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映画『阿修羅のごとく』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『阿修羅のごとく』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『阿修羅のごとく』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『阿修羅のごとく』の結末までのストーリー
  • 『阿修羅のごとく』を見た感想・レビュー
  • 『阿修羅のごとく』を見た人におすすめの映画5選

映画『阿修羅のごとく』 作品情報

阿修羅のごとく

  • 製作年:2003年
  • 上映時間:135分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:森田芳光
  • キャスト:大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子 etc

映画『阿修羅のごとく』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『阿修羅のごとく』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『阿修羅のごとく』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『阿修羅のごとく』 あらすじ【起・承】

昭和54年のある冬の夜。
竹沢家の四姉妹は、三女・滝子(深津絵理)の呼び出しで久しぶりに集まる。
数えで七十になる父(仲代達矢)に愛人と隠し子らしき子どもがいるというのだ。
四人の意見はまとまらないが、母(八千草薫)に隠し通すことだけは約束し合う。

長年連れ添った両親のことは心配だが、姉妹もそれぞれが秘密を持っていた。
未亡人の長女・綱子(大竹しのぶ)は、妻のある枡川(中村三津五郎)と不倫中。
夫(小林薫)と子ども2人に恵まれ一見幸福そうな次女・巻子(黒木瞳)は、綱子とは逆の立場で夫の浮気疑惑に悩まされている。
奔放な四女・咲子(深田恭子)は、同棲中のボクサー・陣内の子を身ごもっている。
潔癖で男に疎い滝子も、浮気調査を依頼した興信所の勝又(中村獅童)と急接近し、初めての恋愛にあたふたしていた。

疎遠気味だった四姉妹は、父の愛人問題をきっかけに互いの秘密まで知ることとなり、そこに新たな葛藤が生まれる。
当事者である父と母は何事もなく静かに暮らしているのに、四姉妹の環境ばかりが目まぐるしく変化していく。

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映画『阿修羅のごとく』 結末・ラスト(ネタバレ)

時は過ぎ、咲子は成功した陣内と派手に暮らし、滝子と勝又も無事結婚式の日を迎える。しかし、幼い頃から反目し合ってきた二人は互いの結婚を機にますます対立を深める。
そんな中、絶好調だった咲子の暮らしは、陣内の重篤な病気により崩壊していく。
綱子と巻子もまた、それぞれの立場で悩み苦しんでいた。

ある冬の日。母と外食して別れた後、夫の浮気に悩む巻子は何となく父の愛人のアパート近くへ行ってしまう。するとそこにはアパートを見上げる母の姿があった。娘に真実を知られ、母は困った表情を浮かべ、微笑み、その場で倒れたまま帰らぬ人となる。
四姉妹は、母がずっと父の愛人の存在を知っていたことにショックを受け、父を責める。
そして父は今日人知れず、愛人と別れてきたところだった。

母の死をきっかけに四姉妹はまた変化していく。
弱みにつけこまれ恐喝されていた咲子を滝子が救い、二人は長年のわだかまりを解く。
綱子は枡川への愛を素直に認め、巻子も夫を責めず穏やかに暮らす道を選ぶ。

桜が満開の頃。竹沢家には義理の息子たちと将棋をしながら居眠りをする父と、それを見て仲良く笑う四姉妹の姿があった。

映画『阿修羅のごとく』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『阿修羅のごとく』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

時を経て叶えられた向田邦子の願い

原作者の向田邦子は昭和のテレビ界を代表する脚本家の一人だ。
向田はエッセイで、すぐに忘れ去られるテレビドラマの悲しさを綴っている。
だからこそ、観客の記憶に残るもっと凄い脚本を書きたいという高い志を持っていたが、その願いは突然の飛行機事故により叶わぬものとなった。まだ51歳の若さだった。

本作の脚本は、向田邦子賞を受賞した筒井ともみが担当し、設定こそ映画用にアレンジされているが、セリフは向田のオリジナルがかなり忠実に使われている。
それは、森田監督と筒井の向田に対する敬意の表れだろう。
そして、向田の願いはこの作品の映画化により叶えられたのではないだろうか。

