映画『コンフェッション 友の告白』の概要:保険の営業マンをする自信家のインチョル、妻と娘を大切にする消防士のヒョンテ、酒屋を営むドジなミンスの三人は中学時代からの悪友だった。ヒョンテに代わって彼の両親に世話を焼くインチョルは、賭博場を経営するヒョンテの母へ火災保険を勧めた。多額の借金を抱える彼女は放火されたらいくら出るのと冗談を言うが、保険金が10億ウォンと聞くや目の色を変えた。
映画『コンフェッション 友の告白』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:サスペンス
監督:イ・ドユン
キャスト:チソン、チュ・ジフン、イ・グァンス、イ・フィヒャン etc
映画『コンフェッション 友の告白』の登場人物(キャスト)
- チョン・インチョル(チェ・ジフン)
- ライフ損害保険会社に勤める営業マン。成績が良く、給料も良い。非常にプライドが高く、抜けているミンスへ度を越えた暴力を振るうこともある。絶縁状態になっているヒョンテの両親を気遣う反面、韓国を出て行った自分の両親とは連絡を取っていない。ヒョンテの母が経営している地下賭博場で、客のほとんどが咥え煙草でいることを心配し火災保険を勧めた。クラブで働くジウとは曖昧な恋人関係を築いている。
- キム・ミンス(イ・グァンス)
- 少し抜けている性格で、昔からよくインチョルにからかわれている。亡くなった親の酒屋を継いで日々配達に精を出しているが、深酒してしまうのが玉に瑕。中学時代にインチョルに命を救われたことから、彼に頼まれた(命じられた)ことへ強く言い返せず、最終的には言う通りに行動してしまう。
- イム・ヒョンテ(チソン)
- 妻ミランと娘ユリを大切にし、真面目に暮らしている消防士。聾唖者であるミランとの結婚に反対する母と折り合いがつかず、縁を切るように家を出て結婚した。両親を気にかけてはいるが中々歩み寄ることができず、見かねたインチョルが彼の代わりに両親へ世話を焼いている。
- シン・イス(チェ・ジノ)
- ライフ損害保険特別調査部チーム長。インチョルの上司でもある。インチョルがコンスタントに大量の契約を取ってくることへ疑問を抱いており、彼が加入させ保険金を受け取っている顧客を独自に調べ上げる。
- ジウ・ヒャン(チャン・ヒジン)
- クラブのホステス。インチョルとずるずる関係を続けており、家に上がり込んでは勝手に掃除をして大切な書類などを捨ててしまう。得意のサムゲタンを振る舞いたがるが、いつも煙たがられる。
- リュ社長(チェ・ビョンモ)
- ヒョンテの母が金を借りていた貸金業の悪徳社長。ヤクザ者。彼女の店で火事が起きたことで保険金が入ると分かるやいなや、ヒョンテへ保険金を全額返済に充てるよう迫り念書を書かせた。
映画『コンフェッション 友の告白』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『コンフェッション 友の告白』のあらすじ【起】
卒業証書を持ってジョンドン中学校の卒業式を抜け出したインチョル、ヒョンテ、ミンスは、金井山の山頂で記念写真を撮ってはしゃいだ。インチョルはミンスが新しく買って貰ったという音楽プレーヤーに興味深々で、二人が貸す貸さないで揉めている間カメラの調節をしていたヒョンテの背後で、ミンスは足を滑らせ滑落してしまった。
インチョルとヒョンテはミンスの元まで向かい山を下りようとしたが、ミンスの意識が戻らずヒョンテの足は凍傷寸前だったため、三人は小さな山小屋へ逃れた。翌朝ヒョンテが目覚めるとインチョルの姿はなく、ヒョンテは動かないミンスを背負って吹雪の中を進んだ。彼の体力が尽きかけた頃、インチョルは大勢の救助隊を連れて二人の元へ戻って来た。
17年後、ヒョンテに代わって彼の父の退院に付き添ったインチョルは、ヒョンテの母の店を心配して火災保険を勧めた。契約するためインチョルを事務所へ招いたヒョンテの母は、実際に火事が起きた際は最低でも10億ウォン貰えると知って表情を変えると、夫が倒れてから借金の返済を迫る連中が多くなって困っていると打ち明けた。彼女は、売り上げを集計する今週の日曜日に強盗が来て放火されたら、保険金を受け取って隠居するとインチョルへ持ち掛け、彼は「監視カメラに証拠が映ればすぐおりますよ」と返事した。
