映画『バトルロイヤル』の概要:核戦争により荒廃した世界を舞台に、地球の怒りを鎮めるために命を懸けたダンスバトルへと挑む。主人公は弟を助けるためにバトルへの参加を決め、そこでヒロインと出会う。彼女と共に統治者の真実を探るため、命を懸けたバトルで勝利を目指す。
映画『バトルロイヤル』の作品情報
上映時間:103分
ジャンル:SF、アクション
監督:アンドレイ・ヴォールギン
キャスト:イヴァン・ズヴァキン、ルケリヤ・イリヤシェンコ、デニス・シュヴェドフ、アグニア・ディコフスキーチェ etc
映画『バトルロイヤル』の登場人物(キャスト)
- コスチャ(イヴァン・ズヴァキン)
- 黒髪で短気。フットワークはかなり軽く盗賊並み。アーニャに惹かれ、何かと気に掛ける。ダンスバトルにて自己犠牲を払えという、統治者の考えに疑問を抱いている。
- アーニャ(ルケリヤ・イリヤシェンコ)
- 警察で育てられた黒髪の女性で、実は館長の娘。かなり優遇されて育つものの、ある事件をきっかけに父親の統治の仕方に疑問を抱き、バトルへの参加を決める。コスチャが気になっている。
- シェールイ(デニス・シェヴェドフ)
- ダンスバトルのチャンピオンで、館長の座を狙い画策している。市民には慕われ人気を博しているが、そのせいで権力に魅入られる。平気で処刑ができる冷血漢。
- メンデル(オラ・ケイル)
- 初対面から何かとコスチャに喧嘩を吹っかけて来る男。粗暴も口も悪く、人を馬鹿にしたような態度ばかりを取っている。浅黒く体格が良い。自信家。
- アルチョム(ニキータ・ヴォルコフ)
- 茶髪の好青年でコスチャと仲良くなるが、手の平返しが得意。シュールイの甘言に乗せられ、手先となる。
映画『バトルロイヤル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『バトルロイヤル』のあらすじ【起】
その昔、国が溢れた世界では、争いごとが絶えず勃発するようになる。やがて、地球全体を核兵器の炎が取り巻くようになり、生存者はこぞって避難場所を求めた。しかし、地球の反抗なのか未だかつてない大爆発が発生。人類は僅かな人数だけを残し全滅した。
町のほとんどは放射能に汚染されているが、生き残った人々は厳しい環境下でも対応して生き延びている。
青年コスチャは、汚染区域でも呼吸を可能にするフィルターを売って小銭を稼いていたが、地域を牛耳るゴロツキに捕縛されてしまい、拷問されそうになる。だが、そこへ警察が突入し室内はたちまち戦闘へ。荒廃した世界でも技術は進歩し、今や銃と言えば一発で人間を灰にする威力を持つ。コスチャは拘束から逃れ、奪われたフィルターを取り戻して逃走した。
無事に追手を巻いて帰宅したコスチャは、すぐさま荷物をまとめて住居を別にしようとするも、警察に発見され捕縛されてしまう。
他にも反抗的な大勢の若者と共に連行されたコスチャ。右手首の内側には皮膚内にICチップが埋め込まれており、反抗した場合に課せられるポイントがある。これが4つ貯まった者は強制的に腕輪を嵌められ、儀式と称したダンスバトルに参加させられるのだ。
統治者は人間が自己犠牲を払ったことで、かつての大爆発を鎮めたと伝えている。古来より踊りを舞い地球の怒りを鎮めたと伝えられ、伝承に沿って今も尚、儀式が行われていた。参加者は選ばれし者と呼ばれる。これを巷では試合と呼び、最後の1人になるまで踊らされる。生き延びた者はその家族ともども、平和な地で安全に過ごすことができるらしい。
映画『バトルロイヤル』のあらすじ【承】
試合の規則はたった4つ。試合以外で相手を殺害してはならない。自殺や逃亡も禁止、出場者同士の暴力も禁止されていた。規則を破った者は異端者と呼ばれ、処刑されてしまう。