謎が多い父の愛人と情念を見せない母の阿修羅

物語は終始四姉妹の事情で進行していく。
それはそれで飽きずに楽しめるのだが、紺野美沙子演じる愛人の事情がよくわからない。
子どもに仲代達也を“パパ”と呼ばせ、金銭的にも依存してきた(であろう)愛人は突然他の人と結婚するという。どんなに切ない顔をされても“おめでとう”なんて言えるものじゃない。仲代達矢は許しても、子どもと観客は許さないだろう。

そして、お母さん…。八千草薫はずっと仏様のように微.+部知っていたのに。
愛人宅前にいるのを黒木瞳に見つかって、一瞬戸惑いの表情を見せるが、すぐにいつもの微笑を取り戻す。このお母さん、一人の時はどんな顔をしていたのか…想像すると背筋が凍りつく。登場人物の誰よりも阿修羅度が高い女は、仏顔の八千草薫演じるお母さんだ。
2位は僅差で紺野美沙子演じる愛人だろう。どっちもそこはかとなく怖い。


女だけ姉妹ってやっぱりいいなと思ってしまう作品でした。私には溺愛している弟がいますが、可愛くて仕方ない存在なので、嫌なところや嫉妬する部分は一切ありません。しかし、今作の四姉妹は1つの秘密を隠すために結託したものの、お互いが抱える問題から姉妹それぞれを嫉妬したり、羨ましく思ったりしていて、その姿は本人たちは頭に来ているのでしょうが、私は微笑ましく思えてしまいました。終盤、助け合う姉妹の絆には憧れてしまいます。
素敵な家族とハチャメチャだけど絆の強い四姉妹の姿を見せてもらい、心が温かくなりました。(女性 30代)


4姉妹それぞれの視点から描かれる父の不倫騒動。家庭の裏に潜む感情が、丁寧かつリアルに描かれていて、とても引き込まれました。特に長女・光子の冷静なようでいて不安定な内面や、四女・咲子の奔放な生き方など、どの人物も一面的ではない描かれ方が見事。父親の死が訪れても、それぞれが整理のつかない感情を抱えているのが切なかった。現代にも通じる家族ドラマだと感じました。(30代 女性)


姉妹の性格の違いが絶妙で、それぞれの立場や年齢によって、父親の浮気に対する受け止め方が異なるのが興味深かったです。中でも三女・滝子の、結婚に対する皮肉な見方はとても共感できました。物語が進むにつれて、家族それぞれが抱えている孤独や複雑な感情が浮き彫りになっていく構成が秀逸。静かな映画ですが、心の動きが激しい分、観終わったあとにじわじわ来ました。(40代 男性)


登場人物全員に感情移入できる稀有な作品。最初は父の浮気に怒っていた四姉妹が、次第に自分の人生と向き合っていく流れが非常にリアルでした。特に、次女・巻子が夫との関係に揺れ動くシーンが印象的で、「他人事ではない」と感じる瞬間がいくつもありました。ラストで父が亡くなっても、何も解決しないまま日常が続いていくという終わり方がとても人間的でした。(50代 女性)


家庭内の“見たくない部分”をえぐるように描いた作品で、観ていて心が苦しくなる場面も多かったです。母の不在、父の裏切り、姉妹の確執や連帯、どれもがリアル。誰かを悪者にするのではなく、全員が“どこかずれている”のがまた良い。父親が死んでもすっきりしないし、それぞれが何かを抱えたまま生きていく感じが妙に現実的で、逆に救いにも感じました。(20代 男性)


家庭の問題を“事件”としてではなく、“日常”として描いている点に深みを感じました。父の浮気というきっかけから、姉妹それぞれの価値観や人間関係が浮き彫りになる過程は見応え十分。とくに長女の冷静さの裏にある寂しさが切なかったです。父の死によって、すべてがリセットされるわけではなく、むしろ「残されたもの」にどう向き合うかという問いが残る映画でした。(30代 男性)


舞台劇のような緻密な会話劇と、登場人物の感情の揺れが素晴らしかったです。四姉妹が一堂に会するシーンは緊張感があって見ごたえ抜群でした。家族なのに分かり合えない、でも縁は切れないという独特の空気が心に残りました。父の浮気が引き金になって、それぞれが自分の人生の鏡を見るような展開で、ラストの余韻もとても上品でした。(40代 女性)


一見静かなホームドラマのようですが、人物の内面に迫る描写が鋭く、かなり骨太な作品だと感じました。四姉妹の生き方や性格の違いが見事に描き分けられていて、誰に感情移入するかで印象が変わる映画だと思います。自分は三女の視点に一番共感しました。父親の死が何も解決しないどころか、新たな問題を炙り出すという構成が見事でした。(50代 男性)