“ニセ患者17号”という顧客から連絡を受けたインチョルは、足を折って入院したことになっている彼女がホルモンを食べに出掛けたと知り、車椅子に乗せて病室へ戻した。しかし、病室にはシンチーム長が待ち構えており、“ニセ患者17号”を含む502号室の全員が詐病であると暴き、インチョルを追及した。
ミンスの店で酒を飲むインチョルは彼へ、ヒョンテの母に頼まれたから賭博場を襲うぞと誘った。ミンスは、その場では彼の馬鹿げた提案に同意しなかった。
翌朝、ミンスの親の法事をしようと言いに店へ来たヒョンテは、まずは自分の親孝行をしろと言うインチョルへ「平凡に暮らしてる親ならな」と呟いた。それを聞いたインチョルは、彼の母が10億ウォンを手に入れ隠居すれば家族仲が戻ると確信した。その日の夜、ミンスはインチョルへ「みんなの幸せのためだな?」とメールを送った。
映画『コンフェッション 友の告白』のあらすじ【承】
日曜日の夜、目出し帽を被ったインチョルとミンスは、監視カメラに姿が映るように賭博場へ侵入した。二人の姿を確認したヒョンテの母はカメラの音声を切って芝居をし、インチョルは彼女に指示された通り現金や帳簿を一通り鞄に詰めた。
一方のミンスは、店内へガソリンを撒いていた。そこへ、ヒョンテから「そのうち見舞いにいく」との連絡を受け居ても立ってもいられなくなった彼の父が偶然店の様子を見にやって来て、まさか相手が息子の親友とは思わず杖で殴りつけた。驚いたミンスは一向に殴打をやめないヒョンテの父を突き飛ばしてしまい、倒れたヒョンテの父は後頭部を強打し動かなくなった。
自分の呼び掛けに応じないミンスに腹が立ったインチョルが様子を見に行くと、放心状態のミンスと血を流して倒れるヒョンテの父がおり動揺した。さらに、ミンスは自分の傷を確認するため目出し帽を取って鏡を覗き込んでしまい、インチョルが怒りを露わにしたところへヒョンテの母が様子を見に来た。倒れる夫に驚く彼女は救急車を呼ぼうとしたが、インチョルは咄嗟に彼女の携帯を投げてしまった。夫を殺されたと勘違いし戦慄する彼女は事務所の隠し扉から地上へ逃げようとし、それを追いかけたミンスとインチョルは梯子を上り切った彼女の足を強く引いて転落させてしまい、ヒョンテの母は亡くなった。
インチョルは、放心状態のミンスを横目に店へ火を放った。しかし、ヒョンテの父は激しい火傷を負ったが一命は取り留めており、駆け付けたヒョンテの消防隊に救助された。
賭博場に残された金庫を必死で開けようとしているチェ刑事とその部下達の元へ顔を出したシンは、彼らの捜査内容を調査すると共に、賭博場への強盗放火事件にはインチョルとヒョンテが関わっていると睨んだ。
リュ社長に呼び出されたヒョンテは、母が借りていた金を代わりに返すよう迫られた。リュ社長は、ヒョンテの母が生前警察と役所に賄賂を渡していたことを明かし、証拠となる帳簿が消えていることから、警察は犯人を捕まえず事件を有耶無耶にするだろうと言った。保険金は犯人がいなければ下りないため、リュ社長はヒョンテを「親をあんな目に遭わせられて悔しくないのか」と煽り、犯人を捕まえて借金返済へ保険金を充てるよう念書を書かせた。その日の夜ヒョンテの元を訪れたシンは、犯人が特定できず事件に不審な点も多いため、保険金の支払いを延期すると告げた。
映画『コンフェッション 友の告白』のあらすじ【転】
ミンスの親の法事に訪れたヒョンテは、インチョルとミンスに自分で犯人を捕まえて落とし前を付けさせると宣言した。翌日インチョルの会社を訪ねたミンスは、自分だけでも自首すると言い、インチョルは「ここで俺たちが弱気になったらヒョンテまで道連れにして地獄に落ちるんだぞ」と説得した。そんなインチョルの様子をカメラに収めたシンは彼へ接近すると、監視カメラの一部が復元されたことを伝えて彼を追い詰めた。
独自に聞き込みを行うヒョンテは、母の店の従業員から、社長の息子らしき男性が頻繁に店を訪れており、男性は事件の5日前にも来ていたと聞かされた。そんな彼の携帯へ、リュ社長から「犯人が見つかった」とメールが入った。
帰宅したインチョルは、部屋が見違える程綺麗に掃除されているばかりか、賭博場から持ち出した書類を入れていた鞄すら無くなっていることに気付いて取り乱した。彼はキッチンにサムゲタンの材料が置かれていたことからジウの仕業と見当をつけ、彼女の行方を追おうとした。そこへヒョンテから連絡が入り、二人は犯人とみられる“赤いリュックの女”を追った。
