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映画『誰も守ってくれない』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『誰も守ってくれない』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『誰も守ってくれない』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『誰も守ってくれない』の結末までのストーリー
  • 『誰も守ってくれない』を見た感想・レビュー
  • 『誰も守ってくれない』を見た人におすすめの映画5選

映画『誰も守ってくれない』 作品情報

誰も守ってくれない

  • 製作年:2008年
  • 上映時間:118分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:君塚良一
  • キャスト:佐藤浩市、志田未来、松田龍平、石田ゆり子 etc

映画『誰も守ってくれない』 評価

  • 点数:50点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★☆☆☆
  • 設定:★★☆☆☆

[miho21]

映画『誰も守ってくれない』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『誰も守ってくれない』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『誰も守ってくれない』 あらすじ【起・承】

刑事の勝浦卓美(佐藤浩市)は、妻子と別居中で離婚の危機に直面していた。
それを危惧した娘は家族旅行を計画。勝浦は同僚の三島(松田龍平)に付き合ってもらい、娘へのプレゼントを買っていた。

同じ頃、小学生姉妹刺殺事件の容疑者として18歳の少年の身柄が確保される。
勝浦と三島は上司の坂本からこの容疑者の家族の保護を命じられ、その自宅へ向かう。

自宅前はすでにマスコミや野次馬が押し寄せており、その中を少年が連行されていった。

自宅内では、父親と母親と妹の船村沙織(志田未来)が刑事に取り囲まれ、混乱していた。
3人は事情聴取のため別々の場所に移される。

勝浦と三島は沙織の保護を命じられ、車で移動する。
マスコミの執拗な追跡を振り切り、用意されたホテルに到着するが、そこもすぐにマスコミにリークされ、勝浦は沙織を自宅アパートへ連れていく。
三島は家宅捜索へ回される。

勝浦は沙織に自宅から携帯電話を取ってきてくれと頼まれ、沙織の自宅へ行く。
家宅捜索中の自宅は騒然としており、その中で沙織の母親がトイレで自殺を図り死亡する。

勝浦は精神科医の尾上に相談し、落ち着いてから沙織に事実を伝えようとするが、沙織は彼氏の達郎から先に母の死を知らされショックを受ける。

勝浦は、3年前薬物中毒の容疑者を尾行中、その容疑者が通行中の少年を刺殺した事件のトラウマで苦しんでおり、尾上のカウンセリングを受けていた。
さらに今回のことで新聞記者の梅本に3年前の事件のことを蒸し返す記事を書かれ、坂本から東京を離れるよう命じられる。

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映画『誰も守ってくれない』 結末・ラスト(ネタバレ)

ネットの掲示板は今回の事件で祭り状態となっており、少年や家族の個人情報が垂れ流しになっていた。
マスコミは、容疑者の家族を保護し、さらに母親を死なせてしまった警察を一斉に叩いていた。

勝浦は沙織を、家族旅行で訪れる予定だったペンションへ連れていく。
オーナーは、3年前の事件で子どもを殺された本庄夫婦で、被害者家族だった。

本庄夫婦は、沙織が容疑者の家族だと知った上で受け入れてくれた。

翌朝、本庄はネット上の書き込みで沙織の兄が幼い姉妹を刺殺したと知り、同じく刺殺された息子のことを思い出し、勝浦に出ていくよう告げる。
しかしペンションの周囲はネットでこの場所を知った野次馬に取り囲まれていた。
しかも、沙織本人が勝浦を困らせるためにネット上へ書き込みをしたことがわかる。
勝浦は、ここを出ることもできなくなる。

東京から三島と捜査本部の刑事がやってくる。
沙織は事情聴取を受けるが、何も話さない。

その夜、東京から沙織の彼氏の達郎がやってくる。
沙織は喜び、達郎も宿泊することを許されるが、翌朝2人は姿を消していた。

達郎はネット投稿者に沙織を売り、沙織の盗撮動画がネット上に流されてしまう。
勝浦が沙織を見つけ救い出すが、勝浦はネット投稿者たちに袋叩きにされる。

達郎の裏切りに沙織は傷つき、自分を守ってくれた勝浦に心を開く。
そして、事件の当日に見た兄のことを話し始める。

沙織は三島たちと東京へ帰ることになり、勝浦はしばらく休暇を取ることにする。
沙織は勝浦が忘れていた娘へのプレゼントを勝浦に手渡しお礼を言い、2人は別れる。

映画『誰も守ってくれない』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『誰も守ってくれない』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

シリアスなテーマを掲げたリアル感のない演出と脚本

本作はテーマの割に全くリアル感のない映画だ。
なぜ多感な女子中学生である沙織の保護を、中年のおじさん刑事勝浦一人にさせるのか。
最初の設定から疑問を感じているところへ、マスコミが警察車両を追い回して交通違反をしまくりのカーチェイスを繰り広げる。
現実にこんなことがあれば、それこそ大問題だが、そこは当然スルーされる。

