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映画『バスキア』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『バスキア』の概要:黒人画家としては異例の成功を収めたが、ヘロインの過剰摂取により27歳で早逝したジャン=ミシェル・バスキアの半生を綴った伝記映画。主演のジェフリー・ライトに加えて、ベニチオ・デル・トロ、デヴィッド・ボウイといったキャスト陣の熱演が見もの。

映画『バスキア』の作品情報

バスキア

製作年:1996年
上映時間:107分
ジャンル:伝記
監督:ジュリアン・シュナーベル
キャスト:ジェフリー・ライト、クレア・フォーラニ、マイケル・ウィンコット、デヴィッド・ボウイ etc

映画『バスキア』の登場人物(キャスト)

ジャン=ミシェル・バスキア(ジェフリー・ライト)
ニューヨークで暮らす黒人青年。母親はプエルトリコ系、父親はハイチ系の移民。両親は離婚しており、母親は精神病院に入院中。音楽やアートなど様々な芸術活動を続ける中で、絵の才能が認められ、有名になっていく。
ジーナ・カルディナーレ(クレア・フォーラニ)
バスキアの恋人。自身も画家を目指していた。バスキアに声をかけられ恋に落ち、同棲する。
ベニー・ダルモー(ベニチオ・デル・トロ)
バスキアのバンド仲間であり親友。かなりのジャンキーだが物事を見る目は冷静で、バスキアに的確な忠告やアドバイスをする。
ルネ・リカード(マイケル・ウィンコット)
ニューヨークの街で新人芸術家を発掘している美術評論家。偶然バスキアの絵を見て、彼の才能を見抜く。
アンディ・ウォーホール(デヴィッド・ボウイ)
1960年代から80年代にかけて活躍したポップアート界の巨匠。バスキアの才能を愛し、親交を深めていく。

映画『バスキア』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『バスキア』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『バスキア』のあらすじ【起】

1979年、ニューヨーク。もうすぐ20歳になるジャン=ミシェル・バスキアは、公園のダンボールハウスで寝泊まりしながら、スプレーペインティングや音楽などの芸術活動を続けていた。

ある日、レストランで働くジーナというウエイトレスに一目惚れしたバスキアは、修道院付属の精神病院に入院中の母親を見舞い、“俺、結婚するよ”と宣言する。

バスキアは仕事終わりのジーナに声をかけ、自分のバンドのライブへ誘う。しかしジーナはライブ会場の「マッド・クラブ」を嫌い、その誘いを断る。

雨が降ると、バスキアはバンド仲間で親友のベニーの家に泊めてもらう。ベニーもバスキアもヘロインを常用しており、その生活は荒んでいた。

クラブでのライブの日。ジーナが会場へ姿を現す。バスキアはすぐに彼女を外へ連れ出し、彼女の家で結ばれる。バスキアはそのままジーナの家で暮らし始める。ジーナもバスキアと同じように、画家を目指して創作活動をしていた。

バスキアには有名になりたいという野望があったが、具体的にどうすればいいのかがわからない。ベニーはバスキアに“いい服を着て有名人と知り合いになり、同じタイプの作品を作り続けろ”と自分の売り込み方をアドバイスする。しかしベニーは有名人と呼ばれるセレブ連中を軽蔑しており、頭のいいバスキアには向いていない世界だと感じていた。

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映画『バスキア』のあらすじ【承】

街角で有名なアーティストのアンディ・ウォーホールを見かけたバスキアは、レストランに入ったアンディに自分の絵葉書を売り込みに行く。ベニーのアドバイスで絵葉書には10ドルという値段をつけ、“買ってくれ”と頼んでみる。アンディはバスキアの絵を褒め、その反応を見た美術品収集家のブルーノは、バスキアの絵葉書を全て買ってくれる。

バスキアはジーナに花束を贈り、ベッドの中でプロポーズする。しかしジーナはすでに眠っていた。バスキアは眠れなくなり、ジーナの絵やワンピースに落書きを始める。目を覚ましたジーナは怒り出すが、バスキアに“愛しているよ”と言われ、黙ってしまう。

ベニーと見知らぬ家でのドラッグ・パーティーに顔を出していたバスキアは、泊めてもらったお礼に絵を残していく。偶然その場にいた美術評論家のルネは、バスキアの絵を見て彼の才能に驚く。ルネはすぐにバスキアに声をかけ、“君をスターにしてやる”と約束する。

1981年、ルネの売り込みで、バスキアは「P.S.1」という画廊でのグループ展に作品を出品する。会場に来たブルーノは2000ドルでバスキアの絵を買ってくれ、メトロポリタン美術館の学芸員も、自分用にバスキアの絵を買う。個展にはジーナも来ていた。

画廊の経営者であるアニーナは、バスキアの絵が売れると判断し、自分の画廊で彼の個展を開催することに決める。アニーナは、バスキアに絵を描く資金と場所を提供してくれ、バスキアは地下のアトリエで思い切り絵を描き始める。

