この記事では、映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『カンバセーション…盗聴…』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『カンバセーション…盗聴…』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
キャスト:ジーン・ハックマン、ジョン・カザール、アレン・ガーフィールド、ハリソン・フォード etc
映画『カンバセーション…盗聴…』の登場人物(キャスト)
- ハリー・コール(ジーン・ハックマン)
- 盗聴のプロで、この業界では完璧な仕事をする天才として知られている。人の秘密を盗聴している反動で、自分のことに関しては病的とも言える秘密主義を貫いている。常に孤独で、唯一の慰めは自室でレコードに合わせてサックスを吹くこと。
- スタン(ジョン・カザール)
- ハリーの助手の技師。ハリーほどのプロ意識はなく、依頼者のことなども知りたがる。
- ウィリアム・P・モラン(アレン・ガーフィールド)
- ハリーと同業者で、盗聴器の商品開発や販売もしている。秘密主義のハリーを嫌っている。
- メレディス(エリザベス・マックレイ)
- モランの仕事を手伝っている女性。ハリーに気がある素振りを見せる。
- エミー・フレデリックス(テリー・ガー)
- ハリーの愛人。ハリーに生活の面倒を見てもらっているが、彼の住所も電話番号も仕事も教えてもらえない。ひたすら待ち続けることに疲れている。
- マーティン・ステット(ハリソン・フォード)
- ハリーに盗聴を依頼してきた大企業の専務の秘書。まだ若いが、油断できない人物。
映画『カンバセーション…盗聴…』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじ【起】
サンフランシスコにあるユニオン・スクエア広場は、多くの人々で賑わっていた。パントマイムをする道化師や路上ミュージシャンも集まり、広場は常に騒がしい。そんな中、盗聴のプロであるハリー・コールは、助手のスタンや仲間と共に、ある男女の会話を盗聴していた。業界内でも盗聴の天才と言われているハリーは、音の多い場所でも男女の会話がはっきり聞き取れるよう、独自の工夫をしていた。さらに、依頼者からの要請で、男女の写真も隠し撮りしておく。ハリーの仕事は、いつも完璧だった。
仕事を終えて自宅アパートに戻ったハリーは、ドアの内側に誕生日の贈り物があるのを見て、不快になる。盗聴を生業にしているハリーは、自分のプライベートが人に知られることを異常に嫌っており、玄関ドアにも複数の鍵と警報機までつけていた。ハリーはすぐ管理人に電話して、自分の部屋の合鍵を持たないよう注意する。秘密主義を貫く孤独なハリーにとって、唯一の息抜きは、ジャズのレコードに合わせてサックスを吹くことだった。ハリーは気分転換をするため、今日もレコードに合わせてサックスを吹く。
翌日、ハリーは昨日録音した男女の会話を、仕事場にしている倉庫で聞いてみる。3箇所に仕掛けた3本のテープを同時に再生することで、男女の会話は鮮明に聞くことができた。2人の会話から、この男女が許されぬ関係であることは推測できたが、ハリーは盗聴したテープの内容には深入りしない。ただ、今回はなぜか、女がホームレスの老人を見て「あんな老人を見るたびにいつも思うのよ、あの人も誰かの子供だったって」と言った言葉や彼女の歌声が耳に残ってしまう。

映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじ【承】
ハリーはわざわざバスで移動して、公衆電話から依頼者に電話をかける。この仕事を依頼したのは大企業の専務で、指定された連絡先は彼のオフィスだった。専務は不在だったので、秘書のマーティンに資料が揃ったことを伝えると、明日の2時半にオフィスへ来るよう指示される。報酬の1万5千ドルは、その時に全額支払ってくれるということだった。
何となく人恋しくなっていたハリーは、愛人のエミーのアパートへ行く。エミーは、合鍵で入ってきたハリーを歓迎してくれる。ハリーが誕生日だったことを告げると、エミーは彼の話をもっと聞きたがる。ハリーはエミーの生活の面倒を見ているが、自分の住所や電話番号は教えていない。もちろん、自分の仕事も明かしていなかった。エミーがハリーの連絡先や仕事を知りたがるのは当然なのだが、それがハリーには迷惑だった。気分を害したハリーは、金だけ置いて、エミーのアパートを出てしまう。