女を発見したインチョルは彼女がジウだとすぐに気づき、ヒョンテに隠れて彼女を問い詰めた。ジウは、インチョルの自宅で見つけた金目の物を売りさばき、鞄に入った大金も併せて持ち逃げしようとしていた。インチョルは書類だけを奪い返すと彼女を追い返し、何事もなかったようにヒョンテと合流した。インチョルは何故犯人が分かったのかヒョンテに尋ね、彼は「リュ社長に教えてもらった。犯人を捕まえたら店と保険金を全て譲る契約をしたんだ」と告げ、インチョルは激昂した。
ミンスの店へやって来たシンは、事件当日のアリバイを語らない彼へ「通り魔に殺されるより息子や知人に殺される確率の方が高い」と告げた。
意識が戻った父の元へ駆け付けたヒョンテは、彼に紙とペンを渡して会話をしようとした。病室の外から様子を伺うインチョルが視界に入った父は、途端に興奮してペンを強く握ったが、痙攣を起こしそのまま緊急治療を受けた。病院を後にしたインチョルは、チェ刑事と落ち合うと帳簿を手渡した。
翌日、ミンスの家を訪れたヒョンテは、店の奥で首を吊っていたミンスを発見した。遺体安置室で彼の死体を確認したインチョルは咆哮を上げ泣き崩れ、賭博場への放火強盗事件は“容疑者自殺”で捜査が終了した。
映画『コンフェッション 友の告白』の結末・ラスト(ネタバレ)
ミンスの葬儀を終え、インチョルは刃物を持ってリュ社長の事務所を訪れた。彼はヒョンテの念書を渡して契約を白紙にしろとリュ社長を脅迫したが、リュ社長は「事件の日に消えた帳簿があるということは、何を意味してる」とインチョルを見つめた。「俺が殺した」と叫び興奮するインチョルは、自らの片腕を激しく切り付けながら念書を渡すよう言って暴れ、リュ社長は不敵な笑みを浮かべながら念書を渡してやった。
飛行機に乗って逃げようとするインチョルは、ロビーでヒョンテと再会した。彼は何も言わないインチョルへ、雪山で遭難した時の話をした。
山小屋の中、動かないミンスの隣で目が覚めたヒョンテは、インチョルの姿と共にミンスの音楽プレーヤーも消えていることに気付いてしまった。インチョルは戻って来ないと確信した彼は「俺もミンスを置いていこう。インチョルもそうしたんだ、俺だって許される」と考えたが思い留まり、ミンスを抱えて下山しようとした。
初めて聞くヒョンテの本音に閉口するインチョルへ、彼はミンスが遺した遺書を手渡した。
ヒョンテと別れトイレで涙を拭っていたインチョルは、突然リュ社長が雇った見知らぬ男に腹部を刺されて倒れ込んだ。苦しむインチョルはなんとかロビーへ戻り、遠くにヒョンテの姿を見つけると、平然を装いベンチに腰掛けた。朦朧とする中でミンスの遺書に目を通した彼インチョルは、「俺さえいなければ二人は幸せになれる、俺の分までヒョンテに尽くせよ」と綴られたミンスの言葉に涙し、力尽きた。
ミンスの店を整理し、インチョルの葬儀も終えたヒョンテは、インチョルのマンションへ向かった。部屋には自分宛ての書類や中学時代の写真が置かれており、ヒョンテは雪山での一件に想いを馳せた。
しかし、ヒョンテがインチョルに抱えていた思いとは裏腹に、ミンスの音楽プレーヤーは雪道の中に埋まっていた。実際にはミンスが落としただけだったのだ。ヒョンテとミンスを助けるため下山するインチョルは、何度も何度も山小屋を振り返りながら懸命に足を進めていた。
映画『コンフェッション 友の告白』の感想・評価・レビュー
自分の気持ちを上手く伝えられない親友三人の、輝かしくももどかしい友情の物語だった。
この物語の中で誰が最初に間違いを犯したかと言えば、きっかけはヒョンテの母だったろう。友達の母親の思いがけないアイデアに反対できなかったインチョルは、営業成績やそれに伴うインセンティブに加え「友人と家族を元通り引き合わせる」と独りよがりな理由づけをしてしまった。
ラストで、インチョルはヒョンテの思っていたような人間でなかったと明かされるような場面があるが、あまりに遅すぎて切なさよりも怒りが湧いた。長年の親友だから、と面倒くさがらず腹を割って話していれば結末は変わっていたのだろうか…(MIHOシネマ編集部)
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