ルネはバスキアのことを記事にして、アート史上で最も才能ある黒人画家として有名にしようとしていた。「貧困層の黒人画家」として売り出されることに、バスキアは違和感を覚える。しかし反発することもできず、精神的に不安定になっていく。

映画『バスキア』のあらすじ【転】

バスキアは孤独を感じており、街角で女性に声をかけ、彼女と遊びに行く。ジーナもそんなバスキアの変化に気づいており、憂鬱な日々を送っていた。

バスキアは大量のヘロインを摂取してイメージを広げ、アート作品を完成していく。ある日ジーナが帰宅すると、バスキアの呼吸が止まっていた。ジーナは驚いて彼の胸を強く叩き、バスキアを蘇生させる。バスキアのヘロイン摂取量は、限界を超えつつあった。

バスキアが有名になるにつれ、ベニーとの関係にも亀裂が入っていく。ベニーは、バスキアが変わってしまったと感じており、2人は口喧嘩をして決裂する。

バスキアの個展は大盛況で、美術界の大物たちが集まってくる。ブルーノは大きな画廊のオーナーを紹介し、アニーナやルネからバスキアを奪う。さらに、バスキアがルネのために描いた絵を欲しがり、バスキアは渋々それを承諾する。その現場を目撃したルネは、“俺の恩を忘れるな!”と怒り出し、バスキアを罵って帰ってしまう。

若干24歳で大きな成功を収めたバスキアの周囲には、金儲けを企む人々や有名人がどんどん集まってくる。すでにバスキアは個展を23回、グループ展を43回も開催し、彼の名前は世界中で有名になりつつあった。アンディはバスキアのことを天才だと認め、作品を共同制作するようになる。

ある記者から“中流家庭育ちなのにダンボールハウスで暮らしていたのは、ゲットー出の黒人アーティストというイメージを作りたかったからか”と質問され、バスキアは強い怒りを感じる。そんなバスキアにとって、アンディといる時間だけが、心の安らぎになっていた。

周囲は、“アンディがバスキアを利用している”と噂していたが、バスキアとアンディの友情は変わらずに続いていた。バスキアはヘロインの過剰摂取やストレスから皮膚がただれ、アンディは病院へ行くよう勧める。

映画『バスキア』の結末・ラスト(ネタバレ)

バスキアは、自分のもとを去ったジーナと高級レストランで食事をする。バスキアの才能を目の当たりにしたジーナは、画家になることを諦め、医学部への進学を決めていた。レストランに居合わせた白人のセレブたちは、黒人のバスキアを白い目で見る。バスキアは黙って彼らの勘定を払い、自分のプライドを保とうとする。

成功したらしたであちこちから叩かれ、人種差別も続き、バスキアは疲れ果てていく。バスキアは“展覧会が終わったらハワイへ行こう”とアンディを誘う。バスキアは、絵をやめたいと思うようになっていた。

画家のマイロは、バスキアを自宅兼アトリへ誘う。マイロはアンディから、“バスキアにヤクをやめさせろ”と頼まれていた。マイロはバスキアに、アンディが本気でバスキアのことを心配していると伝えてやる。

1987年2月22日、バスキアにとって唯一の支えであったアンディがこの世を去る。ブルーノからアンディの訃報をいたバスキアは、アンディのビデオを見ながらひとりで泣き続ける。

アンディの死をきっかけに、バスキアは廃人のようになっていく。そんなバスキアに手を差し伸べたのは、かつての親友のベニーだった。しかしバスキアの薬物依存は悪化し、1988年8月12日にヘロインの過剰摂取により死亡する。享年27歳という若さだった。

映画『バスキア』の感想・評価・レビュー

1980年代のアート界を駆け抜け上がり、27歳という若さでこの世を去った画家ジャン=ミシェル・バスキアの伝記物語。
80年代のニューヨークのアート界の血気溢れる雰囲気や、親友アンディ・ウォーホール役のデイヴィッド・ボウイの好演が素晴らしかった。
孤独な生活から名声を得て沢山の人々が彼のもとに集まるが、有名になっても付きまとう虚無感に追い打ちをかけるようにウォーホールの悲報を聞くバスキア。救いようのない絶望的孤独に胸を締め付けられる思いだった。制作や作品よりも彼の短い生涯に焦点を当てた作品。(女性 20代)


実在した画家のバスキアの才能、カリスマ性、センスなど、独特な魅力など、バスキアの全てに嫉妬してしまう。バスキアが親交を深めていた、世界的に有名な芸術家のアンディ・ウォーホールとの出逢いのシーンを観て、きっとすごい世界だったのだろうと想像するだけでゾクゾクする。天才的な才能に恵まれながら、彼の苦労やドラッグについても重点を置いており、早すぎる彼の人生をこの作品で描いている。(女性 30代)

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