元々はドキュメンタリー番組として制作され、『2021年日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリ』に輝くほどの人気を誇った同番組が、今度は劇場版として生まれ変わる。美しく美味しいチョコレートの世界へようこそ。
映画『チョコレートな人々』の作品情報
- タイトル
- チョコレートな人々
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2023年1月2日(月)
- 上映時間
- 102分
- ジャンル
- ドキュメンタリー
- 監督
- 鈴木祐司
- 脚本
- 不明
- 製作
- 不明
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 不明
- 製作国
- 日本
- 配給
- 東海テレビ放送
映画『チョコレートな人々』の作品概要
『久遠チョコレート』、愛知県に店舗を構えるチョコレート店である。可愛らしく美味しい、まさに見た目も味も格別な商品は多くのファンから愛され、現在では50をも超える拠点を持つ一大ブランドとなった。そんな『久遠チョコレート』を追ったドキュメンタリー番組が2021年に製作された。その番組で取り上げられたのはチョコレートだけではなく、そこで働く人々。丁寧な取材と温かいストーリーが多くの視聴者の心を震わせ、同番組は『2021年日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリ』を獲得するに至った。本作は、そんな名作を劇場版に再編集したもの。美しいチョコレートの世界へようこそ。
映画『チョコレートな人々』の予告動画
映画『チョコレートな人々』の登場人物(キャスト)
- 夏目浩次
- 久遠チョコレートの代表。2003年に、3人のスタッフと小さいパン屋さんを始めた。
映画『チョコレートな人々』のあらすじ(ネタバレなし)
愛知県にある人気チョコレート店、それが『久遠チョコレート』だ。その店の人気の所以は、なんといってもカラフルで見ていて楽しいデザインばかりのチョコレート達。勿論、味も格別。そして、そんな久遠チョコレートには様々な人が働いている。シングルペアレントやLGBT、発達障害の人など幅広い。そんな久遠チョコレートの始まりは19年前、2003年のこと。今や大人気ブランドとなった久遠チョコレートの創設メンバーは、たったの3人。現在の代表である夏目浩次と、障害を抱えるメンバー達だった。久遠チョコレートがいかにして今のような大会社となったのか、その歴史に迫る。
映画『チョコレートな人々』の感想・評価
心が疲れた人にこそ
『チョコレートは失敗しても温めれば、作り直すことができる』。作中で印象深い言葉がある。『久遠チョコレート』では様々な人が働いている。身体障害者やセクシュアルマイノリティ、シングルペアレントなど多種多様だ。近年バリアフリーやダイバージェントが叫ばれている中、様々な理由から中々実現が難しいことが現実だ。そんな中、『久遠チョコレート』では何年も前から現在の体制を確立している。なぜ、そのようなことが可能であったのか。その背景には、前述した言葉が大きく影響していると思われる。現代社会は、昔と比べると人と人との距離が遠くなったとされている。忙しい毎日の中で、心が荒んでいく人もいるだろう。そんな中、本作では『失敗してもいい』ということを語りかけてくれる。疲弊している時にこそ見たい一本。
チョコレートというお菓子
チョコレートというお菓子は、比較的私達の身近にあるお菓子ではないだろうか。勿論、中には有名ショコラティエが手がけたような高級品もあるが、基本的には子供から大人まで幅広く楽しむことができる。どんな年代でも、性別や場所を問わず楽しむことができる最強のお菓子、チョコレート。だからこそ、チョコレートの可能性は無限大であると野口和男氏は語る。野口和男は、日本が誇るトップショコラティエ。彼との出会いが、夏目氏の人生を大きく変えたのである。シンプルだからこそ幅広い年代から愛され続け、さらにいくらでもアレンジが効く。まさに、チョコレートは魔法のお菓子。その無限大の可能性を本作で改めて感じよう。
SDGsとは
現在よく耳にするSDGsという言葉。SDGsとは『持続可能な開発目標』という意味を持つ言葉であり、地球上の「誰一人取り残さない」というスローガンを掲げている。そんなSDGsにおいて、高い注目度を浴びているのが久遠チョコレートの代表である夏目浩次氏だ。このSDGsが現在の形で取り上げられるようになったのは2015年のこと。しかし、夏目氏は既に19年前から個人的にSDGsの目指すところを体現してきたのである。SDGsの達成期限は2030年とされている。勿論SDGsは素晴らしい目標ではあるものの、その成功にはまだまだ壁が多い。夏目氏の活動から、成功のためのヒントを導き出せるかもしれない。
