映画『誰が為に鐘は鳴る』の概要:1943年製作のアメリカ映画(原題:For Whom the Bell Tolls)。アーネスト・ヘミングウェイの長編小説を映画化した作品でスペインの動乱を舞台に、ゲリラに参加したアメリカ人の悲しい恋模様を描いた作品。
映画『誰が為に鐘は鳴る』 作品情報
- 製作年:1943年
- 上映時間:130分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:サム・ウッド
- キャスト:ゲイリー・クーパー、イングリッド・バーグマン、エイキム・タミロフ、アルトゥーロ・デ・コルドヴァ etc
映画『誰が為に鐘は鳴る』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『誰が為に鐘は鳴る』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『誰が為に鐘は鳴る』のあらすじを紹介します。
1937年のスペインは内乱が起こっていた。
アメリカ人の大学講師ジョーダン(ゲイリー・クーパー)は人民戦線に夢中になり、フランコが指揮をとる右派の反乱軍にゲリラ活動をしていた。
あるとき、ジョーダンは敵の援軍ルートである鉄橋の爆破という重要任務を命じられた。
仲間に案内を頼み実際に鉄橋の下見にいった彼は、そこで現地のゲリラのリーダー・パブロとその妻ピラーと出会う。
パブロは昔の威厳はもうなく、妻のピラーが指揮をとっていた。
彼は反乱軍に捕らえられ、その後パブロに助け出されたマリア(イングリッド・バーグマン)を紹介する。
会った瞬間から彼女のことを気にいってしまったジョーダン。
しかし人民戦線の橋の爆破や、ゲリラを一掃するという噂を聞いた彼は、山岳地帯から逃げ出す馬を調達しようとし他のゲリラと組む。
馬を調達できると安心したジョーダンとマリアは次第に愛し合うように。
しかし馬を約束してくれたゲリラも反乱軍から攻撃を受けてしまう。
しかも人民戦線の橋の爆破も迫ってくるという悲劇。
覚悟したジョーダンは仲間とマリアを先に逃がし、自分はそこに残ることを決めた。
泣きじゃくるマリアをなだめてから早くいくよう諭し、銃を乱射するのだった。
映画『誰が為に鐘は鳴る』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『誰が為に鐘は鳴る』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
生々しい描写がリアルさを増している
現代の日本ではわかりにくい国の内乱、反乱軍、それに対するゲリラ活動を物語の軸にしているためやや頭を使わなければ理解することも難しいが、原作者ヘミングウェイの実体験をモデルにしているということもあり非常にリアルな描写が多い。
また、そのなかでそれだけをメインにしているわけではなく、恋愛を主体としていることがこの映画の見やすさのポイントである。
二人の恋愛模様が今後どうなるかというところが問題になってくるのだ。
ただリアルなゲリラの話だけだと観る人は限られてしまうだろうが、この作品はうまく多くの人間が楽しめるように仕上げてある。
見終わったあとは『結局悲恋だったのだな』という感想が印象に残り、内乱やゲリラの話は大して気にならないのだからさすがである。
ショートカットのバーグマンの魅力
イングリッド・バーグマンと言えば男性はもちろん、女性の中にもファンが大勢いる女優である。
彼女は長い髪が良く似合い憧れている女性もいるのだが、本作品ではショートカットにしている。
これが新鮮で良いのだ。
顔立ちをはっきりさせ、よりキュートさを増している。
ショートカットのバーグマンは他では観ることも難しいかもしれないので、そういう意味でも見て損はしない映画である。
やっぱり名作
名作と呼ばれるものには様々な意味合いがある。
監督や演出、脚本が優れているものや、元々の原作がクラシカルなタイトルで由緒正しい文学作品などがそれに当たる。
本作品は後者の文学作品。
よって、俗っぽさはあまりなく、期待通りの名作っぷりを楽しめる。
ということは逆にいうとその手の映画がつまらないと感じる人には苦痛でしかないかもしれないとも言える。
タイトルからして名作の臭いが漂っているが、見てもその通り。
退屈しのぎに観る映画ではないだろう。
同じ国の中で対立し合い戦いが起きるなんて、毎日を平和に平凡に暮らしている私たち日本人には想像もつかない世界でしょう。同じ国の人が多くの命を犠牲にして傷付け合うことに何の意味があるのだろうと悲しくなってしまいました。
どんな過酷な状況でも抑えることができないのが人を愛する気持ちです。困難な状況だからこそその気持ちが燃え上がるのかもしれませんが、悲しい結末が待っているのではないかと想像してしまい、2人の姿を安心して見守ることは出来ませんでした。(女性 30代)
映画『誰が為に鐘は鳴る』 まとめ
歴史描写、人物描写、またそんな中で育まれている恋愛描写。
全てのシーンが無駄ではなく、物語を構成している。
ヘミングウェイ原作というだけでいかにも小難しそうな映画に思えるが、昔の映画は非常に素直であり意味今ほど手が混んでいない。
技術やコストの面でももちろんだが、何よりそのまま伝えて楽しんでもらいたいという思いが強く、作り込み精神が少ないように感じる。
現代の映像技術の高い映画も娯楽作品としては非常に楽しめるのも事実だが、なにもないところで伝えたいことを明確にしている作品というのも、また味わい深いものがある。
無駄なシーンやセットがない分言いたいことが簡潔に伝わってくるのだ。
その点では昔の映画は国を問わず魅力的であると思う。
映画は華やかなものだけが作品として良いわけではない。
淡々と静かに伝えたいことを描く、それもまた映画のあるべき姿のひとつなのかもしれない。
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