映画『ケープタウン(2013)』の概要:2013年製作のフランス・南アフリカ合作映画。南アフリカのケープタウンを舞台に、黒人刑事と白人の刑事が自らの信念を武器に、麻薬密売と子供の失踪事件についての関わりを暴いていくアクションクライムサスペンス。
映画『ケープタウン』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:ジェローム・サル
キャスト:オーランド・ブルーム、フォレスト・ウィテカー、コンラッド・ケンプ、ジョエル・カイエンベ etc
映画『ケープタウン』の登場人物(キャスト)
- ブライアン(オーランド・ブルーム)
- 酒浸りで女好きのダメな男だが、事件になると突進型の調査で正義を守ろうとする性格。別れた妻のことを未だに愛している。
- アリ(フォレスト・ウィテカー)
- 昔アパルトヘイトで黒人人種差別を受けたことがある人物。しかし穏やかで知的な性格で誰からも好かれるため現在は出世しベテラン刑事として務めている。
映画『ケープタウン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ケープタウン』のあらすじ【起】
2013年、南アフリカのケープタウン。
アフリカ人系黒人刑事のアリは、この地域で子供達が行方不明になっている事件を捜査していた。
そんなある日、一件の殺人事件が起こる。
自然溢れる直物公園の中で、20歳前後の若い女性が撲殺されたのだ。
酒と女に溺れる白人刑事のブライアンも呼ばれ、アリとダンと捜査を開始する。
被害者の女性は元ラグビー選手の娘で、ビデオ屋の会員証からジュディス・ボタと割り出した。
しかし実はジュディスは親友のニコールにカードを貸していただけで、実際には彼女は無事であった。
ジュディスの話によると、ここのところニコールは生活も性格も以前とは違い、別人のようになっていたという。
アリはニコールが殺された日、クラブに来ていたという情報を掴んだ。
そのクラブに行ってみると、ジーナというダンサーと話していたと言う証言を得る。
ステージで踊り終わった楽屋のジーナを尋ねると、確かにニコールと一晩一緒に居たと言う。
ニコールの血液の中には、テイクという薬物が発見されていた。
薬をやっていたかと言うことを確認したかったのである。
薬はやっていなかったが、先週の金曜日にジーナの手作りの媚薬をくれないかと尋ねてきたと言う。
スタンという麻薬密売人とセックスを楽しむために、手に入れに来たと言うのだ。
次第にニコールの交友関係が明らかになってき始める。
映画『ケープタウン』のあらすじ【承】
ある朝、ベンとアリ、ブライアンはミューゼンバーグ海岸へ向かった。
携帯の通話記録から、ニコールがその海岸に居たことが判明したのである。
海岸に着き奥に進むと、音楽をかけながらダンスをしたり、酒を飲む数人の男女を見つけた。
しかしスタンの事を聞いて回ると、急に銃を向けられる。
ダンは砂場で男達に囲まれると、大きなノコギリのようなナイフで手首を切られた上、首筋も大きく切られてしまう。
その後、彼は救急で搬送された病院で息を引き取った。
失意の中、アリはキャットという一帯の元締めをしている男の元に向かう。
しかしそう簡単に口を割るわけが無い。
一方で現場に残されていた麻薬の成分に、未知の分子が含まれていることが明らかになる。
研究員は今の時代、脳に、より刺激的な麻薬を常に製薬会社は求めていると言った。
抑鬱剤になる可能性があり人々が欲しがるらしい。
しかしこの未知の分子をマウス実験したところ、過剰に摂取すると攻撃性が増し自我を失うという結果が判明。
そんな矢先のこと。
アリを慕うある優秀な刑事が、ネットで勝手にこの間の海岸周辺を調べたという。
すると近くに家が一軒あり、不動産業者に問い合わせたが業者も住人を見たことが無いと言ったのだと。
家の売買はダミー業者が行い、送金は隠し口座から行われていることも判明した。
アリは彼女をチームに加わるよう言い、事件解決に向け動き出す。
映画『ケープタウン』のあらすじ【転】
ブライアンはその家に向かってみる。
しかし誰も居ず、家具も無い、もぬけの殻状態だった。
唯一この変で黒いバンを見たという証言だけが得られ、目撃者を署に呼ぶ。
一方でアリは先日の夜、道で子供同士が激しく喧嘩をしているのを仲裁した。
その行為は暴力的でアリを驚かせるものでもあったが、最近子供の行方不明事件が多発していることもあり気になり始める。
そこでこの間の子供の素性を近くの診療所の医師に確認すると、ボランティア活動をしているアリの母親にも頼み、子供の居場所を知っている人を知らないか当たってくれるよう促した。
翌朝海岸でケイト・モンゴメリーという歌手の娘が撲殺されているのが見つかる。