書き出すとキリがないが、最もひどいのはネット住民の描き方。
ここでのネット住民はネット上だけでなく、リアルな世界でも犯罪行為を繰り返す。
コントに出てくるようなオタク風の人たちが刑事相手に暴力を振るう演出には悪意すら感じる。
加害者家族にとって一番怖いのはマスコミよりもネット住民ですよと言いたいのかもしれないが、その安易な発想も受け入れ難い。

リアル感を出せないのなら、思わせぶりなテーマは邪魔でしかない。

誰にも感情移入できない

テーマを無視して違う視点で観るなら、心に傷を負った中年男性と家族を失った少女の逃亡劇という設定だけは名作「レオン」と似ている。

それが本作の狙いなら、この2人への感情移入があってこそ、観客は物語に引き込まれ、ラストシーンに胸が熱くなるのだが、そこもうまく描けていない。

まず主人公の勝浦の行動に観客が感情移入できるような動機が見えない。
結局勝浦は仕事だから沙織といて、行き場に困り、勝浦のミスで我が子を殺された(と勝浦自身は感じている)本庄夫妻に甘え、沙織に逃げられ、オタクに暴力を振るわれたことで幸運にも沙織が心を開いてくれただけではないか。
自分から積極的に沙織を守ろうとしたようには見えないのだ。

沙織からは、不安や苦しみよりも“何で私がこんな目に!”という怒りばかりが伝わってくる。

2人に感情移入できないまま迎えるラストシーンは、「レオン」と違ってとても虚しい。


罪を犯した本人だけでなく、家族まで執拗に叩く最近のネット社会の在り方は確かに疑問を覚える。『誰も守ってくれない』という題名が、なかなか突き刺さる言葉だなと思った。
ただ、この映画には疑問を感じる部分が多々あった。なぜ勝浦刑事は沙織を逃がす場所として、悲しい過去を抱えている夫妻が営むペンションを選んだのか。感動のラストのように描かれているが、中学生の沙織に「家族を守るのはお前だ」と言うのは無理があるのではないか。リアルとは程遠い作品のように感じた。(女性 30代)


事件を起こした加害者の家族がどんな状況に陥ってしまうのか興味があり鑑賞しましたが、今作は純粋に加害者家族の葛藤や不安、怒りを描くのでは無くてだれか悪者を作って、その人を懲らしめようとする汚い人間たちを映し出しているような気がしました。
自分の家族が加害者になってしまったとき、ここぞとばかりに家族を追いかけ回すマスコミ、SNS上で何の罪の意識もないまま個人情報を晒すユーザー。見ていて嫌気が差しました。
関係ないと思っている自分の些細な行動が、誰かを被害者にしてしまうかもしれないということを私たちは忘れてはいけないなと思いました。(女性 30代)


「加害者家族は守られるべきか?」という重いテーマを突きつけられる衝撃作でした。女子中学生の妹・沙織を守るために奔走する刑事・勝浦の葛藤や成長が丁寧に描かれていて、非常に心に刺さります。沙織が自ら命を絶とうとする場面は胸が締め付けられ、無関係であるはずの彼女が世間から過剰なバッシングを受ける姿には怒りを覚えました。見終わったあと、深く考えさせられる社会派ドラマです。(20代 男性)


この映画を観終わったあと、SNSでの誹謗中傷について考えずにはいられませんでした。沙織がただ「加害者の妹」という理由で社会から追い詰められていく様子に、現実の恐ろしさを感じました。事件そのものよりも、取り巻く環境がいかに残酷かが強調されていた点が印象的。守る側の警察ですら迷いながら行動している姿がリアルで、何が“正義”なのかを改めて問い直されました。(30代 女性)


佐藤浩市さんの演技がとにかく素晴らしかったです。勝浦刑事のぶっきらぼうながらも真摯な姿勢が、事件の理不尽さの中にある人間味を際立たせていました。沙織の恐怖と苦しみに共鳴しながらも、何もできない無力感を抱く彼の姿に、観ているこちらも胸が痛くなります。被害者・加害者だけでなく「その家族」という立場にスポットを当てた点が非常に斬新で、考えさせられる作品でした。(50代 男性)


映画を観ながらずっと苦しかったです。SNSでの炎上、マスコミの過剰報道、そして無関係な家族への嫌がらせ…今の日本で実際に起こっていることだと思いました。自分が沙織の立場だったらと思うと怖くて仕方ありません。彼女の「生きる意味」を支えようとする勝浦刑事の姿が、唯一の救いでした。リアルすぎて観るのがしんどい部分もありましたが、それこそがこの映画の価値だと思います。(10代 女性)


