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映画『BPM ビート・パー・ミニット』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『BPM ビート・パー・ミニット』の概要:1990年代初頭、パリのゲイ・コミュニティ団体アクトアップでの実体験を基に制作された作品。エイズ・HIV陽性者の権利を守るための活動にて、同性愛者やHIV陽性者が奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。

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映画『BPM ビート・パー・ミニット』の作品情報

BPM ビート・パー・ミニット

製作年:2017年
上映時間:143分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ロバン・カンピヨ
キャスト:ナウエル・ペレス・ビスカヤール、アルノー・ヴァロワ、アデル・エネル、アントワーヌ・レナルツ etc

映画『BPM ビート・パー・ミニット』の登場人物(キャスト)

ショーン(ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート)
パリのアクトアップ発足メンバーの1人で、少々過激なゲイ。エイズを発症しており、4時間毎の服薬を遵守している。ミーティングには必ず出席し、社会へ強く訴えることで変革を求めている。恋人ナタンを心の支えにする。
ナタン(アーノード・バロワ)
アクトアップへ入って間もない青年。年上のショーンに惹かれ、恋人となる。博識で病気のことをよく理解しており、過去の経験からショーンが亡くなるまで献身的に支える。
ソフィ(アデル・エネル)
アクトアップの発足メンバーであり実行員。世論調査員として働いている。気が強く賢い。抗議デモの際は、メンバーを導く立場にある。
ティーボルト(アントワン・ライナルツ)
愛称ティボー。発足メンバーの1人。医療関係に詳しく、薬剤の効能や分析結果を独自に勉強し、読み解くことができる。中立の立場でいることを心掛けている。

映画『BPM ビート・パー・ミニット』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『BPM ビート・パー・ミニット』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『BPM ビート・パー・ミニット』のあらすじ【起】

NYのアクトアップに続き1989年に発足された、パリのゲイ・コミュニティ団体アクトアップは、主にHIV陽性者とエイズ患者の権利を守るための活動を行っているが、患者に支援を提供しないアクティビスト団体であった。

毎週火曜日の夜7時にミーティングが行われ、拍手の代わりに指を鳴らし討論に花を咲かせる。彼らは政府や製薬会社への抗議として、少々過激なデモを行っていた。
先日もHIVの政府機関に血糊を用いた激しい抗議を行い、新聞にも大々的に掲載されたばかり。この勢いに乗り、製薬会社へも大量の血糊と張り紙を使って、かなり強気な抗議運動を行った。

アクトアップの発足メンバーで過激な抗議運動の提案をするショーンはHIV感染者である。彼は4時間置きに薬を飲み、病気と闘いながら活動へ参加していた。

抗議を行った製薬会社では、エイズに関しての新薬がじきに発表されることになっていた。その薬は従来のものよりも、効果を高めた触れ出しで患者にも希望を持たせる。だが、その薬も人によって効果は左右されるだろう。
団体への参加者は大概がHIV陽性者で構成されている。ミーティング進行係のソフィやティーボルト、通称ティボーも陽性者だった。彼らは発足メンバーであると共に団体運営にも関わりが深く、主要人物に数えられている。

毎年、開催されるゲイ・プライドへの参加について、ショーンはチアガールに扮してパレードしようと提案。新たなスローガンを決定し沸き立つメンバーたち。ゲイ・プライドは大々的に世間へ訴えかけることができる一大イベントで、世界中で行われている。

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映画『BPM ビート・パー・ミニット』のあらすじ【承】

そんなある日、ショーンを含めたアクトアップは高校のクラスへ突入し、エイズの感染予防法の講義を敢行。エイズの知識はあまり広まっておらず、一般的には感染性の高い病気として認知され恐れられている。実際は、しっかりと感染予防をしていれば意外と通常の生活を送ることができるし、十分に注意をしていれば性交することも可能なのである。エイズは主に血液や性交で感染するので、傷や血液、精液などを体内に入れないよう注意すれば良いのだ。

高校生や若者は感染の危険がある病気について、あまり重要視せず若さゆえに衝動的であることがほとんど。知識の1つとして注意を促しても損はないはずである。
このことで、アクトアップと校長との間に論議が巻き起こる。アクトアップ側は唯一の防衛品であるコンドーム自販機の設置を要求したが、校長及び教師達は自販機を置けば性交を助長させると一切、話を聞こうとしない。10代の青少年でもコンドームを使わず性交すれば、感染リスクは高まる。事実、16歳でエイズに感染した少年もいるのだから。

ショーンもまた16歳で感染した口である。彼は人生初めての性交で運悪く感染してしまった。以来、ショーンは感染のリスクを恐れ、病気に関する知識を増やしアクトアップへの参加も決めたのだ。エイズやHIVのことを知れば、病気に対しての恐怖は減るし、それに対しての差別も減る。アクトアップは知識を広めることも活動の1つなのであった。

ゲイ・プライドが開催。アクトアップは予定通り、チアガールに扮して華々しく啓蒙活動を行った。
アクトアップが抗議を行った政府機関と製薬会社が話し合いの場を用意するとのことで、他団体と一緒に参加。暴力的な抗議運動は確かに良いものとは言えないが、時にこういった話し合いや議論する場が設けられるため、一概に悪いとは言い切れない。