コスチャを含めた選ばれし者たちは、ひとまず個室へと案内されその後、黒いマントを着用。総勢7人の出場者は、儀式開始の宣言と共に地球へ誓いを立てるのであった。
出場者の中に粗野でことごとくコスチャに喧嘩を売ってくる男メンデルがいた。奴の言動や態度に腹を立てていたコスチャは、とうとう挑発に乗ってしまい喧嘩が勃発。管理者たちによる仲裁が入り、試合前日であることから罰は与えられないことになった。
そうして翌日、いよいよ試合開始。第1試合に選ばれたコスチャ。強制的に装着された腕輪にはポイントが4つあり、これを全て失うと死に至る。円で囲まれた特設ステージでは、腕輪を通して衝撃波を発生させる機能が備わっていた。優れたダンスを舞うことができなければ審判によってポイントを消されるし、相手が優れたダンスを披露すれば、攻撃されてポイント失う。そうして、試合はコスチャが見事に勝利を収めた。ポイントを失った対戦相手はその場で灰となり、消えてしまう。
試合の褒美としてリンゴを貰った。コスチャは管理者の女性に近付き、彼女が持つマスターキーを密かに入手。隣室で親切にしてくれたアルチャムを誘って脱出を図った。しかし、すぐに逃走が知られてしまい、2人は館長の元へ連行される。コスチャは処刑されるはずだったが、今回の出場者が少人数であったため、試合には継続して出場することになった。
翌日、第2試合。アルチョムが対戦。その間にコスチャはアーニャから試合についての裏情報を入手する。試合で消滅した者のエネルギーは腕輪に蓄積されるらしい。対戦が2人形式なのは、勝ち残ればそれだけダンスへのエネルギーが高まるからだと言う。
映画『バトルロイヤル』のあらすじ【転】
特設ステージはそもそも、核の炎を消すために開発されたものだったらしいが、その過程で人間からエネルギーを抽出する方法を編み出したと言う。当時は人間を殺すことなくエネルギーを抽出していたらしいが、長い時を経てその方法は失われ、現在では装置だけが残されたらしい。
アーニャはこの施設で育ったため、町の人々が知らない様々なことを知っていた。だが、彼女でさえも入れない部屋がある。彼女はコスチャが奪ったキーでその部屋のドアを開けて欲しいと言うのだった。その会話を密かに館長が窺っている。実はアーニャは館長の娘で、施設で何が行われているかを知っていた。故に、施設から逃亡し、改めて試合の参加者として戻って来たのである。だが、父親である館長は娘を救い出したいと考えている。彼は娘を誑かすコスチャへと怒りを募らせるのであった。
第3試合はコスチャ対メンデル。因縁の対決だった。前日にアーニャからステージでのエネルギーの操作方法を教えられていたコスチャは、ダンスにてコントロールに成功しメンデルに勝利。
続いて第4試合が行われる。アーニャは一番弱そうな青年との対決となったが、青年は歴代のチャンピオンであるシェールイに入れ知恵され、武器を受け取っていた。試合開始早々、アーニャは青年により殺傷されてしまう。青年は即座に異端者と呼ばれ処刑。アーニャの不戦勝となった。シェールイは以前から館長の座を狙っており、現館長の失脚を狙い画策していたのである。
このことで館長は娘の命が危険に晒されていることを知り、苦渋の決断を下す。彼は娘を救うため、コスチャにマスターキーを与えアーニャを連れて逃げろと頼んだのだ。コスチャは言われた通りにアーニャを連れて逃げようとしたが、彼女はどうしても入れなかった部屋に入りたいと言い張る。だが、コスチャのキーではその部屋のドアは開けられなかった。
