この記事では、映画『キャタピラー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『キャタピラー』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『キャタピラー』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0039416
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映画『キャタピラー』の登場人物(キャスト)
- 黒川久蔵(大西信満)
- 四肢を失くした帰還兵。自己中心的な性格で暴力的。村の人間から「軍神様」と崇められる。
- 黒川シゲ子(寺島しのぶ)
- 久蔵の妻。献身的に久蔵の世話をする。しかし、変わり果てた夫の姿に葛藤を抱えている。
- 黒川忠(粕谷佳五)
- 久蔵の弟。体が悪い。徴兵されないことは恥だと考えている。
映画『キャタピラー』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『キャタピラー』のあらすじ【起】
1940年、日中戦争。日本軍の兵士として中国に派遣されていた黒川久蔵は、現地の女性を強姦して殺害するという蛮行を働いていた。その後、爆発事故に巻き込まれた久蔵は、変わり果てた姿で日本に帰還する。
四肢を失い、自分で立つこともできないその姿は、さながら芋虫(キャタピラー)のようであった。さらに頭部は焼けただれ、鼓膜と声帯を損傷したため、聞くことも話すこともできない。夫のあまりの変わりように、妻・シゲ子は錯乱してしまう。
国のために名誉の負傷を負った兵士として、久蔵は勲章を授与され、新聞にも名前が載る。村の人間はそんな久蔵を「軍神様」ともてはやし、妻のシゲ子に久蔵の身の回りの世話を押し付ける。「国の英雄である久蔵を世話することは、すなわち国への奉公である」というわけだ。
久蔵は自分では何もできず、食事から排せつまでの全ての世話をシゲ子がすることになる。これからのことを考えて絶望的な気持ちになったシゲ子は、「こんな姿で生きてるって言えるの?死にたいでしょ」と久蔵の首を絞めて殺害しようとする。
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映画『キャタピラー』のあらすじ【承】
久蔵の苦しむ姿を見て、シゲ子は思いとどまる。そして、久蔵が小便をしたがっていることに気付き、家にあった花瓶を使ってその世話をする。久蔵は小便を終えると、今度は勲章を見たがった。シゲ子が勲章を近付けてやると、久蔵は満足そうに微笑む。だが、その姿を哀れに思ったシゲ子は、涙を流してしまうのだった。
こうしてシゲ子の久蔵を世話する日々が始まったが、それは食事や排せつに限ったものではなかった。シゲ子が履いているモンペの紐を口で引っ張ったり、鉛筆を口にくわえて「ヤリタイ」と紙に書いたりと、久蔵はことあるごとにシゲ子に行為を要求する。自分の好きなときにシゲ子の体を求め、行為を終えると満足そうに眠りにつくその姿は「軍神様」とは程遠いものだった。
ある時、久蔵の弟である忠が訪ねてくる。忠は、「体が悪い自分には赤紙(徴兵の令状)が来ず、日本男児として恥ずかしい」「兄貴はあんな体になりながら国に奉公しているのに」と悔しさをにじませる。そんな忠の話を、シゲ子は複雑な表情で聞いていた。
映画『キャタピラー』のあらすじ【転】
季節はめぐり、日本軍の戦況は日に日に悪化していた。村でも本土決戦に備えた竹やり訓練や防水訓練が始まる。次第に少なくなる配給の食糧を、夫婦で分け合おうとするシゲ子だったが、久蔵はシゲ子の分まで食べようとする。
一日中家にいて何もしないくせに、食事や性行為のことになると自己中心的にそれを求める久蔵を、シゲ子は次第に軽蔑していくのだった。だが、久蔵を外に連れ出すときだけ、シゲ子は憂さを晴らすことができた。
久蔵に軍服を着せ、リアカーに乗せて村に出ると、村の人間は「軍神様」と手を合わせて拝む。そして、そんな「軍神様」を献身的に世話するシゲ子は、「帝国軍人の妻の鑑である」と、村中から褒められるのだった。
自分のみならず、シゲ子までもが称賛を浴びることが許せず、次第に外に出ることを嫌がるようになる久蔵。軍服の着用を拒む久蔵を、シゲ子は平手で殴ってしまう。久蔵の全てをシゲ子が世話しているうち、二人の立場は逆転していた。いよいよ性行為もシゲ子の方から無理矢理するようになると、久蔵は中国人の娘を強姦したことを思い出し、性的不能に陥るのだった。
映画『キャタピラー』の結末・ラスト(ネタバレ)