実際、製薬会社がすでに出している2種類の薬で、嘔吐や下痢という強い副作用に苦しんでいる者は多かった。だが、製薬会社側はアクトアップが要求する薬の分析結果等の情報開示を頑として受け入れず。態度や言動も非常に悪くその場にいた誰もが、製薬会社側には腹を立てた。

映画『BPM ビート・パー・ミニット』のあらすじ【転】

そこで、アクトアップは製薬会社に対してファックス攻撃を行うと共に、会社責任者と交渉することにした。
そんな中、活動に参加していた学生の容態が悪化。彼は元より血液検査の結果が悪く、発症してからの進行速度が誰よりも早かった。故に、入院して間もなく学生は亡くなってしまう。喪に服しながら、アクトアップは学生の死を悼みデモを行った。

入って間もないゲイのナタンと恋人同士になったショーン。彼はすでに肉腫を発症しており血液検査の結果も悪化の一途を辿っていた。恋人を労わるナタンは19歳の時に雑誌でエイズの記事を目にし、同性愛者は皆死ぬと知り恐ろしくなった。自分もいずれ感染し、知らぬ間に相手へと感染させているのではないかと不安を抱く。そうして20歳の頃、恐らくエイズを発症した少年と出会い関係を持った。少年はその後、容態が悪化し入院していたらしい。ナタンはそれきり、少年の様子を知ることはしなかった。
当時の少年と同じようにショーンの容態も悪化している。ナタンは彼に寄り添うため、同棲して面倒を見ることにした。

次第に痩せ細っていくショーン。そんな中、製薬会社の責任者がアクトアップの交渉により、ミーティングへようやく来てくれることに。だが、参加者の質問に対して製薬会社側は満足な回答をせず。失望したアクトアップは彼らを詰って追い返してしまう。
次なる議題はゲイ・プライドへの参加についてだ。チアガールで練り歩いてからもうじき1年が経過しようとしている。今年は巨大なスピーカーをトラックに積載し、製薬会社へ大々的に抗議することにした。

ショーンも無事にゲイ・プライドへ参加したものの、彼の病変はすでに足の裏へも転移している。死が間近に迫っている彼にとって最早、アクトアップでの討論など無意味。自分には時間がない。悠長に活動へ参加している場合ではない。ショーンは切羽詰まってティボーへと噛み付いてしまうのであった。

一日に休む間もなく点滴をしなければならなくなったショーンは、アクトアップへの抗議デモへも参加できなくなる。アクトアップは製薬会社の新薬を早く行き渡らせるべきだと、抗議していた。

映画『BPM ビート・パー・ミニット』の結末・ラスト(ネタバレ)

そんな折、入院中のショーンの元へティボーがやって来る。医療関係に強いティボーは、ショーンが何の感染を引き起こしているかを看護師に聞いていたが、ショーンは体調が悪く帰って欲しいと望む。ティボーと入れ替わりにナタンが病室へやって来る。ショーンはナタンを心の支えにし、弱音も易々と吐き出す。ナタンは厭わずショーンの世話をし、傍にいて不安を解消した。そんな彼に申し訳ない思いでいっぱいのショーン。

アクトアップは更に1989年に不当な銃撃を受けたデモを模倣。メンバー全員が地面に横たわり、死体となって病気と闘う強い意志を表明した。
ナタンがそのデモへ参加しクラブで踊っている頃、病室で寝ていたショーンは、セーヌ川が赤く染まる夢を見て、うなされているのだった。

アパートの改装が終了した。ショーンは退院後にその部屋へ帰ったが、息子のために母も同居してくれる。一緒に住むナタンはショーンの母親と甲斐甲斐しく恋人の世話をした。
夜になると、ショーンは自分が死んでいないかを聞いて、約束通りに落ち着いて注射をして欲しいと念を押す。そうして彼が寝入った後、ナタンはある薬をショーンへ投薬し彼の死を看取るのであった。

ナタンは亡くなった恋人の着替えを手伝うことができず、アクトアップで仲が良かった友人を呼んで手伝ってもらう。その後も深夜であるにも関わらず、連絡をもらったティボーや他の仲間達も続々と駆け付けてくれる。仲間達は遺体と面会後、ショーンの声明について母親を交えて相談。

数日後、アクトアップは保険会社の立食パーティーへ乱入。ショーンの遺灰の一部を撒きながら抗議デモを行った。これらはショーンの遺言でもあり、政治的葬儀だと呼んでいた行為でもあるのだった。

映画『BPM ビート・パー・ミニット』の感想・評価・レビュー

今でこそ、HIVやエイズの知識は大分、広がってきているものの、未だに差別する人々はいる。1990年初頭と言えば、まだまだ知識不足で不当な扱いを受けていた患者も多かっただろうと思う。特に同性愛者などひとたまりもない。LGBTやセクシャルマイノリティに関しても先人達が長い時間をかけ、世に広めたからこそ偏見も減ってきたし、受け入れてくれる人々も増えたのである。

いずれにせよ理解を深めるためには、どうしても時間がかかる。その間、HIV陽性者がエイズを発症してしまえば、1年足らずで命を落としてしまう。彼らの活動があるからこそ、現在があるのだと思えば、尊敬してしかるべきである。だたし、作中では専門用語が多く難しい医療用語も出るため、付いて行くのでいっぱいになる。それでもこの作品は理解を深めるためにも、より多くの人に観てもらいたい。(MIHOシネマ編集部)

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