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映画『バートン・フィンク』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『バートン・フィンク』の概要:新進の劇作家バートン・フィンクはハリウッドに招かれ、B級プロレス映画の脚本を書くことになった。しかし大スランプに陥り、宿泊先のホテルで悪夢のような日々を過ごすことになる。カンヌ映画祭でパルムドールほか三冠を達成したコーエン兄弟の代表作。

映画『バートン・フィンク』の作品情報

バートン・フィンク

製作年:1991年
上映時間:116分
ジャンル:コメディ、サスペンス
監督:ジョエル・コーエン
キャスト:ジョン・タートゥーロ、ジョン・グッドマン、ジュディ・デイヴィス、マイケル・ラーナー etc

映画『バートン・フィンク』の登場人物(キャスト)

バートン・フィンク(ジョン・タトゥーロ)
新進気鋭の劇作家。庶民の生活を題材にした社会派の戯曲で成功し、シナリオライターとしてハリウッドに招かれる。しかし、慣れないB級映画の執筆に悪戦苦闘し、宿泊先の安ホテルで悪夢のような日々を過ごすことになった。
チャーリー・メドウズ(ジョン・グッドマン)
バートンの隣室に泊まる巨漢の保険外交員。人懐っこく執筆に行き詰まったバートンの良き話し相手になるが、その正体は殺人鬼カール・ムントだった。
オードリー・テイラー(ジュディ・デイヴィス)
メイヒューの秘書兼愛人。飲んだくれのメイヒューを献身的に支え、才能の枯渇した彼のゴーストライターを務めていた。
ジャック・リプニック(マイケル・ラーナー)
ハリウッドの映画スタジオ・キャピタル映画社の社長。NYの演劇界で成功したバートンに目をつけ、脚本の執筆を依頼する。押しの強さを豪語し、常に自分ペースで仕事を進める。
W・P・メイヒュー(ジョン・マホーニー)
小説家兼脚本家。バートンの尊敬の対象だったが、酒に溺れ、自堕落な生活で失望させる。映画界に飼い殺しにされたバートンの先輩格。
ベン・ガイズラー(トニー・シャルーブ)
リプニックの部下でキャピタル映画社のプロデューサー。自らの進退に関わるバートンの脚本完成を急かせる。
チェット(スティーヴ・ブシェミ)
アール・ホテルの受付係り兼ボーイ。
マストロナディ刑事(リチャード・ポートナウ)
殺人鬼ムントを追うロス警察のイタリア系刑事。
ドイチ刑事(クリストファー・マーニー)
マストロナディの相棒のドイツ系刑事。

映画『バートン・フィンク』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『バートン・フィンク』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『バートン・フィンク』のあらすじ【起】

ニューヨーク、1941年。新進の劇作家バートン・フィンクは、庶民の生活に光を当てた社会派の芝居で成功し、一躍演劇界の寵児となった。そんな彼のもとにハリウッドから映画脚本の執筆依頼が舞い込んだ。周囲の称賛を余所に演劇の革新を夢想するバートンは迷った。しかし、知人の説得もあって引き受けることにする。

いざハリウッドに乗り込んだバートンをキャピトル映画社の社長リプニックが待っていた。リプニックはバートンの考えなどお構いなしにウォーレス・ビアリーが主演するレスリング映画の脚本を書くよう要求した。

バートンは滞在するアール・ホテルの陰気で蒸し暑い一室に籠り、不本意な脚本に取り組むことになった。

早速タイプに向かった矢先、隣室から不気味な笑い声が聞こえてきた。苛立ったバートンはフロント係りのチェットを通じて苦情を申し立てた。

程なく笑い声の主、チャーリー・メドウズがバートンの部屋を訪れた。身構えるバートンだったが、チャーリーはその巨体に反して気のいい男だった。保険の外交員だというチャーリーに自分が思い描く平凡な庶民像を重ねたバートンは、すっかり彼と打ち解ける。

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映画『バートン・フィンク』のあらすじ【承】

けれども不慣れな題材に手こずり、執筆は一向に捗らなかった。室内に立ちこめる異様な暑さに加え、耳元を飛び回る蚊の音や突如剥がれ落ちる壁紙がバートンの神経を掻き乱した。そして、気がつくとバートンの視線は、しばしば壁に掛かる浜辺の女の写真に吸い寄せられていった。

そんな折、尊敬する作家のW・P・メイヒューと遭遇したバートンは彼の宿舎を訪ね、応対に出たメイヒューの秘書で愛人のオードリーに好意を抱いた。

一人悶々とするバートンの部屋にチャーリーが現れた。バートンがレスリング映画を執筆中と知るや、チャーリーは実演指導を申し出た。及び腰のバートンを半ば強引に組み伏せたチャーリーは、やり過ぎたことを詫びながら自室へ戻っていった。

ある日、バートンはピクニックに出かけた先で泥酔したメイヒューがオードリーを侮辱し、醜態を晒したことに幻滅する。一方でメイヒューを献身的に世話するオードリーへの愛情はさらに募った。

チャーリーから近くニューヨークへ発つことを聞かされたバートンは、良き相談相手を失うことを嘆いた。チャーリーはすぐに戻って来ると約束し、その頃には脚本も完成しているだろうと励ました。バートンは現地でチャーリーが立ち寄れるようにと両親の住所を教えた。