翌日、専務のオフィスを訪れたハリーは、マーティンから報酬を渡され、テープを置いていくよう言われる。しかし、ハリーは専務に直接渡す約束をしていたため、その申し出を断る。それでもマーティンがテープを奪おうとしたため、ハリーはテープを持って急いでオフィスを立ち去る。マーティンは背後から「深入りするな、これは危険なテープだ」と、ハリーに忠告していた。その帰り、ハリーは専務のオフィスビルの中で、あのカップルを目撃する。男はこの会社の社員で、女も会社の関係者らしかった。
仕事場に戻ったハリーは、2人の会話を何度も聞き直してみる。隣にいたスタンも好奇心をそそられ、ハリーにいろいろと質問してくる。ハリーは苛立ち、スタンを叱責する。スタンはヘソを曲げ、ハリーの助手を辞めてしまう。
1人になったハリーは、不鮮明だった部分を丁寧に聞き出していく。そこでわかったのは、日曜日にジャック・ター・ホテルの773号室で2人が密会すること。そして、このカップルが何者かに殺されるのではないかと怯えていることだった。
その日、ハリーは教会で懺悔する。ハリーは、自分が盗聴したことで、若い男女が危険に晒されるのではないかと危惧していた。実は以前にも、同じことがあったのだ。
映画『カンバセーション…盗聴…』のあらすじ【転】
ハリーの同業者が大勢集まる大会の日。盗聴や盗撮用品の品評会の会場で、ハリーは同業者のモランを紹介される。モランは有名人のハリーと知り合えたことを喜び、サービスのボールペンをスーツの胸ポケットに入れてくれる。ハリーの助手を辞めたスタンは、モランの世話になっていた。ハリーはスタンに謝罪し、自分の所へ戻ってくるよう説得する。ハリーから見て、モランは信用できない男だった。
エミーのことが気になっていたハリーは、彼女の家に電話してみる。しかし、エミーは電話を解約しており、連絡がつかなくなっていた。その会場で、ハリーはマーティンに声をかけられる。マーティンは、日曜の1時に専務が直接テープを受け取るとハリーに伝言する。ハリーは、自分がマーティンに尾行されているのではないかという恐怖を感じる。
大会の後、ハリーは仲間たちと仕事場の倉庫で打ち上げをする。モランと彼の秘書をしているメレディスという女性も一緒だった。モランはハリーに対抗心を持っており、しつこくハリーに絡んでくる。ハリーがニューヨークにいた頃、ハリーの盗聴したテープが原因で、3人の人が殺される事件があった。モランはそんなハリーの触れられたくない過去まで、ペラペラと喋りまくる。その上、ボールペン型の盗聴器で録音したハリーとメレディスの会話を、みんなの前で聞かせる。これにハリーは激怒し、みんなを追い出してしまう。ただ、メレディスだけはハリーのことを気にして、その場に残っていた。
いろいろなことで疲れ切っていたハリーは、メレディスの誘惑に負け、彼女と肉体関係を持つ。ハリーはそのまま仕事場のベッドで寝てしまい、嫌な夢を見る。目を覚ました時には、隣で寝ていたはずのメレディスが、男女の会話を録音したテープと共に消えていた。
映画『カンバセーション…盗聴…』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌朝、自宅に戻ったハリーは、テープの件を伝えるため、マーティンに電話する。マーティンはハリーの自宅の電話番号を知らないはずなのに、「かけ直す」と言って、電話を切ってしまう。そして、すぐにハリーの自宅の電話が鳴る。マーティンは困惑するハリーに「テープはいただいた、もう消される心配はないが深入りするな」と忠告し、専務のオフィスへ写真を持ってくるよう伝える。
ハリーがオフィスへ行くと、専務のプライベートルームから盗聴テープの音声が聞こえてくる。中へ入ると、激怒している専務とマーティンがいた。壁にはあの女の写真が飾ってあり、ハリーは彼女が専務の妻であることを知る。写真を渡し、報酬を受け取ったハリーは、専務からさっさと帰るよう促される。帰り際、ハリーはマーティンに「2人をどうする?」と聞いてみる。しかし、マーティンは「今にわかる」としか答えてくれなかった。
2人のことが心配だったハリーは、ジャック・ター・ホテルへ行き、773号室の隣の部屋を借りる。ハリーは、その部屋の洗面所から盗聴を試みる。専務の怒鳴り声や女性の悲鳴が聞こえた気がして、ハリーはベランダへ出てみる。隣のベランダの窓ガラスには、べったりと血がついていた。ハリーは現実と幻覚の区別がつかなくなり、テレビをつけてベッドに潜り込んでしまう。
