映画『僕の大事なコレクション』の概要:収集癖のあるユダヤ人の青年が祖父のルーツを辿るためにウクライナを旅する姿を通して、ユダヤ人が迫害を受けた歴史を描く物語。ベストセラー小説の映画化で、俳優リーブ・シュライバーの初監督作品。
映画『僕の大事なコレクション』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:リーヴ・シュレイバー
キャスト:イライジャ・ウッド、ユージン・ハッツ、ボリス・レスキン、ラリッサ・ローレット etc
映画『僕の大事なコレクション』の登場人物(キャスト)
- ジョナサン・フォア(イライジャ・ウッド)
- ユダヤ人の青年で、幼い頃から家族にまつわる品物を収集してきた。ウクライナを逃れてきた祖父のルーツを探る旅に出る。
- アレックス(ユージン・ハッツ)
- ウクライナ人の若者でアメリカ文化に染まっている。通訳としてジョナサンの旅に同行することになり、自らのルーツも発見する。
- バルク(ボリス・レスキン)
- アレックスの祖父。目が悪い振りをして、盲導犬役の愛犬を飼っている。ユダヤ人への虐殺を生き残り、ユダヤ人であることを捨てた過去を背負っている。
映画『僕の大事なコレクション』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『僕の大事なコレクション』のあらすじ【起】
ジョナサンは病床にある祖母から祖父の写真を渡される。写真には若き日の祖父とアウグスチーネという女性が写っていた。ジョナサンは女性が誰なのかを尋ねようとするが、祖母は目を閉じてしまう。ジョナサンは幼い頃から家族の持ち物を何でも収集する癖があった。ジョナサンは、かつて祖父から収集した琥珀のネックレスが写真の女性が身に付けているものと同じであることに気付く。
ウクライナに暮らすアレックスは父から、祖父のルーツを探るためにウクライナにやって来るジョナサンの案内をするように命じられる。そして、父はバルクに車の運転役を頼む。バルクは目が悪いと自分で思い込んでおり、盲導犬役の愛犬もいつも連れ添っていた。バルクは渋々ながら引き受ける
アレックスとバルクは愛犬を連れて、ジョナサンを駅まで迎えに行く。ジョナサンは犬が怖いために車に乗ることを嫌がるが、バルクは有無を言わさずジョナサンを愛犬と一緒に後部座席に乗せる。3人の旅が始まり、ジョナサンは家族の物を集めていることをアレックスに説明するが、アレックスにはジョナサンの収集癖が不可解でならない。
映画『僕の大事なコレクション』のあらすじ【承】
ホテルに着いた3人は夕食を取ることにする。ジョナサンがベジタリアンだと知り、アレックス達は肉を食べないことに驚く。仕方なくジャガイモを注文するが、ジョナサンはそれを床に落としてしまう。バルクはそれを拾って皆で分ける。ジョナサンはそれを食べずにビニール袋に入れて収集する。ジョナサンはアレックス達に旅の目的を説明する。ユダヤ人が迫害されていた戦前のウクライナで、祖父はアウグスチーネのお陰で生き延びたのだ。その夜、バルクはアレックスにアウグスチーネ探しを手伝ってあげようと言う。
翌朝、3人は旅を再開する。途中で工事現場の作業員に道を尋ねるが、作業員はジョナサンの祖父の村がどこにあるか知らなかった。アレックスは車に戻ろうとするが、愛犬がその場から動こうとしなかったので叱りつける、それを見ていたバルクはアレックスのことを怒って殴る。3人は無言のまま旅を続け、バルクは野原の真ん中にトーチカを見付けて車を止める。トーチカの周辺には砲弾など戦時のものが残されていた。バルクは、ウクライナでユダヤ人が殺された戦時のことを思い出す。その夜は、3人で野宿をすることになる。
映画『僕の大事なコレクション』のあらすじ【転】
翌朝になり、3人は車での移動を再開する。祖父はひまわり畑の前で車を止め、アレックスに道を尋ねるように指示する。アレックスは畑の真ん中に建つ一軒家まで行き、そこにいた老女に話しかける。そして、アレックスがジョナサンの祖父の写真を見せると、老女はそれに反応する。
老女もジョナサン同様に収集癖があり、家の中は物が詰められた箱で溢れていた。老女はジョナサンの祖父のことを知っており、アウグスチーネが自分の妹でジョナサンの祖父と結婚していたことを明らかにする。老女は村には本を読めないのに図書館で沢山の本を借りていた男がいたことを話す。それを聞いたバルクは老女と2人きりにしてほしいと頼む。
話を終えたバルクは、老女の案内でジョナサンの祖父の村に向かう。しかし、村があった場所はただの野原で、慰霊碑があるだけだった。慰霊碑には1000人以上のユダヤ人がナチスによって殺されたことが記されていた。老女はナチスがユダヤ教の聖典を地面に起き、皆につばを吐かせたことを語り出す。しかし、老女の父はナチスの命令に従わなかった。ナチスはアウグスチーネを殺すと脅したが、それでも父は拒み続けたという。
映画『僕の大事なコレクション』の結末・ラスト(ネタバレ)
バルクは、ユダヤ人が一列に並ばされて銃を撃たれた情景を思い出す。列の中には若きバルクもいた。バルクは運良く生き残り、ダビデの星が刻まれた上着を捨ててその場を歩き去った。老女が話していた図書館の男とは他ならぬバルクのことだった。
老女は、ジョナサンの祖父が家族のために生活の基盤を築こうと一足先にアメリカに渡っていたために生き延びたと説明する。ジョナサンは琥珀のネックレスを老女に渡し、老女はアウグスチーネの形見の指輪をジョナサンに渡す。老女はバルクに戦争が終わったのかと尋ね、バルクは終わったと答える。
3人は帰路に就くが、途中のホテルでバルクは自殺をしてしまう。浴槽で死んでいたバルクを発見したアレックスは満足そうな死に顔であること見て取る。そして、自らの死と共に過去を葬り去りたかったのではないかと推し量る。アレックスはジョナサンを駅まで送り届ける。ジョナサンは祖父が身に付けていたダビデの星のネックレスをアレックスに渡す。そして、アメリカに帰国したジョナサンは、祖父の墓参りをする。
映画『僕の大事なコレクション』の感想・評価・レビュー
ちょっとオフビートな乗りが楽しいロードムービーだが、扱っているテーマはいたって真面目だ。かつてウクライナに大勢のユダヤ人がおり、第2次世界大戦時の迫害を逃れた歴史を知っていると、この映画の深みが増すことだろう。ただバルクを巡る物語は説明不足に感じた。自分の出身の村でありながら何も語らずに案内役となるのはあまりにも不自然だ。もしかしたら、その辺は原作小説を読んだ方が明確な説明を得られるのかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
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