腹には「BZK」と刻まれていた。
ブライアンが意味を聞くとアリは「BAZOKARA。ズールー族の闘いの歌で悲しませるという意味だ」と言う。
アリはズールー族出身で、父親を殺されており自分も幼い頃、殺害現場から逃げたことで白人の警官に追われ去勢されるという悲しい過去を持っていた。
被害者が増える中、署に「贈り物」だとスタンの首が届く。
アリ達はキャットの店に出かけると突然外から銃で攻撃され、激しい撃ち合いになる。
海岸にいた奴らだった。
アリは巻き込まれ負傷、入院することになってしまう。
署に戻って来たブライアンは、この間の目撃情報を元に車を捜索させていた結果を聞いた。
するとエリア内に同じ車の所有者は二人、そのうちの一人はDPSという警備会社だと言う。
そのDPSと以前調べた海岸の家は警備契約などしてはいないが、ダミー会社がこのDPSに大金を支払っていることが明らかになってくる。
会社の代表者は分子科学研究者のオパーマン博士、昔政府の命令で黒人を抹殺する化学兵器を作っていた男だったのだ。
映画『ケープタウン』の結末・ラスト(ネタバレ)
上層部の重圧もあり、一連の連続殺人事件はスタンということで落ち着いたが、アリ達は真犯人が別にいると確信していた。
元妻の恋人へ嫉妬心から暴力を振るい訴えられたブライアンは、停職。
しかし独自でDPSを調べに行った。
夜間に侵入しデータを盗み出すことに成功する。
そこにはオパーマン博士の研究内容が入っており、麻薬で手なずけた子供達に新薬を投薬し暴力的になるのを観察している計画書が書かれていた。
しかも博士にコスペンス製薬から金が振り込まれていることもわかる。
製薬会社が欲しい抗うつ剤を作っているようだった。
最初の殺人もただセックスを楽しもうとしていたニコールとスタンだったが、新薬の過剰摂取で突然暴力的になったニコールに頭に来たスタンが殴り殺すという事実もわかっていた。
一方でアリは教会でボランティアをしている女性が殺されたと連絡が入り、現場に向かった。
到着するとその家の周囲は子供達の集団墓地となっており、多くの遺体が発見されている。
しかもボランティアの女性だけだと聞いて居た部屋の遺体は二体だと知ったアリは、中に入り顔を確認した。
それはアリの母親だった。
子供を探して教会を訪れた母が事件に巻き込まれたようだった。
怒りで狂い、悲しみにくれたアリはキャットを探し出しナミビアの牧場へ向かう。
砂漠の中にある牧場を遠目から眺めるアリは、博士達の姿を確認した。
夜、アリの情報を聞いたブライアンもかけつけ合流する。
復讐をしようとしているアリを止めるためだった。
ブライアンの話しには耳も貸さず、中に入り込んだアリは彼らを片っ端から銃殺。
そして最後は元凶となった博士を砂漠まで追い詰めた。
朝になりフラフラの博士を殺害したアリ。
ヘリコプターに乗りアリの姿を探すブライアンは、何かを見つけ地上に降りた。
そこに居たのは殺されたオパーマンと、座りながら息絶えたアリだった。
自宅に戻るとブライアンはアリの墓石を掘りにいった。
映画『ケープタウン』の感想・評価・レビュー
子供達が麻薬に侵されていく様を見るのは悲しかった。
アパルトヘイト問題や人種差別、殺人、麻薬、暴力、人体実験、製薬会社と重いテーマの作品。
現実味があり、本当におこっていそうな社会の闇が怖い。
観ていてずっと緊張していた。
ラストの砂漠のシーンは迫力があり目が離せなかった。
観終わった後は疲れてしまい気が滅入ってしまった。(女性 40代)
単純なバディモノの刑事映画ではなく、質実な捜査とスリリングな環境、そして南アフリカの病巣を描いた骨太なサスペンス映画。普段観ることのない南アフリカの都市部が物珍しく面白い。何よりキャラクター像の作り込みが細緻に至っており、物語に重厚さをもたらしている。フォレスト・ウィテカの演じる黒人警官が実は不能であるというくだりは彼が映画上のキャラクターではなく、厳しい時代を生きてきた戦士であることを思わせる。軽い気持ちで楽しむのは難しいが観る価値のある作品。(男性 30代)
オーランド・ブルームとフォレスト・ウィテカー。大物2人のコンビは演技力も相性も抜群で安心して見ることが出来ました。白人と黒人の刑事のコンビと言うと、ジェイク・ギレンホール主演の『エンド・オブ・ウォッチ』などもそうでしたが、今作はストーリーがかなり緻密に作り込まれていて、アクションとサスペンスの要素がどちらもあり、かなり面白い作品でした。
一つ一つのテーマが重いので、見ていて疲れますが、作品の世界観に自然と引き込まれるのであっという間に終わってしまいました。(女性 30代)
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