目を覚ました時には夜になっていた。ハリーは部屋を出て、隣の部屋のドアをノックしてみる。何の応答もなかったので、ハリーは器用に鍵をこじ開け、部屋の中に入る。部屋に人影はなく、室内は綺麗に掃除されていた。やはりあれは自分の幻覚だったのかと思いながら、ハリーは念の為、トイレの水を流してみる。すると、血に染まった真っ赤な水が、排水口から逆流してくる。
ホテルを出たハリーは、専務のオフィスへ行ってみるが、マーティンや警備員に追い返される。外へ出たハリーは、オフィスの前に停まった高級車の中にあの女がいるのを見る。驚いたことに、専務は自動車事故で死亡しており、多くのマスコミがオフィスに詰めかけていた。マスコミに対応する社員の中にはあの男とマーティンがいて、ハリーは専務の方が彼らに殺されたのだと悟る。
自宅へ戻り、ハリーがレコードをかけてサックスを吹いていると、家の電話が鳴る。電話の相手は「気づいたようだな、深入りはよせ、盗聴しているぞ」と言って、先ほどまでのハリーの部屋の音声を再生する。
ハリーは部屋中のあらゆる物を分解し、破壊し、盗聴器を探す。ずっと大事にしてきた聖母像まで破壊したが、盗聴器は見つからない。ハリーは壁紙や床板まで剥がし、盗聴器を探し続ける。しかし、盗聴器を見つけることはできなかった。ハリーは破壊し尽くされた部屋に座り、最後まで残しておいたサックスを吹き始める。盗聴の天才と言われたハリーの人生には、今やこのサックスしか残っていなかった。
映画『カンバセーション…盗聴…』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
本作は、盗聴のプロの男が対象者から生死に関わる重要な情報を入手し、危険と判断した男が依頼主にテープを渡さずに対象者を救おうとする姿を描いたヒューマンドラマサスペンス作品。
ストーリーの主軸となるテープが劇中何度も繰り返し再生されるが、これが現実と妄想の境界を曖昧にさせ、混乱するが非常に引き込まれる。
盗聴のプロの男が殺人計画に巻き込まれそうになってから、自身も孤独と狂気に苛まれていく精神的恐怖の描写が面白かった。(女性 20代)
序盤はなかなか世界観に入り込めず、難しい作品かなと思って鑑賞していましたが、「現実」と「妄想」がこの作品のキーだと分かると急に面白くなり、ハラハラドキドキしながら見てしまいました。
盗聴のプロでありながら「孤独」な男ハリー。孤独と言うよりも「孤高」と言った方が正しいのかも知れません。何故なら彼には天才と称される程の盗聴の技術があるから。しかし、その腕の良さのせいで事件に巻き込まれてしまいます。
「深入りするな」と言われた時には「もう遅い」という事のようです。自分がそう言われているような気持ちになりました。ラストの描写は「お見事」としか言いようがありません。(女性 30代)
緊張感が張り詰めた映像と音響演出が印象的でした。盗聴のプロであるハリー・コールが抱える罪悪感や孤独感が、静かに、しかし確実に観る者に迫ってきます。特に録音テープを繰り返し再生しながら、セリフの裏に隠された意味を読み解いていく場面は、まさに心理戦のようでゾクゾクしました。ラストで部屋を破壊し、盗聴されている恐怖に追い詰められる姿は、プロとしての誇りと人間としての脆さが同居していて衝撃でした。(30代 男性)
ジーン・ハックマンの演技に圧倒されました。寡黙で繊細なハリーというキャラクターが、段々と自壊していく過程を丁寧に見せていく演出は、フランシス・フォード・コッポラの手腕を感じさせます。盗聴というテーマを扱いながら、ただのスパイサスペンスではなく、人間の心の闇を描いた深いドラマに仕上がっていました。ラストの無音のシーンが何よりも雄弁で、今も耳に残っています。(40代 女性)
初見では難解に感じましたが、二度目に観るとその緻密な構成に感動しました。会話の断片が意味を持ち、誤解によって取り返しのつかない事件が起きるという構造が非常に巧妙です。ハリーが正義か悪か曖昧なまま終わる点も考えさせられます。ラストの孤独なサックス演奏が、彼の壊れた内面を象徴していて切ないです。静かで地味なのに、観終わった後にズシリと残る作品でした。(20代 女性)
この映画は、音で語る映画です。サスペンスとしての派手さはありませんが、音声の“間”や雑音までもが物語の一部になっているのが見事。録音技術者という特異な職業の人物を通じて、人間関係の不信や監視社会の怖さを鋭く描いています。特に“彼女を殺すつもりなんだ”というセリフの意味が反転する場面には震えました。タイトルの「カンバセーション(会話)」がこれほど重く感じる作品は稀です。(50代 男性)
