この記事では、映画『ビー・デビル』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ビー・デビル』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ビー・デビル』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0026985
製作年 | 2010年 |
---|---|
上映時間 | 116分 |
ジャンル | バイオレンスサスペンス スリラー |
監督 | チャン・チョルス |
キャスト | ソ・ヨンヒ チ・ソンウォン パク・チョンハク |
製作国 | 韓国 |
映画『ビー・デビル』の登場人物(キャスト)
- ヘウォン(チ・ソンウォン)
- ソウルで働く若い女性。休暇を利用して、昔住んでいた「ムド」という島に帰る。
- ボンナム(ソ・ヨンヒ)
- ムドに住んでいる、ヘウォンの幼馴染。
- マンジョン(パク・チョンハク)
- ボンナムの夫。
- チョルジョン(ペ・ソンウ)
- マンジョンの弟。
- マンジョンの叔母(ペク・スリョン)
- マンジョンとチョルジョンにとって、母親のような存在。
映画『ビー・デビル』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ビー・デビル』のあらすじ【起】
ソウルの金融会社に勤める若い女性・ヘウォンは、街角で暴行現場を目撃し、その犯人から脅されたことでストレスを溜め、会社で後輩にきつく当たってしまう。それを上司からとがめられ、休暇を取るよう言われたヘウォンは、昔住んでいた小さな島へ帰ってみることにする。
ムドと呼ばれるその島は、今は6世帯で9名しか住んでいない、一日一度の定期便しかない孤島だった。島に着くと、幼馴染だったボンナムという女性が出迎えてくれる。ボンナムは、ヘウォンが祖父と住んでいて、祖父の死後は空き家だった家を綺麗に掃除してくれていた。
ボンナムはマンジョンという島の男と結婚し、10歳になるヨニという娘がいたが、ヨニはマンジョンと義理の叔母が反対し、まだ学校に通っていなかった。そしてその夜、マンジョンがヨニと夜釣りに出かけると、ヨンジョンの弟・チョルジョンが家にやって来て、当たり前のようにボンナムを抱く。
ボンナムもまた、帰って来たマンジョンを何事もなかったように出迎えるが、「また釣れなかったの」というボンナムを、マンジョンは容赦なく殴りつける。
映画『ビー・デビル』を無料視聴できる動画配信サービスと方法については、以下の記事をご覧ください。

映画『ビー・デビル』のあらすじ【承】
次の日ヘウォンがボンナムの家に行ってみると、マンジョンがソウルから来た娼婦を抱いていて、ボンナムは家の軒先に座っていた。娼婦が帰ったあと、ヘウォンはマンジョンの行為を責めるが、ボンナムは「ここでは暗黙の了解だから」と力なく答える。
その夜、会社から解雇の通知がメールで来て、ヘウォンは翌日ソウルに戻ることにする。それをボンナムに伝えると、ボンナムの顔が殴られて血が付いているのに気付く。ヘウォンは夫のマンジョンがやったのだと察するが、ボンナムは更に、マンジョンは娘のヨニにも手を出していると告白する。
ヘウォンはボンナムの言葉が信じられなかったが、次の日ヨニと話してみて、ボンナムの言ったことが正しいと気付く。そしてボンナムはマンジョンの持っている金を盗み出し、ヨニを連れて娼婦を乗せて来たボートで島を出ようとするが、乗り込む前にマンジョンに見つかってしまう。
マンジョンは母親と逃げようとしたヨニも殴ろうとしたため、ボンナムが止めに入る。マンジョンはボンナムを殴り倒すが、そこで自分に食ってかかったヨニも突き飛ばす。ヨニは倒れた弾みで後頭部を石にぶつけ、絶命してしまう。
映画『ビー・デビル』のあらすじ【転】
ヨニの死亡診断書を書くため本土から医師がやって来て、ヨニの殴られた跡を見て不審感を抱く。するとマンジョンはボンナムがやったのだと責任を押し付け、その場にいた叔母や島の女性たちもマンジョンに同意する。事情を聞かれたヘウォンも「私は見てなかったから」とボンナムを擁護せず、ボンナムは娘を失った悲しみと共に、精神的に追い詰められていく。
あくる日、マンジョンとチョルジョンがボートで本土に行っている間、畑仕事をしていたボンナムは、照り付ける太陽を見つめ、ある決心をする。ボンナムは置いてあったカマを手に取ると、畑にいたマンジョンに同意した女性たちを次々に殺害していく。
その時魚を取っていたマンジョンの叔母は、畑に戻って死んでいる女性たちを見て、ボンナムを恐れて身を隠す。叔母はヘウォンに助けを求めるが、そこに現れたボンナムはヘウォンを張り倒し、叔母を崖っぷちに追い詰める。叔母は覚悟を決めたように崖から飛び降り、岩場に体を打ち付けて死亡する。
本土から戻ったチョルジョンは、1人で家に帰り顔を洗っていたが、そこにボンナムが現れ、チョルジョンの首をカマで切断する。
映画『ビー・デビル』の結末・ラスト(ネタバレ)
続いてマンジョンもボンナムに襲われるが、マンジョンはボンナムの持つカマを振り落とし、殴り倒す。マンジョンが、後ろ手に縛り付けたボンナムを家に連れ帰って殺そうとすると、そこにヘウォンが駆け付ける。
マンジョンはヘウォンを捕まえ、ボンナムの前で殺そうとする。そこでボンナムは「あなたに謝りたい」と、包丁を持ったマンジョンの指を舐め始める。マンジョンが一瞬気を許した隙に、ボンナムはマンジョンの指を食い千切り、落とした包丁をくわえると、マンジョンの腹に突き刺す。