なおも書けないバートンは、リプニックの部下で制作担当のガイズラーに呼び出される。ガイズラーは既にリプニックから脚本の催促を受けており、明日までに粗筋をでっちあげろと急かした。

映画『バートン・フィンク』のあらすじ【転】

窮地に立ったバートンはオードリーに助けを求めた。駆けつけたオードリーの口からメイヒューの著作の多くが実は彼女の代筆であることを知ったバートンは、激昂してメイヒューを罵った。そんなバートンをオードリーは優しくなだめ、二人はベッドを共にした。

だが、明け方目覚めたバートンは血まみれで死んでいるオードリーを発見して仰天する。完全に理性を失い、取り乱すばかりのバートンに代わってチャーリーが死体をどこかへ運び去った。事が終わるとチャーリーは、全てを忘れるようバートンを諭した。

朝を迎え、何のアイディアも持たぬままリプニック宅を訪れたバートンだったが、出まかせで社長を言いくるめ、その場を凌いだ。

いよいよニューヨークへ発つことになったチャーリーは大切なものだと言って、バートンに箱を預けて去った。バートンはオードリーの血痕が残るベッドに腰かけ、一人めそめそ泣いた。

残されたバートンは刑事たちの尋問を受け、チャーリーの正体が有名な首切り殺人鬼カール・ムントであると知らされる。尋問中、バートンをユダヤ系だと知った刑事たちは侮辱的な態度を露わにした。

バートンは残された箱を手に取り、机の上に置いた。すると、俄かに創作意欲が沸き起こり、天命に導かれるが如く一気呵成に脚本を書き上げた。

その晩、脚本に傑作の手ごたえを感じたバートンは、軍人慰労のダンスパーティで歓喜を爆発させ、出征兵士たちと乱闘騒ぎを起こした。

映画『バートン・フィンク』の結末・ラスト(ネタバレ)

バートンが戻ると、部屋に入り込んだ刑事たちが彼の脚本を盗み見ていた。刑事たちは新聞を見せてメイヒューが殺されたことを伝えた。さらにベッドに残るオードリーの血痕を問い詰め、バートンとムントの共犯を疑った。

そのとき室温の上昇を感じたバートンは、チャーリーが戻ったことを確信する。エレベーターの音に刑事が廊下へ出ると、そこは灼熱の地獄だった。突然炎が湧き上がり、呼びかけに応じてチャーリーが現れた。チャーリーは炎の中を突進し、ショットガンで刑事たちを射殺した。

バートンと再会したチャーリーは、自分の殺人行為について罠に嵌った世間の人間を解放してやるためだと言った。そして、ニューヨークでバートンの両親に会ったこと、預けた箱は実は自分のものでないことを告げ、燃え盛る自室に消えた。バートンは、書き上げた脚本と箱を持ってホテルを後にした。

会社に着いたバートンは両親に連絡を取ろうとするが不通だった。

バートンの書いた脚本「大男」はリプニックに一蹴された。それは、リプニックの要求とはかけ離れた“精神の格闘”を描いたものだった。リプニックは一人傑作を物したと自惚れるバートンを激しく罵倒し、この先も自分のもとで飼い殺しにしてやるとまくし立てた。

浜辺を歩くバートンはあの写真からそっくり抜け出してきたような女と出会う。女に箱の中身を問われたバートンは“分からない”と答え、写真と全く同じその後ろ姿を眺めるのだった。

映画『バートン・フィンク』の感想・評価・レビュー

コーエン兄弟の多分に自嘲を込めた皮肉が効いていて面白かった。苦悩する劇作家バートンはコーエン兄弟その人だろう。バートンの悪戦苦闘は、作家がいつも同じモチーフを変奏させて最善の物語を紡いでいく過程であり、不気味なホテルはその苦悩そのもの、創作の地獄ということか。幾重にも意味が重ねてあるようで深読みが可能な表現は刺激的。台詞も(発声の仕方まで!)とても練られている。ただ字幕で追うには当然情報量の限界があり、そこはちょっと口惜しい。(MIHOシネマ編集部)


本作は、不気味なホテルに招かれ執筆にとりかかろうとする新進気鋭の劇作家バートン・フィンクの周辺で巻き起こる怪奇現象を描いたコーエン兄弟によるコメディーサスペンス作品。
現実と幻想の境目が曖昧なところや変人しか出てこないところ、ホテルの密閉空間に終始漂うじっとりとした不穏な空気など、この作品の世界観がたまらなく好きだった。
また、脇役だけれどホテルマンのチェットのキャラクターが気になってしょうがなかった。(女性 20代)


途中で映画のジャンルが変わったように思えて驚いた。こんな展開の仕方アリ?という感じだったが、最後まで面白かった。コーエン兄弟は本当にいつも楽しませてくれる。

本作でも、コーエン兄弟の傑作「ノーカントリー」に似たような、理解できないものの恐怖が不気味に描かれていた。前半は特に何も起きないが、徐々にクライマックスへと坂を登っていって見せた強烈なラストには誰もが驚くと思う。(女性 20代)

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