戦況はさらに悪化し、米も食べられないような暮らしが始まる。シゲ子は「どうしてこんな姿で帰ってきた」などと、久蔵を繰り返し責めるようになっていた。
そして、相変わらず性行為のできない久蔵にシゲ子は腹を立て、暴力を振るう。「子供を産めない私への当てつけか」「役立たずと言いたいのか」と。日常的な暴力は、まだ元気だったころの久蔵が、シゲ子にやっていたことだった。
しかし、久蔵の世話をすることは、いつしかシゲ子の存在意義となっていた。久蔵を責めた後は一転して謝り、「これからも二人で生きましょう」と抱きしめる。だが、久蔵はシゲ子に責められたり、戦地での自分の蛮行を思い出したりして、次第に精神を病んでいった。
広島と長崎に原子爆弾が投下され、とうとう戦争は終わりを迎える。畑で作業しているときに終戦を知ったシゲ子は喜ぶ。一方、そのとき久蔵は自力で外に這い出て、池に浮かぶ芋虫を眺めていた。水面に映る焼けただれた自分の顔をしばらく見つめた久蔵は、そのまま池に入り自殺してしまうのだった。
映画『キャタピラー』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
戦争の凄惨さや狂気を、ここまで直接的かつ皮肉的に描いた映画はそう多くない。四肢を失って帰還した兵士・黒川と、その妻・シゲ子との異様な夫婦生活を通して、国家が「英雄」として扱う身体の裏にある残酷な現実が突きつけられる。シゲ子の献身と嫌悪が入り混じる表情がとても印象的だった。寺島しのぶの演技力に圧倒された。(30代 男性)
キャタピラー(芋虫)というタイトルが、ここまで重く胸に残るとは思わなかった。あの“手足のない男”が戦争の象徴として描かれており、家族の崩壊と人間性の喪失がじわじわと心に刺さる。特に、シゲ子が性の対象としてしか見られなくなる描写には女性として強い嫌悪を覚えた。生々しいけれど、観る価値のある作品。(40代 女性)
寺島しのぶさんの圧巻の演技がすべてを持っていった映画。四肢を失った夫の世話をしながらも、心のどこかで彼を“怪物”として見てしまう妻の複雑な感情がひしひしと伝わってきた。戦争によって人は英雄にもなれるが、それは決して誇れるものではないというメッセージが深く響いた。(50代 男性)
最初は戦争映画だと思って観始めたけど、これはもっと深くて、個人的な、そして女性の闘いの映画だったと思う。四肢を失った夫の欲望と、それに応え続ける妻。彼女が最後に取った行動は衝撃的だったけど、それは絶望の中にあった唯一の「自由」の表現だったのかもしれない。(30代 女性)
観ていて本当に辛く、何度も目をそらしたくなるような描写があった。でも、戦争の「英雄」ってなんだろうと考えさせられた。生きて帰ってきたけど、もう人間らしさを失ってしまった夫。それでも世話を続ける妻の姿に、愛と狂気の境界を見た気がする。人間の尊厳とは何かを突きつけられる映画。(20代 男性)
戦争映画でありながら、家族や性、介護といった要素が交錯する重たいテーマの映画だった。四肢を失った兵士に対して「国の誇り」と持ち上げる周囲と、現実には彼のわがままや性欲に苦しむ妻とのギャップがすごくリアル。こうした視点からの反戦映画は珍しく、胸に迫るものがあった。(60代 女性)
映画としては非常に挑戦的で、決して万人向けではないけれど、観終わった後の余韻がすごい。「兵士の妻」として義務を果たすことを強いられるシゲ子の葛藤がリアルすぎて、胸が苦しくなる。戦争が生み出す“英雄”の歪みを、身近な家庭の中に落とし込んで描いた手法に脱帽した。(40代 男性)
戦争のトラウマを“身体”に刻み込んだような描写が続き、観ていて心が削られる感覚だった。夫婦愛なんてものはとっくに壊れていて、それでも「国のため」という言葉に押し潰されるシゲ子の姿が痛ましい。特に、繰り返される無言の性行為のシーンは、言葉以上に暴力的だった。(20代 女性)
自分は福祉系の勉強をしているけれど、この映画を観て「介護」と「支配」の境目について深く考えさせられた。ただの戦争映画ではなく、身体の自由を失った者と、そのケアを強いられる者との関係性の歪みを描いた心理劇だと思う。戦争のリアルは銃や爆弾ではなく、こうした後遺症にある。(30代 男性)
決して心地よく観られる映画ではなかったけれど、観て良かったと思える作品。寺島しのぶの表情ひとつひとつに全ての感情が込められていて、演技というより“存在”そのものだった。女性としての尊厳を奪われ続け、それでも戦い続けた彼女の姿が忘れられない。あれは怒りと抵抗の物語だった。(50代 女性)
映画『キャタピラー』を見た人におすすめの映画5選
火垂るの墓
この映画を一言で表すと?
