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映画『シマロン(1931)』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『シマロン(1931)』の概要:開拓時代のオクラホマ州オーセージの発展と共に、一組の夫婦の愛を描いた異色西部劇。放浪癖のある夫が数年ごとに姿を消す間、夫が帰る場所を妻が地に根を張って献身的に守り続ける。第4回アカデミー賞最優秀作品賞受賞。西部劇では初の受賞作品。

映画『シマロン』の作品情報

シマロン

製作年:1931年
上映時間:124分
ジャンル:西部劇
監督:ウェズリー・ラッグルス
キャスト:リチャード・ディックス、アイリーン・ダン、エステル・テイラー、ナンス・オニール etc

映画『シマロン』の登場人物(キャスト)

ヤンシー・クラヴァット(グレン・フォード)
元ギャンブラーだが、正義感に厚く威風堂々としている。新しい土地で新聞社を立ち上げる。顔が広く妻と子供を愛しているが、放浪癖があり一つどころに留まれない。終盤は油田にて石油を掘り続けている。
セイブラ・クラヴァット(マリア・シェル)
良家のお嬢様でヤンシーの妻。献身的に夫を支え、放浪癖にて消息を絶った後もヤンシーが帰る場所をひたむきに守り続ける。オーセージでの女性の社会的地位向上を目指して活動。終盤では下院議員に選出される。
ディクシー・リー(アン・バクスター)
不遇な生い立ちにて悪徳一味の娼婦をしている女性。美しい容貌をしており、ヤンシーを誘惑する。最初のグレート・ランでヤンシーが狙っていた土地を横取りする。

映画『シマロン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『シマロン(1931)』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『シマロン』のあらすじ【起】

1889年、インディアンを討伐した後の広大な土地を巡りオクラホマにて、土地獲得レースが開かれた。後にグレート・ランと呼ばれるレースに参加したヤンシー・クラヴァットは、目指す土地へと余裕で到達したが、同じ場所を狙う悪徳一味の娼婦ディクシー・リーに陥れられ、土地を奪われてしまう。

故郷ウィタチへ戻った彼は新しい土地での新生活を諦めきれず、妻セイブラと幼い息子を連れて再びオクラホマへ向かおうとする。周囲は彼の行動に猛反対したが、夫が行くなら妻も行くものだとセイブラも賛成したため、一家は家財道具を馬車に乗せ旅に出るのだった。

ヤンシーは人脈を生かし新しい町で新聞社を開こうと考えている。新しい町オーセージでは、建設が急ピッチで進められ次々に建物や店舗が出来ている。人が集まれば商人が寄って来るため、流通が栄え町も大きくなる。一家はこの町に腰を据え、新聞社を作ることにした。

住居兼会社となる建物を手に入れ生活の基盤を整える。人が集まれば噂が絶えず流れる。以前、この町で新聞社を立てた者が襲われて死んだという噂を耳にしたセイブラは、夫を酷く心配。だが、ヤンシーには策があるようで大丈夫だと妻を安心させるのだった。

住居の片付けや新聞社の準備をしている際、ヤンシーの元に知り合いが数人訪れる。彼らが言うには、町に神父や教会がまだないので作りたいと言う。そのためには資金を手に入れなければならないため、ヤンシーに助力を願いたいというものだった。

ヤンシーは人を集め共に歌を唄い募金するよう人々に頼んだ。神父がいないので、ヤンシーが神父代わりをして説教を行う。集まりには彼を良く思わないごろつきも参加していたため、この機に乗じて挑発し全員の前で制裁した。正当防衛が認められ罪に問われずに済んだ。

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映画『シマロン』のあらすじ【承】

ところが、集まりには土地を奪った女ディクシーも来ており、ヤンシーへと挨拶に現れる。セイブラは気軽に挨拶を交わす夫に腹を立てた。多分に嫉妬もあったが、土地を奪った相手を歓迎するなど、ヤンシーはどうかしていると責める。だが、夫はディクシーも生きるためにやったことだと寛大にも許しているのだった。

1890年、オーセージには建物が増え、次第に町らしく変貌を遂げていく。ヤンシー夫妻には新たな家族が誕生し、新聞社の人気も上々。セイブラは婦人会に参加し、文学やアメリカの歴史などを教えていた。

ところが、人が集まればならず者どもも集まる。オーセージは誕生してまだ1年目の新しい町であるため、治安維持の方法がまだしっかりと確立していなかった。ならず者は新聞社の近くにある銀行へ強盗に入ろうと銃撃戦を展開。ヤンシーはならず者を退治するため、自らが銃を持ち銃撃戦へと飛び込んだ。片腕を負傷したものの、最後のならず者を見事、倒したヤンシー。

町は彼を称え銀行協会と政府、町からも報奨金が出て地区の知事に推薦されるという大事に。だが、この一件でクラヴァット家の下働きをしていた少年が命を落としてしまい、ならず者のボスがヤンシーの旧友であったことから、気落ちしてしまう。彼は報奨金を全て返金することにするのだった。

映画『シマロン』のあらすじ【転】

それから2年後、1893年。最後のインディアン部族チェロキー族が所有する広大な土地が解放されることになり、再びグレート・ランが開催されることになった。
ならず者を退治したことで町の名士となっていたヤンシーは、家族が反対するのでグレート・ランには参加しないと表明。そうは言ったものの、そろそろ放浪癖が疼き出す頃合いである。彼はセイブラへ新たな土地に向かおうと言うが、セイブラはこれに反対。すると、ヤンシーは家族を置いて我先にと新たな土地へ飛び出して行ってしまうのだった。