ところが、その部屋から偶然、警備兵が現れる。2人は兵を倒して、まんまと部屋へ入ることに成功した。中にはエネルギーを蓄えた腕輪が大量に保管されており、椅子が1席だけ設けてある。そこへ、年老いた権力者が現れ、腕輪のエネルギーを自分の身体へと与えようとした。
映画『バトルロイヤル』の結末・ラスト(ネタバレ)
これは一体どういうことか。コスチャとアーニャは権力者を拘束し、詳細を聞き出す。上層部の年老いた権力者たちは、腕輪に蓄えられたエネルギーを利用し我が身に延命治療を施していた。儀式と言ってダンスバトルをさせ、敗者のエネルギーを蓄えていたのは、地上で発生する爆発を鎮めるためではなく、延命にて町を統治し続けるために使われていたのだ。
そこへ、銃を携帯したシェールイが現れる。コスチャとアーニャは権力者を人質に逃走を図ろうとするが、シェールイが躊躇いもなく権力者を銃殺してしまう。その隙に2人は部屋から逃走。
腹部の傷を抱えるアーニャはこれ以上、移動は無理だと判断しコスチャにキーを渡して彼だけを逃がした。
その後、アーニャは父親の元へ赴き、親子の縁を切ろうとする。館長は試合を中止することを独断で決定し、歴代のチャンピオンたちに宣言した。しかし、そこでシェールイが反論。奴は館長に全ての罪を着せ、彼を処刑と称して銃殺してしまうのだった。
最終試合が開催。残った参加者はアルチョムとアーニャのみである。彼女は父親の死を察して涙を流した。
同じ頃、アーニャとアルチョムの対戦を町のモニターで目にしたコスチャ。彼は自ら出頭し、最終試合へと参加することにした。コスチャは異端者として試合へ参加。アーニャとの対戦を余儀なくされる。だが、試合が始まっても2人は踊ることを躊躇う。
しかしその時、ステージの装置から光が放出。それはアーニャとコスチャの周りを飛び、インフィニティの印を刻む。装置のエネルギーは2人を繋ぎ、そして強い光を放って機能を停止した。
互いに死を覚悟していたが、気付けば腕輪にエネルギーが溜まっている。町の人々はその姿を目にして本当の選ばれし者だと呼んだ。
気に入らないのはシェールイである。彼は2人を拘束し即座に処刑しようとしたが、そこに白い警備兵のスーツを着た兵が突入して来る。シェールイが守り主に対して謀反を起こしたと報告が上がったためだった。シェールイはその場で処刑され、アーニャとコスチャは薬物を打たれ意識を失ってしまう。
意識を取り戻した2人は、見知らぬ崖に横たわっていた。そこからは大都市が眺められる。2人はここがどこかも分からず、途方に暮れながら美しい町の景観を眺めるのであった。
映画『バトルロイヤル』の感想・評価・レビュー
核戦争により荒廃した未来。そこでは地球の怒りを鎮めるために、命を捧げろという規律があった。古来より伝わる儀式として、ダンスバトルをするわけだが、何と言っても奇抜な設定が面白い。それに加え、ダンスバトルでの音楽が素晴らしく、バトルの高揚感を表現している。
今まで見たことのないロシア産のSF映画。ロシアは大概、奇抜な設定や物語を思いつくが、この作品は特にその印象が強い。(MIHOシネマ編集部)
核戦争で荒廃した世界で命を懸けたダンスバトルが行われるという設定が特殊過ぎて、ずっと違和感を感じながら見ていた。とにかく設定が斬新なので、全く新しいものが見られて良かったとは思う。ただ、おもしろいかと聞かれたらちょっと言葉に詰まるので、他人にはおすすめしづらい作品。特に、本格的なSF映画を楽しみたい人には、おすすめできない。失礼かもしれないが、流し見するぐらいでちょうどいい。この設定で映画を撮ろうと思ったアイデア力と心意気は素晴らしいと思う。(女性 30代)
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