映画『新しき世界』の概要:ある暴力団組織に潜入した警察官の男が、組織の間で揺れ動く様子を描いたサスペンス巨編。監督を務めるのは『隻眼の虎』のパク・フンジョン。各国の映画祭で上映されるなど、世界的に高い評価を獲得した。
映画『新しき世界』の作品情報
上映時間:134分
ジャンル:サスペンス
監督:パク・フンジョン
キャスト:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、パク・ソンウン etc
映画『新しき世界』の登場人物(キャスト)
- イ・ジャソン(イ・ジョンジェ)
- 巨大暴力団組織「ゴールド・ムーン」に潜入した捜査官。長きにわたる潜入捜査の末、組織内で理事にまで昇りつめる。
- カン・ヒョンチョル(チェ・ミンシク)
- イ・ジャソンの上司。組織壊滅のためならば手段を選ばない冷徹な性格。
- チョン・チョン(ファン・ジョンミン)
- 「ゴールド・ムーン」のNo.2。イ・ジャソンとは兄弟分にあたる。飄々とした性格だが、ここ一番で力を発揮する。
- イ・ジュング(パク・ソンウン)
- チョン・チョンと同じく「ゴールド・ムーン」で高い地位を得る。跡目争いの対立候補となるチョン・チョンを目の敵にしている。
映画『新しき世界』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『新しき世界』のあらすじ【起】
巨大暴力団組織「ゴールド・ムーン」の会長が、ある日不慮の事故で死亡する。トップを失った組織は、新たな会長候補としてチョン・チョンとイ・ジュングの二人を挙げる。
チョン・チョンの右腕として行動を共にするイ・ジャソンは、実は警察の潜入捜査官だった。しかし8年にわたる潜入捜査の末、彼は理事という地位を確立した。
当初は会長死亡までの予定だったが、カン・ヒョンチョルの指揮のもとイ・ジャソンの潜入捜査は延長される。カンの狙いは、後継者争いとしてチョン・チョンとイ・ジュングを衝突させることだった。
警察までもが介入することとなった後継者争いは、警察組織内では別名「新世界」と名付けられる。イ・ジャソンの正体を知るのは、警察内ではカンと刑事局長の二人のみだった。
イ・ジャソンには身重の妻がいたが、実は彼女もカンが用意した人材だった。イ・ジャソンが裏切らないよう、その行動を逐一妻に報告させていたのだった。しかしその事実をイ・ジャソンは知らない。
映画『新しき世界』のあらすじ【承】
カンは海外にビジネスへ向かう途中のチョン・チョンを引き止め、イ・ジュングの情報を与える代わりに警察に協力するよう脅しをかける。その行為に憤ったチョン・チョンは、ヒットマンを雇い、カンの周囲を調べ始める。
調査を始めたチョン・チョンは、やがて組織内に警察の内通者がいる証拠を見つけ出す。それによりカンの部下である女性捜査官と、イ・ジャソンの側近として同じく潜入していたソンムが殺害される。イ・ジャソンの警察資料はカンが処分していたため、彼の身元がバレることはなかった。
ある日、警察がイ・ジュングを逮捕拘留する。面会室に現れたカンは、今回の騒動はすべてチョン・チョンが仕組んだことだと吹聴する。怒りに震えたイ・ジュングは部下を集め、チョン・チョンの組へ襲撃に向かわせる。
カンはその間に「ゴールド・ムーン」会長候補の一人だったが、実質引退という身分になっていたチャン・スギを懐柔する。カンの狙いは、チョン・チョンとイ・ジュングが刺し違えている隙に、警察組織の息がかかったチャンを会長に置き「ゴールド・ムーン」を警察の意のままに操ることだった。
映画『新しき世界』のあらすじ【転】
イ・ジュングの部下たちに襲撃されたチョン・チョンは、激闘の末瀕死の重傷を負ってしまう。病床に伏した彼のもとに向かったイ・ジャソン。チョン・チョンは息を引き取る直前に「俺の部屋に贈り物がある」と言い残す。
彼の部屋へ行き、机の引き出しを開けたイ・ジャソン。そこには自らの警察資料が入っていた。チョン・チョンはイ・ジャソンの身元を知りながらも、これまでの年月で積み重ねてきた絆を尊重したのだった。彼の心意気に、イ・ジャソンは涙を流した。