映画全体に流れる“言葉にできない違和感”がとても印象的でした。父の浮気という出来事に対して、四姉妹がどう対応するかを通して、それぞれの生き方や価値観が浮かび上がってきます。とくに次女の巻子が、夫婦関係に疑問を抱き始める流れは、自分自身にも通じるものがありました。登場人物に感情移入しすぎて、観終わったあともしばらく考え込んでしまいました。(30代 女性)


セリフのひとつひとつが深くて、登場人物が本音を語らないからこそ余計に感情が伝わってきました。静かな映画ですが、内面では嵐のような感情が渦巻いていて、どの登場人物もとても人間的。四女・咲子のように奔放に見える人物にこそ、大きな孤独があると気づかされます。父の死によって姉妹が再び“家族”を考え直すラストは、感動というよりじんわり心に残る余韻でした。(20代 女性)

映画『阿修羅のごとく』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『阿修羅のごとく』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

東京家族

この映画を一言で表すと?

家族のすれ違いと愛情を、静かに、そして深く描いた現代のホームドラマ。

どんな話?

田舎から東京へ出てきた両親と、都会で暮らす子どもたち。久しぶりの再会は、家族それぞれの立場や価値観の違いを浮き彫りにしていく。優しさと寂しさが入り混じる、今の時代の“家族”の在り方を見つめた作品。

ここがおすすめ!

『阿修羅のごとく』と同じく、家族の本音と建前、愛情と距離感を繊細に描いています。派手な展開はなくとも、感情の機微に共感できるシーンが多く、観終わった後にじんわりと心に染みる映画です。

東京物語

この映画を一言で表すと?

時代を超えて愛され続ける、“家族のすれ違い”を描いた不朽の名作。

どんな話?

老夫婦が子どもたちに会うために上京するが、期待していたような団らんは得られず、むしろ世代の隔たりが浮き彫りになる。親の寂しさと、子の忙しさが交差する物語。

ここがおすすめ!

小津安二郎監督の代表作であり、静謐な映像の中に深い人間ドラマが込められています。『阿修羅のごとく』のように、表面では笑っていても内面に葛藤を抱える“家族”の本質を見事に描いています。

ぐるりのこと。

この映画を一言で表すと?

“家族になっていく”ということの複雑さと温かさを描いた夫婦の再生ドラマ。

どんな話?

1980年代から90年代の東京を舞台に、法廷画家の夫と、心に傷を抱えた妻が、日々の暮らしを通じて少しずつ心の距離を縮めていく姿を描く。静かな日常に潜む苦悩と、再生の兆しが丁寧に綴られる。

ここがおすすめ!

大きな事件ではなく、小さな心の揺れを積み重ねる構成が『阿修羅のごとく』と共通しています。身近な人だからこそ難しい関係性を描き、心に深く染み渡る感動を与えてくれます。

かもめ食堂

この映画を一言で表すと?

人生につまずいた女性たちが、異国の地で少しずつ心を通わせていく優しい物語。

どんな話?

フィンランド・ヘルシンキで小さな食堂を営む日本人女性と、そこに偶然集った日本人女性たちが、それぞれの過去や不安を少しずつ癒していく様子を描く。大事件は起きないが、穏やかな時間が流れる癒しの作品。

ここがおすすめ!

『阿修羅のごとく』のように、女性たちの内面の揺れや自立をテーマにしながら、より静謐でポジティブな空気感が漂う作品。日常の美しさや、生き方に迷う人に寄り添う温かさが魅力です。

彼女たちの時間(オムニバス『3つの告白』より)

この映画を一言で表すと?

女性たちの人生と選択を、それぞれの立場から描いた感情密度の高いドラマ。

どんな話?

年齢や立場の異なる3人の女性が、それぞれの人生で向き合う恋愛、家族、仕事、そして“自分自身”。異なる背景を持ちながらも、心のどこかで共通する“孤独”を抱える彼女たちの姿を描く。

ここがおすすめ!

『阿修羅のごとく』と同様に、女性の視点から人生の選択や家族との関係を鋭く描写しています。静かで強い感情の揺れがリアルに伝わってくる、共感度の高いヒューマンドラマです。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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