あえて“何が起きているのか”をぼかしながら観客を巻き込む構成が上手い。ラストに向けて怒りが燃え上がっていく展開は圧巻だった。(50代 男性)


物語としてはシンプルだけど、“現代のアメリカで奴隷制が復活していた”という設定が衝撃的で、その裏にある構造的な人種差別を象徴的に描いているのがすごい。リアルな問題として観たとき、これは決して絵空事ではないと思わされた。サスペンスとしてもよくできていて緊張感が途切れなかった。(20代 女性)


ジェナが「過去の象徴」だった南部の農園に閉じ込められていたという事実が明かされたとき、歴史がいかに今に連続しているかを感じさせられた。ラストの反撃劇も痛快で、銅像の前での象徴的なカットには鳥肌が立った。奴隷制度を“再現する”ことの狂気を描いた作品として、非常に鋭い。(30代 男性)


ジャンルとしてはホラー・スリラーに属しているけど、その本質は“人種問題”を描いた社会派映画。エンタメの形をとりながら、アメリカの病理を浮き彫りにしていて、観終わったあとに重い余韻が残る。サプライズ的な展開もあるが、むしろその後の“怒り”の描写がメインに感じられた。(40代 女性)


途中まで“時代設定の分からない映画”として観ていたので、現代の世界だったと知った瞬間の衝撃がすごかった。ラストの“騎馬での脱出”は象徴的かつ痛快で、ジェナの強さと意思に感動。テーマは重いけど、メッセージ性が強く、サスペンスとしての完成度も高かった。考えさせられる映画だった。(50代 男性)


テーマがあまりにも重くて、観ていて息が詰まりそうだったけど、それでも目が離せなかった。支配する側の狂気と、それに屈せず立ち向かう主人公の姿が印象的。特に電話ボックスのシーンは心が折れそうになった。現代にこんな地獄があるというメッセージは、強烈な警鐘になっていた。(20代 男性)


「黒人女性が主人公のサスペンス」として観たけれど、これは完全に“アメリカの闇”そのものを描いた作品。いまだに存在する偏見や暴力を、“過去の話ではない”という形で突きつけてくる構成に感心した。ラストで自由を手にする描写に救いがあったものの、その裏にある苦しみは深く重かった。(60代 女性)

映画『アンテベラム』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アンテベラム』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ゲット・アウト

この映画を一言で表すと?

人種差別をスリラーに昇華した、社会派ホラーの金字塔。

どんな話?

白人の恋人の実家を訪れた黒人青年クリス。最初は歓迎されているように見えたが、次第に奇妙な違和感に包まれていく。やがて彼は恐るべき真実に辿り着き、逃げ場のない悪夢が始まる。

ここがおすすめ!

『アンテベラム』同様、ホラーとサスペンスを通して人種問題を描いた社会派映画。視覚的な恐怖だけでなく、皮肉と風刺の効いた脚本が秀逸で、考察要素も満載。ジョーダン・ピール監督の代表作として必見です。

ラビング 愛という名前のふたり

この映画を一言で表すと?

愛を貫いた男女がアメリカを変えた、実話に基づく静かな闘いの記録。

どんな話?

異人種間結婚が違法だった時代、白人男性と黒人女性が恋に落ち、結婚する。しかしその愛は州法により否定され、彼らは法廷で闘うことを決意する。1967年、歴史を動かした「ラビング対バージニア州」の実話。

ここがおすすめ!

『アンテベラム』のように、個人の尊厳と自由をめぐるテーマを描く作品。抑えた演出の中に強い意志が宿っており、派手な演出ではないからこそ響く真実がある。静かで力強い作品を求める方におすすめです。

それでも夜は明ける

この映画を一言で表すと?

自由を奪われた男の13年間を描いた、魂の記録。

どんな話?

自由黒人として暮らしていたソロモン・ノーサップが拉致され、奴隷として売られてしまう。家族のもとに戻るため、過酷な環境の中で希望を捨てずに生き続けた彼の姿を描いた実話。

ここがおすすめ!

『アンテベラム』の前半で描かれるような過酷な奴隷制の実態が、ここではリアルに表現されている。映像の重さと俳優陣の熱演が心を揺さぶり、歴史の残酷さを深く理解できる。受賞歴多数の重厚なドラマです。

キャンディマン(2021)

この映画を一言で表すと?

都市伝説が現代の怒りと差別にリンクする、社会派ホラーの進化系。

どんな話?

かつて殺人があったシカゴの公営住宅で、再び怪事件が発生。「鏡の中で名前を5回唱えると現れる」都市伝説キャンディマンが、現代の黒人コミュニティに深い影を落とす。

ここがおすすめ!

ホラーというジャンルを使い、社会に潜む構造的差別や暴力を可視化する手法は『アンテベラム』と非常に近い。恐怖と社会批判が同時に成立する構成は、観る者に問いを突きつける。ビジュアルも洗練されており完成度が高い。

ディア・ホワイト・ピープル(映画版)

この映画を一言で表すと?

エリート大学の表面下に潜む人種差別を炙り出す、痛烈な風刺劇。

どんな話?

名門大学で行われた“黒人文化をテーマにした白人主催のパーティ”をきっかけに、キャンパス内の人種問題が噴き出す。ユーモアとシリアスを絶妙にブレンドしながら、学生たちが自らのアイデンティティと向き合っていく。

ここがおすすめ!

現代における「見えにくい差別」やマイクロアグレッションを描く作品として、『アンテベラム』の現代的視点と相性が良い。知的で鋭く、それでいてポップに観られるバランスが魅力。深く考えたい人におすすめです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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