何が正義で、誰を守るべきなのかを問われる作品でした。犯罪者の家族もまた、被害者になるという現実が切実に描かれていて、見る側としての「無自覚な加害性」を突きつけられた気がしました。ネットでの匿名の誹謗中傷、マスコミの過剰報道など、どこにでもある風景が、ここまで人を追い詰めるのかと改めて実感。誰にでも起こりうる“現代の闇”を描いた問題作だと思います。(40代 男性)


加害者の家族が「誰にも守ってもらえない」現実を描いたこの映画には、本当に衝撃を受けました。沙織が見せる不安や戸惑い、恐怖の表情があまりにもリアルで、心を締めつけられます。勝浦刑事の不器用ながらも一生懸命な姿にも泣かされました。現代社会が抱える“無関心と冷酷さ”を、ひとつの事件を通して浮き彫りにした素晴らしい作品です。誰かと一緒に観て語り合いたい映画でした。(30代 女性)


映画を通して、「正義とは何か」という問いが自分の中に生まれました。警察としての職務と人間としての良心の狭間で揺れる勝浦の姿に共感しました。加害者の家族もまた社会から制裁を受けるという構造が、リアルで恐ろしく、観る者に現代社会の問題点を突きつけます。映画としての完成度も高く、社会派サスペンスとして一級品です。重いですが、多くの人に観てほしい作品です。(60代 男性)


まさに“現代社会の鏡”とも言える映画。特にネットでの炎上や、無関係な人まで吊し上げられる風潮が現実と重なり、観ていて背筋が冷たくなりました。沙織を守る勝浦刑事の奮闘が切なくて、最後の彼女の涙にはこちらも涙せずにいられませんでした。「誰も守ってくれない」というタイトルの意味が、観終わった後にずっしりと響きます。誰かを叩く前に、一度観るべき映画です。(20代 女性)

映画『誰も守ってくれない』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『誰も守ってくれない』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

新聞記者

この映画を一言で表すと?

国家の闇に迫る記者と官僚の信念を描いた社会派サスペンス。

どんな話?

若手女性記者が、ある政府の不正疑惑を追う中で、官僚との接触を通して国家権力の圧力に直面していく物語。報道の自由と正義、そして個人の信念が交錯しながら展開するリアルな問題提起型のドラマです。

ここがおすすめ!

政治的テーマを扱いながらも、感情に訴えるヒューマンドラマとしても秀逸。観る側にも“真実とは何か”“誰のために戦うのか”を問いかけてきます。『誰も守ってくれない』同様、社会の構造に切り込む作品です。

怒り

この映画を一言で表すと?

「信じること」は本当に正しいのかと問う、魂を揺さぶる群像劇。

どんな話?

殺人事件の容疑者と似た過去を持つ3人の男、それぞれの場所で出会う人々との関係を描いたミステリードラマ。愛や信頼の形を探しながら、人間の本質を見つめていく重厚なストーリーです。

ここがおすすめ!

豪華キャストによる演技のぶつかり合いが圧巻。特に「疑う」「信じる」というテーマの深さは、『誰も守ってくれない』と通じるものがあります。終盤の真実の明かされ方には、強烈な余韻が残ります。

母なる証明

この映画を一言で表すと?

息子の冤罪を信じた母の狂気と愛が交錯する韓国サスペンス。

どんな話?

知的障害を持つ息子が少女殺害事件の容疑者となり、無実を信じる母が独自に真相を追い求める姿を描く。息子を守ろうとする一途な愛と、真相の衝撃が観る者に強烈なインパクトを残します。

ここがおすすめ!

母親という存在の強さと危うさを、驚異的な演技と演出で見せてくれる傑作。『誰も守ってくれない』のように、家族を守る立場の苦悩と歪んだ社会の構図が鮮烈に描かれています。ラストには言葉を失います。

夜明けの街で

この映画を一言で表すと?

浮気と殺人が絡む危うい関係性の中で揺れる男の心理ドラマ。

どんな話?

家庭を持つ会社員が部下の女性と不倫関係に陥り、やがて彼女が過去の殺人事件に関わっているかもしれないという疑惑に巻き込まれていく。サスペンスと人間関係が絡み合う東野圭吾原作のミステリー。

ここがおすすめ!

人の裏側、信じたい気持ちと疑念が交錯する心理描写が秀逸。日常が突然崩れていく怖さや、過去の罪との向き合い方など、『誰も守ってくれない』にも通じる人間の弱さと葛藤が描かれています。

ヒミズ

この映画を一言で表すと?

絶望の中で生きようとする少年少女の、痛切で暴力的な青春劇。

どんな話?

暴力や無関心の中で育った少年が、震災後の日本で「普通に生きる」ことを目指すが、やがて過去と暴力に飲み込まれていく。園子温監督が描く、傷だらけの若者たちの物語。

ここがおすすめ!

過酷な状況に置かれた若者たちがどう生き抜くのか、『誰も守ってくれない』と同じく社会の非情さと個人の孤独を描いています。染谷将太と二階堂ふみの凄まじい熱演も見逃せません。魂が削られる作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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