ヘウォンは必死にボートまで逃げ、島を脱出する。そしてボンナムはヘウォンが置いていった荷物を持って、別の船を呼んで島から本土へと渡る。港に島に来たボートがあるのを見つけたボンナムは、そこからヘウォンの居場所を突き止め、気を失ったまま身元不明で留置場にいたヘウォンに襲いかかる。
ヘウォンはボンナムの持っていた、2人の共通の思い出である縦笛をふたつに折り、折れた先をボンナムの首元に突き刺す。血まみれのボンナムはヘウォンの足元にすり寄ると、そのまま息絶えるのだった。
映画『ビー・デビル』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ビー・デビル』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
想像以上に衝撃的な作品でした。静かな韓国の島を舞台に、女性が虐げられ続ける姿がリアルに描かれ、胸が締め付けられるようでした。ボクナムの抑圧された日々が少しずつ積み重なり、ついに彼女が復讐に走る流れは痛々しいながらも納得できてしまいます。観客の感情を揺さぶる演出が見事で、最後の展開は複雑な余韻を残します。単なるスリラーではなく、人間の狂気と社会の無関心を抉る作品です。(20代 女性)
社会的メッセージ性の強い映画でした。都市に生きる女性ヘウォンの無関心と、島で虐げられるボクナムの怒り。その対比がとても強烈で、最初は静かなドラマと思っていたのに、後半からは一気に怒涛の展開に。特に、子どもを失って絶望するボクナムの姿は忘れられません。最終的に暴力に走る彼女の行動に正義があるとは言えませんが、そうさせたのは周囲の無関心だったのではと思わせられました。(30代 男性)
人間の残酷さを描いた作品の中でも、特に重たい一本でした。特に女性に対する抑圧と暴力があまりに日常的に描かれており、観ていて苦しくなりました。ボクナムが狂気に堕ちるのも無理はない…と思わされます。島の閉鎖性と村社会の恐ろしさも印象的で、あの環境では逃げ場などなかったのだろうと痛感。ラストに向けてのカタルシスはありますが、それ以上に心に傷を残す映画です。(40代 女性)
ホラーというよりは、心理的に恐ろしい映画でした。外から見れば美しい自然に囲まれた島で繰り広げられる人間の地獄。特にボクナムが孤立し、誰からも助けてもらえない姿には怒りを覚えました。加害者だけでなく、傍観者であるヘウォンにも観客は自分を重ねてしまいます。自分も見て見ぬふりをしていないか…と考えさせられる作品でした。サスペンスと社会派ドラマの融合が素晴らしいです。(50代 男性)
普段あまり韓国映画は観ないのですが、この作品はとても強烈でした。女性同士の友情、と思って観始めたら、そこから裏切りと怒りと復讐の連鎖。特に子どもが犠牲になるシーンはつらすぎて、観るのをやめようかと思ったほど。ボクナムが徐々に変わっていく様子を演じた俳優さんの演技力に圧倒されました。単なる娯楽ではなく、社会問題を突きつけてくる重みのある作品です。(30代 女性)
「なぜ誰も助けなかったのか」という問いが最後まで頭から離れませんでした。都会の忙しさに麻痺したヘウォンと、限界まで追い詰められたボクナムの対比が見事。暴力的な描写も多いですが、決して無意味ではなく、現代社会にも通じる「無関心の罪」が描かれています。最後にヘウォンが涙を流すシーンが印象的で、どれだけ後悔しても失われたものは戻らないことを痛感させられました。(40代 男性)
ラストでボクナムがすべてを壊していく姿は、見ていて怖いはずなのにどこか解放感も感じてしまいました。それだけ彼女の境遇が悲惨で、観る側も感情移入してしまっていたということだと思います。島の人々の異常なまでの無関心と残酷さに、怒りが込み上げました。ヘウォンの変化も物語に深みを与えており、ラストは決して明るくはないけれど、何かが変わったと信じたいです。(20代 男性)
これはまさに“女の怒り”を描いた映画。母として、女性として、人間として踏みにじられてきたボクナムの叫びが胸に刺さりました。静かな前半と地獄のような後半、その緩急のバランスも素晴らしい。ヘウォンの冷淡さもリアルで、自分の中の他人事精神を突きつけられるようでした。後味は決してよくありませんが、観てよかったと思える、問題提起として強力な作品です。(30代 女性)
島という閉鎖的な空間を舞台に、人間の本性と狂気をこれでもかというほど見せつけてきます。静かで美しい風景と対照的な暴力の連鎖に、終始胸がざわつきました。ボクナムの復讐が決して正しいとは言えないけれど、誰も止める人がいないという現実の残酷さに絶望します。エンタメ作品としてだけでなく、フェミニズムや社会批判の視点でも評価されるべき映画だと思います。(50代 女性)
『ビー・デビル』は、ただのスリラーではない。これは現代社会に対する強烈な批判であり、無関心という暴力への警鐘でもあります。ボクナムという一人の女性の物語が、社会全体の病理を象徴しているように感じました。彼女の悲鳴が届いたときには、すでにすべてが遅かった…。鑑賞後、しばらく思考が止まらなくなるような、圧倒的な力を持った映画です。(60代 男性)
映画『ビー・デビル』を見た人におすすめの映画5選
チェイサー(The Chaser)
この映画を一言で表すと?