映画『チョコレートな人々』の公開前に見ておきたい映画
0円キッチン
ドキュメンタリー映画は中々手を出しづらい、そういう人も多いのではないだろうか。やはりどうしてもフィクション作品と比べると物語の展開は大人しくなりがちであるし、何よりもドキュメント作品では重いテーマが扱われることが多い。だからこそ、見ている人はドキュメント作品に対してやや身構えてしまうところがあるのかもしれない。しかし、勿論全ての作品がそういったわけではない。最新作でも、多種多様な人々についてフューチャーしながらも、美しいチョコレートの数々で視聴者を癒してくれる。本作も、ドキュメント作品でありながら『食』で視聴者を楽しませてくれる作品。
詳細 0円キッチン
ショコラ(2000)
美味しいものは、食べることは勿論見ていても楽しいものだ。高級なものであったりこだわりぬかれたものは、一つの芸術作品のようなもの。チョコレートもそう。有名ショコラティエが丹精込めて制作したお菓子を見ていると、思わず息を呑んでしまうほどだ。そんなチョコレートを存分に堪能できるのが最新作、そして、本作だ。フランスにある閉鎖的な一つの村に、一組の親子が流れ着いた。二人はその村でチョコレート店を開き、徐々に村人から受け入れ始める。しかし、彼女達を受け入れられない存在もいた。徐々に迫害されていく彼女達。そんなある日、ジプシーの集団が村へとたどり着く。若かりし頃のジョニー・デップの美しすぎる造形にも注目。
詳細 ショコラ(2000)
さよならテレビ
最新作も本作も、東海テレビが制作しているドキュメンタリー番組が基となっている。実は東海テレビはドキュメンタリー番組が非常に有名で、これら以外にも『人生フルーツ』や『ヤクザと憲法』などの名作を数多く残している。本作は元々は2018年に製作されたドキュメンタリー番組であり、その後2020年に劇場版が製作された。今作で舞台となっているのは、なんと作品を制作した東海テレビの報道部。自社のありのままの姿を描き出したことも大きな話題となった。かつてテレビは娯楽の王様だった。どの家にもテレビがあり、視聴者は毎日様々な番組に心を踊らせていた。しかし、近年若者のテレビ離れが深刻化している。『薄っぺらいメディアリテラシーはもうたくさん』。これまでにない挑戦的な番組が出来上がった。
詳細 さよならテレビ
映画『チョコレートな人々』の評判・口コミ・レビュー
東海テレビ制作の映画「チョコレートな人々」観ました。いい部分だけを映すこともできる中で、しっかりと陰の部分にも逃げずに向き合う、夏目さんと鈴木監督の誠実さが伝わりました。まさに農耕型のドキュメンタリー。継続は力なりですね。
— キャロット (@carrot1311) January 3, 2023
名古屋で一番好きな映画館名古屋シネマテークで新年初映画「チョコレートな人々」を観てきました。東海テレビドキュメンタリーの中でも人生フルーツのように長期間全国で上映される映画になると思います。良い映画に出会えて良かったです。#チョコレートな人々 #名古屋シネマテーク pic.twitter.com/9R5FKflVkH
— はやた (@toshihayashi2) January 3, 2023
名古屋シネマテーク『チョコレートな人々』めっちゃ良かった。
仕事と障がいと経済と社会。重くなりがちな取り組みを明るく、しかも地に足つけた確かさで追体験できる。
20年にわたる取材がベースにあると知り納得。舞台挨拶も本当にすてきでした。チョコもパンフも買って満足。 pic.twitter.com/jOp1wM5Mj9— シンユカ (@yukas99) January 3, 2023
映画メモ230103#チョコレートな人々(鈴木祐司監督)@名古屋シネマテーク…今年の初映画。非常に心温まる、かつ色々なことを考えされられた。分断・排除でなく、包摂できる社会を目指して生き生きと実践している夏目氏に大変刺激を受けた。購入したチョコは信じられないほど美味!
— NOEITB (@watasuked) January 3, 2023
映画『チョコレートな人々』のまとめ
本作は様々な楽しみ方ができる。一つは、単純に美味しそうなチョコレートを楽しむグルメ作品として。しかし、本作が持つ1番の側面は、どのようにして障害者と共生していくかを語った社会派ドキュメンタリーであるという部分だろう。難しく考えがちなこの問題。実際、多くの障害があり容易に解決できる問題でないことは確かだが、私達は何かと難しく捉えがちなところがあることも事実。『失敗しても温めればやり直せる』、この言葉は作中何度も登場する。その言葉が、この何年も続く問題を解決する大きなヒントとなっている。作り手が伝えたい本当のメッセージは、忙殺される毎日の中で必死に生きる私達に必ず刺さるはず。
みんなの感想・レビュー