「戦争が奪ったのは命だけではない、希望すらも奪われた兄妹の物語」
どんな話?
第二次世界大戦下の日本で、空襲によって家族を失った兄妹が、生き延びようと懸命に戦う姿を描いたアニメーション作品。食糧難、孤独、そして戦争の理不尽さが胸を打つ、涙なしには見られない名作。
ここがおすすめ!
『キャタピラー』と同じく、“戦争の後”に焦点を当て、人間の尊厳が試される瞬間を静かに描きます。アニメとは思えないリアリズムと情感に満ちており、戦争がもたらす精神的・社会的破壊を深く突きつけます。
来るべき世界
この映画を一言で表すと?
「戦争後の虚無と再生を描いた、サイレント映画の金字塔」
どんな話?
世界大戦によって荒廃した未来の地球を舞台に、破壊と混乱の中から新しい秩序を築こうとする人々の姿を描く。H.G.ウェルズの原作をもとに、人類の進化と希望を問う黙示録的ドラマ。
ここがおすすめ!
戦争によって身体や心を壊された人間たちが、そこからいかにして再生を図るのかというテーマが『キャタピラー』と重なります。芸術的かつメッセージ性の強い映像表現も必見です。
誰も知らない
この映画を一言で表すと?
「社会の片隅で見過ごされた、静かなる子どもたちのサバイバル」
どんな話?
母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、東京の片隅でひっそりと生き抜く実話をもとにした作品。助けを求めることすら許されない彼らの日常には、深い孤独と切なさが溢れている。
ここがおすすめ!
『キャタピラー』と同様に、“見捨てられた存在”の生々しい姿を描いています。表に出ない声なき叫びが画面から滲み出るようで、観る者の感情を揺さぶります。柳楽優弥の繊細な演技も必見。
戦場のメリークリスマス
この映画を一言で表すと?
「敵と味方を超えた、人間としての尊厳を問う戦争ドラマ」
どんな話?
太平洋戦争下の日本軍捕虜収容所を舞台に、日本人将校とイギリス人捕虜の間に生まれる奇妙な絆と葛藤を描く。文化や立場の違いがある中で、人間同士の関係が静かに変化していくさまが印象的。
ここがおすすめ!
戦争の中での「敵」としての関係を超えて、相手を人として見ることの難しさと尊さを描いており、『キャタピラー』に通じる深い人間ドラマがあります。坂本龍一の音楽も、物語に独特の余韻を与えています。
この世界の片隅に
この映画を一言で表すと?
「普通の生活が、戦争によって“非日常”になるまで」
どんな話?
広島・呉で暮らすひとりの女性・すずを中心に、戦争という非日常の中で懸命に日常を続けようとする人々を描く。アニメでありながら、戦時下のリアルな生活と感情が丁寧に描写されている。
ここがおすすめ!
『キャタピラー』と同じく、戦争がもたらした“日常の崩壊”を見事に描いています。一見ほのぼのした作風の中に、深い悲しみと強さが詰まっていて、観るたびに新しい感情が湧き上がります。
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