映画『亡国のイージス』の概要:2005年公開の日本映画。福井晴敏原作の同名小説の映画化で、海上自衛隊のイージス艦でのクーデターから巻き起こる事件を描いている。
映画『亡国のイージス』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:127分
- ジャンル:サスペンス
- 監督:阪本順治
- キャスト:真田広之、寺尾聰、佐藤浩市、中井貴一 etc
映画『亡国のイージス』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
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映画『亡国のイージス』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『亡国のイージス』のあらすじを紹介します。
ある日海上自衛隊護衛艦「いそかぜ」は、海上訓練指導隊の溝口三佐(中井貴一)と名乗る某国のテロリストに乗っ取られる。
テロリストの要求は乗組員の離艦であり、もしできない場合は爆破すると警告する。
そんな時情報局の調査員である如月(勝地涼)は、艦長の遺体を船内で発見し捜査に乗り出していた。
一方で先任伍長の仙石(真田広之)はそんな如月の様子がおかしいのを怪しみ、副館長宮津(寺尾聰)に引き渡す。
しかしテロリストに乗っ取られているのにも関わらず、離艦しない幹部たちに疑念を抱く仙石は1度離艦する振りをして船内にこっそり戻った。
実はテロリストが溝口と副艦長の宮津であったことが分かった仙谷は、如月を救出するのに急ぐ。
テロリストたちはこの日のために沖縄の米軍基地からGUSOHという化学兵器を盗んでいた。
その兵器は東京中の生物を死滅させるという恐ろしいもの。
テロリストたちは日本政府に軍内で怒った3つの不祥事を公にするということを要求し、10時間以内に公開しなければGUSOHを発射すると通告した。
しかしGUSOHを発射することにためらいを感じた宮津と攻撃派の溝口に亀裂が入る。
仙谷は宮津からGUSOHの場所を聞き出し、発射しようとした溝口を銃で撃ちなんとか止めることが出来た。
その後イージス艦と共に宮津は自滅、仙谷と如月は無事離艦することができたのであった。
映画『亡国のイージス』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『亡国のイージス』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
原作を読まずに映画を観たほうが楽しめる
ハードボイルド長編小説として人気を博した福井晴敏の原作は面白すぎる。
そのため映画だけを観ればそれなりに楽しめるはずなのに、原作を読んでしまっていると非常につまらないものに感じてしまう。
しかし映画だけを鑑賞すればラストの爆破シーンも思ったよりハラハラするし、大物俳優を起用していることでリアルなドラマを見せてくれる。
するどいところをついてくる台詞
ラストのシーンで溝口(ヨンファ)が言う台詞が、現代の日本の問題を露にしている。
「見ろ日本人、これが戦争だ」戦争を知らない日本人が増えている中で、自分たちにそのような災が降りかかるはずなど無いなどと高をくくっているとこのような目に遭うという台詞。
もちろんフィクションであり、日本は戦争をしてはいけない国なので実際に戦争に巻き込まれるかどうかという話ではない。
しかし平和に慣れすぎた日本人にこの台詞はずしっとくる。
坂本監督はアクションより静の映画が凄い
本作の監督は坂本順治監督である。
この監督はアクションやサスペンスなどといった映画では無く、どちらかというと心の中を映像化するような作品が魅力的である。
「闇のこどもたち」や「北のカナリアたち」など派手なアクションシーンが無く、淡々と進められていく映画の中に観客の心を掴む何かがあるように思う。
それは悲しみとも切なさとも違う、何とも言えない気持ちの動きで独特な作風が良いのでだ。
正解がなにか分からないというような余韻を残す作品を撮らせたらピカイチ。
その流れで「亡国のイージス」を撮影していると思うと少し物足りなさは否めない。
長編小説の割には短い作品に仕上がってしまい、そのため大幅なカットが見られる。
ハードボイルドさを期待しているとサスペンス感が強く、中途半端な終わり方をしているようで満足できない人も多いであろう。
映画『亡国のイージス』 まとめ
テロリストや戦争をテーマにした現代映画は数多くある。
このジャンルの話は面白さを期待して見がちであるが、その色眼鏡をとって観れば本当に面白いと思える作品にも出会える機会が増えるだろう。
同じ作品でも観客の主観によって面白くもつまらなくもなるのは、観ている人間の経歴や体験によるものである。
特に本作は小説が原作であったため、損をしている。
小説はすべ手を読み手が想像を膨らませて読むので、映像化するのが非常に厳しいのである。
ダ・ヴィンチコードが良い例で、あの作品は映像化するには長編すぎて小説の良いところを潰してしまった。
しかし小説のナビゲートとしてみると非常にわかりやすく、オススメである。
小説を映像化してみたいというのは読者の切なる願いであり、そのまま描いてくえれば文句はないがどうしても小説には勝てない。
それならば一緒に楽しむ方法を見つけてみる方法も1つである。
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