「追う者と追われる者の狂気がぶつかる、韓国ノワールの金字塔」
どんな話?
元刑事のチンピラが失踪したデリヘル嬢を追ううちに、連続殺人鬼に行き着く衝撃のサスペンス。わずか数時間の間に進む緊迫のドラマと、国家機関の無力さがリアルに描かれています。救いのない現実が胸を打つ作品です。
ここがおすすめ!
『ビー・デビル』同様、人間の狂気や暴力、そしてそれに対する社会の無関心がテーマ。テンポの良さと予測不能な展開で一気に引き込まれます。追う者と追われる者の心理戦が見どころで、緊張感が最後まで途切れません。
母なる証明(Mother)
この映画を一言で表すと?
「息子を救うためなら狂気も辞さない、母の無償の愛と暴走」
どんな話?
知的障害のある息子が殺人容疑をかけられたことをきっかけに、母親が自ら事件の真相を追い始めるサスペンス。次第に明らかになる事実と、母の狂気じみた愛が静かに観る者を圧倒します。ポン・ジュノ監督による衝撃作。
ここがおすすめ!
『ビー・デビル』が女性の怒りを描いたのに対し、本作は母性の限界を描きます。感情の暴走と社会からの孤立というテーマが共通し、ヒューマンドラマとしても非常に見応えがあります。ラストの展開は心に深い爪痕を残します。
レディ・ヴェンジェンス(親切なクムジャさん)
この映画を一言で表すと?
「美しき復讐者が静かに牙をむく、パク・チャヌク復讐三部作の完結編」
どんな話?
冤罪で服役した女性が、自らの人生を狂わせた男に復讐するため、出所後に綿密な計画を実行に移していく。彼女の静かな怒りと母としての葛藤が交錯し、観る者の感情を激しく揺さぶります。
ここがおすすめ!
『ビー・デビル』と同様、女性が主役の復讐劇で、繊細な心理描写と強烈な映像美が特徴。主人公の変化を見守るうちに、善悪の境界があいまいになっていきます。美しくも痛ましい物語に、誰もが魅了されるはずです。
八日目の蝉
この映画を一言で表すと?
「罪を背負った女とその“娘”が辿る、逃亡と母性の旅」
どんな話?
不倫相手の子どもを連れ去り、育てながら逃亡する女と、その子が成長してから抱える葛藤を描いた日本映画。加害者でありながら母であろうとした女の矛盾と、愛のかたちを問いかける感動作です。
ここがおすすめ!
『ビー・デビル』のように、女性の孤独と生きづらさ、そして愛と暴力のあいだで揺れる感情がテーマ。暴力描写は控えめながら、精神的に深く刺さる作品で、観終わったあとも静かな余韻が長く残ります。
アガサ・ベルの遺言(The Truth Beneath)
この映画を一言で表すと?
「真実を求めて崩壊していく家庭、そして母の狂気」
どんな話?
選挙戦のさなか、議員候補の娘が突然失踪。母親が真相を探るうちに、次第に夫の裏の顔と政治的な陰謀が明らかになっていく。愛する娘の死を知った母は、静かに狂気に染まっていく…心理サスペンス。
ここがおすすめ!
女性の視点から描かれる復讐と悲劇という意味で『ビー・デビル』と近い雰囲気を持ちます。サスペンス性と母の愛の表現が巧みで、次第に崩壊していく感情と冷たい社会の対比に心がざわつきます。演技も秀逸です。
みんなの感想・レビュー