そうして5年が経過。ヤンシーからは一切の連絡はなく、米西戦争が勃発。
1898年、オーセージは大きな町へと成長を遂げていた。ヤンシーの口さがないうわさ話は絶えず流れてくるが、本人からは全く連絡がない。セイブラは新聞社を営みながら、2人の子供達を育てていた。

そんなある日、ヤンシーが突然の帰還。どうやら彼は戦争に参加していたらしい。無事に帰って来たことで安心したものの、不在の期間が長すぎてどうにも馴染まない。ヤンシーは現在作成中の新聞の記事を目にし、ディクシーの裁判が行われることを知る。彼女の罪状は公的妨害であったが、弁護士は決まっていなかった。そこで、ヤンシーはディクシーの弁護人として裁判へ。

この件に関してセイブラは怒り狂っていたが、元よりヤンシーは自由人である。妻の言うことなど聞く男ではない。5年間、行方をくらましていたヤンシーではあったが、町の人々は彼を忘れたことはなく今も尚、名士として認識している。
裁判にてディクシーの生い立ちを語り、彼女の人権を主張したヤンシー。見事、無罪を勝ち取ることに成功した。このことで、反発し合っていたセイブラとも和解し、愛を確かめ合った2人。
その後、ルーズベルト大統領の署名により、町はオクラホマ州と定められた。

映画『シマロン』の結末・ラスト(ネタバレ)

1907年、町は更に発展し往来を馬車の他に自動車が行き交うようになる。新聞社も拡大し、ヤンシーとセイブラの子供達も成長。成人した長男はクラヴァット家にお手伝いとして働いていたインディアンの女の子に恋をして、部族との交流を深めていた。長男は自立したらその子と結婚するつもりらしいが、セイブラは断固拒否。ヤンシーが許すはずないと言うが、長男曰くどうやらヤンシーはすでに話を聞いて許しているらしい。

巷ではヤンシーを知事選に推す声が聞かれていたが、このほどインディアン居住区に油田が発見され、政治的にも奪い合いが予想された。ヤンシーは政府に対してインディアンを擁護する考えを持っており、抵抗を示す記事を掲載。新聞社に関してセイブラに利権はないと言うのだった。

しかしその後、再びヤンシーの放浪癖が発動。彼はまたもセイブラを置き去りにし、ふらりとどこかへ出かけ消息を絶ってしまう。
22年後の1929年、油田のお陰で町は急速に発展し、建物はビルへ様変わり。道路にはアスファルトが敷き詰められ馬車は姿を消して車が往来を行き来していた。

新聞を発行してから40年。壮年のセイブラは新聞社の経営をする傍ら、女性たちの社会的地位の向上に努め、とうとう下院議員へ選出される。彼女は連絡をしない夫ヤンシーの噂を集めつつ、彼の生存を確認しては安堵する日々を送っていた。
翌年、セイブラは議員就任を祝い食事会を開催。会には往年の友も招待され、それぞれに結婚し幸せな家庭を築いた子供達も出席した。

食事会の後はボウレッグス油田への視察へ赴く予定になっている。セイブラは他の上下議員と共に向かった。ところが、到着直後に掘削機のトラブルが発生。大事故になるところを救った者がいると言う。従業員の話では油田施設を立ち上げた当初からいる人物らしく、掘削機に挟まれ重体のようだ。その人物の名前を聞いたセイブラは、驚愕に震え走り出すのだった。

自らが掘削機に挟まれることによって、大爆発を止め多くの人々を救った人物は、虫の息でそこに横たわっていた。ヤンシーは妻の登場に僅かながら笑みを見せ、彼女の胸に抱かれ息を引き取るのであった。

映画『シマロン』の感想・評価・レビュー

オクラホマ州開拓時代から発展する様子を背景に、その地で奮闘する人々を描いている。主人公ヤンシーは放浪癖のある自由人で、正義感に厚く活動的だ。その妻セイブラは元々裕福な家庭のお嬢様だったが、夫を献身的に支え帰る場所を守り続ける。

この作品の見どころは、夫ヤンシーが主人公とされているが、実は妻のセイブラであることと、西部劇とジャンルされているものの従来のそれとは一線を画しているという点である。主に西部開拓史における女性たちのドラマを描き、時間と共に近代化していく様を作品に投影している。町が発展を遂げる様が非常に面白く、それと共に時代が変革を遂げる様を絶妙に組み込んだ見ごたえのある作品。(MIHOシネマ編集部)


オクラホマの開拓に力を注いだ一家の物語。開拓やインディアンなど西部開拓時代の物語が好きな私にとってはとても勉強になる作品でした。ディズニーランドのアトラクション「蒸気船マークトウェイン号」や「ウエスタンリバー鉄道」なとで見られる風景が映像化されているのはとても面白かったです。
主人公のキャラクターがなかなかクセがあるので共感できない方も多いと思いますが、この頃の生活を知るにはぴったりの作品だと思います。今でも残る人種差別ですが、この頃はいまよりもっと酷い差別がされていたのだと衝撃的でした。(女性 30代)


一応西部劇の部類なのか時代の振り幅がすごい。そしてそれを演じる俳優たちも見ものだ。西部の荒野だったのがアメリカ合衆国の形を徐々に築いていく中で、米西戦争とかイエロー・ジャーナリズムとか歴史が動く中での大きな変化があるのは分かるんだけども、自分の知識じゃ理解しきれないから、こうやって州になり発展させていくのかと色々勉強になった。

しかもこの時代に女性の政界進出が描かれて強い女性像がヤンシーの奥さんに象徴されているのは印象的だった。シマロンといえばのヤンシーの髪型、歳を取ってからも同じ髪型でなんとも忘れ難いイメージになっただろう。(女性 20代)

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