映画史に残る名作として名前を聞いて観ましたが、想像以上の深みでした。ハリーの視点で全てが進行するため、観客も彼と同じように情報に翻弄されていきます。特に彼の過去のトラウマや、今作で抱える倫理的葛藤が、静かに、しかし確実に精神をむしばんでいく描写が怖い。最後に彼が自宅を破壊してまで盗聴器を探す姿は、人間の脆さと狂気を突きつけられたようでした。(30代 女性)
静かで地味ながら、非常にスリリングな映画体験でした。情報の断片をどう解釈するかで物語の意味が変わってくる、という構造に惹かれました。普段は派手なスリラーばかり観ていた自分にとって、こういう静かな緊張感は新鮮で、じわじわとハマっていく感じがとても良かったです。ハリーの人間的弱さが、逆にリアルで感情移入してしまいました。(20代 男性)
「情報」と「誤解」がテーマの非常に現代的な作品だと感じました。盗聴という題材自体は昔ながらですが、現代のSNS社会にも通じる内容で、むしろ今の方が響くかもしれません。ハリーがプロでありながら、自分の録音がもたらす結果に翻弄されていく様子は、人間の限界を示しているように思えました。真実を知っても、行動できるとは限らない。その怖さが心に残りました。(40代 男性)
観る人によってまったく印象が変わる映画ですね。自分は「信頼」というテーマに強く引き込まれました。ハリーが誰のことも信用していない中で、唯一心を開いた人物に裏切られる展開は、人間の孤独と絶望を描いていて心が痛みました。地味な画面ながら、音と演技だけでこれほど深い世界を描けるのかと驚かされました。じっくり考察しながら観るのが好きな人にはぴったりです。(30代 女性)
映画『カンバセーション…盗聴…』を見た人におすすめの映画5選
裏窓(Rear Window)
この映画を一言で表すと?
日常の「のぞき見」が、思わぬスリルと真実に変わるサスペンスの金字塔。
どんな話?
骨折で自宅療養中のカメラマンが、窓越しに向かいの住人たちを観察する中で、殺人事件の可能性に気づく。だが証拠もない中、彼は徐々に恐ろしい事実に近づいていく…。
ここがおすすめ!
観察と盗み見という『カンバセーション』にも通じるテーマを持ちながら、観客も主人公と同じ目線で謎を追体験できます。ヒッチコックの演出が冴えわたり、じわじわ迫る恐怖とサスペンスの快感は圧巻!
ゼロ・グラビティ(Enemy of the State)
この映画を一言で表すと?
国家レベルの監視社会の恐怖がリアルに迫る、90年代のハイテクサスペンス。
どんな話?
偶然国家の極秘情報を手に入れてしまった弁護士が、突然CIAに追われる身となる。自分の身の回り全てが監視され、逃げ場のない状況に追い込まれていく。
ここがおすすめ!
『カンバセーション』の“監視される恐怖”がスケールアップした現代版ともいえる作品。ジーン・ハックマンも出演し、両作品をつなぐような面白さも。スリル満点でテンポの良い展開が魅力!
愛のメモリー(Blow Out)
この映画を一言で表すと?
“音”が暴く陰謀。録音技師が真実に迫る、音響サスペンスの傑作。
どんな話?
ホラー映画の音響技師が、偶然録音した音声から政治的な陰謀に巻き込まれていく。テープの中の“銃声”が、事故ではない何かを示唆していた。
ここがおすすめ!
『カンバセーション』と同様、音声というメディアを通して真実を暴くというテーマが秀逸。ブライアン・デ・パルマ監督によるスタイリッシュな演出も見どころで、緊迫感が途切れない名作です。
トゥルーマン・ショー(The Truman Show)
この映画を一言で表すと?
全てが“作られた人生”だった…監視社会の中で生きる男の覚醒劇。
どんな話?
何不自由ない生活を送っていた男・トゥルーマン。しかし、日々の違和感から自分の人生がテレビ番組として全世界に配信されていると気づき始める…。
ここがおすすめ!
“見られている”という恐怖の逆バージョンで、人生そのものが盗聴・観察されていたという衝撃的設定。エンタメ性も高く、哲学的な問いかけもあり、『カンバセーション』に通じるテーマ性があります。
スノーデン(Snowden)
この映画を一言で表すと?
全世界が監視されている―その事実を暴いた男の実録サスペンス。
どんな話?
NSA(米国家安全保障局)の職員だったエドワード・スノーデンが、アメリカ政府による大規模な個人監視を世界に暴露するまでの実話を描いた伝記スリラー。
ここがおすすめ!
『カンバセーション』の時代から進化した現代の「監視社会」をリアルに描写。実在の人物を通して、プライバシーと国家権力の関係を考えさせられる作品。静かな恐怖がじわじわと心に残ります。
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