ある日、カンがイ・ジャソンのもとへ会いに来る。その傍らにはチャン・スギの姿が。チャンと共に「ゴールド・ムーン」を乗っ取るよう要求するカンに、イ・ジャソンは強く反発する。
一方、拘留されていたイ・ジュングが釈放されるが、チョン・チョン殺害を企てた彼は組織内での居場所を無くし、孤立する。
そしてチャン・スギ新会長の就任式が間もなく行われようとしていた。会場へ向かうイ・ジャソンとチャンだったが、チャンが裏切りイ・ジャソンは武器を持った男たちに囲まれる。
映画『新しき世界』の結末・ラスト(ネタバレ)
武器を持った複数の男たちによって殺害されたのはチャンの方だった。イ・ジャソンは既に彼らを懐柔し、手を回した後だった。
カンのもとに、彼の部下を殺害したヒットマンが訪ねてくる。カンはもう勝ち目は無いと知りつつもヒットマンに戦いを挑むが、腹を刺され死亡する。
警察局長は移動の車内で、隣に並んだタクシーの後部座席から放たれた銃弾によって命を落とす。さらにイ・ジュングも、かつての彼の部下たちによってビルから突き落とされ命を落とす。
就任式に姿を現さないチャンに、周囲はざわつき始める。そこに現れたのはイ・ジャソン。彼はチャンに代わって自分が会長の任に就くと宣言する。
新しく手に入れた席で、過去の自分の資料を焼却処分するイ・ジャソン。チョン・チョンとの絆に触れた彼は、過去の自分を捨て、組織の中で生きていくことを選んだのだった。
燃え盛る炎を眺めながら彼の脳裏に浮かぶのは、6年前、まだ潜入したばかりの頃の自分の姿だった。兄弟分として、組織の下っ端だったチョン・チョンとイ・ジャソンは、二人で肩を並べながら夕暮れの道を歩いていた。
映画『新しき世界』の感想・評価・レビュー
韓国はサスペンス映画がすごく面白い印象だったので楽しみに観始めた。
暴力的なシーンも多くグロテスクな表現もあるので苦手な人は要注意だが、任侠映画とは言っても日本の任侠映画よりキャラクターやストーリーの進め方が個人的には好きに感じた。
ただの任侠映画ではなく潜入捜査もストーリーに入ってくるのでハラハラする時間がとても長くてあまり気を抜いてみることができませんでした。
頭を使って集中しながら観なければいけないので観終わった後は疲労感がとてもありました。(女性 20代)
かなりいい作品でした。韓国映画と言うと、孫の代まで続くほどの復讐劇や残酷な描写が多く、観たことを後悔してしまう作品も少なくありません。しかし、この作品は韓国映画が苦手な人にも是非見て欲しい作品です。
時間やテンポ、作中の音楽や映像、カメラワーク全てが良かったです。とにかくいい意味で惑わされ続けて、見終わってももやもやが残りますが、後味が悪いものではなく考えさせられるのです。
誰の目線で見るかで、ラストの感じ方も変わってくると思います。何度も見たくなる作品です。(女性 30代)
韓国の警察官が犯罪組織に潜入し、組織の抗争を経験する。遂には、警官の立場を捨て、純粋な組織として生きることを決意する。展開がコロコロ変わり、非常に残酷なシーンありハラハラありのヤクザ物で、良い意味で暑苦しい映画。怒号が飛ぶ荒々しい怖さではなく、落ち着いた雰囲気でぞっとするような雰囲気に包まれている。主役は3人いるが演技のレベルも高く、それぞれに対して感情移入できる。そのため、彼らの葛藤が観ていて非常に辛い。(男性 20代)
韓国映画はまだ初心者ですが、ファン・ジョンミンの演技に惹かれました。人懐っこい笑顔、哀愁、激しい怒り、あらゆる感情表現が巧みなのでしょう。また、潜入捜査する警察やヤクザも、みなキャラクターに癖があり親しみを感じました。冒頭や、倉庫に呼び出されるシーンはあまりに恐ろしく、冷や汗ものです。しかし、ラストに兄弟二人の回想シーンが流れて、物語がより一層深くなりました。思わず目頭を熱くしました。脚本や音楽が情緒的で素晴らしいです。(女性 30代)
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